背中を晒す3流ドリフターはアンドロイドと一獲千金の夢を見るか?   作:ばばばばば

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 クレイドルとコフィン、二つ合わせてクレイドルコフィン

 揺りかごと棺桶、彼らドリフターとメイガスは互いに背中を預け戦う。 


クレイドル大地に立つ

 エレベーターの上昇、その浮遊感で内臓が押し下げられ、ケツの穴がキュッと閉まる。

 

 

 

 

「気を抜くなよ……、だが力は抜けユナイター」

 

「抜いたり抜かなかったり、難しいことを言ってくれるぜ」

 

「フッ……、その調子だ」

 

 

 俺のつまらない返しに、彼女は軽口を言えるなら十分だと口の端を持ち上げる。

 

 俺は協会の補助を受けて揃えられるLEアサルトライフルにLEサブマシンガン*1の武装を携えて、地上へと向かっていた。

 

 地下のネストへとつながる巨大エレベーターはそのままの勢いで地上へたどり着くと、その慣性をもって俺の機体を浮かび上がらせる。

 

 

 その瞬間、俺の機体は軽く踏み切り、前方へ飛んだ。

 

 

 浮遊感の後に訪れる着地の衝撃が脳天まで痺れさせる。

 

 

 そしてエレベーターが地面へ収納される前に、その勢いのまま足部のローラーブレードで短いダッシュを行い、俺は静止した。

 

 

「……相変わらず、すげぇ動きだな」

 

 

 もちろん自画自賛ではない、メイガスはドリフターに必要不可欠、それは何もAO結晶を探すためだけじゃない、むしろもっと大事なのは今みせた一連の動き。

 

 

 俺だけじゃこうはいかない、クレイドルの運搬免許程度で許された動きなんてせいぜい車庫と積載車両の間の歩行が関の山、ジャンプやダッシュなどの間接に負担をかける行為は厳禁、というよりそもそも教わってない。

 

 

 側部のローラー部で襲歩(ダッシュ)、そしてステップを踏むように急ブースト……、からの静止。

 

 

「準備は万端そうだな?」

 

「あぁ」

 

 

 急加速と急静止、腹からこみあげてくるものは朝飯だけではない熱さを俺に実感させてくれる。

 

 こんな動きは俺一人で出来るわけがない、サスペンションから姿勢補正、周囲のモニターに至るまでの万全な制御、彼女がいなければまともに俺がクレイドルを動かすことは出来ない。

 

 

 我慢しきれない俺はお次に、眼下に広がる岩場を思いっきり下りおりてみる。

 

 

 俺のケツと硬い座席が情熱的なピストン運動をし続けようと今の俺には気にはならなかった。

 

 置き去りにしていくような速度で変わる周りの景色、クレイドルの高い位置から見た地上。

 

 灰か白の鉄とコンクリートの暗い場所とは違う、驚くほど広い空、外での行動では常に軍用レインコートの着用を義務づけられていた俺は、本当の光は熱を持つなんてことすら外の光に直接当たって初めて知った。

 

 

 この赤茶けた岩壁すら光を受けて生命に満ちている。

 

 

 そのまま岩場を降りていき、目の前に飛び込む緑の丘、なだらかな地面に一面の緑が広がる。

 

 

 ――綺麗だ。

 

 

 俺は感動してるのか?

 

 だけど、この広がる緑と天から降り注ぐ太陽、その間を吹き抜ける風を感じた時、俺は無意識にクレイドルのブースターを吹かせていた。

 

 

 

「オーバーヒートだユナイター、エンジンをふかし過ぎたな」

 

 

 

 ぴーぴーぴーと電子音、踏み出した足は俺の逸る気持ちに反してノロノロと踏み出していた。

 

 

 

 

「………………とりあえずマップを確認させてくれ」

 

 

 

 

 しばらくの間をおいて、はしゃぎすぎていたことを自覚し、恥ずかしさからそう一言絞り出す。

 

 

「あぁ、ここは北方地帯の演習場南の岩場、ここから近いエレベーターは西の丘陵地帯だ」

 

 

 俺を待っていたように、彼女は地図情報を()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「わざわざのぞき込まないでいい……」

 

「俯かなくてもいいだろう? さっきの顔は見ていてなかなか飽きなかったぞ?」

 

 

 そう、彼女は本来はクレイドルコフィン、つまり背中に担いだ専用装置の中に居るはずだが、このコクピット内に存在する。

 

 

「すぐそこで浮いてられると落ち着かねぇ……」

 

