「やばいなぁ……サイズはスーパーミュータント・ベヒモス級というか、あんな厨二病まっしぐらなデビルマンおるんか?俺、召喚された勇者じゃないから城から退去していい?」
「ベイリンさん、あれは魔王です。デビルマンではありませんよ。それに……逃げるようなら。逃げてみろ!この場で声出して魔王に居場所を教えてやる」
「おいおい、アンタ皇太子やろ?国売っていいんか?」
「確かに私は皇太子だが。正妻の子ではない、側室の子だ。姉上は正妻の子だが、側室の生まれである私に姉上は良く面倒見てくれた」
ベイリンと皇太子ロイの間に割り込むように銃兵が話しかけてきた。
「御二方、話を遮って申し訳ないですが、現在ものすごくまずい状況です」
3人は、柱から火炎攻撃してご大層な挨拶をする人ならざるものを見ていた。
いきなり現れた魔帝ノルデン・グラードを横目に、未だ武具や防具を持たない生き残った勇者に、とどめを刺すか刺さないかという瀬戸際になっていたが、さすがに「こちらが召喚した勇者が全員死んだから。今日から君が勇者だ」というのは、真っ向から拒否したい拒絶三唱。
そして、いきなり召喚者が全滅したからでは、この世界の物語が破綻する。どこぞの追放物語より究極進化してからでは始末が悪い。
多少勇者が生き残って貰わないと困るからと、せめてそこにいるでかい厨二病を撃退すればいいや……とベイリンは頭の中で考えた。
「皇太子。この際、呼びたかたは無礼承知で申し訳ないがロイと呼ばせてもらいます。いいですね」
「わかった。なら私は君をベイリンと呼ばせてもらいます」
「俺は銃兵のハンスといいます。さっきはありがとうございます」
「よろしく。ロイ、ハンスお前ら2人にうちの武器を渡す。やつの出方を見たい頼めるか?」
ベイリンからの提案に、2人は首を縦に頷き
「よし、ロイあんた確か魔法や魔術は使えるんだっけか?うちにはそんなスキルはないが」
「詠唱魔法なら使える。身体強化や硬化魔法があるんだ」
「身体強化魔法か……なるほど、それならアレを渡しても身体強化魔法でどうにかなるか」
そしてベイリンはタブレットを出現させ、fallout4Modにてカスタマイズしたライトマシンガンの始祖マドセンと、同じくバトルライフルの始祖的な存在と言える。フェドロフM1916をどこからともなく何も無い空間から出現させた。タブレットで確認したが、収納されている銃火器だけでも200丁。弾薬や爆薬、さらにパワーアーマーフレームが1つ確認出来た。
「はい、ロイにはライトマシンガン。ハンスにはフルオート改造したライフルを渡すよ。それに弾薬ポーチを付けたベストもね。それとハンスに預けた銃は……あそこか」
ベイリンがハンスに引渡したPKMは、いまだあそこに置きっぱなしだったのを目視で確認した。そのまま放置しても手に触れない限り。数分後にはタブレットのなかに戻され、収納されていくシステムである。
ベイリンがタブレットや保管庫に保有するあらゆる物は、ベイリン自身がそれを破棄する意思が無い限り、永遠に戻ってくる。
例え、第三者に破棄する事無く譲渡してもそれを何らかで第三者が手放し、再度他人の手に拾われない限りタブレットの中に戻って収納されていくのだ。
そこであえて、手持ち装備から2つを破棄というかたちであえて讓渡する方法を選んだ。もしそのまま世間に出回って。いざ複製しようにも構造や材質、機械技術や工業力。弾薬の薬莢や火薬、それらを一元化し理解しない限り。いくら自力で出来上がってもせいぜい試作品か、強度不足の粗悪品が出来上がるだけだ。
だが、現行の銃より数世代先の銃知るベイリンは、あえて現物破棄という讓渡でそれを行おうとしていた。
もしそれらが国家間で量産化してしまえば、世界の軍事バランスは崩壊し世界規模の戦争が発生すると……。
構造が複雑な銃を渡すという事も考えたが、戦闘中に弾詰まりや部品破損による暴発で怪我人出されるのも嫌だった。
「すいません。突然のことだったので」
「大丈夫よ。ウチの武器は、自分の意思で廃棄しない限り手元に戻る。拾って作業台で修理すれば直るさ。武器は人によって使い方違うし、長年酷使してぶっ壊れ。そして修理してなんぼのもんだ」
