図書委員長は名探偵にはなれない   作:ダチョウ団長

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ラブレターインザブック

前の事件から数週間たち、いつも通り図書委員の仕事をこなす鶯谷隼人(ぼく)と後輩の

斎藤明美(さいとうあけみ)はカウンターで本の貸出返却処理を行っている。 

「私ちょっとミステリ読んでみようと思うんだよね」 

斎藤明美が本のバーコードをを読み取り、ピッピッと子気味いい音を立てて返却、貸出の処理

を行いながら言う。 

「れ、恋愛小説しか読んでいなかったお前が!?」 

別ジャンルを読んでいるところなんて見たことがない。 

「おいおいどうした隼人」 

驚きから、少し大きい声が出てしまった。声を聞いた三年二組、図書委員、鯉桜(こいざく

)(まなぶ)がカウンターの中に入ってくる。 

「いや、別にどうもしないよ。そうそう明美、恋愛小説が好きならおすすめのミステリがあるよ、何冊かあるんだが......でも僕はこの作家さんの恋愛感情の書き方がすごく好だからこの本をお勧めするよ」 

一冊本を差し出すと、昼休みの終わりを告げるチャイムがなる。 

明美がパソコンを片付けながら言った。

「今借りてる本読み終わったらそれ借りるね!」 

 僕は差し出しかけた本を図書室のカウンターに置いた。

 

 

✻✻次の日✻✻ 

 

 「……」

本棚を睨んで何か悩んでるような顔つきの女子が目に入る。

「どうした?なんか探してる?」

女子は三年二組、遙仁(はるかに)(まき)だった。

「えっと、『崩れる脳を抱きしめて』という本を探してるんだけど……」

あぁ、昨日明美にお勧めした本だ。

しかたない、今欲しい人がいるならあげないとな。

「えっと……その本は」

申し訳ないことをした。カウンターに置いてあるから、探しても見つからないのは当たり前だ。

カウンターに目を送り、置いたはずの本を探すが、見つからない。そのかわり、その本を持つ、明美が目に映る。しまった遅かったか。とりあえずカウンターに戻る。

「委員長!この本なんか入ってる!あんたが入れたでしょ!」 

本を僕に本を突き出してきた。昨日僕がおすすめしたその本には、一通の手紙が封をして挟まれてた。 

僕は一度(まき)に事情を伝え、明美の方へ戻る。

「これ開けていいのかな?」 

そう言いながらも明美の手は開封に走る。 

「え......?」 

明美はそっと手紙を戻し、近くにいてギリギリ聞こえるくらいの小さな声で言った。 

「ラブレター......?」 

え......? 

「やっぱりラブレターだ、でもここに書かれているのは差出人の名前かな......何だろうこれハングルかな......?」 

ぶつぶつと独り言を口にしている明美の視線がこちらに注がれる。 

......?もしかして俺がやったと思っているのか?俺が勧めたからか!そんなんで判断されちゃ困る。 

目を剥いていると、「ちがうの?」としぐさで訴えてくる。 

ぶんぶんと首を振ってこちらもすぐにしぐさで訴え、軽くため息をつき明美からラブレターを本ごとぶんどる。早く差出人(はんにん)を突き出して、この謎さっさと解いてやるよ。 

「ブックインザラブレター......いやちがう......」 

明美が何ぼそぼそとつぶやいている。 

「今回の謎は......ラブレターインザブック!!犯人は委員長!返事はNOよ!」 

 こいつの横文字作成癖(よこもじさくせいへき)に注意するのはもうやめておこう。というか、告ってないのにフラれた。この謎、さっさと解いてやるよ! 

「どうしたんだよ隼人、あと斎藤さんいきなりでかい声出して」 

「あぁ、すいません」 

とっとと誤解を解くために、さっさと解決に取り掛かろう。

「学、ちょっとパソコンよこせ」 

学の「なんだこいつ」みたいな視線は無視する。まずは本の貸し出し履歴の調査だ。パソコンへと向かい、カタカタと検索バーに入力する。貸出履歴を表示すると、まず今日借りた斎藤明美、その前に借りていたであろう一週間と少し前、鯉桜学、さらに前、(ひいらぎ)(まこと)。 

