深紅の帝王、ヒーローになる   作:やっぱし侍

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割とD4Cとかキラークイーンも好きなんですけど、ジョジョ側の能力がエグすぎて二次創作じゃ登場させづらいというジレンマ。試験編です、どうぞ。




第4話  入試 その①

 

 

 

 大勢の受験生たちが行き交う校門前――紅城は白い息を吐きながら、周囲を見渡す。

 

(すごい数の人間だ……流石に日本有数のヒーロー科入試なだけあるな)

 

 ごく平凡な私立中学校に通い、大都市からほど遠い地域で生まれ育った紅城にとって、この数の人間を目の当たりにする機会など無いに等しい。

 

(結局、僕が通う中学からヒーロー科はおろか普通科の受験者すら僕以外に出なかったしなぁ……完全アウェイってやつだ)

 

 

 

 不思議と感慨深い気持ちになり、頬に自然と小さな笑みが浮かぶ。自分の“夢”へ近付いていることを実感しながら、新天地への第一歩を踏み出そうとした紅城は………思考に気を取られ、目の前の女性にぶつかってしまう。

 

 

「すいません。つい、僕の不注意で」

 

「いえ、こっちこそごめんなさい!……って、えぇ!?外国人?!」

 

 

 特徴的なオレンジ色の髪をサイドテールにまとめた快活そうな女子が、目を丸くながらこちらを眺めている。

 この手の誤解を受けることは、紅城にとって慣れたものなのだが――まぁ、あえて放置する理由も無かったので、丁寧に訂正を加える。

 

 

「いえ、僕は日本人ですよ。正真正銘のね。母がイタリア人なんだ」

 

「あ、本当にごめん!悪気があった訳じゃ……」

 

「大丈夫。普段からよく間違えられるし、そんなに気にしないで」

 

「……そう言って貰えるのは助かるけど……っていうか、最初から普通に日本語で話してたのに第一声が『外国人?』って……はぁ……」

 

 

 真面目で思いやりのある性格なのだろう。何やら一人で反省を始めてしまった少女に、紅城は苦笑を浮かべながら改めて話しかける。

 

 

「まぁまぁ。もうすぐ試験も始まることだし、ここで話し込んでいると他の受験者の邪魔になるかも……この続きは歩きながら話さない?」

 

「あ、うん。そうだね。そうしよっか」

 

 

 少しばかり落ち着きを取り戻したのか、少女は目鼻のすっきりとした端正な顔立ちを綻ばせ、太陽のようにあたたかな笑みを浮かべる。

 

 

「あ、そういえば自己紹介してなかったよね?私、拳藤一佳(けんどういつか)!君の名前は?」

 

「僕は紅城王司(あかぎおうじ)。よろしくね、拳藤さん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 筆記試験を終えた紅城は、直後に実技試験を控えていたこともあったため昼食を取ったあとすぐに、詳細な試験内容の発表を待ちながら雄英内の大ホールでリラックスしていた。

 

 

(筆記は……まぁ大丈夫そうだね。というより僕の場合、落ちる方が問題というか…………)

 

 

 5歳の時に睡眠学習(強制)を喰らった紅城からしてみれば、大分ズルしているような気持ちにもなってしまう。とはいえ、根が真面目な紅城は夢で得た知識に頼り切っていた訳でもなく、日々真面目に勉強を継続していたので結果が大きく変わる……という事も無かっただろうが。(尚、本人がその事実に気付く様子は無い)

 

 他の受験者に対して一抹の申し訳なさを感じつつ、背もたれに身を預けながらゆったりとした時間を過ごしていると、まばらだった大ホールの座席に受験生たちが集まり始め徐々に熱気が増していく。

 

(そろそろか……)

 

 

『今日は俺のライヴにようこそーー!!!エヴィバディセイヘイ!!!』

 

 

 登壇したプレゼントマイクが声を張り上げる。受験当日という事もあってか場内の雰囲気は冷え切っていたが、紅城はただ1人――ヒーローとしてのプレゼントマイクを観察していた。

