ハイスクールD×F×C   作:謎の旅人

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第31話 私もやっと参加できたと思ったのに……

こんな自分の状態を治めるため、とにかく私は熱を持った自分の体を冷却する。やり方はただ黒歌たちの話に耳を傾けずにただ心を落ち着けるだけ。これだけだが、私は十分に落ち着くことができた。

 

体の熱は少しずつ冷却されていく。そんな私は黒歌たちからはさっきと同じように寝転んでいるように見えている。つまり、さっきのような恥ずかしい話がされるかもしれないということだ。それはさすがに私が持たない。

 

なので、私は両手で頬を触り自分の顔が真っ赤になっていないかを体温で確認した。そして、さっきの話が聞こえなかったようなふりをし、ゆっくりと体を起こし、

 

 

「私のことを忘れていないか? さっきから二人だけでこそこそとしゃべって……」

 

 

とぼけてそう言った。

 

 

「そんなことないにゃん。ね? 白音」

「はい。むしろ御魂お姉ちゃんも関係しています」

 

 

うん、さっきから聞いていたけどそうみたいだね。私に聞かれていないと思っているかもしれないけど、ちゃんと聞こえていたから。

 

 

「そういえば御魂お姉ちゃんの好きな人って誰だったんですか?」

「うっ、き、聞きたいのか?」

 

 

思わず呻いてしまった。

 

 

「はい。知りたいです。姉さまも知りたいですよね?」

「えっ!? わ、私!?」

 

 

いきなり振れられて困惑する黒歌。そして、

 

 

「そ、そうね! 私も知りたいわ!」

「お主もか!?」

「だ、だって仕方ないじゃない。私、御魂ちゃんのことが…………」

「?」

 

 

黒歌は頬を赤める。最後のほうはは聞こえなかった。なんだろう。まあいっか。私は気にせずにドライグたちのことを言おうかどうかを考え始めた。私は別に言ってもいいと思っている。ドライグとアルビオンの名前を言っても分からないと思うから。

 

しかし、同時に自分が好きな相手の名前を言うことに恥ずかしさもあった。ドライグたちはもういないので、もうばれてもいいのだがそれでも何か抵抗があるのだ。自分の好きな相手をばらすほど恥ずかしいものはないと思う。どうしよう。

 

 

「お願い。ダメ?」

 

 

黒歌が潤んだ目で頼む。これだけでも私は弱いのに黒歌はさらに両手を自分の胸の前に置く。ず、ずるい!! そんな可愛く頼んだら断れないよ!! もうなんでこんなに可愛いの? 内心はこんなだが、表情は普通だ。

 

 

「まったく、しょうがないのう。い、言っておくがフェリと咲夜には内緒じゃからな」

「にゃん♪ わかっているにゃ」

「もちろんです。三人だけの秘密です」

 

 

フェリと咲夜は私の娘だ。なんだろうか。母親である私のこういう話を聞かせたくはないのだ。別に悪いことではないのだが、後ろめたさがあったから。

 

 

「ふふふ、御魂ちゃんの好きな人か~。楽しみだにゃん♪」

「姉さま、なんで楽しみなんですか? 御魂お姉ちゃんの好きだった人ですよ? そ、その私と姉さまは……御魂お姉ちゃんのことが………………です。だから私としてはあまり楽しめませんよ」

「分かっているわよ。でもね、白音だって興味があるんでしょう?」

「まあ、あります」

「そうでしょう。これはこれ、それはそれ。そういうことなの。分かった?」

「分かりまし……た?」

 

 

なぜ疑問系。とにかく白音は黒歌にうまくまとめられた。

 

 

「えっと、話していいか?」

「え? あ! いいわよ。ほら、白音。隣に来なさい」

 

 

黒歌は自分の隣をたたく。白音は叩かれた場所に座った。二人ともなぜか正座だ。もうちょっと楽にしていいのに。そして対して私はぺたん座りだった。

 

 

「白音は私とバカたちとの話を聞いたか?」

「はい。聞いていましたので」

 

 

私はドライグたちのことをわざとバカと言った。ちょっと思い出してむかついたからだ。思い出すとなぜか私の胸が痛くなる。とてもつらい。うう、なんで私がこんな思いをしているのだろう。そう、全部バカたちのせいだ。いなくならなければこうはならなかったはず。

 

でももし二人がいなくならなかったら? もしかしたら今とは全く別の世界になっていたかもしれない。ある意味それはちょっと違うかもしれないけど幸せな世界だったはずだ。だって私はドライグたちのことを愛して、ドライグたちは私のことを愛しているから。

 

その世界ではドライグとアルビオンの子たちを産んでいたのかな。そんな世界もよかったかもしれない。だけど、今はもう無理な話だ。ドライグもアルビオンもいない。それはもうIFの話だ。しかし私の前に二匹が戻って来ても、私とドライグたちでの幸せはもうない。

