背中を晒す3流ドリフターはアンドロイドと一獲千金の夢を見るか?   作:ばばばばば

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背中を見せるな

 偽装協会員からの裏切りにあい、命からがら生き延びた俺はそれでも出撃し続ける。

 

 そんな俺はここしばらくは地上でAO結晶を掘りながら盗賊団とも戦い、自分の戦闘スキルを磨くという生活を続けていた。

 

 初めは苦戦した盗賊団相手も遮蔽物に隠れ、敵の攻撃の切れ間に落ち着いて攻撃を差し込めばそう苦労はしないようになってはいた。

 

 自分は少しづつ成長している。

 

 武器や装備を整えれば、もっと戦い方を覚えれば、安全に幹部級の敵でもやれるだろうという予感を感じる。

 

 ……だがどうしても、この先に俺が求める強さはないと感じてしまう。

 

 

「ユナイター、面白いニュースだ」

 

 

 そんな不可解な感覚に囚われながら端末を操作していると、後ろから声をかけられる。

 

 

「景気のいい話か?」

 

「金の話ではないがな」

 

 

 俺は耳だけ彼女の方に向けながら、自分の作業を続ける。

 

 

「アメイジア事故調査委員の本部が襲われて、たった一機でそれを奪い返したという話は覚えてるか」

 

「そういえばそんな話もあったな」

 

「その例のドリフター、今度は盗賊団の拠点に乗り込んで敵を殲滅したようだぞ」

 

「……嘘だろ?」

 

 

 俺は思わず作業の手を止めて、彼女が見ているモニターをのぞき込んでしまう。

 

 

「……しかもアメイジア中央までの外郭の道も一人で突破してルートを確保? おいおい、なんの冗談だ」

 

「調査委員会の本部もアメイジア外郭に構えたようだが……、その際、邪魔になった盗賊団の本拠地を本部ごとたった一人で制圧したようだな」

 

「これ現実の話か? 連中のプロパガンダとかじゃなくて?」

 

「確実な情報だ。たった一機で敵方を殲滅、盗賊団からはウサギの悪魔と呼ばれてるらしい」

 

 

 悪魔みたいに強いボウイラビット、だからウサギの悪魔。

 

 名前はもうちょっと、なんとかならなかったのかと思わなくもないが……。

 

 

「今は連中、中央アメイジアへのアクセス方法を探してるようで隊員の損耗も激しいようだ。君あての勧誘依頼がまた来てるがどうする?」

 

「……無視しとけ」

 

 

 英雄譚じみた話だ。

 

 これを聞いてその英雄様に続けと調査に加わるものもいるだろう。

 

 正直に言えば俺もその活躍を聞いて思うところがないわけでもない。

 

 

「いいのか?」

 

「いいんだよ」

 

 

 その隠したはずの僅かな興奮を感じ取った彼女は再度こちらに確認を取るが、俺は首を振る。

 

 こちとら英雄でもなんでもない三流ドリフター、憧れの内にクレイドルの残骸になるのがオチだ。

 

 それに俺が今すべきことは別にある。

 

 

「A級ドリフターになるためにこっちは忙しいんだ。憧れる気持ちはあるが、冒険譚は英雄様に任せるさ」

 

「君だってなろうと思うのは自由だ」

 

「はっ、冗談だろ?」

 

 

 俺は後ろ髪を引かれる思いではあるが、ニュースから目を逸らし、目の前の昇級試験に関する情報と今の俺のクレイドルの装備について見比べていた。 

 

 

 ドリフターライセンスA試験、その内容はB試験と変わらない。

 

 協会が俺達に求めているのはAO結晶の採掘と回収

 

 つまり試験内容はより高濃度のAO結晶の回収という代り映えのない物であった。

 

 

 内容は変わらない、だがその難度は跳ね上がる。

 

 

 このB級という場所はこちらを狙う賞金首はもちろん、同じ協会員でさえ信用などできない。

 

 

 そのような場所で、これだけの大量のAO結晶を集め切る。

 

 その間、俺は命を落とさずにこの拠点に帰ってくることが出来るのだろうか?

 

 

「めずらしいな、いつも協会配布のLEライフルとLEサブマシンガンばかりの君が、大事に倉庫にしまってる武器を眺めるなんて」

 

「腐らすのはもったいねぇしな」

 

 

 俺は弱い、だからせめて装備でその差を縮める。

 

 ……なんて、彼女に言われ続けたことだ。それでも今更ながらではあるが、現状なんの武器が俺に合っているかを考え直す必要がある。

 

 

「スナイパーは……、流石に取り回しがわりぃか、遠くで敵クレイドルを見かけても逃げりゃ良いだけだしな」

 

「ドリフターの中では近距離で一発離脱を繰り返す猛者もいるらしいぞ」

 

「そんな化け物を引き合いに出すな、使うのは俺だぞ?」

 

 

 例え遠距離からの狙撃を受けたとしても彼女のメイガススキルはプロテクション、逃げに徹すれば生き残れる公算は大きい、とりあえずは候補から一旦外す。

 

 

「となるとショットガン……、近距離でこいつほど分かりやすく強い装備はないんだが、……これ弾薬がいつもの使ってる弾とは別種でクレイドルが重くなるんだよな……」

 

「そう思うならバードウォッチャーを使えばいいだろう?」

 

 