「確かにアドレナリンの過剰分泌の傾向がみられる。……だがその興奮は私を見る前から続いている。一息つくために一旦目標を確認しよう」

 

「心配すんな悪い方の興奮じゃねぇよ」

 

 

 3Dモデルを俺の被るバイザーに投影し、コクピット内でもサポートしてくれている彼女に俺はそんな強がりを言うが、左右二つある操作デバイスを握り直そうとすると滑って上手く握れない。

 

 

「そうか、ついでにハンカチはそこだぞ」

 

 

 手汗でびしょびしょなことに俺は気づくと、両手で白旗の万歳をする気持ちを抑え、片手づつ拭いた。

 

 

「参った、降参だ……! はしゃぎすぎてたのは認める! これでいいか!!」

 

 

 ヤケクソ気味にそう言葉を吐き捨てる俺を見て彼女は笑う。

 

 

「よろしい……、今回は協会の依頼、“純度を問わずAO結晶を3個持ち帰る”ことだ。まぁAO結晶の塊を一つでも採掘すれば達成できるだろう、基本的に私達ドリフターの収入源はAO結晶の採掘となる。AO結晶採掘時の注意事項は?」

 

「AO結晶はエンダーズを呼び寄せること、採掘時は大きな音が出るから周りに気取られやすいことだ」

 

「よろしい甲の字をあげよう、……AO結晶は採掘時に音だけでなく特徴的な周波数を放つ、採掘前はいなくても掘り始めるとエンダーズが集まるのもそうだが、……()()()()()()()()()にも遠方から感知されることに注意が必要だ。もちろん採掘中は身動きが取れなくなる。いいかドリフターの心得で一番大事なのは……」

 

 

「はいはい『()()()()()()()』だろ? 」

 

 

 彼女は協会員と言わずに、()()()()()()()()()と言った。

 

 なにも結晶に用があるのは協会員やエンダーズだけじゃない、その稼ぎを狙う賞金首、あるいは元アメイジアの奴らを敵視している盗賊団だっている。

 

 聞いた話じゃ同じ協会員にすら背中を撃たれたなんてこともあるらしい。

 

 この地上は限られた物資を奪い合う無法地帯というわけだ。

 

 

「分ってるなら問題ない、ただ駆け出しの私達は今、そのリスクを減らすためブルーシスト濃度の低い天候の日を選んで地上に出ている。過度に緊張もしすぎるなよ?」

 

 

 もっと実績のあるドリフター達はあえて激しい青い雨が降る日に地上に出る。

 

 青い雨の降る地上は地獄だ。

 

 いくら装備を固めたクレイドルであろうとその装甲を侵蝕していき、逆に敵であるエンダーズはその凶暴性が増す。

 

 なんでそんなクソな日に、雨の日のミミズみてぇに地下から這いずって地上に出るかと言えばその理由はただ一つ。

 

 

「たしかに青い雨が激しくなる日、つまりブルーシストの濃度が濃い時にAO結晶の純度は上がる。それにエンダーズの生体器官の状態も良くなると言えどもまだ私達には早い」

 

 

 つまり稼げる。

 

 腕に覚えのあるドリフターならそんな日にこそ飛び出すし、その上等な装備とため込んだ素材や結晶を狙って賞金首共もついていくという仕組みだ。

 

 

「まぁ、上を見てる余裕は今の俺にはねぇし、安全に小銭を稼ぐのが妥当だろうな」

 

「目の前のことに集中するのは大事だ。まずは着実に一歩一歩だユナイター、……なら危険な場所も当然覚えてるな?」

 

「はいはい、何度も言われて耳にタコだぜ、盗賊団の根城になってるレイダーサイト、規模は小さいが同じく農耕プラント、エンダーズがはびこる中央の群青湖、中央ターミナル、演習場には気を付けろだろ?」

 

「よし、ちゃんと危険度の順で覚えてるな、移動や帰還エレベーターの位置次第では避けられないとしても、レイダーサイトと群青湖の中央を突っ切るなら気を付けろ」

 

 

 少ない貯蓄を崩して入手した事前の戦闘ログの情報は彼女から十二分に聞いて、警戒はしていた。

 

 ……が、今回はそんな場所の間の比較的危険度の低い土地、しかも帰還エレベーターも近い、センサーを働かせればおあつらえ向きに道中にAO結晶があるので、選ぶルートは決まっていた。

 

 

「とりあえずエレベーターから近いAO結晶に向かう、これでいいか?」

 