 

 

「……あるのは私たち家族を含めた幸せ、か」

「どうしたんですか?」

「いや、何でもない」

 

 

それは三人よりのときよりも幸せなのかな? だとしたら、それでいいのかもしれない。ちょっと大家族になるな。本当に物理的な意味で。だってドライグたち大きいもん。

 

 

「ねえ、御魂ちゃん。まさかとは思うけどその二人との幸せな家庭を想像していない?」

 

 

なんか怖い。黒歌は笑顔だったけどそれが怖かった。ちなみに二人じゃなくて二匹なんだけどね。

 

 

「し、していない!! するわけがないじゃろう!!」

 

 

必死になってそう嘘をついた。いくらどんなに私が強くても黒歌のこの笑顔には勝てなかった。黒歌はジト目で見る。疑っている目だ。私は冷や汗をかきながら目をそらさない。

 

 

「……まあ、いいわ」

「すみません、こんな姉で。でも私も実は似たような気持ちなんです」

 

 

まさか白音も!? なんで? 本当になんで? 私、なにか悪いことでもした? ただちょっとドライグたちのことを考えただけなのに。

 

 

「気にしないでください。ただの私たちの嫉妬みたいなものですから」

 

 

気にするよ! しかも嫉妬ってなに? なんで嫉妬なの? もしかして嫉妬するのは私がその二匹と出会ったときに二人を置いてきぼりにされるからと思ったからなのかな? それは考えられる。さっき読んだ黒歌の記憶とその前後の話からも分かる。

 

二人は私によって救われた。自分で言うのはちょっと恥ずかしいが、二人は私を家族だと思ってくれて少なからず(家族愛的な意味で)好意を抱いているのだろう。だから、嫉妬したのだ。

 

ふふふ、黒歌も白音もまだ子どもだね。安心していいのに。二人を置いてきぼりなんてしないよ。私の大切な家族なんだもん。手放さないからね。

 

 

「姉さまもちょっと落ち着いてください。嫌われますよ?」

「うっ!」

「まあ、こっちはそれでいいんですけどね。よくよく考えれば言わなければよかったです。今、姉さまに言って後悔しました」

「えっ? 白音、なに言っているの? 裏切り?」

「ええ、そうです。姉さま、勝負は非情なんです。戦いの歴史の中でも裏切りは多いのですよ。ごめんなさい、くすっ」

 

 

白音は謝っているのになぜか見下すような笑いを見せた。だが、それに対して黒歌は悔しい顔を見せずに逆に同じような笑みを浮かべる。

 

 

「へえ~、そう。白音はそういう態度をとるのね。仕方ないわね。でも、全部白音が悪いんだから。謝っても意味がないんだからね」

「? 何を言っているんですか?」

「分からない? 私が勝とうが負けようがもう白音なんて知らないってこと」

「!! ね、姉さま? な、何を言っているんですか?」

「最初に裏切ったのは白音、あなたよ。あなたが悪いの。私は悪くない。ああ、私の可愛い妹、白音。でも、その関係もこれで終わりね。私だって白音が妹でなくなるのは悲しい。悲しいのよ。本当に悲しい。偽りはないわ。なぜここまですのか? それはね、この私の気持ちは今までの人生で感じたことがないほどのものだからよ。あなただってそうでしょう? 白音がこんなに私以外の他人になつくなんて見たことがないもの。だから分かるはずよ」

「や、止めてください!! 私、謝りますから!! お願いです!! 許してください!! ごめんなさい!!」

「もう……遅いわよ。許さないんだからね」

 

 

なんか本当にものすごい話になってきたよ。しかも絶縁みたいなことになっている。も、もし本当に二人が絶縁になったら一生姉妹の仲が悪いままになってしまう!! それはいやだよ!!

 

 

「の、のう、黒歌? 白音も謝っているようだし、そこまでにして許してやれ」

「御魂ちゃんは静かにして!! 話しかけないで!!」

「ひぐっ」

 

 

怒鳴られた……。思わず涙目になってしまった。もう少しで泣きそう。私は部屋の隅っこで膝を抱えて静かになった。

 

 

「姉さま!! 姉さま!!」

「知らない」

「ごめんなさい!! 姉さま!! 私を捨てないでください!! ひぐっ姉さまがいなかったら……わたし……」

 

 

白音の目からだんだんと涙が流れる。黒歌はそれを見ても無視した。なんだかこれをみていると昔の私を思い出す。昔の私もお姉ちゃんやお兄ちゃんに悪戯していっぱい怒られた。そのときの私はもちろん泣いたが。ん? 泣いた? 鳴いた? 泣いたでいいや。

 