 まぁ、それはその通り、武器もクレイドルも良いのを揃えて出撃するのが一番*1なんだが、俺の懐と今の帰還率を考えたらすぐに首が回らなくなっちまうことは想像に難くない。

 

 

「となると重量を削減するために弾は共用……、遠距離でなく中近距離をカバーするなら、ダメージレートが高くて軽いサブマシンガンとなんでも使えるアサルト系が俺に向いて……、って結局はいつも使ってる装備じゃねぇか」

 

「全てのことに対応することを考えれば基本に戻るというわけだな、とはいっても協会支給の配給ではなく、店売りやクラフト製を使えよ」

 

「わかってる」

 

 

 エンダーズ相手だけなら、配給品でも十分に渡り合うことが出来るが、相手がクレイドル、特に同じドリフター同士となれば話は変わる。

 

 そもそもの現状、俺の乗る機体はJBに協会員配布のアサルトライフルにサブマシンガンという、もっとも揃えやすい機体、つまり機体性能や武器性能の差がある状態で、敵はそこからさらに有利な状態で仕掛けてくるのだ。

 

 その時点で俺の勝機はほとんどない。

 

 

 まず第一に俺が生き残るためにするべきことは、いかに“賞金首に見つからないで帰還するかだ”

 

 

 常に開けた視界を保ち、音を殺して移動し敵を避ける。

 

 理想を言うなら敵より先に相手を補足して避けることが望ましい。

 

 ……だが賞金首側もそんなことは分かって俺達協会員を補足する。

 

 

 主要な通り、AO結晶付近、エンダーズの多い箇所、帰還エレベーター、あるいはそれ以外の意識の隙間に奴らは潜む。

 

 

 その目に一切とまらずに地上を探索するというのは現実的じゃない、おまけに同じ協会員ですら気を許せないとなると、対クレイドルを意識した動きが俺には必要だった。

 

 

 ……まぁ、それをどうしたら手に入れられるって話に戻るんだが。

 

 

 先日の協会員からの裏切りのおかげで腹はくくれた。

 

 だからこうして、クレイドルと戦うための装備を整えてはみたが、それだけでは意味はない。

 

 

「ふむ、ではまたレーダーサイトに出撃して盗賊団と戦闘を……」

 

「……なぁその話なんだが、予定を変更してもいいか?」

 

 

 彼女の目を見て言葉を遮る。

 

 

「賞金首を殺ろうと思う」

 

 

 俺の言葉に彼女は目を細めた。

 

 

「本気かユナイター?」

 

「……本気だ」

 

 

 俺は佇まいを正して彼女に向き直る。

 

 

「意外だな、君がそんなことを言い出すのは」

 

「多分なんだが……、俺にはこれが必要なんだ。頼む手伝ってくれ」

 

 

 彼女はそれ以上何も聞かなかった。

 

 

「了解した。ユナイター、そういうことなら装備はもう一度考え直した方が良い。無理をしてでも最低限バードウォッチャーを装備、……は今の資金では難しいか、地図を出す。君の戦闘スタイルも加味して戦術、……いや戦略から練り直そう」

 

 

 

 彼女は俺の提案を無条件で認め、その支援を始める。

 

 ……心強いことこの上ない

 

 その日は遅くまで彼女と話し合った。

 

 

 

 

 

 

 

 そうして出撃した俺達は、長い銃身を持つ大口径の火器を担ぎながら岩場を登っていた。

 

 

「しっかし、よりにもよって遠距離武器か……、一番苦手なんだがな」

 

「それは昨日話しただろう、苦手だろうが何だろうが射程は正義だ。相手の攻撃が届かない安全地帯からの射撃で倒せるならそれに越したことはない、それは賞金首相手でも同じだ」

 

 

 俺が賞金首と戦うと言い出した時、彼女が強く勧めたのはスナイパーライフルによる狙撃であった。

 

 こちらが弱いのは中距離や近距離の撃ち合いではないかと反論する俺に彼女は一喝。

 

 

「ドリフターも盗賊団やエンダーズ相手と同じだ。まずは生存を優先した安全な距離で交戦して相手への対応の確度をあげろ、近中距離で戦えば確かに多くの経験を得るだろう、だがその危険は段違いだ。君が十分に強くなるまで生き残れる自信があるなら別だが」

 

 

 そう言われれば、おっしゃる通り、たとえ万が一に生き残れても資金の方が底をつく。

 

 

「賞金首を狙う我々の行為は、いわゆる賞金稼ぎ(バウンティハンター)*2と言われるドリフター達と同じだが、私達の目的は金じゃない、何より生存を第一に戦うぞ」

 

「了解」

 

「皮肉なことに賞金稼ぎの基本戦術は賞金首側と同じだ。奴らのよく通る場所、いる場所の近くに潜み奇襲をかける。動揺している内に息の根を止めろ」

 

 

 今俺のいる場所は東から都市遺跡南のエレベーターが見渡せる崖上……、ではなくそこからさらに上の高地に陣取っていた。

 

 

「この覗いてる場所……、俺が初めて賞金首にハチの巣にされた所だよな?」

 

「他の地点も候補に挙がったが、ここから奇襲をかける賞金首はショットガンやライフルなどの近中距離に偏った装備をする者が多い、カウンタースナイプをするにはこちらの装甲が心もとないことからも、一方的な攻撃が可能なこの地点を提案した」