「あぁ、バイタルは正常まで戻っている。後はユナイターのタイミングで出発してくれ」

 

 

 

 今度はダッシュを行わずに移動する、基礎講習で言われたように高地を確保し、安全であることを見回しながら進むといったマニュアル通りの移動。

 

 起伏の激しい土地ならこうも上手く行かないだろうが、なだらかな丘陵地帯であるここでは比較的、訓練通りに移動できる。

 

 なんならメイガスがいる分楽と言わざる得ない状況で、俺は丘の頂上まで直接感じるはずのない風を鉄の装甲で感じながらゆっくりと登った。

 

 

「んで、目的のブツは見つかったが……」

 

「エンダーズもいるな」

 

 

 そんな気分に水を差すようにクソエンダーズはAO結晶の傍をウロウロと動いていた。

 

 

「ユナイター、敵は一体、チェイサー型だ」

 

「目視した」

 

 

 エンダーズ共にも種類がある。ここらでよく見かけるのは四種類程度だが、こいつは姿かたちは四つ足の獣、犬ってヤツに似てるってアメイジアじゃ言われてた。

 

 

 肝心の犬を写真でしか見たことがないからピンとこねぇが、言われて見れば同じなのかもしれねぇな。

 

 

 ……まぁ頭が八つに裂けて、その大きさがクレイドルほどでなければの話だが。

 

 

「弱点は発光した頭部のコアだ。こっちに気づけば、向こうから弱点を晒してくれる」

 

「あぁ、……今の俺の腕じゃヤツの口の中のコアを狙い辛い、平地で仕留める」

 

「了解、ルートを提案する」

 

 

 

 こんな奴は敵じゃない

 

 チェイサーはここら辺にいる四種類のエンダーズのなかで最も弱い部類の敵と言っても差し支えない。

 

 容易に先手を取れる目と耳の悪さ、弱点のコアを晒す単調な攻撃、クレイドルで振り切れる機動性

 

 

 

 ……だが、俺達雑兵の命を最も奪ったのは間違いなくこいつだ。

 

 

 

「射撃位置についたが、同時にチェイサーがこちらに気づいたぞ。焦るな悠長に首を振ってる。よく狙って的を絞れ」

 

 

 並みの小銃なんて寄せ付けない巨体で獣のように執念深く狙った的を追い続ける追跡者(チェイサー)

 

 クレイドルなしでコイツと出会っちまった部隊はなすすべもなくその禍々しい顎に咀嚼され、引き潰される。

 

 

 俺はコイツに戦友(ダチ)を両手の数じゃ足りない程に殺された。

 

 

「今だ」

 

 

 大抵のものを粉みじんにする大型ライフルの反動、腕部で支えきれなかったその衝撃は鉄の中に押し込められた俺の鼓膜を叩く。

 

 射撃は連射せず切れ、なんて基本動作も頭にないくらいの連続射。

 

 上に跳ねる銃は目標をそれて、体に当たり、それでも打ち続けると体にすら当たらずに、接敵を許す。

 

 

 とうとう目前まで近づいたチェイサーの顎がグロテスクに開かれ、耳を抑えたくなるような不快な声で吠えたてた。

 

 

「サブマシンガンで撃て!」

 

 

 真っ白な頭、その中で唯一聞こえた言葉に俺は従う。

 

 

 備えていたもう一丁の武装を引き抜くと、その口の中に弾丸をぶち込んだ。

 

 

「うるせぇんだよえぇぇッ!!!犬はぜってぇそんな声で鳴かねぇだろうがクソッたれがあぁぁぁッ!!!!!」

 

 

 捩じれた鉄同士をこすり合わせたようなつんざく悲鳴を無視して、俺はチェイサーがぼろ切れと見紛うほど弾丸を撃ち込んだ。

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 

 

 息も絶え絶えな俺の横から諫めるような声が聞こえる。

 

 

「弾薬の使い過ぎだ。容易に補充できない地上ではリスクだぞ」

 

「……わりぃ」

 

 

 俺はエンダーズ一匹で息を切らす自分を恥ずかしく思い俯いていると、目線の先にある自分の手に彼女の手が伸びる。

 

 

「俯くな、一歩一歩やればいい、君はエンダーズに抗えた男だ。何を恥じる必要がある。前を向け」

 

 

 あぁ、クソ、またこれだ。

 

 ほんとかっけぇなぁ、アンタいいヤツがすぎるんだよ……。

 

 

