SEKIRO: SHADOW DIES AGAIN, in KIVOTOS   作:まーぼーどーふ

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感想・評価・コメント等、ありがとうございます!

ここから2、3話くらいはほのぼの(?)パートの予定です。



究める者たち・前編

 

とある廃校舎の一教室。辺りには宵闇が立ち込め、よもや幽霊屋敷かと思われるその一室から、仄明るい、文明的な光が漏れ出していた。

 

「……」

「えーっと……」

「うぅ~……」

 

映る影は3人分。胡坐をかき、只管押し黙る狼、並々ならぬ覇気に気圧され、正座をなすミチル。気絶しているのか、グデっと姿勢を崩して寝込んでいるイズナ。

 

一様でない、奇妙な三角関係を組み立てる3者。そんな中、静かに立ち上がり、口を開いたのは狼だった。

 

「…やはり、ミコ様の御護りに付かねば」

「ダメだって!?」

「む……」

「すごくイヤそうな顔!?」

 

矢継ぎ早に制止に入るのはミチル。後ろから抱き止められ、存外の力強さに戸惑う狼は背後にいるミチルに問いかけた。

 

「…なにゆえ、外に出てはならんのだ」

「それは、えっと…狼殿がヘイ──「狼殿っ!!狼殿と言うのですね貴方は!!!」

 

ミチルが言い淀んだ瞬間、喜色に満ちた声が部屋に響き渡る───いつの間にか目覚めたイズナであった。彼女は猛烈なスピードで2人に近付き急制動し、語りかけた。

 

「あ、おはようイズナ」

「おはようございます部長ー! それよりです狼殿!!」

「……なんだ」

「さっきのは…さっきのは……!」

(あれ…これキレるパターンのやつ?)

「まるで忍者の動きそのものでした!!イズナが銃を構える間もなく飛び込んでくる手裏剣!!あれは本物の鉄製のザ・忍者って感じの!!もう防ぐだけでも精一杯でした!!そしてすぐさま近づいての華麗な体術!!イズナはもう為す術もなく!気絶させられちゃいました!スゴいです狼殿!!!」

「やられたのにメチャクチャ嬉しそうなんだけど!?」

「……そうか」

「反応薄くない!?」

「……そういえばなぜイズナたちは部室にいるのですか?」

「今更!?」

 

ベクトルが違えどマイペースな2人を相手に、特にイズナから繰り出される嵐のような弾丸トークにどっと疲れが溜まるミチルだが、一息ついてから会話の舵を取り始める。

 

「まぁ気絶してたイズナは知らなくても仕方ないか……私達雪山でライブ配信してたのは覚えてるよね?」

「はい!」

「それで例の井戸のところからなんだけど───

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

「の”ああぁーーーー!!幽霊~~っ!!??」

「イ、イズナちゃんっ!!っ部長も…!落ち着いて、ください…!」

 

いそいそと井戸から這い出てイズナをダウンさせた大小2つの人影。まさかまさか実在するとは本気で思っていなかった幽霊を目にしたミチルは狂乱に陥り、場を冷静に見る目はツクヨのものだけになる。

 

ゆえに影に潜む幽霊の正体を知るのはツクヨのみ。殺気が漂うこの場をなんとか諌めようとミチルを取り押さえようとするが、あっさりと抜けられてしまう。

 

更には、彼女の眼前の正体は今にも腰に差した刀を抜こうとしていた。

 

「……二人、か」

 

ボソッと、渋い声を漏らす大きい方。

 

「狼さんちょっと───「悪霊退散悪霊退散!!?」

 

そして、年幼い子の不安気な声と、発炎筒を構えたミチルのふにゃふにゃした発叫が重なった瞬間、戦いの火蓋が切って落とされた───

 

 

 

 

 

「「待ってください…っ!!!」」

 

───と思われたが、落とされた火蓋が2人の鶴の一声により繋ぎ止められていた。

 

「「あっ…」」

 

叫ぶのも気恥ずかしそうにするのも同タイミングの2人。一方───ツクヨはミチルと、ヘイローのない男の間に立ち、もう一方はその男の背中に乗っかったままであった。

 

「……………え」

「む…」

 

漸く落ち着きを取り戻したミチルに、敵意を収める男。

 

再び静寂を取り戻した暁には、

 

「じ、事情がありそうなので、と、とりあえず……少しお話し、でも」

「…なんか、すまぬ」

 

タイミングの合う2人は和平交渉を結んでいた。

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

───でっ、今に至るワケだねぇ~」

 

得意気に話すこのミチル。闘争の元凶であるが本人はあまり気にしていない、申し訳なくは思っているようだが。しかし彼女が行動を起こさなければ今の邂逅が無かったのは事実でもある。

 

それはともかく、当然の疑問がイズナの口から飛び出た。

 

