「ただいまー」
「直哉? 任務はどうしたのだ」
「ちょっと厄介な呪霊にあって、体感時間で5年ほど迷ってな。直近の任務とか何も覚えてへんわ。とりあえず食事にさせてや」
懐かしいものの、メシマズで総合的に微妙な食事をしながら、考える。
直哉は転生特典で世界間移動をできる様になっていた。
そして、契約召喚で人を召喚する事もできる。とてもチートである。
また、魔力で倒す事で呪霊を魔石に変換できる様にもなっている。
しかし、直哉のサモンは魔石をバカ喰いするし、魔流の拳についても同様だ。
そして召喚したモンスターは見えるし、魔流の拳は今の直哉の練度では自爆技と言っていい。
「まだ4人の力を借りた方がええなぁ」
まあ、それも困った時にとっておき、伏せておいた方がいいだろう。なにせ、羂索という呪詛師がいるのだから。それと、灰原の世界で力を使ってみて反応を見るのもありだろう。甚爾くんの世界には入り浸りたいし、傑くんの世界で無茶するのも怖いし、里香に関してはいうまでもない。灰原自身も、迷わず力を使うだろう。というか灰原はそうしないと詰む。なので、メインは灰原の世界。
この世界では、目立たず、騒がず。最適解を他の世界で試行錯誤してから、介入するのだ。誰だって鉄火場に突っ込みたくはない。
要所でのみ介入していくのだ。
そう、直哉は決意した。
まずは。
「雄くん助けに行かんとなぁ」
自然に。そう、自然に助けるのだ。
雄は孤立しがちな自分をよくフォローしてくれたし。いや、雄が雄ではないことはわかっているのだが。
あと、夏油の離反。
おそらく、加茂家、その背後の黒幕が動いているので、一回防いだくらいでどうにかなるとは思わない。
七海と共に、引退してもらおうと決意する。
問題は、自分が説得の類が下手だということ。
……自分に説得させればええか。
食べ終わって、ごちそうさまをした直哉は、任務に向かう事にする。
とりあえずは、魔石を得られるよう、ソロ依頼を増やそうか。
「一級嘘やん!!! 強いわ!!!」
ゼーハー言いながら、直哉は不平を口にする。
直哉の手の内で、産土神は大きな光る石になった。
「あ、あの。ありがとうございます!」
「直哉さん、でしたっけ。禪院家の」
「直哉でええわ。雄くん、話があるんやけど」
「僕ですか? なんでしょう」
直哉が何故か腰に差していた杖で地面を叩くと、魔法陣が現れる。
そこに直哉が石を起き、魔法陣が輝く。
現れるのは、夏油傑と灰原だった。
「夏油先輩!? 僕?」
「直哉、うまく行ったみたいだね。話は長くなるけど、聞いてほしいことがあるんだ。いいかな?」
「後は、私をなんとか呼び寄せるだけだね。七海、呼んでくれないかな」
雄くんの2人への説得は上手いこといった様やった。
問題は夏油に対する説得である。
「私が……悟の足手纏い、に?」
「いや、そんな事はある、のか? とにかく、理子ちゃんをどうかさせられなかった以上、私は狙われるんだよ。だから……」
「だから私に逃げ隠れしろって言うのか、逃げろって言うのか! 悟の足手纏いにならないように!」
「メディック! ついでにヒール」
「あっ……ひどいなー傑くん。それで誤魔化すんや? まあ、ノイローゼ気味になってるみたいやし、有効ではあるやろうけど……。睡眠とか美味しい料理とかなぁ」
「今のは?」
「反転術式だよ」
キリッとした顔で言う傑くん。誤魔化せるんか?
そもそも力を隠すよう、お願いしたはずなんやけど。
「私にもできるかな……」
「それは君次第かな。現状、悟を攻撃しようとする大きな力があるのは信じてほしい。そして、それに勝てるほど私も悟もまだ強くない。だから、ここは屈辱を飲んで隠れてくれないか。数は力。君が集めた仲間が、未来で宿儺を倒す一助にもなる。あ、美々子と菜々子を助けてた上でね」
「わかったよ」
説得が済んだので、自分はなんとかその場を誤魔化して離脱することにしたのだった。