狼少女を拾ったら飼うことになってしまった。   作:紅福

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朝はナーナが起こしてくれる。
二度寝したら叩き起こしてくれる。
そんな日々を過ごしたいですね。


ナーナおこし

 よく晴れた休日の午前中。

 家事と朝ごはんを済ませて、ナーナと一緒に朝の体操をした後のこと。

 ぽっかりと暇な時間ができた。

 ナーナの散歩がてら買いものにでも行こうかとは思っているけど急ぐ用でもないし、それはべつに午後でもいい。

 ひとまず、今はなーんにもすることがないと言っていい時間。

 まあ見渡せばあちこちにナーナの抜け毛が散らばったりしてはいるけれど、それに関しては気にしてもキリがない。ナーナの抜け毛は実質無限みたいなものだから、掃除するにしてももう少し溜まってからでいい。

 さて。

 そうは言っても、油断することなかれ。他に忘れていることはないか、私はいま本当に暇なのか。気をぬいてぼんやりと午前を過ごして、あとから用事を思いだしてバタバタする可能性だって十分にある。暇な時間を享受するなら、暇であることを確認しなくてはならないのだ。

 と言うわけで、家のなかを歩きまわりながら検証開始。そんな私の後ろを、ナーナが尻尾を振りながらついてくる。私がうろうろ歩いているのを見て真似したくなったっぽい。

 考えごとをしながら私が『うーん』と唸ると、ナーナも真似をして『うーん』と唸る。楽しそうで何より。

 

 洗濯、ヨシ。

 お風呂の掃除、ヨシ。

 ナーナのおやつの作りおき、ヨシ。

 

「ヨシ」

「よし!」

 

 一緒に指さし確認。

 

「お片付けは?」

「うーん……よし!」

 

 疑惑の判定。

 おもちゃなり、お絵かき帳なり、私にはまあまあ散らかっているように見える。

 まあナーナの場合はそもそも『ヨシ』の意味が分かっていなかったり、なんならノリで『ヨシ』と言っているだけの可能性もあるので、何を見てヨシと言ったのかはだいたい永遠の謎。

 さて、そんな風にして家のなかをひと通り点検してまわった結果、ほぼ異常なしということになった。結論、暇。

 そして辿りついた寝室。

 ふと、思いたってベッドに仰向けになってみたら意外なほどにしっくりきた。身体は睡眠を求めている。

 そう言えばナーナが毎朝起こしてくれるようになってから全然やっていなかったので忘れて久しかったけど、二度寝って最高に気持ちいいんだった。睡眠に睡眠を重ねる、ある意味では時間があるときにしかできない贅沢といえる。

 午前中の日差しにあたりながら、このまま少し眠るのも一興。

 

 とは言え、平穏はそう長くは続かなかった。

 寝転がって少しして、私がうとうとし始めた矢先。

 お腹にズシンとした衝撃が走った。

 

「ぐぇ」

 

 ズシンの主は、言わずもがなナーナ。

 不機嫌そうな顔をして、無言で私のお腹に思いっきり倒れ込んできた。私の手が空いてようやく遊んでもらえると思ったところで私が二度寝を始めたものだから、腹が立ったらしい。倒れ込んできたあとは、むくれた顔のまま私のお腹に頭突きを繰り返している。これが結構、きちんと痛い。

 まあナーナさんサイドとしては『せっかく起こしてあげたのに二度寝をするとは何ごとだ』という思いもあるだろう。そこは申し訳ない。

 

「むーーーぅーー」

「痛い痛い、ごめんて」

 

 とりあえず寝転がったまま、お腹のうえで暴れるナーナの頭をワシワシと撫でてあげる。それで多少は機嫌がなおったのか、顔は憮然としながらも頭突きの勢いはすぐに落ちてくれた。

 それから。

 撫でれば撫でるほど機嫌がよくなるナーナにもっともっととせがまれ、また撫でる。それを繰り返したり、お腹をくすぐってあげたり、逆にくすぐられたりしているうちにまた眠くなってきて、結局ふたりで二度寝した。

 なんなら撫でられてすっかり気分がよくなったナーナのほうが先に寝たし、おならも二回した。

 

 そんだけの日。

 

「しあわせ~」

 

 その寝言、100点。

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