原初の白の義弟は白兎   作:白布

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第14話

この日、迷宮都市オラリオに激震が走る。

 

それは大神(ゼウス)女神(ヘラ)の眷族の帰還である。

 

冒険者に復帰した眷族の名は《暴喰》のザルドと《静寂》のアルフィアの二人。

 

これに驚きを見せたのは二人をよく知る者達、大神(ゼウス)女神(ヘラ)の派閥に煮え湯を飲まされた冒険者達だ。

 

その理由は二人の身体について知っているからだ。

 

ザルドは陸の王者・ベヒーモスの猛毒に侵され、戦うことが出来なくなり戦線から退いた。

 

アルフィアは先天性疾患によりその命を削り続けていて、海の覇王・リヴァイアサンとの戦いで病状が悪化し引退したはずだった。

 

それだけでも驚愕であるのだが、なんと二人は死毒(どく)死病(やまい)癒やした上にかつての【ヘラ・ファミリア】の女帝だけ到達したLv.9の領域に至っていた。

 

更にそんな二人は最大派閥である【ロキ・ファミリア】【フレイヤ・ファミリア】に属するものと思われていたが、まさかの新興派閥である【ヘスティア・ファミリア】に籍を置いた。

 

その理由が「甥っ子がいるから」とザルド談、「義理の息子のそばにいる、それが義母(はは)としての務めだろう」アルフィア談。

 

その言葉に大神(ゼウス)女神(ヘラ)の傍若無人・傲岸不遜・唯我独尊ぶりを知るオラリオ中の神と眷族達は絶望する。

 

簡単に言ってしまえば、ある意味【ヘスティア・ファミリア】は新興派閥にして最大派閥となってしまった。

 

早速餌食となったのが管理機関(ギルド)長であるロイマン・マルディール、【管理機関(ギルド)の豚】と呼ばれる丸々と肥え太った白妖精(エルフ)なのだが、二人の冒険者復帰に反対した結果髪を永久脱毛する結果に終わった。永久脱毛の話では神と冒険者達はまだ笑っていられた。

 

それをやってのけたのは【ヘスティア・ファミリア】団長ベル・クラネルであり、《静寂》のアルフィアの血縁であり大神(ゼウス)女神(ヘラ)の系譜であることが知れ渡り、【女神(ヘラ)】の後継者という存在に絶望するのだった。

 

そんな都市の話題の渦中にいる【ヘスティア・ファミリア】では宿でザルドとアルフィアの改宗が行われている。

 

ちなみにこの宿の店主はゼウスとヘラのトラウマが根付いてしまっているため無料でいいからここでは暴れないでほしいと懇願された。

 

「はい、これでザルド君とアルフィア君の改宗(コンバージョン)は完了だよ。これからよろしく頼むよ。君達もベル君達同様に規格外だね・・・」

 

「あぁ」「うむ」

 

ザルド

 

Lv.9

 

力I0

 

耐久I0

 

器用I0

 

敏捷I0

 

魔力I0

 

狩人EX 耐異常EX 破砕EX 剛身EX 覇撃EX 悪魔族EX 上位魔将EX 悪魔公EX

 

神撰恩寵(デウス・アムブロシア)

 

冒力冒身(アル・クエスター)

 

肉蹂肉塊(ニグル・グルメン)

 

悪魔族(デーモン)

上位魔将(アークデーモン)

悪魔公(デーモンロード)

・物理攻撃無効

・状態異常無効

・精神攻撃無効

・自然影響無効

・聖魔攻撃耐性

 

悪喰之王(ニーズホッグ)

・思考加速

・万能感知

・魔王覇気

・時空間操作

・多次元結界

・解析鑑定

・森羅万象

・魂暴喰

・胃袋

・腐食

 

 

 

 

 

 

アルフィア

 

Lv.9

 

力I0

 

耐久I0

 

器用I0

 

敏捷I0

 

魔力I0

 