 

 

(意外と鍛えた身体してるな……『声で攻撃する』ってシンプルな個性もかなり厄介だ。うん、流石ヒーロー)

 

 手元のプリントに目を落としながら物思いに耽っていると、いつの間にか実技試験の解説も終盤に差し掛かっていた。

 

『演習場には“仮想敵”を()()・多数配置してありそれぞれの『攻略難易度』に応じてポイントを設けてある!!各々なりの“個性”で“仮想敵”を()()()()にしポイントを稼ぐのが君達リスナーの目的だ!!……もちろん他人への攻撃等アンチヒーローな行為はご法度だぜ!?』

 

 

(僕の“個性”が活かせそうな内容で良かった。言っちゃ悪いけど、ヘタな救助支援よりシンプルな戦闘の方が好みなんだよね)

 

 頭の中で実技試験に向けた作戦を組み立てていると、ふと後方の席から芯の通った声が響き渡る。

 

「質問よろしいでしょうか?!」

 

「プリントには()()の敵が記載されております!誤載であれば日本最高峰たる雄英において恥ずべき痴態!!我々受験者は規範となるヒーローのご指導を求めてこの場に座しているのです!」

 

 

 眼鏡をかけた()()()()()()()()といった風貌の生徒が、垂直に腕を伸ばしながら声を張り上げている。

 色んな奴が受けに来てるんだなぁ、と少しズレたことを考えていると、眼鏡の少年はぐるりと横を振り向きビシッとした動作で指を指し示した。

 

 

「ついでにそこの縮毛の君!!!先程からボソボソと…気が散る!!物見遊山のつもりなら即刻雄英(ここ)から去りたまえ!」

 

「す、すみません…」

 

 試験当日、プロヒーローが登壇しているにも関わらず、名指しで注意されてしまう事態に会場内からクスクスと小さな笑い声が聞こえてくる。

 しかしながら、紅城は()()()()()()()()が、脳みそから宇宙へブッ飛んでしまうほどの驚きに支配されていた。

 

(彼は……!あの時の商店街の!というか、隣に居るのはヘドロヴィランに捕えられていたヤツじゃあないか?!まさかここで再会するとは……同い年の雄英志望だったんだな…………)

 

 

 ふと紅城の脳内に懐かしい言葉が浮かび上がる。

 その言葉を発していた人物のことを尊敬する気にはなれないが、彼の言葉には不思議と説得力があった。

 

(『人の出会いは引力』…………人は出会うべくして出会い、また互いに引きつけ合う。もし、この世界に『運命』と呼べるものが存在するなら……)

 

 柄にもなく詩的なことを考えてしまった紅城は自嘲気味に笑みをこぼす。

 

「実技試験か…………手を抜くつもりなんかサラサラ無かったけど。うん、彼らも一緒に受けるって言うんなら……ちょっと燃えてきたな」

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、また会ったね!」

 

「あ、拳藤さん。さっきぶり」

 

 実技会場に集められた受験生たちが、柔軟体操に勤しんだり緊張感からソワソワとした様子で試験開始の合図を静かに待っていたとき――自分に気付いた拳藤が、「にしし」とはにかみながらこちらにVサインを向けてきた。

 

 

「一佳、でいいよ。その様子じゃ、筆記試験の方は上手くいったみたいだね」

 

「それは一佳もでしょ?」

 

「えへへ、まぁね…………王司は緊張してないの?」

 

「そんなに…‥かな。むしろ試験前にちょっとしたラッキーがあってね……良い感じに気合い入ったよ」

 

 

 僕の返答が少し予想外だったのか、一瞬だけ目を丸くした拳藤はやがてニヤリと挑戦的な笑みを浮かべる。

 

「へぇ……気合いねぇ。私はそういうノリ、結構好きなんだけど……意外だね。王司はてっきりクール系だと思ってたよ」

 

「表に出さないだけだよ。僕はこう見えて激情型なんだ」

 

