背中を晒す3流ドリフターはアンドロイドと一獲千金の夢を見るか?   作:ばばばばば

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つよい、おおきい、かっこいい(小並感)


男はロボットが好き

 

 

 

 ドリフターライセンスB試験

 

 その試験内容は一体どのようなものであるか心して確認した俺は肩透かしを食らう。

 

 

「上位のAO結晶掘削機をクラフトして、低濃度より高品質のAO結晶を20個持ち帰れだ?」

 

 

 この条件で前者のミドルグレードのAO結晶掘削機は店売り、比較的に安価で入手できる程度であるため、今も装備して出撃している。もちろん今すぐにでも作成可能だ。

 

 そして後者はその掘削機を使って濃度の高いAO結晶を掘れば出てくるため、今まで何個も回収に成功していた。

 

 

「つまり君は今まで通り、素材を集めながらAO結晶を掘って来いということだな」

 

 

 確かに協会の奴らはことあるごとに、俺達協会員ドリフターの価値はどれだけ結晶を持ってくるかだと声を大にして喚いていたが、こんな試験内容でいいのかと思わなくもない。

 

 

「君は慣れて忘れかけているだろうが、地上は命の保証などない危険地帯だ。そんな場所で任務を遂行するというのは君の思う程に易しいものではない、まぁつまり協会への誠実さを奴らは測っているのだろう」

 

「そんなもんか……、いやそうだな、思えば何かの拍子にポックリ逝ってもおかしくねぇよなぁ……」

 

 

 彼女のそんな今更な話で自分の命の軽さを再認識した俺は、改めて気を引き締めるのだった。

 

 

 

 

 こうして俺はいつも通りの採掘と素材集めに奔走する。

 

 多少は慣れたもので、出撃すればとりあえずの目的に沿ったルートは自然と頭に浮かぶし、以前のようにエンダーズ一匹程度で取り乱したりもしない。

 

 

「チェイサーがいるぞ」

 

「了解……、っと」

 

 

 進行方向のチェイサーを切り伏せながら進む俺は、以前と比べればドリフターらしくなったんじゃないかと自分でも思わなくもない。

 

 

「クロウラーに発見されたぞ」

 

「無視だ無視、付き合ってられるか」

 

「以前のように雑な動きで爆発に巻き込まれてくれるなよ?」

 

「分かってる」

 

 

 ここらで見かけるエンダーズ、クロウラーという爆弾に足が生えたようなコイツは全くもって弱いと言いきって問題ないが、その厄介さはこちらの気のゆるみに漬け込む手合い。

 

 大抵は2体一組で行動するこいつらはこちらを発見すると、その短い脚でちょこまかと突進し自爆するハタ迷惑なヤツだ。

 

 基本的に遠距離から仕留めるか、ある程度の距離を離せば勝手に自爆するので本腰を入れればその脅威度は低い。

 

 ……低いのだが気が緩み油断した時に限って、手痛い攻撃を食らってしまうので注意は必要だ。

 

 俺は十分なエネルギーの余裕をもって、回り込むように移動し、後方でクロウラーが爆散する音を後ろに聞きながら目的地へと向かう。

 

 

「ユナイター、AO結晶発見、濃度はそれなりだな」

 

「この大きさなら、これで20個は達成できそうだぜ、本当にいつも通りにやって達成出来ちまったな」

 

 

 協会からの試験の通知の後、特にその試験内容を気にかけることなく、普段通りに仕事をこなせばいつの間にか俺は試験内容を達成目前としていた。

 

 

「その普段通りをこなせる人員を協会は求めていて、君はそれに見合う十分な実力を持っているということだ。ただし……」

 

「帰るまで油断するなってんだろ? 分かってるさ」

 

 

 そんなお決まりの言葉に俺は苦笑しながら返事をし、無事に拠点へと戻ることが出来た。

 

 

 

「おめでとうユナイター、これで後は申請を行うだけで、君は晴れてB級ライセンス持ちのドリフターとなる。」

 

「おぉ、……つっても、実感わかねぇな」

 

「嫌でも分かるさ、一応はまだC級であるが、B級に昇級すると何が変わるかは覚えているか?」

 

「一応はな」

 

 

 実際、ライセンスといっても何か送られるわけでもなく、俺の協会員の情報に電子上でライセンスが付与されるだけらしい。

 

 だがB級のライセンスを持つこと。

 