 

「まぁ、道理か」

 

 

 その言葉を聞きながらスコープを覗いていると彼女が俺に注意をする。

 

 

「あまり身を乗り出すな、敵方も襲う側だからこそ、奇襲地点の周りを警戒する。相手が安全と思い込むまでしっかりと身を隠せ」

 

「了解」

 

 

 そう言って待機していると、ただなにもない時間だけが過ぎていく。

 

 そう都合よく敵と出会う訳でもないことは分かるが、それでも神経がいら立ってしまう。

 

 クレイドルの活動時間が淡々と減っていくその数字の様子をただ俺は眺めていた。

 

 

「クレイドルの駆動音を確認」

 

「……賞金首か?」

 

 

 偶に聞こえる機動音に操作デバイスを握り込み、音の出所を探すがその正体の大抵は協会員だった。

 

 そんな風に何度も通り過ぎていく協会員を俺は隠れながら見守る。

 

 

「おー、稼いでやがんなぁ……、全然こっち気付いてねぇな」

 

「先に潜んでいればそんなものだ。……協会員が一人、結晶を掘り出したぞ、協会員に釣られて動き出す賞金首の気配を探れ」

 

「っていっても狙った場所にいねぇぞ」

 

 

 何人目かの協会員を見送る俺、どうやらそいつは例の崖下のエレベーターを使うつもりのようで、群青湖からの転げ落ちそうなほど急な坂を上ってエレベーターへ向かっていた。

 

 その時である。

 

 

「ユナイター! 敵影だ!」

 

 

 今まで敵はいないと思い込んでいたその場所に蠢く影がある。

 

 

「初めから居たのかよ……!!」

 

 

 驚くべきことに、敵は俺が狙うそれ以前から身を隠していたのである。

 

 

 慌てて銃口で狙いを定めようとする俺、それに対して彼女は冷静に俺の動きを制する。

 

 

「待て、先ほども言ったが敵が狙いに入るまで様子を見ろ」

 

 

 そう言われて、慌てて頭をひっこめると、賞金首は舐めるように周囲を探りだし、こちらの方へも油断なく警戒する。

 

 

 その視線に身が竦む、敵方は本当に遠距離武器を持っていないかも分からない、気づかれた瞬間殺し合いが始まってもおかしくないのだ。

 

 

「……敵の装備はショットガン、サイドアームは隠れて見えんな」

 

「気づかれない内に相手のサーチをした方が良いんじゃねぇか……?」

 

「……いや、いま身を乗り出すのは止めた方がいい」

 

「……あ? 良いじゃねぇか別に」

 

「獲物に襲い掛かる瞬間、その時こそ獣が無防備になる瞬間だ。さらに言えばもっと良い瞬間もある」

 

「いや、それは……!」

 

「理想で言えば戦ってる最中、いやいっそ狩りの終わりの瞬間……、そこで攻撃するのが効率的だ。労せずに敵を殺れる」

 

 

 その先の言葉を俺は飲み込んだ。

 

 ()()()()()使()()()()、そう言ったのは俺で、彼女はそれに答えているに過ぎない。

 

 

「……襲う前にやるぞ。……甘えとかじゃなくて、ここからじゃ下の崖に降りられたら狙いづらいからな」

 

「…………そうか、分かった。ユナイター、サポートする」

 

 

 結局、オレの選択は甘さの抜けきらない中途半端な選択だ。

 

 賞金首はゆっくりと崖側に歩き出し、エレベーターに近づいていく協会員をのぞき込もうとする。

 

 

「コフィンを狙う……!」

 

「敵サーチ完了、ジュリエッタオーガ、賞金額18万、俯角24度、距離458メートル、西からの風プラス2度、……照準補正完了、いつでも撃て」

 

 

 俺が賞金首をサーチした瞬間、今この地区にいる協会員全員に賞金首の位置が通知される。

 

 もう少しでエレベーターにたどり着くはずの協会員はその場で足を止めた。

 

 その動きに浮足立ったオーガ。

 

 

 その意識の隙間に差し込むように俺は引き金を引いた。

 

 

 その初撃は敵の背部、弱点であるコフィンに吸い込まれるように当たる。

 

 

 

「撃て!撃て! 撃て!」

 

 

 

 彼女の言葉に呼応して、俺は弾倉を打ち尽くす勢いで断続的に弾丸を打ち出す。

 

 

「クソッ! 避けやがった……!」

 

 

 だが敵の動きは素早い。

 

 

 持参してきた火器はマークスマンライフル、俺達兵隊サイズのマークスマンライフルは厳密にはスナイパーライフルではないが、クレイドルの巨体で担ぐこれは違う。

 

 相手を粉々にする大口径をその身に受けた賞金首、その残された装甲はごく僅かのはずであった。

 

 

「た、対応が早ぇ!! もう動き出してやがる……!!」

 

 

 背部からの攻撃と見るやこちらを確認すらせずに、ブーストダッシュ。

 

 そのまま都市遺跡側へ向かって飛び出していき、その身はビルの谷間へと消えていった。

 

 敵から攻撃を受けた時の咄嗟の判断、俺ならばそのまま動揺を晒してカモ撃ちにされていただろうが、その時間が相手には全くなかった。

 

 

「仕留め損ねたな……、追跡は推奨しない、ユナイター帰還を提案する」

 

