じゅじゅダンジョン!   作:かりん2022

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吟遊詩人甚爾の場合

術式ではないが、スキルを手に入れた。

必死の努力で曲を弾けるようになった。

5年かけて、弾けるようになったと自信をもって言えるのは一つだけ。

慈愛の聖譚曲。これが未来の嫁の病気なりなんなりを癒してくれるはずである。

辛抱強く手伝ってくれた楽師達には感謝に絶えない。

病気によく効くポーションも貰った。

甚爾は、少しドキドキしながら運命の出会いをまった。

そして。運命にあった。

 

別に殺さずとも、金はいくらでも稼げる。

このスキルがあれば!

 

 

 

 

 

恵まれた俺。恵まれた妻。恵まれた息子。

幸せってこう言うのを言うんだと思う。

 

そう思っていた。

 

他の4人との交流もどうでもいいと思っていた。

召喚を断った。

直哉が来た時も、けんもほろろに追い返した。

 

 

 

 

 

 

 

バカだった。

 

 

 

 

 

 

妻子を人質に取られ、俺は天内理子を襲撃する事になっていた。

背後にいるのは羂索。知っていたはずだった。知ったつもりになっていただけだった。

俺が平和ボケして動かなかったばかりに……。

 

依頼は成功させるしかない。

傑の戦い方は承知してる。俺は覚悟を決めた。

 

 

 

 

 

「なあ。お前が呪専の為に歌うなら、奥さんと息子さん助けてやってもいいぜ!」

「! 飲もう。だけど、天内理子はどうかさせないとてめーらの首を絞めるぜ、天元様は進化すると呪霊操術で操れるようになるからな。夏油傑を狙う勢力もある」

「は? ……マジで?」

「私かい?」

「マジだ。それ狙いでお前らを仲違いさせる計画もある」

「オーケー。全部話せ。天内とはきちんと話すわ」

 

 結果、天内理子は納得の上、同化された。

 

 そして俺は、妻子と共に呪専に入り、研究にも協力する事になった。

 禪院家と揉めたりもしたが、五条派閥に入る事で嫁の安全を確保する。

 五条派閥への攻撃が激しいとはいえ、信頼できる派閥はそれしかないし、家で預かって貰えば安全は保証できるはずだ。

 お礼はもちろん歌。

 禪院家を宥める為に、将来的に恵に禪院家に行ってもらう事にした。

 オメーの母親のためだ、頑張れ恵。

 それから2人目の子供、女の子の歌も生まれ、俺は平和を謳歌した。

 

 だが、そうだな。

 黒幕を倒せたわけじゃねぇ。

 直哉がまた来たら、その時には考えるか。

 

 

 

 俺は思いもしなかった。

 ちょうど召喚から10年経ち、黒幕との決戦に引っ張り凧になってしまうなんて。

 宿儺3連戦とかほんと勘弁しろ。

 

 10年後に俺も手伝ってほしいから、手伝うがな!

 あと、里香は手伝ってやらなかったのいい加減許せ。

 

 未来の恵が見れるのも、それをネタに恵を揶揄うのも悪くはない。

 

 プレッシャーを溜め息一つ吐くことで切り替え、自分に気合を入れて召喚に応じるのだった。

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