IS《インフィニットストラトス》ゴーストバレッド 作:コードα
俺こと細波一光はとある依頼でシルバーバレットで空を飛んでいたりする。
何でってマザーベースに向かっているから。
そもそも、ISを奪うなんて発想に行き着くのは何も女性ばかりの秘密結社のすることじゃない。
どの国にも属さない軍隊、お国の都合で消された元スパイ達が団結して組織が『歩く平
和(ピースウォーカー)』だ。
千冬さんがドイツ軍にコネがあって其処から情報を引き出したように、俺はあのウサギと居たころに彼らと出会って、意気投合して時折、こうして各国の裏事情を仕入れてもらっている。
ま、勿論無許可日本領海を飛んでいるんだ。陸自が打鉄で出てくるわと些か世間を騒がす結果になるがマザーベースについてしまった今では関係ない。
帰りはしっかり送ってもらう手はずになっている。
「よく来た、若き少年よ!」
腕を広げる白髪の爺さん、昔はバリバリの軍人だったとか。
「抱擁なんてしませんよ、オセロットさん」
「ヴォウ!」
「D,Dは元気してた!?」
「何だ、D,Dは歓迎なのか?犬好きめ」
灰色の毛をした犬・・・・というよりは狼、大きさはゴールデンレトリバーくらいだろうか、特徴としては左目を眼帯で隠している。狼なのに。
「おお、来たな。待っていたぞ」
そう言って出てきたのは翠のベレー帽にトレンチコート、松葉杖を付いたブロンドヘアーの初老の男性。特徴はでかいサングラス。
驚く事に彼らはアメリカの防衛省に信頼されているらしく、IS登場以前はかなりの軍事力を保有していたらしい。
そうそう、レックスとか言う二足歩行戦車は圧巻だった。
各国がISを配備するに伴って、派手な行動は出来なくなってしまったとか。
「おお、細波。要望の情報は手に入れておいたぞ、それで例の品は?」
左目に眼帯をしたマッチョの初老の男性、といってもここに居る連中は大抵マッチョだが、この男とすれ違う時、兵士達は敬礼する。
かつてビッグボスの称号を手にした伝説の男と言う・・・。
「スネーク、ココに。」
そう言って俺はUSBメモリを投げて寄越すとスネークはソレをキャッチしてニィッと口角を持ち上げた。
「仕事が速いな。」
「図面を起すのと変わりませんよ。製作となると別ですけど」
「その口ぶりだと、苦労しているみたいだな」
スネークの問いに肩を竦めて返す俺、すると苦笑するスネーク。
「各国のISは第三世代の製作・研究の真っ最中だ。その点、細波の設計したシルバーバレットは第四世代としては完成しているからな、あの天才の助力があって完成したとは言え、その基礎設計者に内の機体を設計してもらえるとは・・・」
「でさ、ミラー副指令。パイロット問題解決したの?」
「ゥ~」
D,Dが変わりに「解決してないよ」と言わんばかりに甘えなき、成る程ね。
「聞くな、俺達はフリントを完成させて各国に売り込むんだ!」
「ミラー、お前だろう。傭兵ビジネスを・・・・」
「ボス!時代は移り変わってきている、産業スパイを請け負うにも相手がISじゃ幾らボ
スだって勝てないだろう!?」
「依頼としてIS学園に届ければ俺受けますけど?」
「それだと手間だろう、火急を要する任務もあるんだ!」
「いや、ミラーさん。力説しなくても・・・コアはどうするんですか?」
目下ISはコアがないと意味がない、ISにとってコアは魂みたいなものだ。
「それは、各国で発生しているIS強奪に乗じてコアを拝借する手筈が最善なんだが・・・男だけではな」
オセロットの言いたい事は何と無く分かる。実働部隊が男ばかりのこの軍隊、どの国にも属さないからISが配備されていない。
このご時勢にIS無しで男が実働部の軍隊、軍人が聞いたら鼻で笑うだろう。
「で、そのIS強奪事件の裏には亡国企業(ファントムタスク)が居ると睨んでいる訳だが。ここで困った事態が発生してな。」
スネークが肩を竦め、携帯モニターをスクロールする。
頼んでおいた亡国企業に関する情報の一部が読み込まれ、実働部隊の表と襲撃現場の名称が映し出された。
「成る程、亡国企業に先を越されている。しかも相手はどうやらIS使用もいとわないと・・・・襲撃を受けているのは基地だけじゃない?」
新羅技研と言うのは聞いたことがある。
確か、IS学園の依頼名簿に名前があった所だ。
「そうだ、どうも亡国企業は“各研究施設に割り振られたコア”まで狙っているようだ。細波の知り合いにも居ただろう?コア持ちの技研の娘が」
「プライバシーの保護は?」
「そんな物、ここじゃ通用しない」
「ウワォウ!」
スネークが意味ありげなニュアンスで言うと俺はつい聞き返す。
勿論、それにつっ込むオセロット爺とスパイ犬・D,D。
「という訳だ、このコード・アストレイは篠宮技研で建造してもらうと良い」
「良くないでしょう?ミラー副指令。」
「何、俺のトーク術があれば若奥様の一人や二人・・・・」
「もはや趣旨が変わってるよ!このエロ爺っ」
割と真面目に提案するミラーに俺は諦め半分にたしなめると悪乗りで言い出すオセロットにマジでつっ込む。
これが、俺に裏事情を提供する面々だ。
後でコウリュウとブルーティアーズの詳細スペックも聞けたが、二機とも相手したよ。
「転校生が来るらしいよ!」
翌日、教室に戻るなりみやびが開口一番にそう言った。
「こんな時期にか?」
「そうみたい、確か一人は男とか」
「うわっ!そうなると部屋割りまた変わるのかな?」
「可奈は其処が心配なのか?と言ってもそろそろ俺は引越しかもって聞いてるけど」
「なんでよー!?」
普通じゃないか?この部屋割りって急遽作ったモンだろうし、落ち着けば当然ね?
