これまで受験したり卒業したり引っ越したり入学したりテストしたり課題やったりカービィやったりで結構忙しくあまり書けていませんでした、という言い訳だけしておきます
これからはもうちょっと投稿頻度をしっかりしていきたいなと……ハイ
期間が開いた分今回は長めです
私たちはシロコの案内のお陰で無事アビドス高校まで辿り着き、そのまま「廃校対策委員会」という委員会の教室まで足を運んだ。
「ただいま」
シロコがそう言うと、対策委員会のメンバーがこちらに振り向く。
「おかえり、シロコせんぱ……い?」
黒髪の猫耳が生えた少女は眼前の光景に困惑し、
「わあ☆シロコちゃんが大人を拉致してきました!」
ベージュ色の髪の少女は悪ノリなのか笑顔でそう言い、
「拉致⁉︎もしかして死体……シロコ先輩、まさか犯罪に手を染めて……もう一人の方はお仲間ですか⁉︎」
黒髪の赤い眼鏡をかけた少女が間に受け、
「みんな落ち着いて!確か体育倉庫にシャベルとツルハシがあるから、それで死体を――」
猫耳の少女が事態をさらに悪化させる。
(え、この状況なに??)
ヴェルチュがそう思っている最中、シロコはトサっと先生を下す。
「……いや、生きてる大人だから。この人たちはアビドスに用事があるんだって」
「え、お客さん……なの?」
「そうみたいだけど……」
“はじめまして”
「はじめまして」
起き上がった先生とヴェルチュは同時に喋る。
「わあ、お客様がいらっしゃるなんて久しぶりですね」
「でも、来客の予定なんてありましたっけ……?」
眼鏡の少女が疑問に思っていると、先生は首から下げている名刺のようなものを見せた。
“連邦捜査部、「シャーレ」の先生だよ。よろしくね”
「えぇっ⁉︎本当ですか⁉︎」
「支援要請が受理されたんですね☆」
「それじゃあ、そこの火の玉のアンタも?」
猫耳の少女の質問に、ヴェルチュはいいや、と言いながら首を振る。
「私はシャーレの者じゃない。少し、アビドスに探し物があってね」
「探し物……ですか?」
「ああ、あまり人に言えるものではないけどね。アビドスには今まで来たことがなかったから、とりあえず土地勘がある人たちのところへ行ったほうがいいと思って」
ヴェルチュは
「そうですか……私たちにできることがあれば、ぜひ教えてください。こちらでもなるべく探してみます」
「本当?ありがとう、その時になったらぜひ頼らせてもらうよ」
ヴェルチュたちがそんな会話をしているところで、猫耳の少女は思い出したように言う。
「そういえば、支援が受けられるようになったこと、ホシノ先輩に言わなくていいの?」
「そういえば言ってないですね……セリカちゃん、お願いしてもいい?」
「もちろん。隣の教室で寝てたはずだから、しっかり起こしてくるから待ってて」
そうして、セリカと呼ばれた猫耳の少女が教室を後にしておよそ数秒後、ダダダダダッと銃声が響く。
「っ!?」
「じゅ、銃声です!武装した集団……おそらくカタカタヘルメット団かと!」
「あいつら、性懲りもなく……!」
眼鏡の少女やシロコの言葉から、ヴェルチュはこの学校はカタカタヘルメット団という武装集団に何度も襲撃されていることを理解する。そして、善性の塊である彼が襲撃など許すはずがない。だからこそ、この場を治めるためにも彼は外に出ようと全員に声をかける。
「ごめん皆、私は先に説得に行って――」
「無茶です!それに、ヘイローがないのに、銃弾をまともに食らってしまったら死んでしまうかもしれません!」
ベージュ髪の少女のその言葉に、ヴェルチュは足を止める。だが、
「……それでも、私は行ってくる!」
……ところで、彼は黒服がアビドスで何をしようとしているのかは知っているが、その過程で何をしているのかは知ったこっちゃない。それをふまえて現状を見てみよう。
これを読んでいる読者先生方はもうご存知かと思うが、このカタカタヘルメット団は黒服と手を組んでいるカイザーPMCが雇っている。つまりすごく大雑把に言ってしまえば「アビドス側につく=カイザーと敵対する=黒服と敵対する」ということだ。