「……了解」

 

 

 その迷いのない動きを見て、追撃をかけようなどとは思えなかった。

 

 この勝負は俺の奇襲で詰め切れなかった時点で俺の負け。

 

 今頃は装甲の修復もナノマシンで終わってしまっているだろう。

 

 結局今日の稼ぎはゼロ、諸経費を含めれば見事に赤字だ。

 

 

「そんな顔をするな、今回の経験は大きいぞ、気づいているか? 奴らを探し陰に潜む君の動きは賞金首側と全く同じ動きだ。賞金首の考えになって奴らが何を見ているかを考えろ。追うように逃げて、逃げるように追え、それは普段の探索でも生かされるはずだ」

 

「……了解」

 

 

 彼女の言葉に俺は悔しさを滲ませながらなんとか答える。

 

 

 彼女の言う通り、他のクレイドルの目を避け、隠れ潜み、獲物を狙うこの動きは多分、賞金首側と同種なのであろう。

 

 自分の真下を何の警戒もなく通り過ぎる協会員、その動きは俺にとってあまりにも見覚えがある動きであった。

 

 俺も高地や敵の潜む場所に気を付けろと言われて、動いてはいたつもりだった。

 

 だが目線が違えばその動きは余りにも隙に満ちていたのだと今更になって気づく。

 

 

「……どうするユナイター、賞金首狩りを止めるか?」

 

「いや……、続ける」

 

 

 安全地帯に籠って銃を撃っただけで、口元から心臓が飛び出すほどの緊張。

 

 胸の拍動で今更になって頭痛すら感じてきた。

 

 この感覚だ。

 

 多分だがこの感覚の先に、俺のドリフターとして生き残るための答えがあるのだと思えた。

 

 

「わかった。同じ場所での奇襲はリスクがある。帰還したら戦闘の振り返りの後、改めて作戦を練ろう」

 

「あぁ」

 

 

 出撃による疲労が段違いだ。

 

 それでも俺は彼女へ言葉を返した。

 

 

 

 

 そこからしばらく、俺は賞金首狩り……、なんて呼べるものではないが、賞金首を探し出し、奇襲をかけるために地上への出撃を繰り返した。

 

 

 

 

「クソッ! 外した!!」

 

「まだ狙える位置で相手はこちらの位置に気づいていない! コフィンを狙え!!」

 

「命中! ……クソッ射線を切られた!」

 

「EQSを使われたな……、反撃は……なし、逃げられたようだ」

 

 

 

 賞金首の動きは、総じて迷いがない。

 

 自分とは違う判断の速さ、きっと不用意に近づけば殺されるのは自分だろう。

 

 

「ユナイター!敵もスナイパーライフルを持ってるぞ、……装備はアンバー腕にボルトスナイパーライフル!! 反撃に注意しろ!!」

 

「クッくそ、こっちが先制してんだ……!! グァッ!?」

 

「被弾! 装甲に甚大なダメージ! 戦闘からの撤退を提案!!」

 

「っち……、ここまでやっても勝てねぇのか!」

 

 

 

 だが戦っている内に、何となくではあるが俺は賞金首の考えというものが分かってきた。

 

 どのように俺達協会員を襲いたいのか、奴らが好む位置取り、なぜそこにいる*3のか分からないことも多いが、そういった機微を朧気ながら俺にも理解できるようになっていく。

 

 

 

「敵クレイドルに甚大な被害!! 次で決めろ!」

 

「……クソッ 外した!! 敵は……!!」

 

「ヒールフィールドを展開して岩場に隠れた……出てきたぞ! こちらに接近!」

 

「……逃げるぞ!! メイガススキルで道を塞げ!」

 

「了解! プロテクション」

 

 

 

 俺は賞金首への攻撃を繰り返していた。

 

 ……だが、俺はいまだに賞金首を撃破することが出来ていない。

 

 安全圏に引っ込んでおきながら何を身勝手なと言われてもおかしくないが、それでも惜しい場面はあった。

 

 

 

「相手は10万の賞金首……、装備に遠距離武器はない……、しかも向こうもJBだ。わかってるな?」

 

「あぁ、殺れる。サポートを頼む」

 

「了解、照準補正完了。いつでも撃て……、命中!続けて撃て……! 命中! 良いぞ」

 

「くそ、ヒールフィールドを展開しやがった……!」

 

「支援物資でだぶ付かせている焼夷グレネードをお見舞いして炙りだせ」

 

「了解……!」

 

「這い出してきた。狙え……、命中! 良いぞ! 敵方よりコンタクト、ふん、今更命乞いか、構わん撃てユナイター、……ユナイター?」

 

 

 

 

 そんな時でさえ、俺は詰め切れずに相手の逃走を許してしまう。

 

 

 このままではダメだ。

 

 指に掛かりかけた答えがすり抜けて行く、俺の必要な強さがそこにあるはずなのに俺はそれを掴むことが出来ない。

 

 

「焦るなユナイター、……私が隣にいる。」

 

 

 だが現実として、出撃での稼ぎは少なくなり、俺の資金は弾薬などの諸経費で目減りしていく。

 

 

 

 

 そのような状況から一度、資金繰りの為にAO結晶の採掘で稼ごうと、俺達はJBを普段通りの装備に戻して出撃することとなる。

 

 

 

 

