今日の私は仕事がある
「おはよう022くん。昨日はゆっくりできたかな?」
「はい。ぐっすりと眠れました」
聞き慣れた上司の声…総監の声が自身の端末から聞こえる
「それはよかった。早速で悪いんだがね。今、執行所が反逆者共の襲撃を受けている」
「!…それは…」
「なにそこまで規模の大きいものではない。君が一昨日処理した兎たちの半分くらいだ。君にはこれの処理を行ってほしい。君にとっては軽い朝食だろ?」
…本当にそうなのだろうか?
たしかにいつも通りの仕事内容だがここ最近いつもと違うことがよく起きている
とくに021の執行官への裏切りだ。
反逆者にはとっくに情報を漏らしているのだろう
それにあのとき021は『反逆者に必要な人材』だと言っていた
そのことを総監もご存じのはず
なのになぜそこまで楽観的なのだろう
たしかに数の上では劣るが、それ以外ならこちらが圧倒的に有利だ
そんなことを考えていると
「…君が警戒するのも当然だ。なにしろ仲間に裏切られたばかりだからな。だが心配はいらない。いくら兎が猟犬のことを学んだって我々が弱くなるわけではないのだ」
でも総監も馬鹿ではない
コネや賄賂なしの実力でその地位を作ってきたのだ
それに私は猟犬だ
飼い主の言うことだけを聞いてればいいのだ
「わかりました。すぐに現場に向かいます」
端末を切る
いつもとは違う胸騒ぎを感じているが関係ない
忘れるな私は猟犬
兎狩りの猟犬
夢から覚めて起きる時間だ
私は部屋のドアを開けて現場に向かった
朝の冷たい風と刺さるような眩しい朝日を浴びながら
猟犬の夢は短い
私は現場についた
現場についた私は目を疑った
執行官が全員、死亡していたのだ
執行官とは本来、機械都市の機械化とはちがい戦闘に特化している
だがそんな猟犬たちの血の海が目の前に広がっている
手は引きちぎれ腹からは内臓とともに血の滝が流れている
瓦礫の下からは機械の骨と特殊装甲の皮膚をまとった肉片が飛び出している
まるで赤ずきんの腹から子ヤギを取り出された狼の様な無残な姿だ
いつも嗅いでいたはずの血の匂いがせず、まるでオイルと生肉を混ぜてカビをはえさせたような不快な臭いがする
匂いがひどく鼻につき気分を害する
いつもと違う
兎ではなく猟犬が血の海になっている
いつもと違う
だが仕事は仕事だ
兎を狩りつくす猟犬だ
別にこの程度、この先よくあることだろう
私はいつも通り死体を踏み歩く
いつもの肉がつぶれ骨が折れ内臓がぐちゃぐちゃになる音を出す
すると
「おい」
低くまるで怒りで我を忘れそうなくらいの声がする
声のする方へと向く
「おまえが022だな?」
そこには眼鏡をかけた16歳くらいの青年がいた
どうやら私に用があるようだ。
「…そうだ。私が022だが何かようか?」
「ッ!!…そうかお前が…」
私の経験上こういう輩は大体、復讐やら仇なんかの理由でここにいるものだ
「まってよリーくん!いまここでやったって負けちゃうよ!?」
「だけどッ!!こいつはレニーさんをッ!!」
奥から出てきた15歳くらいの女の子が彼を止めている
殺すなら今だな
私は銃を一瞬で抜き撃つ
彼らはまだ反応できていない
2つの銃弾が彼らに迫る
『ガキンッ』
だがそれは電気をまとった剣によって阻まれた
「おいおいさすがに卑怯じゃないか?」
その剣を持っていたのは15歳の青年だった
おそらくその二人の仲間だろう
「やっば…助かったぜゼロ」
「うぅぅ…死ぬかと思ったよ」
ゼロ…聞いたことない名前だな
あんな特徴的な武器があればリストには乗ると思うが
「まったくお前ら油断すんなよな」
いつもと違う
「それとお前!さすがに今のはないだろ」
?
「人が何かをしているときは邪魔しちゃいけいないお約束だろ?」
は?(は?)
何を言っているんだこいつは
馬鹿なのか?
戦場は相手の隙を攻撃するのが基本だろう
「どういうことだ?」
「そんなこともわからないのか?飼い主に従ってばっかで脳みそ腐ったんじゃねぇの?」
ますます理解ができない
「本当に馬鹿なのか?執行官ってのは?」
「オイさすがに…」
「言いすぎだよぉゼロくん」
…挑発か
たぶん私の冷静を崩そうという魂胆だ
では私もなにかお返しと言うものをしなければな
「いやなに。こんな場所に子ウサギがいるのは珍しいのでな。迷子なら近くの保育園に飼ってもらおう」
さすがにこんなちんけな挑発じゃあ効果はないと思うが言っておいて損はないだろう
「あ”?」
「あっ」
「やばっ」
え?もしかしてこの程度の挑発で切れているのか?さすがにないだろう。それに戦場で人の行動待てとかいう人として頭のおかしいことを素で言うはずがない。
「てめぇ!」
それによくみたら服装が不格好だし
「おい!!てめぇ!!全部聞こえてるぞ!!だれが頭おかしくてチビでダサいって!?」
私としたことが心の声が漏れていたらしい
まぁ結局、相手を挑発に乗せられたから良しとしよう
「てめぇ今からぶっ殺す!!」
「まってよゼロくん!挑発に乗せられたらだめだよ!」
「そうだゼロ、いいから落ち着くんだ」
「だけどよぉ!あいつはレニーさんを殺したんぜぇ!?許せるかよ!!」
「…」
「…」
さっきからレニーさんとは何なんだろう
ダメもとで聞いてみるとしよう
「そのレニーとは一体?」
「ッ!!てめぇ自分が殺したやつのことも覚えてねぇのか!!」
兎の顔なんて全部覚えていたらきりがない
「てめぇが一昨日殺した元執行官だよ!!」
「!?」
私が一昨日殺した執行官と言えば一人しかいない
そう021だ
なるほど彼が逃がした反逆者たちは彼らのことだったか
「てめぇは!俺たちにあんなにやさしく接してくれたレニーさんを!」
「ゼロ!!気持ちはわかるよ!でも今は…」
「ッ…わかった。ごめん、熱くなりすぎた。」
どうやら彼の熱は冷めたようだ
「ここに来たのはお前と戦いに来たわけではない」
「ここに来た理由は」
私と戦うためではない?
であればなんだ?
仇の顔を確認か?
それとも執行所の殲滅か?
それとも…
「俺たちは今からこの都市に対し宣戦布告を行う‼‼‼‼」
…宣戦布告か
「日程は明日の正午!!それがお前らの命日だ!!」
空から鳥のマークが書かれた軍用ヘリが下りてくる
「そしてその頭に刻むがいい!!われらの名前を!!!」
「我らの名はフリーイーグル‼‼‼お前らに狩られる兎ではなくお前らを狩る自由の翼である!!!」
「さぁ革命の時だ!!」
猟犬の寝起きは革命の時であった
そしてその行く手をふさぐ政府の番犬
兎どもは翼をもった
この街に革命の羽が舞い降りた
ここまで読んでくれてありがとうございます
今回は新キャラが3人出てきましたね。
さぁこれから022はどうなってしまうのか!?
誤字脱字報告と面白いと思ってくださったら、お気に入り登録、感想、高評価してもらえると嬉しいです
次回もお楽しみに!