「あはは!良いね!ソレ!ねぇ……単純な好奇心で聞くんだけど、王司ってどんな個性なの?試験前だし、言いたくなかったら構わないよ」

 

 

 そう言うと、拳藤は自らの両手を少しだけ巨大化させた。暗に自己紹介がてら、自分の個性を披露してくれているのだろう。

 あえて隠すような理由も無かったため、紅城も快く“キングクリムゾン”を発現させた。

 

 

「わわ!!すっごい……!()()()(?)が出てきた……!これを操る系の能力?」

 

「ま、そんな感じかな。他にも色々出来ることはあるんだけど……それはまた今度。()()()教えることにするよ」

 

「ふふ…………いいよ。まぁ、ここまで大見得切ったんだ。お互いあっさり不合格なんて恥ずかしい真似、ないようにしなきゃね!!」

 

 拳藤から勢いよく差し出された握手に応え、互いに一言ずつ檄を飛ばし合うと彼女は満足そうな顔付きで去っていく。

 その様子を見ていたであろう、一部男子生徒から怨嗟のこもった視線を背後から感じたが――特に気にした様子もなく、紅城も図太くウォーミングアップを始めた。

 

 

(…………そろそろか)

 

 

『はいスタートー!』

 

 

 突然の開始宣言に周囲が困惑するさなか、墓碑銘(エピタフ)の予知によって大体のタイミングを掴んでいた紅城は、快調なスタートダッシュを切る。

 

 

(右から2体……左から1体か)

 

 1つ目の十字路を右に曲がると、予知で見た通りに左右から合計3体のロボットが紅城に襲撃してくる。

 

 

「“キングクリムゾン”ッッ!!」

 

 

 すぐさまスタンドを発現させ、目の前に迫っていたロボットにラッシュを叩き込む。

 ものの数秒でスクラップへと変貌したロボットたちを尻目に、紅城は模擬市街地の中を駆け抜けていく。

 

 

(意外と脆かったな……多少鍛えていれば個性無しでもギリ破壊出来るレベルの強度。なるほど……これも学園側の意図かな?戦闘に特化した個性じゃなくても、本人の力量と戦い方次第で試験を突破出来るようにしてたとか……)

 

 上空から紅城を押し潰すかのように落下してきた2Pヴィランを、キングクリムゾンが正確な打撃で破壊する。

 

 

(ま、なんにせよ『B-』相当のキングクリムゾンの拳が通じる事が分かったんだ。もうちょっとペース上げていこうか……!!)

 

 

 大通りを外れて細い路地を曲がると、今度は前後から挟み撃ちの要領でロボットたちと相対する“未来のヴィジョン”が見える。恐らく、数秒後に接敵するだろう。

 

 

(挟み撃ち……そんな事もしてくるんだね。前方に複数、後方は2Pヴィランが一体か……なら!)

 

 キングクリムゾンと背中合わせの形を取り、前方のロボットたちをスタンドに任せ、自らは2Pヴィランを静かに見据える。

 やがてこちらの姿を発見したロボットが、独特な機械音声を流しながら高速でこちらへ接近してくる。背後から聞こえてくる大量の金属を叩く音に、軽く耳を傾けながら間合いに入ってきた2Pヴィランの頭部を素早く羽交締めにする。

 

 

G・M・A(ガンヘッド・マーシャル・アーツ)!!!!!」

 

 相手のスピードを利用し、勢いよく2Pヴィランの頭部を素手でへし折る。

 頭部の折れた2Pヴィランが力無く床に転がるのと同時に、背後では殺到する全てのロボットたちがキングクリムゾンによって無残なスクラップへと変えられる。

 

 

「かなり絶好調……!!だれもぼくを止めることはできない……って感じ?」

 

 

 瓦礫の山に立つ紅城は、奇妙なポーズを取りながら自らの勝利を高らかに宣言する。

 

 

 






この世界では『スタンドのルール』が、いくつか仕様変更されています
(後々、全部明かされますが……)

その1
スタンド使いでない人間でも、スタンドを見る事が出来る。



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