「都市遺跡に到着、ドリフター同士の戦闘が多発している地帯だ。気を付けろ」

 

「分かってる」

 

 

 都市遺跡、乱立するビル群は隠れ潜む場所が多く、北に向かっての勾配で、上からならクレイドルの位置を見つけやすいといった協会員にとっての危険地帯。

 

 しかしAO結晶が多くあることから、協会員としてリスクはあろうがここを避けるのは難しい。

 

 

「AO結晶を発見、ユナイターこれはかなり大きいぞ、純度も高そうだ」

 

「こりゃ大物だぞ……! 上手くいけば20000は稼げる……!!」

 

 

 自然と頬が緩みそうになるのを引き締め、俺は慎重に周囲を見渡す。

 

 

「よし、エンダーズは掃除して安全も確保したぜ、……周囲に音はないな、頼む、上方を警戒してくれ」

 

「わかった」

 

 

 俺はAO結晶にドリルを突き立てる。

 

 巨大なAO結晶は当然、掘削にも時間がかかる。

 

 稼ぎの予感の興奮と、周囲に近づく敵への緊張、ない交ぜになった感情を俺は飲み込みながら、油断なく周囲を警戒する。

 

 

 作業は半分を超え、残りは3割ほど。

 

 もう少しで結晶が手に入る。

 

 

 その時、上方から唸るようなダッシュ音が聞こえた。

 

 

「クレイドルの機動音! 上だ!!」

 

 

 その言葉に俺はビルの上方、そのはるか遠くにクレイドルの存在を認識した。

 

 俺と相手の距離はかなりある。

 

 目の前の大金、接敵のリスク、自分のすべき行動。

 

 

「間に合うはずだ!! このまま、採掘して逃げるぞ……!!」

 

「了解!」

 

 

 その判断が正常な思考で行われていたのかは分からない。目の前のAO結晶、問題ないはずだと考えて冷静さを保とうとする浅はかな考え。

 

 

 だが、そのクレイドルの動きを見た時、そんな思考は吹き飛んだ。

 

 

「ばっ……!! ビルの谷間を飛んでるだとッ……!!」

 

 

 

 そのクレイドルは空を飛んでいた。

 

 崖から飛び出しての跳躍*4……、その慣性のままビルの合間を一つ、また一つと飛び移り、一瞬の隙間なくブーストダッシュで駆け落ちてくるその姿。

 

 

 俺の体は動かない、採掘を終わらせるためではなく、その動きに俺は圧倒されていて頭が働かないでいた。

 

 俺の背筋にゾクリと死の予感が這い上がる。

 

 間違いなく相手は格上、それも俺じゃ手も足も出ないような一流。

 

 

「逃げるぞユナイター!!」

 

 

 彼女の言葉でようやく俺は我にかえる。

 

 あれだけあった距離はもうないが、幸いなことに最後のビルからここには届かない距離だ。

 

 あの高さから落ちたら相手はただでは済まないだろう。

 

 敵がビルを段階的に下ってる内に今すぐ逃げれば――

 

 

「……おい!おい!おい!!」

 

 

 しかし、そのクレイドルは飛んだ。

 

 届かないであろうそのビルの隙間を、下手をすればその間に落ちて死にかねないというのにだ。

 

 流れる様なブーストダッシュ、だがビルの間を飛ぶには僅かに足りない、そう思った時、そのクレイドルは左腕のブレードを引き出し振るう。

 

 

「――は?」

 

 

 ブレードを振りながら、振り子のように体を捻り、中空での飛行距離を稼ぐ*5

 

 

 クレイドル操縦の極致、人機一体、接近するそのクレイドルがこちら目掛けて飛び掛かってくる。

 

 

 

 俺は負ける。

 

 死ぬかもしれないのに俺はその動きに魅了された。

 

 そのクレイドルは空中でブレードを振りかぶり、俺にその腕を――

 

 

「え?」

 

 

 叩き込まなかった。

 

 

 俺を飛び越し、背後から聞こえるブレードを叩きつけ合う音、数合の切り合いで、俺の後方から爆発音が聞こえる。

 

 

「……識別完了、相手は協会員だ。気づかなかったが後方に賞金首がいたようだ」

 

 

 放心した俺に、飛び降りたクレイドルが片手をあげる。

 

 

「ユナイター、識別を受信……、相手は凄腕だな」

 

「あ、あぁ、こちらも識別を送ってくれ」

 

 

 挨拶を返している間、俺はお相手の姿をようやくまじまじと見ることができた。

 

 平均的なバードウォッチャーにバーストアサルトライフルとスナイパーライフル、協会員と言えばといったオーソドックスな機体と装備だった。

 

 

 その足元にはいつの間にか背後を取っていたジュリエッタオーガの残骸、上に気を取られて忍び寄るその機体に気づいていなかったとは間抜けだ。

 

 いつの間にか砕けていたAO結晶を回収しながら、俺は恥ずかしさすら覚え、そそくさと立ち去ろうとする。

 

 

「……協会員からのコンタクト、位置の指定……、賞金首の持ち物を示しているが……」

 

「もっていって良いってことか……?」

 

 

 オーガの装備を漁り終わった協会員は残骸へ再度指を指す。

 

 

「わ、罠じゃねぇよな」

 

 

 ……今まで、協会員に対していい思い出がない、俺は背後を気にしながらも、その道具を漁った。

 

