お気に入りが早くも五件を超えたということで、小さな幸せを噛み締めているところです
今回のヴェルチュは更に頭がおかしいぞ!俺でも扱いに困っちまうぜ!
Ep.2 優しい大人
やあみんな、私だ!今日は黒服の言ってたアテを見つけるためにアビドス砂漠にやってきたのさ!でも広いし暑いし足取られるしでた〜いへん!そんなときは〜?テッテレテッテテ〜テ〜テ〜「行き倒れ」〜!*1
と、暑さのせいで頭がおかしくなってしまっているヴェルチュ。そもそも狂ってるのだがそこはご愛嬌だろう。
「いや、暑いよ。くそう黒服め!車の一つくらい手配してくれればいいものを!なにが『悪いなヴェルチュ、この車は一人用なんだ』*2だよ!」
体を捩らせながら大声で叫ぶヴェルチュ。実際には黒服はそんなことを言っていないのだが、暑さのせいでおかしくなってるヴェルチュには関係ない。というか車で不安定な道は酔うからと黒服に断ったのはヴェルチュの方であるため、彼は自分で自分の首を絞めている。
「ああ暑い、ほんとに行き倒れる……おや?」
アビドスの暑さに愚痴を吐くヴェルチュは、その砂漠の途中で何かを発見する。
「街……なのかな?あれ」
おそらく街であろう場所を発見したヴェルチュは、導かれるようにそこへ向かった。だが……
「なんもないし誰もいない!!」
アビドスにある人が残っている街などたかが知れている。
「てか街あるじゃん!車!走れる!黒服め許さんぞ!*3」
ヴェルチュは叫び疲れたのか、はあ、と大きくため息を吐く。
「最悪倒れても酸素缶はあるけども……それよりもまず人が恋しい……というか人に会わないと遭難する……いやでもここで会う人も遭難者の可能性が高いよなあ……誰か土地勘ある人が都合よく現れないかな……」
と、ヴェルチュがそんな愚痴をこぼしながらトボトボと歩いていると、視界の端に大の大人を背負った銀髪の少女が見えた。
(大人……それも人間の。しかもその人間を背負ってる少女。大人は動かない、まさか……拉致⁉︎)
そう勘違いしたヴェルチュは、全速力で少女のいる場所まで走る。
「君!大人を拉致してどうするんだ⁉︎」
「……私?」
ヴェルチュの大声に、その銀髪の少女はまさか自分のことかと反応する。
「そう、君だ!悪いことは言わない、その大人の人を拉致しようとするのは――」
「ん……拉致じゃない、行き倒れた人を背負ってるだけ」
「……え?」
「『え?』?」
二人……いや実質三人の間に静寂が訪れる。
「もしかして、私の早とちりだった?」
「ん、そうだと思う。それと……あなたも、見ない顔だけど。遭難?」
銀髪の少女からそう聞かれて、ヴェルチュは前屈みになりそうなほどに食いつく。
「そう、そうなんだよ!車の一つも貸してもらえないで、一人で砂漠をウロウロしてたから危うく行き倒れるところだったんだ!」
「そ、そうなんだ。えと……あなたの目的地はどこ?アビドス?」
「私は、そうだね。アビドスに用事があるんだけど……もしかして、君はアビドス高校の生徒さんかな?」
「ん、アビドス高校二年、砂狼シロコ。よろしく」
砂狼シロコ、その名前を聞いてヴェルチュはなるほど、と納得した。
(この子が黒服の言ってた、
「私はヴェルチュ、しがない大人だよ。よろしくね。それと、その背負ってる人は?」
「ああ、この人は――」
”連邦生徒会、連邦捜査部『シャーレ』の先生だよ。よろしく”
自らを先生と名乗った人はゆっくりと喋る。それと同時に、ヴェルチュは先生に魅入られていた。
(……なんでだろうか、私はこの人に何かを求めているような、初対面のはずなのに、全く初対面のように感じないというか……気になるね。それと「シャーレ」、これも確か少し前に黒服がなんか言ってた気もする……)
「とりあえず、私たちの学校に案内する。ヴェルチュ……だっけ。あなたは行き倒れない?」
「正直限界が近いよ」
「ん、なら近くに私のロードバイクを停めてるから、それに乗ってもいいよ」
「ほんとに?ありがとうね、シロコ」
「困ってる人を助けるのは当たり前」
そんな会話をした後、ヴェルチュたちはアビドス高校を目指すのだった。
次回!ホシノとヴェルチュの対面があるぜ!
デュエルスタンバイ!
アビドス一二章見返さなきゃ……