政府の犬の仕事録   作:無名野ナナ氏

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政府の犬は昼に噛む

今日も私は仕事をする

 

「022執行官、今回の仕事は…」

 

聞き慣れた電子音ではなく、執行官総監の声だあった。

いつもと違う

彼は私の上司。政府の犬の調教師(ハンドラー)である

そもそも執行官とは何か?

『処理』するだけの存在だ

反逆者、犯罪者、危険分子、政府にとって都合の悪い者

いうなれば『()』だ。我々はその『()』どもを狩る『()()

法律?裁判?そんなもの『()』には必要ない

必要なのは狩りだけだ

 

「君に反逆者共の処理をお願いしたい」

 

と総監の声が聞こえる

 

「座標は君の端末に送った。個人情報は少し遅れなかった。如何せん数が多い。まぁ君なら問題は無いだろう。なにバイキングのようなものだ。終わったら俺のおすすめの店に行こう。もちろん兎の肉は抜きだ」

 

「腹がはちきれそうですね」

 

いつもとは違う話をする

 

「でもそれでしたら閣下がわざわざ出てくる必要はないのでしょうか?」

 

「021」

 

「?」

 

「021から裏切りの可能性が出てきた」

 

「!?」

 

珍しく動揺した

いつもと違う

 

「昨日の夜021と反逆者共が密会していたという報告が出てきた。」

 

「…」

 

私は唖然とした。

さっきまで話していた犬が兎になってしまった

気分が悪い

いつもと違う

 

「本当に残念だよ…犬の中でも元気でかわいいやつだったのに…」

 

「何かの間違えとかではないのですか?」

 

「いや確かな情報だ」

 

「…」

 

嘘だと思いたいが総監がこんな嘘つくはずがない。

今日はいつもと違いすぎる

 

なぜだ?

 

なぜだ?

 

なぜだ?

 

今まで変わろうとしなかったのに

 

「ではたのむよ022くん」

 

 

「了解しました」

 

「もちろん殺害許可は承認だ」

 

殺害許可…承認不可になっているところ見たことないが

まぁいい。私は猟犬だ。飼い主の言うことを聞く犬

今日もいつも通り処理すればいいだけの話

執行官処理も何も珍しくない

思考回路にバグが生じ飼い主にたてつく兎だ

なにいつも通りじゃないか

震えた手で端末を閉じる

私はいつもとは違う足取りで座標の場所に行く

 

 

そろそろ暗くなって夜も近くなってきた

 

昼の賑わいは光とともに消えはじめこの街のような冷たい風が吹く

 

ネオンの光が灯しはじめ夜に匂いが漂う

 

先ほどまで021とカフェに行ったばかりと言うのに

 

私は021を殺す。

 

たった数時間前、同じテーブルにいた相手を。

 

人の付き合いも、時間の流れも、なんと早いことか。

 

猟犬の昼は短い

 

 

いつもの仕事いつもと違う流れ

 

 

違う流れ違う流れ

 

 

いつもいつも変わろうとしなかったのに

 

 

 

 

この街に変化の兆し

 

 

 

 

 

 

 

 




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