 

「うおっ……、オーガだけじゃなくバードの装備にレア素材……、AO結晶も積んだままじゃねぇか! いいのかよ!?」

 

「不本意だが囮役をしたんだ。向こうも譲る気のようだ遠慮はいらんだろう」

 

「……一応、感謝の識別を送ってくれ」

 

「了解」

 

 

 かなりの重量になってしまったJB、俺達は豪気な協会員に感謝を示しながら、幸運なことに近場にあった帰還エレベーターへと俺達は向かった。

 

 向かったのだが……

 

 

「ついてきてるな……? 警戒しろユナイター」

 

「だが、敵対する気もなさそうだぜ? というかこちらをやる気ならいつでもできただろ」

 

「それでも気を抜くな……、帰還宣言の識別を受信、どうやらエレベーターに同乗したいらしい」

 

 

 

 こうして俺とお相手のクレイドルはエレベーターに同乗する。

 

 一応エレベーターが降りるまで外を警戒しながら待ち、無事に何事もなく帰還する。

 

 今までの体験が余りにも散々なものであったので、こんな出会いもあるものかと俺は驚いていた。

 

 

「……協会員よりオープンチャンネル、ドリフター間による直接通信*6は、ネスト間の取り決めに違反するが……、どうする?」

 

「ここはもう地下だ。構わねぇだろ、回線を開いてくれ」

 

「了解」

 

 

 

 通信をかけてきた相手方の声は低く太い、男の声だった。

 

 

 

〈よぉ、さっきは助かったぜ、アンタが引き付けてくれたおかげで楽にやれた〉

 

「こっちのセリフだ。感謝するぜ、まぁ最初はアンタの方こそ賞金首だと勘違いしちまったが……」

 

〈ハハハッ、見てたけどよ、まさか俺に気づいてそのまま採掘を続けるとは思わなかった。あそこは逃げるべきだぜ普通は〉

 

「あんな所から一瞬で来るとは思わなかったんだよ」

 

 

 俺の言葉に通信先の協会員は笑いながら聞いた後にしばらく雑談に興じる。

 

 同業者と話す機会が少ない俺は、最近の地上の出来事や稼ぎの話など、多くの話を交わしていった。

 

 そんな中である。

 

 

〈気を悪くしないで聞いてくれ、あんた新人だろ?〉

 

「ん……、まぁ、そうだ。早いとこA級に抜け出したいとこだがな」

 

〈そうか……、お前さん、なんでA級に行きたがってるんだ……?〉

 

 

 突然の問いかけ、俺は困惑しながらも答えた。

 

 

「なんでって、そりゃドリフターなら行く……つうか目指すだろ?」

 

〈あー、まぁそうだ、そうだよな分かるぜ、男にはそういうところがある〉

 

 

 要領の得ない、いや言葉を選んでいるのだろうか、気まずそうに話す男はため息の後に低い声を出した。

 

 

 

〈お前さん、死ぬぜ〉

 

 

 

 まるで見てきたかのような、定まった未来を告げるように男は呟いた。

 

 だからなのだろうか、その言葉はストンと俺の心に何の抵抗もなく落ちた。

 

 

「……だろうなぁ、あんた多分良いヤツだな?」

 

〈へぇ……、怒りだすと思ったがお前さんひょっとして……〉

 

 

 その一言を苦笑いを浮かべながら返す俺をみて、男は興味深そうに唸る。

 

 

「そこの御仁、先の助力感謝してる。だが、その言葉は納得しかねるな、ユナイターは着実に成長している。A級昇格の権利も正式に認められてることからも、彼が相応の実力を有していることは明らかだ。そもそも、ここにいる時点でそちらもB級、まるで見てきたかのように……」

 

〈A級なら見てきたぜ、まぁ賞金首の方でだがな〉

 

 

 その一言を聞いて彼女は俺に小さく耳打ちをする。

 

 

「……ユナイター、通信を切れ」

 

「まぁ、落ち着けよ、今は違うんだろ?」

 

〈ハハハッ、話が通じて助かるぜ〉

 

 

 警戒心を露わにする彼女を落ち着かせて、俺は彼から話を聞く、そんな俺を彼女は無警戒だと言いたげに目を細める。

 

 

「なんで賞金首に?」

 

〈おいおい、心外だぜ、賞金首*7なんて協会の奴らが勝手に言い出しただけだろ? 自分の手駒以外は全員敵、俺の生まれのネストはサンジョベーゼの奴らからAO結晶を買わないといけないってだけさ〉

 

「だったらなおさら変だな、アンタは今協会員だ。ネストが宗旨替えでもしたのかよ?」

 

〈あー、まぁなんだ? 面倒くさくなっちまってなぁ〉

 

 

 どうでもよさそうに吐き捨てているつもりであろうが、その言葉の端からは寂しさが滲み出してることに俺は気づく。

 

 

〈愛着はあったがよ、持って帰ってくるAO結晶を当てにネストじゃ俺は英雄扱い、昔はメタクソに説教してきたジジババも、悪友も、女も、どいつもこいつも悪たれたガキだった俺を王様あつかい、……んで面倒になっちまった〉

 

「へっ、聞きようによっては自慢に聞こえるぜ?」

 