 それはドリフターにとって大きな意味がある。

 

 

「前も言ったがB級ライセンスを所持することで、君にはドリフターとしてより上位の権限が付与……、というよりは強制される」

 

「前に聞いてたが、南方に出撃できるようになるんだろ?」

 

 

 俺達が普段出撃している場所はアメイジア系ネストに近い比較的安全な東地方北部の地域、加えて危険性の少ない日に出撃している。B級になればエンダーズが多い南方へ出撃許可が下りることは聞いていた。

 

 リスクもあるが、ドリフターの本分としてエンダーズは間引かなければならない。

 

 権利と義務、その本分を果たすための義務がB級には発生する。

 

 だが、彼女の真剣な顔を見れば懸念はそれだけではないことも分かっていた。

 

 

「今後君はよりブルーシスト濃度の高い日にも出撃するよう協会に割り振られる。とはいっても具体的にエンダーズの脅威がそこまで上がるわけではない、問題は……」

 

「賞金首共のことだろ?」

 

 

 今まで俺達は比較的危険の少ない場所と時期に出撃を制限されていた。

 

 ブルーシスト濃度が薄いこともそうだが、地上のネストの動きが活発でないタイミングでの出撃、つまり今後は賞金首と出会う可能性がある場所に出撃するということだ。

 

 

「現在、アメイジア系ネストは北方に集中し、元よりいた地上系のネスト民は南方にいる。というよりそこら辺の話は君も知ってるだろ」

 

「まぁな、俺達アメイジア系ネストが元の地上の奴らをエンダーズの多い南方に押し出したみたいなもんだからな、南方は賞金首共の根城だ。こっちを目の敵にしてると考えて間違いはねぇ」

 

 

 北方のエンダーズが少ないのは元アメイジア系ネストの奴らがかなりの掃討作戦をしたことも少なくない上に、ここがそもそもアメイジアの真上なのだから批判はお門違いだと言いたいが、奴らからすれば地上は自分たちの土地という感覚なのだろう。

 

 

「地上の奴らは俺達アメイジア民を敵視してるけどよぉ、奴らは昔から俺達アメイジア軍がエンダーズを掃討した外周に拠点を勝手に作るし、地上の物資と交換でこっちの横流しした生活必需品を当てにして暮らしていた。お互い様さ」

 

 

 そう言いながらも自身の考え方がアメイジア寄りであることに気づくと、俺は自分を鼻で笑う。

 

 

「はっ、そう言いながら俺も根っこは元アメイジア民、多少の色眼鏡でアメイジア贔屓に考えちまうが、それでもよくもまぁ少ない人類で争うもんだぜ」

 

「アメイジア周辺の物資と技術力を考えればこの滅んだアメイジアを抑えることは、今後の情勢を支配するも同義だ。しばらく争いは収まりそうもないな」

 

 

 それでもアメイジアは滅びたのだ。

 

 今更それにこだわる必要も今の俺は感じない。

 

 

「技術だってここまで広まってるんだ。わざわざこの狭い場所で殺し合う必要もねぇ……、素直に外に向かっていけばいいのによ」

 

 

 気の滅入る話に俺はため息をつく。

 

 その気配を察した彼女は気を利かして別の話題を提供してくれる。

 

 

「私は君のその考え方が嫌いではないが、そう考えることはアメイジア民の中じゃ珍しい、知ってるか? いま旧アメイジアの者で地上にいることに恐怖を覚える者が多いらしい」

 

「あぁ、昔の軍でもいたなそんなの」

 

 

 なんでも、何もない空が怖い、眩しすぎる太陽が怖い、空の蓋のように見える月が怖い、自然から漂う匂いがクサい、小さな生き物が多すぎる。

 

 とにかく開けた場所と実際に見る地上の自然環境に合わず、体調を崩す者が結構な人数、軍にもいた。

 

 

「旧時代では長い間に閉所で暮らしていると起きる精神失調を一種の閉所恐怖症……、キャビンフィーバーと呼んだらしい、アメイジアではなくなった精神疾患だが、今は真逆だと思わんか?」

 

「へぇ、じゃあこれはさしずめ()所恐怖症ってとこか?」

 

「残念ながら開所恐怖症とは意味は違うが別に広場恐怖症(アゴラフォビア)として同じ名前があるぞ」

 

「はっ、なんだそれ」

 

 

 まぁ、雨が降るかもしれない所に恐怖を感じるのは今のご時世仕方がないのだろうか。

 