要するにこの男、自らの仲間*1の首を絞めにいっている大馬鹿野郎である。
「ひゃっはーっ!!」
「攻撃だ攻撃!奴らに物資なんてもう残っちゃいない!!」
「潰しにかかれぇい!!」
カタカタヘルメット団からは威勢の良い言葉が次々と出てくる。そんな中、その群衆に向かって全力で走っている
「……団長、あの、火の玉のアイツって誰ですかね?」
「ああ?んな奴見たことも――って本当にいるな、誰だアイツ」
「アビドスの校舎から出てきましたけど、アイツも潰します?」
「あたり前だろ、アビドスの関係者かもしれねえしな。おいテメエら!まずはあの男をねらえ!」
ヘルメット団の団長の言葉に呼応するように、ヘルメット団の全員がヴェルチュに銃口を向ける。ヴェルチュはそれに気が付いたのか、途中から両手を上にあげた状態で走り始めた。その姿はさながらグラ〇フで両手を上げるエモートをした状態で走っている
「君たち!ゼェ、ゼェ、学校の銃撃なんてやめるんだ!!」
いきなり現れた大人、しかもその大人自身には敵対心がない。……とは言い切れない、アビドス側の時間稼ぎの可能性もある。あと単純に怪しいし走り方が気持ち悪い。
それらの理由からヘルメット団はヴェルチュに対して猛攻を開始しようとする。たかがヘイローをもたぬ大人一人、大したことはない。
はずだった。
“ホシノ、彼を守って!”
「りょうか~い」
先生の指示を受け、颯爽とヴェルチュの目前まで移動したピンク髪の少女――小鳥遊ホシノ。彼女は流れるように盾を構え、盾でヴェルチュを守りつつ
続けてシロコ、セリカ、ベージュ髪の少女が先生の指示に従いながら攻撃を始める。
「早く逃げてね~、撃たれたら大変でしょ?」
ホシノがヴェルチュにそう言うが、ヴェルチュは動こうとしない。それどころか、じっとホシノの動きを見ていた。
彼は魅入っていた。ゆるやかな口調とはほど遠い気強く重い凛とした気配に、砂狼シロコ以上に感じられる神秘に。そして直観する、彼女こそが
「……聞いてる?おじさん、このまま人を守り続けるのは骨が折れちゃうかな~」
強者の余裕というものだろうか、そんなことを言いつつも、ホシノは涼しい顔をしている。
「…………あ、ごめん」
ヴェルチュはようやく正気に戻ったようで、ホシノの言葉を承諾して先生のいる場所へと移動した。
(……あれ、私は結局何をしたんだっけ?)
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先生による的確な指示とアビドスの面々の戦闘力の高さ故か、事態はすぐに事が付いた。
「いやあ〜、まさか勝っちゃうとはねえ。ヘルメット団もかなり覚悟してたみたいだし」
「勝っちゃうなんて、じゃないですよ……勝たなきゃ学校が不良のアジトになっちゃうじゃないですか」
「ん、先生の指揮がよかった。私たちだけの時とは全然違ったし……」
「でも、火の玉のアンタが前線に出なければもうちょっとスムーズにいけたんじゃないの?」
「セリカちゃん、それは言わないお約束といいますか……」
「でも、間違ってはいないかも」
「おじさん、あの時ちょっと無理しちゃったしねえ」
「ウッ!」
ヴェルチュに精神攻撃!ヴェルチュのSAN値は10減少した!
“ま、まあまあ。逆にヴェルチュさんに注目が集まってたから奇襲に成功したとも言えるし……”
「先生……!!」
先生のフォロー!ヴェルチュのSAN値は2回復した!
「でも奇襲っていうほどのものでもなかったよね」
「グハッ!」
ヴェルチュに精神攻撃!クリティカルヒット!!ヴェルチュのSAN値が30減少した!ヴェルチュは倒れた!
「……で、そういえばアンタの名前聞いてなかったわね」
「ん、倒れてるから代わりに言うと、この人はヴェルチュって名前。しがない大人だって」
“えっと……ヴェルチュさんは私と同じでヘイローがないと思うんだけど……なんであの時ヘルメット団の前に?”