〈厭味ったらしく言うのはよせや、……そうだ丁度お前さんみたいなガキがいたな、ネストで一人だけ……、ことあるごとに俺に突っかかってくる馬鹿が、どこで吹き込まれたか俺もドリフターになって一獲千金だと吠えてやがった。……そいつがこの前どうなったか分かるか?〉

 

「……死んだんだろ? 当ててやるA級試験で死んだとみたぜ」

 

〈ハハッ! 残念!! B級だ!〉

 

 

 俺達の間に乾いた笑いがおこる。

 

 

〈……まぁどうせ潮時だった。切っ掛けとして丁度良かったってだけで、……って、お前さん話を聞くのがうめぇなぁ、俺の話はどうでも良いんだよ、A級……、特にその上位に行くのは止めとけ〉

 

「そんなにヤバいのか?」

 

〈お前はドリフターの上の奴等が何を理由に戦ってると思う? 良い女とか上手い飯とか豪華な寝床……、普通金や名誉とかだと思うだろ?〉

 

「違うのか?」

 

〈違うね〉

 

 

 男は硬い声で俺の言葉を否定する。

 

 

〈闘争だ。あいつらは戦うことが心底楽しいんだよ、B級でのさばるようなセコいやり方じゃねぇ、持てる全てを駆使した殺し合い、あいつ等にあるのはただそれだけだ〉

 

「それは……」

 

 

 それはもはや修羅だ。

 

 それがA級とするなら、確かに俺は死ぬだろう。

 

 災害の様な悪意と暴力に巻き込まれ、俺は粉微塵の残骸になる。

 

 

「貴殿の心配は分かった。 それでも私のユナイターは夢を叶える。彼を殺されることになるなど、私が許しはしない」

 

 

 とうとう、我慢できずといった雰囲気で、彼女は不機嫌さを隠そうともせずに言い放つ。

 

 

〈……お前さんたち、組んでどのくらいになる?〉

 

「なに……? 急になんだ。 ……私とユナイターは二か月ほどだ。私が製造された時から彼と一緒にドリフターとして過ごしている。 貴殿などより、私の方がよっぽど彼のことを知っている」

 

〈その間、拠点でひたすらドリフター稼業か?〉

 

「そうだ。彼は脇目もふらず夢を叶えるために――」

 

〈……製造年数が浅いメイガスにありがちなんだよな、ユナイターを特別視するメイガスは……、おまけに他のドリフターや人間との交流がないと特にだ〉

 

「なにがいいたい?」

 

「まぁ、いいじゃねぇか落ち着けって、アンタらしくもない」

 

〈お前さんのご主人様はどんな困難も打ち破る王子様じゃねぇんだよ〉

 

 

 剣呑な雰囲気を感じ取った俺は、彼女を落ち着かせるために宥めようとするが、彼女は今まで見たことがないほどに怒りを湛えていた。

 

 

 

〈ひょっとして、おまえさん、まだ自分のユナイターは死なねぇとでも思ってるんじゃねぇのか?〉

 

 

 

 その一言を聞いて俺は吹き出しそうになる。

 

 そんなわけがないだろう。

 

 ドリフターとして生きてるのが不思議なくらい、俺はいつだって死にかけている。

 

 明日の朝日を拝めないと思ったことは両の手どころか両足の指を加えても足りない、そんな俺を彼女は見てきたのだ。

 

 

「そんなわけないだろ、つい先日も機体にボルトスナイパーの大穴開けて帰ってきたんだぜ?」

 

「あ、あぁ……、そうだ……!」

 

「……あ? どうした?」

 

「い、いや、なんでもない、大丈夫だ……」

 

 

 言葉を言い淀むなど彼女らしくもない、俺は不思議そうに彼女の顔を見ようとするが、その前に通信が入る。

 

 

〈はぁ……、お前さんも大概だぜ? メイガスは優秀な存在だが、なんでも出来るスーパーマンじゃねぇ〉

 

「いや、何も出来ねぇ俺からしてみたら似たようなもんだぞ?」

 

〈やっぱりこっちもか……〉

 

 

 呆れたような声の後、男は諫める様な声を出す。

 

 

〈お前さん、エレベーターが降りる間、俺に背を向けただろ〉

 

「あれは、周囲を警戒しようと……」

 

〈あの場で俺以上に警戒すべき相手はいなかった。お前さんはそれに背を向けたんだ。甘ぇんだよ〉

 

 

 結果として、俺はこの男に好感に近いものを感じてる。

 

 結果論とはなるが、この男に背を向けても問題はなかった。

 

 だがそういう話ではないことも、俺は分かっていた。

 

 

〈背中には何がある? 弱点のコフィン? はっ、違うね、お前が唯一信頼できる相棒がそこにいるんだ。分かるか? 背を向けるってのはその相棒を敵に晒してるんだぞ〉

 

 

 その言葉一つ一つを俺は胸に刻む。

 

 彼女と自分が誤魔化す俺の弱さをこの男は暴き立てている。

 

 

〈お前、殺しは?〉

 

「盗賊団なら俺だって……」

 

〈ちげぇよ、ドリフターを殺ったか聞いてんだよ、分かってんだろ? 誤魔化すな〉

 

「……一人だけ殺った」

 

〈当ててやる。どうせ誤射だろ?〉

 

「あぁ……、協会員を切り殺した」

 

〈ハハッ! 大正解だ。だがその殺しはちげぇよな?〉

 

 

 

 そうだ。違う。

 

 だから今だに俺は半端モノ、生き残るための大事な何かが足りてない。

 

 

 男は、俺が目を背けていたその答えを、優しくも無慈悲に告げた。

 

 

 

〈お前さん、本気で相手を殺したことねぇだろ?〉

 

 

 

 馬鹿いうな、ここまで来てそんなことあるはずないだろ?