 そんな風にその雑学を聞いていると、ふと彼女がこちらに問いかけてくる。 

 

 

「君はそういった不安を感じないのか?」

 

「俺は狭い場所も広い場所も好きだぞ、叶うなら一日中コフィンでフィーバーしてこの地上を駆けまわりたいぐらいだね」

 

「なるほど、君はドリフターになるべくしてなったようだ」

 

「別にそんなんじゃねぇよ」

 

 

 クスクスと笑う彼女。

 

 

「そうだな、じゃあ君はどうしてそんなにクレイドルが好きだったんだ?」

 

「逆に聞きてぇんだけどロボットに憧れないガキがいるか?」

 

「……いるんじゃないか?」

 

 

 いないだろ! そう大声が出そうになる気持ちを抑えて、俺は彼女に異を唱える。

 

 

「いいか? 男は幼少期に多かれ少なかれ機械というものに惹かれていく性質を持つ、乗り物ロボ系、合体ロボ系、人型ロボ系、工業ロボ系、巨大ロボ系、これらのどの系統に何個当てはまるかでそいつの性質が分かるのさ」

 

「ふむ、新しい知見だ」

 

「俺はこれをロボ見式と名付けた」

 

「じゃあ君は?」

 

「俺は断然、人型ロボだぜ!」

 

「言われてみればクレイドルコフィンも二足歩行だな」

 

「いいやクレイドルは巨大ロボの分類だ。いいか? 巨大ロボはもうその時点で人型は前提、さらに乗り込んで操縦できるクールなヤツだ。俺が言ってる人型ロボットってのはアンドロイドやヒューマノイド、つまりメイガスみたいな……」

 

 

「……私が好きなのか?」

 

 ……俺は馬鹿なのか?

 

 

「……とにかく、男は絶対にロボットに惹かれる運命(さだめ)で……」

 

「待て、逃がさんぞユナイター、君はメイガスが好きなのか?」

 

「いいか? 人型ロボットの魅力はただの労働力としてではなく、人類の盟友として未来を共に切り開く可能性を……」

 

「誤魔化すなユナイター、私の質問に答えろ」

 

 

 俺はもはや言い逃れが出来ない状況であろうと、誤魔化しに誤魔化しを重ね、彼女に対する明言を避け続けた。

 

 

「むぅ……、これは重要な話だぞユナイター、我々メイガスは人類の良き隣人であろうとしてる。そのフィードバックは是非聞かねばなるまい」

 

「メイガス三原則だな、第一に『契約律』メイガスは、人ひとりと契約を結ぶ。メイガスの側から契約を解除することはできない。二つ目に『隣人律』メイガスは、人類の良き隣人として契約者に寄り添う。最後の三つ目は『成長律』メイガスは、第一、第二の原則に反さないかぎり、契約者と自らを成長させなければならない。ただし成長の定義は契約者との関係性のなかで常に更新する。……だっけな!」

 

「教科書のような説明いたみいる。だが誤魔化されんぞ」

 

「思えば、アメイジアにもメイガスを危険視する奴等がいたな、いずれ人類を滅ぼすと本気で思ってやがったみたいだが、この手の創作は旧文明にもあったみたいだなぁ!!」

 

「こいつ……、今度は社会派な話題で煙に巻くつもりか……」

 

「まぁその前に人類が勝手に滅びそうだから余計な気苦労なんだけどな、ガハハ!!!!」

 

「そうかそうか、それで君は私のどこが好きなんだ?」

 

 

 だめだ。全然逃がしてくれねぇ……。

 

 俺は観念して彼女へ当たりさわりのない話をする。

 

 

「俺は小さい時に施設に預けられてたんだが、そん時に身の回りのことをみてくれてたのがアンドロイドだったんだよ、好きってのは感謝とか憧れとかそういうので、決して変な意味じゃねぇ……」

 

「なに?」

 

 

 だから決して下心ではないことをここに誓わせてもらう!