もしかして黒歌は怒っているのだろうか? つまり絶縁は嘘だということ。こうやって脅す? ことで人を裏切ってはだめだと教えているのだと思う。そうだよね? うん、そうに決まっている。なにせ黒歌は白音のお姉ちゃんだからね。

 

 

「うわああああん!! 姉さま!! すでないで!!」

「知らない!!」

「もうじまぜん!!」

「ふんっ」

「ひぐっうぐっ姉さまに捨てられた私なんてもう……! 生きている意味なんて……!」

 

 

白音は涙を流し、手に魔力を込める。そして、その手の平を自分の胸、心臓付近に当てた。えっ? これって自殺ってやつじゃないの? で、でも、大丈夫なはず。そう、黒歌が止めるから。そうだよね? そう思って黒歌を見るが黒歌は白音の行動をただ見るだけだった。

 

止めようともしない。や、やばい!! これは叱るとかじゃないよ!! まさか本気で絶縁する気なの!? そして、白音も本当に自殺する気!? 二人とも本当になんで!! 黒歌、いくら絶縁する気でも妹だよ!! 実の妹だよ!!

 

絶縁しようがしまいが妹の自殺は止めないと!! さすがの私も部屋の隅でじっとはできなかった。私はすぐに白音のその手を叩いた。叩かれた白音の手の平は天井を向いた。白音がその状況を理解したとき、手に込められた魔力は消えた。

 

白音は顔を腫れたように真っ赤にして頬には涙で濡れている。最後まで流れた涙は畳に落ち、畳の色を濃くして染み込んでいった。充血した白音の目が見開かれる。そして、私は白音の手を叩いた手で次は白音の赤くなった頬を叩いた。

 

叩かれた白音の頬には私の小さな手のあとが紅葉のようにくっきりとさらに赤く残った。白音は手を叩かれた頬にやる。

 

 

「な、なんで……?」

「なんで? それはこっちの台詞よ!! 自殺しようなんてどういうつもり!? なんでそんなにすぐに死のうとしたの!! ふざけないで!! あなたはもう私の家族なんだよ!! 私が最も大切なものを知っている? 家族よ!! だから家族であるあなたが死んだら私は悲しいの!! その悲しみはね、地球を破壊してしまうくらいの悲しみなの!! 分かった!? 分かったら返事!!」

「ひゃ、ひゃい!!」

 

 

そこで私は落ち着く。そして、さっきまでの口調に気づいた。

 

 

「ごほん、そして、黒歌。お主もじゃ。どういうつもりじゃ? なぜ止めなかった!! お主のただ一人の血のつながった家族じゃろう!! さっき言ったとおり私は家族が一番大切なんじゃ!! なぜ止めなかった!! 言え!!」

「っ! だ、だって最初に白音が裏切ったんだもん……。この戦いは互いに本気で裏切りはなしだったはずなのに……。だから私は選んだのよ。敗北か勝利かを。それで私は勝利を選んだだけ」

「なるほど。白音がいなくなれば必然的に戦いの相手がいなくなり黒歌が勝つからな。じゃが、それでよかったのか? 勝負は所詮勝負。妹である白音と比べたらどっちのほうが価値が高いか分かるじゃろう」

 

 

白音を抱きしめながら黒歌に言った。白音は私の腕の中で私の胸に顔を押し付けている。

 

 

「分かっていないのは御魂ちゃんのほうよ!! 確かに白音も大事だけど、これは結局戦争なのよ。世の中だって私と白音の勝負で死人も出るときだってある。これもそうなのよ。妹が相手でも負けるわけにはいかないの。それほど本気だから」

 

 

黒歌は真剣な顔で言う。なんで白音よりも勝負のほうが大切なの? それほどの大切な勝負ってなに? 私には分からなかった。私にとってはやはり家族が一番大事だ。今はとりあえず家族の命をないがしろにしようとした黒歌に叱ろう。

 

私は手を振り上げる。そして黒歌の頬を叩いた。白音とは反対の頬だ。そこに私の小さな紅葉形の跡がついた。黒歌は目を見開く。黒歌は叩かれた頬に手をやった。その仕草はやはり白音に似ていた。うん、やっぱり姉妹だね。本当に似ているね。

 

 

「このバカ者!! 白音はこの世界でたった一人なんじゃぞ!? いなくなればもう戻らん!! その勝負がどんなに大事か知らんが、家族の命がなくなるような勝負なんて全くの無意味じゃ!! 大事ではない!! なぜ分からん!!」

「でも、私にはこっちのほうが大切なんだもん!!」

「どこじゃ!!」

「だ、だって……そ、その……」

 

 

こんな状況なのに黒歌はもじもじとして頬を赤く染める。

 

 

「やっぱりまだ言えない!! は、恥ずかしすぎるもん!!」

 

 

おかしいな。今ってそういう雰囲気だったかな? 違うよね。

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