「……そもそも生きて帰還するまでがドリフターの仕事だ。前を向いてみろ何が見える?」

 

 

 俺の前にはAO結晶の塊がある。

 

 

「……つまり稼ぎの時間だな」

 

「よろしい」

 

 

 

 俺は腕に収納されたドリルをAO結晶に突き立て無事にブツを回収する。

 

 

 その後、帰還エレベーターに向かって移動するが道中で大きな波乱はなかった。

 

 

 その最中で様々な物資の採取にも成功した。

 

 

「ユナイター、物資を見つけたぞ軍手*2だ」

 

「は? 軍手……? そんなもんそこらに落ちてるだろうが……、って重さ100ゥ!? なんでだよォ!!」

 

「そういうものだ」

 

「あっ、施設整備用の資材が詰まってるヤツを軍手って呼んでるとかか? そうなんだよな?」

 

「そういうものだ」

 

「えっ……?」

 

「そういうものだ」

 

 

 どんな質問にも答えてくれる相棒は何故か同じ答えを繰り返す。

 

 俺は怖くなってそれ以上の追及を止めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな風に順調に資材を集めながらエレベーターのすぐそこまでたどり着くが、俺は立ち止まる。

 

 

 

 

 目線の先には新手のチェイサーが道を塞ぐように居座っていた。

 

 

「高地を陣取られたな……、可能なら迂回して……」

 

「いや、機体重量が上がって機動性が落ちてる。迂回途中で見つかる方が手間だ。距離は丁度良いからこのままやるぞ」

 

 

 射撃の基本を思い出す。

 

 照準は補正して勝手に合う、その鉄の腕でライフルを引付けて構え、おまけにセンサーアイは銃をぴったりと覗いてくれる。

 

 ここまでお膳立てされて当てられないのは、単に俺が落ち着けてねぇだけだ。

 

 

「だが上方への射撃は難度が高い、精度が――」

 

「アンタがいる」

 

 

 俺は周りを見回して邪魔が入らないことを確認すると、頭を真っ白にして銃を構える。

 

 さっきのチェイサーとの戦いで一番いい動きがあれだった。

 

 

「――落ちてしまうから回避を…………、いや、違うな」

 

 

 俺は俺なんて欠片も信用してない、なら俺はアンタとジャックボックスを信じて動かすだけだ。

 

 

「次はみせてくれよユナイター」

 

「アイマム」

 

 

 大きく息を吸い、吐く、そして数口分の呼吸を吸い込むと息を止めた。

 

 そんなことをしても意味はないだろう、JBは俺と違って手ブレなんてしないし、彼女の照準は正確なのだから。

 

 これはそんな彼らの信頼性に傷をつけないように、己をただの引き金に見立てるための小さな儀式だ。

 

 

「補正完了、敵が振り向くぞ………今なら撃て――」

 

 

 彼女が“うて”と言う二文字を発した瞬間、俺は引き金を引いた。

 

 リズミカルに指を切ってのバースト射撃。

 

 その弾丸は予定調和のようにチェイサーの頭のコアに吸い込まれていく。

 

 

 断続的に急所へ打ち込まれる弾丸でチェイサーは怯み、頭を振り乱しながら坂を下ってくるが、そんな動作の意味すら俺の頭の狭いキャパシティでは半分も理解できていない。

 

 

 ただ俺の頭を空っぽに、相手の頭に穴を開け続ける。

 

 

「横に避けろ」

 

 

 その言葉に弾かれたように俺は横に飛び出すと、チェイサーがさっきまでいた場所に崩れ落ちるように倒れ込んできた。

 

 

 チェイサーは既に絶命していた。

 

 

「見事だユナイター」

 

 

 俺はその言葉を聞いてようやく意識を浮上させることができた。

 

 

「前回の行動から上手く修正したな、それだけでも今回の探索の大きな収穫だ」

 

「………気を抜くのは生きて帰るまでだろ? はやくエレベーターに乗ろうぜ」

 

「おっと、そうだな、私も君を見て少しはしゃいでしまった。喜ぶのは拠点へ帰還してからとしよう」

 

 

 後はエレベーターに乗り込んで帰るだけだ。

 

 エレベーターへ帰還申請を送る。

 

 

「……人間の成長は早いな、初めの訓練でせり出すエレベーターの上に乗ってしまい、驚いた君が落ちてしまったあの時に比べて見違えた」

 

「その話はマジでやめてくれ」

 

 

 訓練通り周りを警戒しながら待っているとそんな話を持ち出す彼女に俺は苦笑する。

 

