「灰原ー! !?」
「よっと。ただいま、七海! メテオストリーム!」
「灰原ー!?」
隕石を大量に打ち出し、呪霊を倒して魔石にした。
そうして、僕は唇に指を当てて、イタズラっぽく笑った。
「内緒だよ、七海。僕、魔法使いになったんだ」
「秘密にするなら、もっと地味な物にしてください。というか、なんですかあれは? なんなんですか!?」
「落ち着いて七海」
混乱する七海を落ち着ける。
そうして、事情を説明した。
「異世界で、5年頑張ってきたのですか」
「そうだよ」
「なんだか、置いて行かれてしまった気分です」
「そうかな。でも僕は知ってるよ。七海が将来、とても強くなるってこと。ようやく追いつけるね。すごく嬉しいよ」
「未来の話を、もっと聞いてもいいですか?」
異世界で頑張ってきました! という方針は早々にカミングアウトした。
同期にも先輩にも。
「異世界? すげーな! メテオ見たい!」
「別の時間軸の私も召喚されたって話だけど、悟は召喚されなかったのかい?」
「ヒーラーらしいな、そっちの夏油に会いたい」
先輩達は信じてくれて、早々に会う機会を作る事ができた。
せっかくだから、子供達も呼んで、盛大にガツンとやる事にした。
美々子ちゃんと菜々子ちゃんも依頼を待たず、この日に合わせて救出してしまう。
直哉が訪れ、夏油さん、里香ちゃんを呼ぶ。甚爾さんは来ないらしい。残念。
「サモン。シェルクラブ!」
魔法陣が輝き、大きな蟹が召喚される。
「のぼってもええんやで」
直哉は5年間で揉まれに揉まれてだいぶ丸くなったと思う。
楽しげに子供達を蟹と遊ばせている。
シェルクラブは本当に子供達に人気である。
子供達を乗せて歩いたり、あわを吹いたり。
五条先輩まではしゃいでいる。
だいぶ仲良くなった後、直哉は告げた。
「じゃあ、蟹さん料理するでー」
子供達はショックな顔を見せる。
こういう悪戯を覚えちゃったのは良くないかなー。
「ほら、皆。夏油さんが、空飛ぶ呪文を使ってくれるよ。蟹さんにバイバイして、別の遊びしようか」
「飛べるの!?」
「フライ!」
「浮いたぁ!」
「傑! 俺も俺も!」
「私も忘れんなよ」
ということで、フライで遊んでいる間に、フレイムという魔法で蟹を美味しく料理する。
「蟹さん、できたよー」
蟹を振る舞い、はしゃぐものが多い中、隅っこで夏油さんはその様子を伺っていた。
重症だな。メグルの言っていた、笑えなくなっていたってのはこちらの夏油さんもらしい。僕たちの夏油さんも、立ち直るのにすごく時間をかけていた。
僕は夏油さんに蟹を持って行こうとする。
「もが!?」
「傑! この蟹すげー美味しい」
グイグイと夏油さんの口に蟹を押し込む五条さんを見て、僕は微笑むのだった。
ああ、夏油さんも最強コンビに少し安心したように微笑んでいる。
誤解を解いて、メディックとヒールで夏油さんをたっぷり癒して。
また笑えるようになってもらおう。
不可能ではない、僕らは、5年かけてそれを成し遂げたのだから。