そう言ってタブレットからFN社製ライトマシンガンFN EVOLYSと接近戦用にPPSh-41を切り詰めた「オブレス」を用意し、弾薬ボックスに詰めてある弾薬の口径を確認した。
外から度々、銃声と空を飛び回る龍の鳴き声が聞こえた。おそらく守備隊が現在進行形で交戦状態に突入していると判断した。
「7.62ミリのタングステン仕様高速徹甲弾で、PPSh-41も同じ。さてと……ベヒモスサイズの魔王が発動している。あの防壁が詠唱式か無言なのか、それとも無意識で防壁が展開しているのかサッパリわからん」
EVOLYSのコッキングハンドルを動かし、サイドカバーを開き、弾薬を装填して何時でも撃てる体制にした。ロイやハンスもベイリンから銃の扱い方やマガジン交換の仕方を教わり実際に構えていた。
ベイリンは、ゴテゴテのクロンコアーマーを外し、服装も紺色をあしらったシールドシークレットサービスのアンダーアーマーを下にし、その上外套を外したエリートレンジャーの衣装を着用し。さらに土木技師アーマーを5部位を着衣した。
ちなみに読者諸氏にはご存知だと思う。このシークレットサービスアンダーアーマーと土木技師アーマーは、Fallout76で馴染みのアーマーである。しかも土木技師アーマーにはジェットパックが装備できるし、セットボーナスには、5部位装備することで「近接攻撃を受けると10%の確率で150炎ダメージを与える。武器の耐久力減少が35%遅くなる」という効果が発生する……が、当の作者はこれにRunner'sという伝説星4Modを5つ装着しておるが、時たまレイドの燃料集めにしか役に立たないくらいだが、重量に余力があってフュージョン・コアの消費を抑えたいときに役に立っている。
ヘルメットもエリートレンジャーだが、防御面と性能は比べにならないくらい高性能化している。ゴーグルはMRベッドディスプレイゴーグルと同じ物を装着してる。マスクも対神経毒、気化性に対応してるがベイリンには効果がない。
「ベイリン、あの魔王はここに来る直前から無言詠唱魔法を使っている」
「確かか?」
「間違いない、無意識に防壁を展開し続ければ魔力消費をし続ける。一方向ならまだしも全周防御ならその消費は激しい、魔王から見て目に見え攻撃してくるものに対して、無意識に防壁を発動する。しかしそれはあくまでも正面や有視界だけで、背後や死角からは無防備なんだ」
「死角なら無防備か……それなら強烈な一撃が必要だな。まぁ……アテはあるが、おいロイ?なんか不満顔だが、どうした?」
「ベイリン、今まで見たことない銃を持たせてくれて早々すまないが……ハッキリ言うぞ!これ重いし視界悪いぞ?もう少し軽いのあるか?」
ロイは装弾したマドセン軽機関銃を持って、狙って見ると。装弾済みマガジンや二脚を合わせての重量10kgに、マガジンが上に差してあるから視界が悪いだのケチをつけてきた。
「えっ?重い?仕方ないなぁ……じゃあこれにするか?一旦それ返してね。交換するから」
「わかった」
ベイリンはロイから銃を受け取り、代わりの銃出す際に心の中で声出した。
「やれやれ、我儘な注文する皇太子様だ」
だが皇太子は耳が良かった……悪い意味でな、怖い怖い。
「ベイリン?いま何か言ったか?心の声が聞こえたぞ?」
「皇太子、それは空耳という気の所為にございます。貴方様はストレスというものが山積みにございます。毎度毎度、真正直に受け答えしては疲れ果てしまいます。私も昔はその手の人間でしたから」
「左様か?」
「左様でございます若大将。して、銃の御要望は?」
「俺が欲しいのは、そこのベルザー小銃より短く、ごつくて、王宮内で取り回しの良く、手回しマシンガンより早く連発で撃てるやつ」
「ごつくて、取り回し良くて、手回しより連発で撃てる……ふむ、ん?手回しという事はガトリングガンか?まぁいいや。後で現物見せてもらおう」
そんなやり取りしながらタブレットからSIG MKMS短機関銃を破棄という讓渡で空間から現れた。
もちろんこのMKMS短機関銃も、ベイリンのfallout4Modによりカスタマイズしてあるのだ。
ベイリンは、ロイにその銃を渡して扱い方を教えながら説明をした。