「あの、すみません。この本借りたいんですけど……」

貸出履歴をすぐ閉じて返却、貸出の画面を開く。

「韓国語の小説……しかも原文!?図書室にこんなのあったのか、てか韓国語読めるの?すげえな」

槙は「ありがとう」とでも言うかのようにぺこっと頭を下げて図書室から出ていった。

さてと、業務終了、調査開始だ。

「学、この本に心当たりあるよな?」本、『崩れる脳を抱きしめて』を掲げ、言う。こいつは俺が明美に勧めたとき一緒にいたし、犯人が明美に手紙を書いたとしたのなら、その犯人はこいつの可能性が高いだろう。 

「ん?ああ、前に借りていたよ、ほんのつい最近返した。」 

「あの小説はほんとに面白かった......ちょっと待て、どうしてお前がそれを持っている!?」 

本に挟んである手紙をちらつかせる。 

「手紙......あっ」 

学はすぐさまカウンターを出て、そのまま図書室から出て行ってしまった。やっぱアイツが犯人か......とりあえず手紙に目を通す。最後にハングル?が書いてある。『슈마』......?読めるわけないじゃないか。んあーまあいいや。とりあえず今日は図書当番だし、仕事を全うしよう。もう一人の図書当番(こいざくらまなぶ)はどっか行きやがったしな。 

 

 

✻✻次の日✻✻ 

 

 

なんか解決した気がしなくてモヤモヤする。人の恋路を邪魔するのはいけないよなぁ......けど図書室で画策しないでもらいたい。釘だけ刺しておくか?学のとこ行こう。三年二組教室だ。 

「失礼しまーす、学くんいますか?」 

クラスメイトらしき人物が言った 

「学?学はどっかいったな、今いねぇシューマとどっかいった」 

いないか、なら図書室か?とりあえずいくか。 

急いで図書室まで駆ける、廊下は走っちゃいけないよ。みんなはマネしないでね。 

「お、委員長」 

明美の声に返事をしつつ図書室に入り、学を探す。 

軽く見渡すが、いない。どこだ?まあ、図書室で何かするわけじゃないのならおれが関わることじゃないんだけどさ。カウンターまで戻り、空いている椅子に座る。 

「あ......」 

ラブレター返さなきゃ。明美から許可を取りぶんどっていた本を返却、その後僕が借りることにより、本も手紙も今は僕が保持している。よし、さすがに返そう。 

どこだ、鯉桜学。いや、まて、もしかしたら......。そうだ、あの可能性を見落としていた! とりあえず学校支給のタブレットでGoogle翻訳を開く。

「委員長!?なにしてんの?」

 「明美、鯉桜学を連れてきてくれ」 

「え?どこにいるかわからないよ?」 

「探せ」 

「......ハァ。何がしたいか知らないけど、貸し1、合計3つ目ね。あとそれとは別で仕事は請け負ってもらうわよ!」 

「了解、任せるぞ」 

「人探しは得意よ、任せなさい」 

明美が図書室から出てゆく、僕は僕で、推理を進める。人の恋路を邪魔するのは悪いが、ちょっかいかけたくなるのも人の(さが)というもの。 

それに、先に図書室を使ったのはあっちだ!......いや、これは責任転嫁か。 

今回のイザコザ、最初は学が犯人だと思っていたがそうじゃない!こいつは共犯。そもそも明美に向けられた手紙だったわけじゃない。

「学くん連れてきたわよ!」

よくやった明美……そ、そろそろ貸し返さないとまずいな。

「おい、隼人、なんのようだ」

てかこいつマジでどこにいたんだよ。

「シュマ……いやシューマだな、(ひいらぎ)(まこと)。シューマのところへ連れていってくれ」

「……そこまでわかってるのかよ」

当たり前だ。バカでもわかる、知られたくなかったらこれを奪っておくべきだったな。

「まぁ、こんなにでかい手がかりがあるんだからな」

共犯者に、本と手紙を手渡した。

 

 

  ***

 

 

シューマこと、柊真くんと、学から(しんそう)を聞く。だいたい予想通りだった。真が学に相談し、学が練った作戦。明美の言うラブレターインザブックが決行されたのが今日。明美が借りていなかったら槙さんが借りて無事ハッピーエンドだったはずだ。申し訳ないことをした。だが図書室で画策していたお前らが悪いんだからな?

 

 

  ***

 

 

シューマはあの後、普通に告って付き合ったらしい。

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