 あの時は普通におりれば耐久上問題なかったのに、動揺したままエレベーターの外に飛び上がって(ジャンプで)落ちたせいでクレイドルのシャフトを歪ませてしまった(ダメージを受けた)ことを思い出す。

 

 

 そんな苦い失敗を思い出していると、巨大エレベーターが地面からせり出した。

 

 クレイドルを飲み込むそれは、まるで巨大な塔のようだ。 

 

 

「もうすぐエレベーターが下降する」

 

 

 大きなブザーの音、その音がだいたい六つ鳴るのが合図*3だ。俺は最後まで油断せずにエレベーターに乗り込む。

 

 

 行きとは違い、内臓が持ちあがる加速度を感じながら俺は操縦デバイスを握る。

 

 

「地上より帰還、よくやったユナイター」

 

 

 その一言で俺は全身の力を脱力させた。

 

 

「結晶の方は最低限だが、素材の方はそれなりに数を集められたな」

 

 

 帰った後は報酬の精算、手に入れたAO結晶は協会が仲介して報酬が渡される。

 

 売値に比べれば鼻クソみたいな金額だけがこちらに残るが、それでもその稼ぎを前に緩む口を抑えきれない。

 

 

 

「すぐに今回の探索の振り返りを行うからそのつもりでいろよ?」

 

「分ってるって」

 

 

 集めた素材も、拠点の強化に使えるものばかりを運よく拾えた。

 

 とりあえず目に付く物は片っ端から拾った大小様々な素材

 

 俺は移動の待ち時間でそんな戦利品達を眺めて達成感に浸っていると、ふとあることに気づく。

 

 

「……ん? なぁ軍手は重さ100なんだよな」

 

「そういうものだ」

 

「そ、それは分った! だから違くて、この俺の拾った鋼材、これも重さ100だよな?」

 

「そうだな、実際の重さではないがクレイドルの積載量から簡易的にそう表記してる」

 

「まぁ、軍属の時、陣地設営もやってたんだがこのタイプの鋼材って大体100キロなんだよ」

 

「そうなのか?」

 

「メイガスも大体それくらいの重量だよな?」

 

「……ユナイター、女性の体重をそうも大っぴらに……、まぁ事実我々メイガスの重さはそれぐらいだがもう少しデリカシーを持て」

 

「でもよ、おかしくねぇか? だってクレイドル上でメイガスの重量はさんびゃ*4……」

 

 

 

 俺は彼女の視線にチェイサー以上の冷たさを感じる。

 

 

 

「そ、そういうものなんだろ分かった! 分かったもうこの手の話題は出さない!!」

 

「……今日はみっちりと振り返りをしようかユナイター」

 

「待ってくれ!!」

 

「そういうものはそういうものなんだ。ユナイターにはそれを体で理解してもらう」

 

 

 

 

 

 その後の振り返りは長く、長く、そしてとても長く続いた。

 

 

 

 

*1
無料で支給される最低限の武器、弾薬は別売りだが持っていなくとも1マガジン分がリロードされている。これと無償でもらえるJBで実質ノーコストで地上へ出撃できるため、失うもののないノーガード探索を行う悲しきドリフターは意外に多い

*2
拠点強化の進行上で序盤に必須となり、なおかつ不足しやすい素材、高級機体を乗り回すようになってもそれを見ると一瞬だけ初心を思い出し、持って帰るか迷ってしまう一品

*3
帰還エレベーターの下降時にメイガスのアナウンスはあるが、外的な要因でそれがズレてしまうことが多い中、このブザー音で帰還タイミングを計るドリフターが多くいた。しかし、さるアップデートで突然このブザー音が削除されてしまう事態が発生した。これは運営が我々を苦しめるためにワザと消したのではと噂になる中、後日公式から衝撃の事実が発表される。……なんと、そもそもこのブザーが連続で再生されること自体が運営が意図しないバグであったというのだというのだ。動揺するドリフターを置き去りに折角だから元の連続して鳴る仕様に戻すと告げられたドリフター達の衝撃は計り知れない

*4
シーズン2に向けてのアップデートにより汎用的な低レア素材の重量は半分の50となったため探索がより捗るようになる。……同時にこの場合の想定ではメイガスの重量の仮定は倍の重さとなる




メイガスはいつもあなたの傍に!
互いに背を任せてこの激動を生き抜こう!!
最高の相棒と荒廃した世界を自由に生き抜く『SYNDUALITY Echo of Ada』発売中!!!!
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