 

 

「……君の御両親は?」

 

「あ? 親父は軍属でもう死んでるぜ。作戦中に死んだって言われたが、多分消されたなありゃ、死ぬ少し前に慌てて俺と外に逃げる準備をしてたがその直後にMIAだぜ? 俺の母親は……、まぁ詳しく聞いちゃいねぇが、今に思えば多分地上の人間だったんじゃねぇか? なんかそれっぽいこと言ってたわ」

 

「それは……」

 

「最初は親父のこと商売人だと思ってたんだよな、なんかよく分かんねぇ機械を汚ねぇ大人に……、今に思えば地上の奴らに物資を横流ししてたんじゃねぇか? ……そりゃ消されるよな」

 

 

 煩雑に所狭しと機械が置かれた部屋。配線や基盤剥き出しの機械の数々、触ると怒られるので穴が開くほど眺めて、一体何の機械だろうかと想像した楽しくも懐かしい思い出。

 

 

「結構惜しかったと思うんだよなぁ、次帰ってきたら貯め込んだ隠し財産を担いでとんずらしようって話してたとこだったのに」

 

 

 もしかしたらあの時のワイン、リアルアルコールも旧アメイジア物流施設の隠し場所に今も置いてあったりするのだろうか。

 

 

「いや、まじで自分のこと普通のアメイジア民かと思ったら、親父が死んだ後に “貴方はアメイジアの市民IDを持っていません” だぜ? 流石にビビったわ、まぁでも俺がガキだからって慈悲をかけてくれたことは少しはアメイジアに感謝してるぜ」

 

 

 自然とドックタグについている樹脂製の玩具を手でいじってしまう。

 

 

「じゃあ、前に君の父上から貰ったと言ってたそれは……」

 

「今となっちゃ形見みたいなもんだなぁ……、このターレットレンズみたいなのがイカすだろ? 頭身もクレイドルに似てるし」

 

「……だから君はクレイドルを好きになったんだな」

 

「いや、親父が兵隊だって分かってよ、毎日エンダーズに殺されかけた愚痴を聞いててな、でもクレイドルは親父を守ってくれるだろ? 強い! 大きい!! かっこいい!!! これに憧れなきゃ男じゃねぇぜ」

 

「そうか……」

 

 

 彼女は黙り込んでしまう。

 

 なぜか追及の勢いが萎んでいることを不思議に思うが、少し間をおいてその理由に気づく。

 

 

「なぁ、まさか今、アンタは俺に同情してるのか……?」

 

「……いや、すまない、私は」

 

 

 

 

「俺を憐れんでるのか?」

 

 

 

 

 彼女の目をのぞき込むと、気まずそうな、どこか不安を含んだ表情をしているのが分かる。

 

 俺の身の上話を聞いて、俺が惨めだと決めつけて同情してる。

 

 

「非礼だった。私は別に君を――」

 

 

 それに気づいた俺は――

 

 

「おいおい、今俺は最高にハッピーだぜ!」

 

 

 やった! さっきの話題から、なんかよく分からねぇが逃げ切れそうだぞ!!

 

 

「アンタが隣にいて、ジャックボックスに乗って俺はドリフター! 泥を啜っても生きてみるもんだぜ!!」

 

 

 なぜか呆気にとられた。これもめったに見れない珍しい表情を浮かべる彼女は、一拍おいて笑いだす。

 

 

「フッ、フフフ……、やはり君はドリフターになるべくしてなったようだ」

 

「そうか? まぁよく言えば俺の執念の勝利だな」

 

「『成長律』か……、今更だが、私はドリフターとしての今後ばかりではなく、もっと君の話を聞くべきだった。今後の成長のためにもな」

 

「ぐっ……精進する」

 

 

 先ほどの話を蒸し返されるのではと身構えかける俺の姿を見て、彼女はさらに笑った。

 

 

「君じゃなくて私の成長さ」

 

「あ? これ以上、アンタに成長されてもドリフターとして俺がついていけねぇよ……」

 

 

 その言葉に、彼女はすこし意地悪そうな顔を浮かべて、B級ライセンスの申請画面をこちらに見せる。

 

 

「じゃあB級ライセンスは申請しないのか?」

 

「それ聞くか?」

 

「では直ぐに申請しよう」

 

 

 短い電子音の後に彼女はこちらに目を向ける。

 

 

「南地方の情報はすでに集めていた。出撃する前に注意すべき情報をみっちりと頭に叩き込んでもらうぞ」

 

「……了解」

 

 

 

 流石すぎる段取りの良さにめまいを覚えてしまう。

 

 

 

 

 こうして俺はこれからB級ドリフターとして地上で戦うことになるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




君もそろそろ『SYNDUALITY Echo of Ada』のことが気になってきたんだろう?

本編ではここまでがチュートリアル!

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