「このSIG MKMS短機関銃は口径は6.5ミリ、弾頭は高速徹甲弾、装弾数30発、発射速度はフルオートで毎分800発。照準補助でドットサイトを装備。ボルトとコッキングハンドル、マズルは耐久性を良くする為にチタンニウムのカスタム仕様だ。鉄より硬くて丈夫なチタニウムで作ったもんなぁ。ブリキじゃねぇぞ!そこいらの鉄くずよりスゲェぞ!」
もうロイは、ベイリンから来るマシンガントークを聞き流しながら銃の操作、マガジン交換、セレクター操作を教えてもらった。
だが聞き流しても何故か、理解出来たのだ。ベイリンの説明は恐ろしく的確で人を見て適材適所な武器を選出している。
「ハンドガードには交換式で持ちやすく素早く狙えるようバーティカルフォアグリップ付き。そしてグリップは布張りで濡れた手でも、仮に貴方様が城下町の娘を口説きに失敗しても……滑らない」
ロイは、銃口をそのままベイリンに向けた。
……おそらく1回、城下町の娘の口説き失敗したんだろう……あぁ、大変だ。
「おいロイ?般若の顔でまた銃口を向けるのやめてくれ。冗談言ったがまさか本当にして失敗したとは思わなかった。すまん」
ベイリンは謝ったあとロイに肝心な事を説明した。
「この銃はフルオート射撃により銃口があがる。その為のフォアグリップだ。フルオートによるトリガーとマズルコントロールをしっかりすれば、城のような建物内部でも、城下町でも小銃以上の取り回し働きができる。コイツは、オリジナルの9ミリから6.5ミリ高速徹甲弾だから。まぁ300m圏内ならハンスに渡したライフル銃と同等の貫通力がある。威力に関してはハンスに有利、逆にロイに渡しのは近距離と貫通力、取り回しに特化した銃と考えてくれ」
そして2人に筒のような物を3つ渡した。2つは緑色に塗装した「発煙手榴弾」、そして赤色は骨まで焼き尽くす「焼夷手榴弾」だ。
「これは、目くらましや機関銃の射線を妨害する煙幕。そしてこの赤いのはこのピンを引き抜いたら2秒後、アンタの身体を焼き尽くすまで消えない火炎弾が仕込んである。あの魔王に直接当たれば、そう簡単に消火すら出来ない。煙幕で視界を遮り、赤い筒……焼夷手榴弾をヤツに投げてくれ。俺も目くらましを投げ込み、射線を変えて攻撃する」
魔王は、ゆっくりと前に進み。騎士団に守られた残りの勇者を排除する為に火炎魔法を放とうとしたが。
カランカラン、カランカラン
「ん?なんだこれは?くそっ!煙の目くらましか小癪な!」
煙幕で魔王周辺の視界を遮り……ベイリンが「投げ込め!」と3人は赤い筒を魔王に向けて投げ始めた。2つは足元周辺に逸れたが、ロイの投げた焼夷手榴弾が魔王の右肩に当たりこの世とは思えない絶叫をあげた。
「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァ……なんだこれは!」
この焼夷手榴弾は、とあるFPSではテルミット手榴弾と呼ばれる。正式名称は「AN-M14/TH3焼夷手榴弾」、現物はベトナム戦争から存在している。
知る人ぞ知るコイツの正体……水中でも燃えるし。敵味方双方に見られるとヤバい代物の焼却処分や、証拠隠滅の為に高温で骨も残さず焼却してしまう……あな恐ろしや。
「ぐぁぁ。このカスどもがぁあああ!」
「じゃあなんならそのカスが放つコイツをくれてやるよ。タダでくれてやるからな!」
「なっ!いつの間に!」
ベイリンが魔王に向けて狙いを定めてる大砲のようなもの……RPGシリーズでは最大のものである「RPG-28」使い捨て対戦車ロケットランチャー。
このRPG-28の弾頭はタンデム式であり、爆発反応装甲を排除した後でも900mmもの均質圧延鋼装甲板を貫通することが可能なほどの高威力を持つので、戦車はもちろんのこと鉄筋コンクリート製のトーチカなどに対しても高い攻撃力を発揮する。
だけど魔王の防壁魔法が、このタンデム式弾頭に打ち勝つか、検討もつかない。だがやらないよりマシという大博打に、ベイリンは賭けたのだ。
「ビビって突っ立てたら負けよ。死ねや!」
ベイリンの放つロケット弾が魔王に放たれたが、わずかな時間に魔王の立ち上がりが早く、防壁を展開しようとしたが。
ロイとハンスから放たれたフルオートの銃撃と生き残った銃兵達が、一斉に撃ち始めた。
「撃て!撃ちまくれ!」