魔導EX 耐異常EX 魔防EX 精癒EX 覇光EX 悪魔族EX 上位魔将EX 悪魔公EX

 

双分運命(アルメー)

 

奏律曲光(ヴェル・アルドーレ)

 

悪魔族(デーモン)

上位魔将(アークデーモン)

悪魔公(デーモンロード)

・物理攻撃無効

・状態異常無効

・精神攻撃無効

・自然影響無効

・聖魔攻撃耐性

 

奏音之神(トルネンブラ)

・限界解除

・法則支配

・森羅万象

・時空間支配

・多次元結界

・次元破断

・響音浸衝

・奏律覇光

・詠唱破棄

・音風支配

・歌奏行列

・奏音覇歌

・双音覇唱

 

主神のヘスティアの言葉にそう返した後、全員での会議が行われる。

 

「それでは今後の活動について話し合いましょう」

 

会議の口火を切ったのはベル。

 

「いや、その前に話し合う事があるだろ」

 

しかし、それをリムル様が止める。

 

「何かありましたっけ?」

 

「いやいや、ベルお前管理機関(ギルド)長のロイマンさんの髪全部引き抜いて頭燃やしただろ!?」

 

さも何事もなかったような反応をするベルにリムル様が指摘する。

 

「えっ、ベル君って意外とアレなのかい!?」

 

「それはどういう意味ですかヘスティア様?」

 

「いえ、何でもありません」

 

ベルの笑顔とともに向けられた言葉にヘスティアはもう何も言えなかった。

 

「あれはあの白豚(エルフ)が無能すぎるからいけないんですよリムル様、あれで管理機関(ギルド)の長というのだから情けない。即座に最適解を出さずに手をこまねいている暇などないだろうに」

 

「いや、でも・・・」

 

「リムル様」

 

「あっ、はい」

 

リムル様はベルの放つ謎の圧力に負けたのだった。

 

「{ますますヘラの空気(かおり)が強くなってきてやがる・・・}」

 

内心ザルドはベルの将来を不安に感じる。

 

「ベル、今回の会議の本題はなんなのだ?」

 

「うん義母様(アルフィア)、それは黒竜のことだよ」

 

「「!!」」

 

ザルドとアルフィアは黒竜と聞いてピクリと反応する。

 

「黒竜がどうかしたのか、まさか復活の予兆があったのか⁉」

 

ベルの言葉にアルフィアは声を荒げる。

 

「落ち着けアルフィア、それでベル黒竜がどうしたんだ?」

 

「うん、実はもう黒竜はこの世にいないんだ」

 

「「は?」」

 

ベルの言葉にザルドとアルフィアは合わせたかのように声を漏らす。

 

「どういう事だ?」

 

「だからね、僕とリムル様が竜の谷まで行ってきて黒竜を討伐してきたの」

 

ザルドの問い直しにベルは再度答えると、ザルドとアルフィアの二人は頭を抱える。

 

まさか、自分達が主神の元に向かっている時に甥(義息子)がお使い感覚で黒竜討伐を行っていたの衝撃は計り知れない。

 

流石のゼウスとヘラの眷属であって受け入れられないようだ。

 

「まぁ、そりゃそうだよな。少し目を離した隙に甥っ子が自分達の憂いを綺麗さっぱり消し去ってるとは思わないよな」

 

「リムル、なぜ黒竜討伐という流れになったのか聞かせろ」

 

リムル様の発言に対してアルフィアがそう言った。

 

義母様(アルフィア)、リムル様ね後敬語」

 

「・・・・・・・・・・リムル様、どうしたら黒竜討伐という流れになったのでしょうか?」

 

「アルフィアが敬語を使っている姿なんて初めて見たな」

 

「えっ、マジで?」

 

リムル様に対する態度にベルはアルフィアを注意し、その光景に戦慄するザルドの発言に驚くリムル様。

 

