ゲマトリア構成員“善性の塊”   作:風見海奈

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今回、ホシノの解釈違いがあるかもしれないです
でもそんくらいしそうだなと思ったのでそうしました
それと暁のホルス状態のホシノの口調がわかるシーンが少なすぎて参っちゃう


Ep.4 意地

「言ったはずだよ、ただのしがない大人だって」

 

「……確かに、そう言ってたね。でもねヴェルチュさん?あなたは先生と似た雰囲気がするのに、どこか胡散臭いんだ。それこそ、カイザーの大人たちや黒服みたいに」

 

 黒服、という名前にヴェルチュが一瞬だけ反応したのを、ホシノは見逃さなかった。

 

「だから――答えて、あなたは何者?」

 

 凄まじいほどの気迫と、憎悪の感情。Eye of Horusを構えた暁のホルスに対し、ヴェルチュは何もできやしない。この状況、ヘイローを持たぬ者が強いてできることとすれば、死ぬか自白かのどちらかだろうか。

 

「私は……」

 

 観念したように、ポツリと言葉をこぼす。暁のホルスは一切の警戒を解かず、ただじっとEye of Horusの銃口をヴェルチュに向けている。

 

 

 

「…………わからない」

 

 

 

 ヴェルチュの口から出たのは、そんな弱弱しい声だった。

 

「気が付いたら一人だった、だけど何か大切なものを忘れている気がして、だけど何も思い出せない。そんな私を見かねてか、一人の男が私に声をかけたんだ。『共に観測を、探究を、研究をしてみないか』とね。だから」

 

 一拍を置いて、ヴェルチュは言葉の続きを綴る。

 

「『何者か』と聞かれれば、私は『わからない』としか答えられないし、『誰の味方か』と聞かれれば、私は『私の友人たち(ゲマトリア)』の味方としか答えられない」

 

 発砲。暁のホルスの放った散弾はヴェルチュへと向かうわけではなく、ヴェルチュの横を通り過ぎて壁に埋まる。

 

「アビドスから去って、次は()てる」

 

 威嚇射撃だったようだ。異常なまでに冷酷で無慈悲な言葉を、暁のホルスは放つ。だが、

 

「それはできない」

 

 目的を達成していない彼は、暁のホルスの命令を聞くことなどできない。

 

「それに、そちらが一方的に要求をして『はいそうですか』と簡単に食い下がるほど、大人は甘くないよ」

 

「大人は嫌い」

 

「見ればわかるよ。……それで、アビドスから去ってほしいっていうホシノの要求はわかった。だからこそ、こちらからも願いを言わせてもらう。それで交渉成立さ」

 

「……そこまでして、私を退学させたいの?」

 

 暁のホルスの言葉に、ヴェルチュは疑問を浮かべるが、直後に手をポン、と軽く叩いて理解をした素振りをする。

 

「あー、黒服が持ちかけてる契約のことか。生憎と、私は彼のしようとしていることに手を出すことはできないんだよ。なにせ、やってることは悪のソレと同義だしね。私が望むものは黒服とは違うから、その退学の話は考えなくていい。それで、私からの要望なんだけど……」

 

 ヴェルチュは知らない、その言葉が、要求が、暁のホルスの逆鱗に触れることを。

 

 

 

 

 

 

 

 

「梔子ユメの死体をいただきたい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 刹那。眼前にまで迫った暁のホルスは、校舎の窓ガラスを割ってヴェルチュを突き落とす。暁のホルス自身もまた窓から身を乗り出し、地面に向け盾を展開した状態で落下中のヴェルチュに散弾を浴びせる。

 

 直後、ヴェルチュの身体は地面に叩きつけられ、彼は潰されたカエルよろしく「グェッ」と情けない悲鳴を上げる。さらにそこへさきほど暁のホルスが展開し、彼女の体重が掛かった盾は地面と共にヴェルチュの身体を挟む。着地した暁のホルスは彼に馬乗りになったその状態で、彼の身体に何度も散弾を撃ち続ける。

 

 やがてガキンッと弾切れを知らせる甲高い音が鳴ると、暁のホルスはヴェルチュからおりて撃つことを止める。それから数十秒、ヴェルチュが起き上がらないことを確認した彼女はゆっくりとその場を後にしようとした。……が、念には念を入れ、グレネードを投げ込むため、グレネードのピンを抜き、後ろを向いた。

 

 

 

 

 

「あーあ……せっかく新調した服がボロボロだよ……」

 

 そこには、呑気な口調でそんなことを言ってるヴェルチュが立っていた。その事実に、暁のホルスは驚きを隠せず、手に持っていたグレネードを落としてしまう。

 

「それで、交渉は吞んでくれるかな?ホシノ……いや、今は暁のホルスみたいだね」

 

「な、なん「私はね、銃火器の類が効かない身体みたいなんだよ。何度もたしかめた(実験した)からわかる」

 

 暁のホルスは、再びEye of Horusの銃口をヴェルチュに向ける。それは無駄な行為だとわかっていても、反発の意を示すためだ。

 

「私は梔子ユメの死体をいただく、そしてその代償としてアビドスから去る。お互い、どうしてもそうしてほしいんだ。なら、交渉としては成立してるでしょ?それに、私の仮説が正しければ――」

 

 ヴェルチュの発したその先を聞いてか、はたまた何か別の理由があるのか。暁のホルスはEye of Horusを下げ、そして、

 

「……わかったよ」

 

 と、了承の意を示す。それを聞き、見た彼もまた、

 

「交渉成立だね」

 

 と、嬉々とした声色でそう言うのだった。

 




これくらいの更新頻度を維持出来たらいいんですけどね
そうもいかないのが私なんです

追記(2025/05/10)
熱が出たため更新が一時停止します
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