魔王自身、防壁魔法により弾かれたと確信したが……それは最初の弾頭だけで、本命の弾頭は……魔王の足に命中し炸裂した。
「グハッ!」
ベイリンは、空になったRPG-28を投げ捨て、魔王の動きを見ていた。
「思った通りだ。ロイの言った通り物理魔法だけでしかないから、貫通系統の魔法攻撃なんぞ無いから最初の防壁だけで攻撃を弾く事が出来る。今みたいなタンデム弾頭なら突破口から次の弾頭が飛び込んでくるから再度防壁なんぞ間に合うわけがない」
左手に装甲盾を構え、右手にEVOLYS軽機関銃持ちながら追撃しようとしたが……
「ベイリン、左からだ。危ない!」
「なに?グホッ!」
左側から突然、柱が飛んできたのだ。ベイリンは装甲盾でどうにか防いだが、床に叩き付けられた弾みで足の骨が折れてしまった。
「ヤバい。スーパースティムパック打ち込んでおかんと、間合い詰められたら一巻の終わりだ……嘘だろ?HEAT弾にテルミット手榴弾で受けた傷が治ってるだと?治癒回復能力も桁違いか……ちくしょうめぇ」
魔王は傷を即座に回復させ、自身に打撃を与えた勇者では無い者を始末する為に、目標を変えた。
「まずは貴様を始末してやる。覚悟しやがれ」
「やい魔王!これで貴様をこの世からおさらばするのは貴様のほうだ。この武器でお前を狙っているぞ」
ロイが抱えて狙っている奇妙なランチャーを見て、魔王の表情は一瞬にして変わった。
「お、おいやめろ。よせ!ていうか、それどっから取ってきた?」
ベイリンは「しまった!!」と口に出した。
それはあろうことか、現実の世界では「デイビー・クロケット」と呼ばれ。そしてfallout世界では、戦術核兵器「ミニ・ニューク」を射出する携帯型カタパルト。
通称「ヌカランチャー」と呼ばれた携行型核兵器である。
そして魔王はロイに向かって、説得し始めた。
「どこで手に入れてきたの?そこにいる死にかけの野郎が渡したんか?そんな危険なもの撃つのはやめろ、おい!!」
しかもロイが構えて狙っている装填済みの「ヌカランチャー」は単発仕様じゃなく、MIRV。通称マーヴ。射出されるミニ・ニュークが小型の弾頭をまとめたものになるモジュール。射出されたミニ・ニュークは空中で4つの弾頭に分かれて地面に降り注ぎ、大変なことになるし。しかも1発の威力はデイビー・クロケットに匹敵する……あぁ大変だ。
「それは数キロ圏内を死の大地に変えてしまうんだ!そんな危ない物は床に置け!」
「なら魔王。ここから早く立ち去るなら、そうするさ。だがそれは貴様次第だ!」
魔王は、危険極まりない武器を渡した男を睨んだ。
「貴様だな?こんな危ない武器をだす召喚者は貴様だけだ。そうに違いあるまい」
「その通り!だが、あれはいつの間にか出したのをすっかり忘れ、しまい忘れてしまったんだ。て言うかさっさとここから立ち去りやがれ!」
「わかった!ならそのヌカランチャーをその男に返したまえ。そうすればここから立ち去ろう」
「本当か?」
「約束だ。今日は大人しく引き上げよう。余は人間や他種族を恨む気持ちは無いが……」
ベイリンは、スーパースティムパック使って治癒した足を確認し、ロイからヌカランチャーを受け取りタブレットに収納していた。魔王はベイリンに向け指を指すと。
「ベイリンと言ったな!お前だけは別だぞ!」
「おいふざけんな!何故俺がとばっちり受けなきゃいけないんだ?酷いじゃないか、えぇ?」
「まぁいい、お前のような奴とはまたどこかで会うさ……今回はそこの勇者共より張り合いがありそうだ……各自、撤収しろ」
「兵と龍はどうしますか?」
「可能な限り全滅するまで戦え!と唸波で伝えてある。兵隊の後ろに隠れてる勇者よりソイツに興味がある……また逢おう。異界の強者よ。」
魔王は、来た時と同じようにゲートを開けて幹部と共に立ち去っていった……だが、外には、魔王が連れてきた兵隊と龍が暴れている始末だ。
「魔王め。自分と幹部だけ逃げて、送り込んだ兵隊共は全滅するまで戦えか……。まぁいいや、この世界でもfallout世界のパワーアーマーと現代兵器がどこまで通用するか試す絶好なチャンスだ」
グゥ…
ベイリンの腹の虫が、一瞬静まった王宮内に響いた。
「だが、その前にスーパースティムパック使ったぶんの腹ごしらえしたい……体制立て直すのは、それからだ」