 

 そんな彼女に気づかれまいと必死に覆い隠してきた軽口が、今は出なかった。

 

 

 エレベーターが下まで落ちる。

 

 

〈……はぁ、説教くせぇ老人共が心底嫌いだったよ、今自分がそれになって分かった。あの耄碌共も多分同じこと思ってたんじゃねぇかってな〉

 

「いや、助かった。アンタみてぇな協会員もいるって知れたら、救われたよ」

 

〈ハハッ、そうかい? まぁ俺の意見なんて無視して構わねぇぜ〉

 

「そんなことねぇよ」

 

〈……お前さん素直すぎもドリフターにゃよくないぜ? どんな色にも染まる奴がこんなドギツイ色ばかりのドリフター共に囲まれりゃ、結局そいつはドブ色だ〉

 

「心得とくぜ」

 

〈だからそういう……、まっ、これ以上は流石に余計なお世話か……、じゃあなドリフター、せいぜい生き残れよ!〉

 

 

 お節介な協会員はそう言ってその場を離れた。

 

 

 残されたのは俺と彼女とJB。

 

 

「……せいぜいドブネズミのように生きるとするかね」

 

「あぁ……」

 

 

 俺の言葉に彼女の反応は鈍い。

 

 なぜか言葉数の少ない彼女と共に俺は帰った。

 

 

 

 目標はAO結晶60個、今回の依頼でその要求は達成している。

 

 

 俺はもうすぐA級になれるところまで来ていた。

 

 

 

 

 

*1
バードウォッチャーを一式揃えるのに4万、店売りのアンコモン装備を二つ載せれば2万 、一回出撃に10000程度の稼ぎと考えれば6回程の出撃でPay出来る計算である。レベルを上げた貯金箱の収入や搬送エレベーターの品を売却するなどすればバードウォッチャー1セット分程度は毎日の購入が可能、高性能の装備は探索自体の収益性も上げるため6回の出撃までに採算はとれる場合が多い、なによりその装備に慣れることは今後の戦いでドリフターとしての成長につながる。JBを愛用しすぎて抜け出せない方々も、一日一回バードウォッチャー破壊チャレンジぐらいはしてもいいのかもしれない。それでも安定を取りたい方は上記の出撃時の装備にかかる保険料は5000程。採算達成目標の出撃数は12回となるがリスクを限りなく減らして出撃することも可能となる。

*2
賞金首を狩ることで金を稼ぐドリフター、その装備は対人に特化しており、賞金首の被害が多い場所の近くに陣取っている。彼らの近くならば安全というわけではないが、もしも彼らを見かけた後、すぐに賞金首に襲われたのなら、その助力を求めて持久戦に持ち込むのも協会員にとって一つの戦略なのかもしれない

*3
あえて紹介するが、最も襲撃相手に効率的に見つける方法は依頼をこなす途中で襲い掛かることである。特に納品依頼や解除キーを用いた依頼は敵の動向を限定しやすく、罠や奇襲で襲いやすい。だがこの手法は依頼の進行を勧めたいモノにとっては非常に厄介であり、賛否が分かれている。両陣営でこの手の新しい依頼が出た後は確実にそこが激戦地となるので、少し時間を置いてから依頼を進めるのも一つの手なのかもしれない

*4
本作の仕様として、段差の上でダッシュとブーストを同時に行うとクレイドルが高速で飛び出し、通常ブーストをはるかに超える距離を慣性が乗った状態で移動することが可能。慣れたドリフターは地形を把握しこれを連続で行うことで高速移動を行うことが出来る

*5
本作では空中でブレードを振ることで移動距離を稼ぐことが出来る。出来るのだがこの技術を活用できる場面はそう多くはない、実用性も薄い技術である。だが、カッコいい。空中で格闘振って距離を稼ぐとか、飛び降りて敵に切りかかるとかそれだけでもうたまらないため、ドリフター達は誰も見てない時に練習して落下ダメージを受けるのである

*6
本作ではフレンドとの出撃はできない仕様であり、ボイスチャット等の仕様は公式から直接違反行為として取り決められている。本作の戦闘は索敵や位置取りが非常に重要で、気を抜けば一気に劣勢に立たされるようなバランスである。そこで互いにコミュニケーションを取られながら動かれれば、なすすべもなく追い詰められることになるだろう。これを理解しながらも意図的に同じマッチに入り、外部ツールでコミュニケーションを取る違法行為が散見されているため、運営の対策が急がれる

*7
本小説において賞金首は悪し様に書かれているが、賞金首はこのゲームに組み込まれた必要不可欠な存在である。自分以外の全てが敵である彼らは生半可なプレイスキルでは見る見るうちに落ちぶれるリスクを孕んでいることを忘れてはいけない。真にこのゲームのプレイスキルを磨くための最適解は賞金首になることと公で言われるほどに過酷な世界、興味があればなってみるのもこのゲームにおける自由な選択の一つである




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