先生の質問に、死んだふりを終えたセミのようにガバッと勢いよく起き上がりながらヴェルチュは答える。
「それはズバリ、私が『悪いこと』を許さぬ人間だからだよ」
「起き上がり方……」
「悪いことを許さない……つまり、ヘルメット団の行った『学校の襲撃』という悪事を許せなかったから前に出た、ということですか?」
アヤネの言葉にヴェルチュはうん、と頷きながら話を進める。起き上がり方を指摘したセリカの声は届いていないようだった。
「それもあるし、でも一番に理由を聞きたかった。なんで学校の襲撃なんかするのかって問いたいんだ。誰しも、その行動には理由が付き物だしね。そしてその理由がそうだね、例えば……行き場がなくてお金に困ってるだとか、腫れ物扱いされてヘルメット団(あそこ)しか居場所がなかっただとか、そういった訳アリの子だったら私が保護してたかな」
「保護、ですか?」
「そう。一応、訳アリの子を保護する経験はあるからね、その経験を生かして」
「……優しいんだね」
そうつぶやくホシノの目は、どこか儚い、夢を見ているような目だった。それこそ、何かもしもの世界を想像していることを思わせるような、そんな儚げなもの。
「では、改めてご挨拶しますね。私たちは、アビドス対策委員会です。私は委員会で書記とオペレーターを担当している一年のアヤネ……こちらは同じく1年のセリカ、」
「どうも」
「2年のノノミ先輩とシロコ先輩、」
「よろしくお願いしますね~」
「さっき道端で会ったのが私……あ、別にマウントをとってるわけじゃないから」
「そして、こちらは委員長で3年のホシノ先輩です」
「いやー、よろしくね~」
「じゃあ私も改めて……私はヴェルチュ、アビドスに探し物があるしがない大人さ。今後なにか手伝ってもらいたいことがあるかもしれないから、その時はよろしく頼むよ。あ、もちろん対価とかもしっかり用意するから」
「探し物って、いったい何を探してるの?」
ホシノの投げかけた疑問に、ヴェルチュは少々困惑気味に答える。
「あれ、言わなかったっけ」
「私は聞きましたけど……確かその時、ホシノ先輩は隣の教室で寝ていたと思います」
「あ~、そうだったんだねえ。失敬失敬」
「まあ、人に言えるものではないし、大したものでもないよ。ただ私だけで探すよりも、土地勘がある人がいた方がいいんじゃないかなと思ってシロコに連れてきてもらったんだ」
「そう、最初会ったときはかなりびっくりした。いきなり知らない大人が呼び止めてくるから……」
「いや、それは申し訳ない……てっきり拉致してるのかと思っちゃってて」
“まあ、あなたほどのお人よしになればそうなるのかな……?”
「先生もだいぶお人よしだと思うけどね~」
そんな会話をした後、アヤネから追加の情報を聞いたりホシノがヘルメット団の基地を襲撃しようと言いだしたり実際襲撃したりして、その日はお開きとなった……のだが。
「ヴェルチュさん、ちょっとおじさん話したい事があるんだけど、い~い?」
そう、ヴェルチュはホシノに呼び止められた。
「ああ、いいよ」
「ありがとねえ~」
二つ返事で了承したヴェルチュを連れて、ホシノは対策委員会の部室から離れた適当な教室まで歩みを進める。コツコツと、歩く音だけが夕日の差し込む廊下に反響する。
「ここらへんでいいかな」
そう言って、ホシノはその扉を開き、中へと入る。続けてヴェルチュも教室に入ると、ホシノは入口を閉じた。
「……ここは?」
「まあ適当な空き教室だよ。それで、聞きたいことなんだけどね~。ヴェルチュさん……」
その穏やかでおっとりとした目は、いつの間にか隼を彷彿とさせる、鋭い目つきをしていた。
「あなた、何者?」
・ヴェルチュ
性格 炎
趣味 創作、実験
好きなもの 家族、梅干し、酸素、先生、黒服、マエストロ、ゴルコンダ、デカルコマニー
嫌いなもの 絶対悪、地下生活者、ベアトリーチェ、自分自身
ゲマトリアの中でもなかなかに狂っている男。
なにか大切なものを忘れている気がする。