「そのお話の中に出てきた女の子は今はどこにいるのですか?」

「……腹を、お空かせのようだ」

「…?」

「言葉が足りないよ狼殿ー…ミコ殿はね、今コンビニ行ってるよ。なんか食べさせたいから、ツクヨが一緒についてってるの」

「何を買ってくるのでしょうか…! 油あげでしょうか…!」

「それは2人のチョイス次第かな……」

 

して、空想に馳せるイズナを尻目にミチルが、いつの間に義手を弄り回している狼を際立てるようにひらひらと両手を向けた。

 

「……んまぁ、待ってる間、キヴォトスの外から来た先生以外の大人のこの!狼さんにこっちの常識を教えるところだね」

「……此処は、キヴォトス、と言うのか」

 

作業を止めてミチルの方へ顔を向ける。

 

「そうっ!学園都市キヴォトス!超絶銃社会のここでは、あちらこちらに銃撃戦が勃発してるの!……これ喜んで言う事かな…?」

「銃撃戦………用いられているのは、火銃とは異なるものなのか?」

「火銃…?そういうのは聞いたことないけど、狼殿は…やっぱり銃持ってない感じ?」

「……ああ」

「そっかぁ…んじゃ一応説明しておくと、私のはショットガンでツクヨはサブマシンガン、でイズナも」

「サブマシンガンです!」

「………む」

 

元の地、葦名にて聞き馴染みのない横文字に、理解が至っていないという風に顔を顰める狼。思えば、葦名とは大きく異なる環境───そこいら中にある灯火、やけに固い石造の地面など───現状に少なからず戸惑っているようだった。

 

その様子を見ていた2人はふと尋ねる。

 

「今更だけど…狼殿ってどこから来たの?」

「イズナも気になります!」

「………葦名の国だ」

「どんな所だったの?」

「……話すと長くなるぞ」

「いくらでも話してください!本物の忍者が生きてた時代!イズナ、興味津々です!」

 

忍びがために身の上を語りたがらない故、渋々といった口調だった狼だが、存外に目を輝かせている二人に根負けして、葦名での世を、目にした物を遍く語り始めた。

 

異様に図体が大きい赤鬼、全長が山程はあるぬしの白蛇、雷を返す異端の術、水に狂った地底の村、今でも謎の注連縄の巨人、竜胤のこと、それを持っていたかつての主の事、主の為に幾度も死に、そして殺しをしてきた事───

 

「御子様は、人に返られた。俺が自刃したことで」

 

そして、九郎の望みのために自らの首を断ち切ったことを。

 

「………自刃、って」

「………っ!」

 

余りにも現実離れした世界、そして余りにも凄惨で残酷な彼の人生を聞き、二人は絶句していた。

 

人の死に縁が浅いキヴォトスの生徒にとっては些か冷酷無比な戦が繰り広げられていた地からやってきた狼の語りは淡々としており、まるで彼が幾滴のも返り血を浴びてきた事の証左となっていた。

 

鬱蒼で、どんよりとした空気の中、様々な感情をごちゃ混ぜにしたような表情のまま、イズナの溌剌とした声が響く。

 

「イ、イズナ、狼殿に聞きたいことがあります!」

「…なんだ」

「お、狼殿は…!」

 

何か、迷ったかのように、躊躇うかのように言いかけ、口をつぐむ。だが決意を固め、遂には声を上げた。

 

「っ…どんな気持ちでしたか?」

「……どういう意味だ」

「えぇっと……その…狼殿は、その終わり方で、幸せ、だったのでしょうか」

「幸せ……」

 

突拍子もない問いに、今まで考えたこともない問いに思わず復唱する。しかし、狼は思想家ではない。唯のはぐれた忍びである。だから素直に、想いの丈を話すことにした。

 

「……幸せだったか、などは考えた事もない」

 

「…だが」

 

「御子様のお望みを叶え、死した事」

 

「過去の未練を断ち切れた事」

 

「……おはぎがうまかった事」

「…おはぎ!?」

「……全て、悔いはない、そう思う」

 

そう語る狼は、仏頂面ではあったが、心なしか、安らかに微笑んでいるように見えた。

 

「…そう言い切れるなんて、狼殿っ…!!かっこいいですっ!!!」

「……そう、なのか?」

「イ、イズナ、ちょっと落ち着こう!?」

 

その姿を目にし、脳に憧憬が焼き付いたのか、狼に急接近しリスペクト具合をこれでもかとアピールするイズナにストップをかけるミチル。一方、狼にはこれほど純粋に褒められた経験がないために、少し目を逸らし、気恥ずかしそうにしていた。

 

わちゃわちゃと騒ぐ二人に囲まれ、久方ぶりの安寧を噛み締める狼だったが、教室の外から、ふと何かしらの異音を耳にする。

 