「黒竜討伐をすることにしたのは義母様と叔父さんの憂いを断ち切りたいのもあったんだけど、一番は悪魔になった僕のことを受け入れてくれたことに対する恩返しと親孝行なんだ」

 

「ベル・・・」

 

その言葉にアルフィアとザルドは何も言えなくなった。

 

「そんな風に思ってくれていたとは思っていなかったが…マキシム達が手も足も出なかった黒竜を幼いベルが倒していることに衝撃を隠せん」

 

「あぁ、流石に容易には受け入れられん」

 

リムル様の言葉にザルドとアルフィアは頭を抱えながらそう言った。

 

「でも、これで義母様と叔父さんの心配事はなくなったよね」

 

「あぁ、それはそうなんだがなベルこの女は何者だ?」

 

ベルの言葉にアルフィアは同意するもその後の言葉と共に視線がアリアに向けられる。

 

「自己紹介がまだでしたね。私の名前はアリア、アリア・ヴァレンシュタインといいます。貴女方には大精霊アリアといった方が分かりやすいでしょうか?」

 

「大精霊アリアだと⁉」

 

「黒竜の風印をしているといわれている大精霊・・・」

 

その事に対してアルフィアとザルドは黒竜討伐に次ぐ衝撃の事実に戸惑う。

 

「はい。黒竜討伐の後リムル様の御力によって肉体を得て“名”を貰い、この身は【風と光の精霊王(シルフィロード)】となったのです」

 

「待ってくれ、名前を貰うとはどういう事なんだ?それに風と光の精霊王(シルフィロード)というものの説明も頼む」

 

ザルドはアリアの説明に疑問を持ち問いかけるとそれについてリムル様が答える。

 

「俺達の世界では名付けと呼ばれる主に名無し魔物に名前を付ける儀式が存在してな、上位の魔物が下位の魔物に“名付け”した場合のみ効力が発揮されて“名付け”られた魔物は名付けた魔物から所有魔素を奪うことにより進化することが出来るんだ。魔素っていうのは生命力と同義で子を成す行為によって生命力を子に奪われた親が死亡することもあるのと同様、簡単に行われる行為ではないんだけどな。それから風と光の精霊王(シルフィロード)っていうのは俺達の世界でいうところの上位精霊(大精霊)が名付けによって進化した存在なんだ」

 

「ベル達が来てからとんでもない事が起きるな」

 

「あぁ、俺達どころか世界の斜め上を突き抜けてきやがる」

 

リムル様の説明を聞いた二人はそう感想を漏らすのだった。

 

「それじゃあ説明とかも終わったことだし、本題に入ろうか」

 

「あぁ、だいぶ話が脱線したからな」

 

そうして、会議は本題へと移っていく。

 

「今回の会議の議題ですが、それは僕達自身の本拠(ホーム)についてどうするかです」

 

「それならば資金的問題であれば気にする必要はないぞ、ザルドと私の冒険者時代に蓄えた貯金がある」

 

「あぁ、前は使い所がなかったが今は派閥としての運営に使ってくれて構わん」

 

「すげぇ、あっさり資金問題は解決した」

 

本拠(ホーム)について話そうとした時にアルフィアとザルドがそう言い、リムル様は今抱える大きな問題があっさり解決したことに驚く。

 

「資金的な問題もそうでしたけど、その本拠(ホーム)をどこに用意するかなんですよね」

 

「それならば元【ゼウス・ファミリア】【ヘラ・ファミリア】の本拠(ホーム)跡地を使えばいいのではないか?」

 

「いや、もう十五年前のことだからな・・・とっくに潰されて別の建物が建っているだろうな」

 

「それじゃあボクの神友のところに行ってみるかい?」

 

「ヘスティアの親友?」

 

それぞれが意見を出す中、ヘスティアが一石を投じる。

 

「あぁ、天界で「神匠」とまで呼ばれた鍛冶神・ヘファイストスさ」

 

こうして、ヘスティアの意見が採用され僕達は【ヘファイストス・ファミリア】に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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