「大丈夫よ、カズは織斑君と一緒になるだけだし・・・ってアレ?男が三人になる」
他のクラスメイトはISスーツは何処製が良いだのと言う中でみやびと可奈、瑠璃は何時
もと変わらない。
聞けば既にオーダーメイドのISスーツを持っているらしい。
技研の力、ハンパネェ。
「そうしたら三人部屋とか?まぁ、どうにかするんじゃないか」
と、まぁこの時までは気楽に考えておりました。
話題の転校生ことシャルル・デュノア、三人目の男操縦者とだけあって他の生徒が沸き立っているのは当然語察しの通りである。
「キミが細波一光君だね?」
「ああ、どうした?シャルル・デュノア・・・くん」
食堂で何時ものようにクジャク、ではなく新型IS・アストレイの簡略化を考えていると
噂の転校生が声を掛けてきた。
「どうして、僕の名前を?」
「まぁ、アレだけ話題を独占すれば嫌でも耳に入る。俺のことはカズか細波でいい、
困った事があれば聞いてくれ。応えられる範囲で善処しよう」
そう言いつつも俺はモニターをスクロールする。
「それじゃ、僕もシャルルで良いよ。所で何してるの?」
「ああ、ちょっとばっかり新型を・・・・あっ」
危なかった、素で口を滑らせた。いかんな、可奈とのやり取りがこびり付いてしまって
いる。
「新型?」
「ああ、IS装備の事だ。」
「カズは専用機を自分で組むほどだしなぁ」
「一夏!?」
「そうなんだ、凄いなぁ!」
一夏がいきなりカミングアウトするとシャルルは屈託のない笑顔を向けてきた。
可奈から聞いた話だが、マッチョ系の俺、ワイルド系の一夏、護ってあげたくなる系のシャルルと言うカテゴライズが生まれているらしい。
「何、とあるウサギの手出すけ無しにはできなかったし、ソコソコの技術は見て盗んだ。さて、クジャクを仕上げるとするか」
「クジャク?」
どうも熱心に聞き返すシャルル、『一回目』通りなら食いついて当たり前か。
「新装備って言ってもIS学園じゃ作れないんだけどな、火力面じゃ、一番攻撃力のある装備になる」
Bバスターを主体にしている今日ではどうしても切り替えに隙ができるので、解消する装備だ。
けど無いのでBバスターを使って割と真剣に戦おう。
「主にサンドバック的な意味で」
「嫌だ!」「分かってるともさ!」
「何だか息ぴったりだね、一夏とカズって」
そんなコントをシャルルは屈託のない笑顔で見ていた。
よっしゃ、部屋が一夏と同じなったら大抵の事はアイツに理解が及ばないから設計し放題!とは行かないもので記憶どおりの展開だ。
一夏とシャルルが相部屋、俺は変わらず・・・・おかしいよねIS学園!
で、俺はこと設計した二機のISをどうするか迷っている。
売りつけても良いが、フリントは『歩く平和』が開発中だし、アストレイは制作費を削減する為に代用できる装甲版が見つかれば良い。
だって、オセロットの爺さんは本気で篠宮技研の説得に動いているだろうし。
「それじゃ、よろしくね。二人共」
「ああ、こちらこそ。で、一夏」
「何だよ?」
「何で俺だけ部屋異動ないんだ!?」
「さぁ?」
首を傾げる一夏を揺する、とにかく揺する!
「何でだよ!IS学園に良心はないのか!?安眠はっ!!」
「お、落ち着けっカズ!!」
「や、やめなって二人共!}
とシャルルが止めに入るまで揺すり続けた俺だった。
寮の廊下を歩いていると妙な気配を覚える。
そう、これは後を付けられている様な・・・・。
「生徒会長?まさかね・・・」
そう呟いて俺は再び歩を進める。
柱の影で一光が消えたのを確認した人物が居た。
IS学園・生徒会長で、更識簪の姉・更識盾無だ。開いた扇子には“驚愕”の二文字が記さ
れている。
「まさか、気付かれるなんて・・・。」
完璧にではないが、盾無が後を付けている事には気がついていたようだ。
「一夏君とは違う、彼の過去に一体何が?」
「調べれば?」
「っ!?」
壁から現れた俺を驚く盾無。
「あ、今のは迷彩シート。とある知り合いからの譲り物ね、生徒会長が何のよう?」
「あ、なんでもないわ!それじゃね」
去っていく盾無を俺は何食わぬ顔で見送る。
学園にとって危険因子である俺を見張っていたって所か?