「もう今までに無いくらいに───」

「…しっ」

 

口許に右の頭指を添え、二人から静寂を取り戻す狼。

 

「ど、どうしたの、狼殿…?」

「…敵襲やもしれぬ」

「あっ、ちょっと狼殿…!?」

 

そして、音も立てずに腰から刃を抜き、二人を置き去りにして音の出どころへ飛び出していった。

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

「へへっ、アイツらとははぐれちまったがよぉ、いい寝床見つけたぜココはぁ……」

 

目先、黒い珍妙な兜(ヘルメット)を被った女子(おなご)が一人、廊下を彷徨う。途中、窓から出て義手の鉤縄を使って、校舎を外回りしてから裏を取ったゆえに、狼は彼女に気付かれていない。

 

「…寝床」

 

耳を澄ませて、彼女の口から得られた情報は、彼女は今晩、この廃校舎で一泊しようとしていること、そして彼女には他の仲間がいるということ。

 

小さく独り言ちながら、狼は思案する。

 

おそらく、これからは此処がミコ様の隠れ家となる。だが、今この女子の侵入を許せばどうなる?

 

答えは至って明瞭。次第に此処を根城にするこの女子の仲間が増え、ミコ様の安寧の地が奪われる。

 

それは、決して許されない事だ。ならば、此奴の命を、奪わねばならぬ。

 

思い至り、ギシギシと音を立てるほど老朽化した床の声も上げさせずに、女子に近付いていく。

 

「にしてもなんだよあの()()()()()()………うちらの銃器ぶんどりやがってよぉ!」

 

大げさに怒る様子を見せる彼女の言う通りに、丸腰な彼女に、一歩、また一歩と背後から近づき、遂には真後ろに立つ。そして、大きく溜息を吐く女子が体幹をずらした瞬間。

 

「はぁぁあ~~……マジでクs───」

 

足払い、身体を浮かせてからの柔術の要領で、瞬時に女子を床上に、仰向けに叩きつけた。

 

「えっ、がッ…!ひっ───」

 

叩きつけられ跳ねる彼女の身体を狼は馬乗りになり、押さえつけ、楔丸の切っ先を、女子の心臓に一直線になるよう構える。

 

以前は、真横から刺し込もうとして、叶わなかった。ならば、縦に、全体重を乗せて貫くのは?

 

「かたな…!?い、やだ…死に…!!」

 

その問いの答えは、この女子の血飛沫によって導き出された───

 

 

 

 

 

「ダメーーーーーーっっ!!!!」

「ぐおっ…!」

 

───筈だった。

 

前を向くと見えるのは、珍妙な兜(ヘルメット)ではなく、特徴的な灰色の狸耳。

 

涙目のミチルが狼にタックルを仕掛け、彼を押し倒していたのだった。

 

「……なぜ邪魔をした」

「なぜ…って、とにかくダメなことはダメなんだって…!!!人を、殺すのは…やっちゃいけない、ことだから」

「……ミコ様を邪魔立てする者は、斬り捨てるまで」

「っ……狼、殿…!」

「あわわっ……どうしましょう…!」

 

狼の殺気を立てた目つきに怯むミチル。イズナもパニックに陥りかけ、あわや一触即発の状況に介入するのは、

 

「イズナちゃん…っ!?この、状況は…!?」

「……狼、一体、何をして…!?」

 

ツクヨとミコの二人であった。

 





『鉤縄』

忍義手に内蔵された鉤縄

まこと複雑な絡繰りにより、
狙った所に鉤縄を飛ばして、
引っかけた所へ飛んでゆく事ができる

葦名と異なるこの地では、
移動する為だけでなく、
他の用途も見つけられるやもしれぬ

◇◇◇

《蛇足・現在の関係性》

ミチル→狼:ちょっと怖いし哀れに思ってる部分もある…けど狼の隠れた優しさに気づいてる。ファーストコンタクトのトラウマをちょっと引きずってる。価値観の相違。

イズナ→狼:居た堪れなさを感じてるが、それ以上に本物の忍者として尊敬しているし憧れている。主殿の為に越えるべき目標。

狼→ミチル:変な声…。ミコ様のための匿う場所を提供してくれた事は感謝してる。

狼→イズナ:初めて見るくらいに元気な子。襲った事については申し訳ない。見たところ部員3人のうち一番忍びのセンスがある。

もし行くとしたら、狼には何処に行ってほしい?(vol.5時点)

  • アビドス高校
  • ゲヘナ学園
  • トリニティ総合学園
  • ミレニアムサイエンススクール
  • レッドウィンター連邦学園
  • 山海経高級中学校
  • アリウス分校
  • D.U.シラトリ区
  • その他(感想欄でお願いします)
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