IS《インフィニットストラトス》ゴーストバレッド   作:コードα

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吹雪の猛襲

さてはて、一夏とシャルルの試合は見たいのだが、俺を取り巻く環境がソレを良しとはしてくれないようだ。

 

三年にスカウトが訪れ、値踏みしているように一年・二年にも先取りでスカウトする企業は珍しくない。

 

まして、俺は表上無所属の専用機持ちである。企業関係者が放っておくわけも無くスカウトの嵐を受けた。が、そこは歴戦の軍人が紛れ込んでいて助かったと言うところ。

 

オセロットとスネークがスカウトと言う名目で訪れた企業家に変装している為、気弱なスカウト担当者は遠のいている。が、神経の図太いのも居るようで。

 

「貴方が、娘のパートナーを勤めていた細波君?」

 

そう、営業スマイル全開のご婦人がオセ爺及びスネークと話しているところに可奈と現れたからだ。

 

差し出された名刺には篠宮技研所長とある。

 

「えっと、貴方が篠宮母?」

 

「ええ、可奈がお世話になっているみたいで。疲れないかしら?」

 

仕事の顔から一母親の顔へ、一言言いたい。

 

「若い!」

 

「オセロット、少し黙れ」

 

口走るオセロットにスネークがつっ込む。やっぱ抑止力はスネークだな。

 

「あら、そちらは?」

 

「オセロットとスネーク。親父が生前世話になった人達です」

 

そう紹介すると会釈する二人。

 

「あら、貴方は設計データをお持ちになった・・・通りで娘の言うことが理解できました」

 

篠宮母がサラッと凄い事を言った。

 

アレ?可奈には口封じと言うか条件でじゃれ付くのを許してたはずなんだけど。

 

「可奈が?なんって・・・?」

 

「自分でISを組んでしまうほど機械がすきな男の子って。アストレイはキミが設計したのね」

 

「バレてるな」「ああ、油断なんらない人だ」

 

恐る恐る確認する俺に笑い掛ける篠宮母、目の前の女性に戦慄を覚えたスネークたちは小声で耳打ちしてきた。

 

「・・・・・何で、そう思うんですか?」

 

「あら?コレでも技術者よ。シルバーバレット・・・キミのISとアストレイと言う技研に持ち込まれたIS設計データは似通っている、ボロを出したのはキミかしら」

 

「どう?ママは凄いでしょ!」

 

胸をはる可奈に思わずチョップを繰り出す俺。

 

「いったぁ!」

 

「いったぁ!じゃないわ!!アレだけ口外しないって言うから見せてたんだぞ!?」

 

「良いじゃない!身内くらい」

 

「良いわけあるか!機密満載なんだぞ!?」

 

「カズがボロ出したんでしょ!?私は機械好きとしか言ってないもん!!」

 

スネークは苦笑し、オセロットは笑う。

 

篠宮母は暖かい視線を送るこのやり取り、冷静になって思えばラブコメか!って・・・

待とうか、この後確かラウラの機体に詰まれたシステムが暴走して・・・・。

 

「それは悪かった!」

 

「ちょっ!聞いてるの!?」

 

可奈との口論を一方的に切り上げて試合観戦用モニターに視線を向ける。

 

一夏がシャルルのライフルを連射してラウラを牽制している、シャルルはシャルルで瞬間加速で間合いを詰めてからシールドの先端でラウラを殴りつけた。

 

(ヴァルキリーシステムの暴走が早いか)(アイツが速いか?)

 

俺とスネークが同時に思うことはこの後に起きるであろう襲撃者とシステム暴走による敵の存在。

 

刹那、信じられない映像がモニターに流れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「頃合だな・・・・」

 

成層圏から、シュヴァルツェア・レーゲンの暴走を確認した敵は降下を開始する。

 

ブースターに火を入れて、自然落下から加速する敵ISは歪な装備した特長的なものだった。

 

かつて拠点を壊滅させた組織、敵からはこう呼ばれている「甲羅つき」と。

 

目的地はIS学園アリーナ、今まさに試合の行われている空間である。

 

 

 

信じられない光景が、モニターを通して、肉眼でIS関係者を唖然とさせる。

 

原則としてISは変形しない。

 

パッケージ装備で外観に変化はあれど変形らしい変形は初期操縦者適応と形態移行だけだ。

 

警報と共に俺と老兵二人は弾かれたように駆け出す。

 

「カズくん!?」

 

「可奈は奥さんと避難しろっ!」

 

背後から聞こえた可奈の声に声を張り上げて言い捨て、俺はISを展開しながらアリーナへ飛び込む。隔離バリアは意図を汲み取った世界最強の矛が解除デモしたのか直ぐに再展開された。

 

アリーナへ降り立つと其処には黒塗りの千冬、としか表現できない元ラウラがブレードを振り上げていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏は白式を展開できない、試合でエネルギーを使いきってしまったのだ。

 

白式のが一瞬でも遅ければ、今頃左手は無い。

 

「・・・・が、どうしたぁぁぁ!」

 

一夏が実の姉から真剣で習った最初の技だ。誰かが複写して良い物ではない、千冬だけの物で無ければならない。

 

怒りに身を任せた一夏の拳は黒いISに向かって伸びていく。が、飛び込んできた彼が受ける事で一夏は止まった。

 

「っ!?」

 

「止まれ、一夏!」

 

同時に箒が一夏の肩を掴んで制止する。

 

部分展開したブランドマーカーで受け止め、一夏の突撃が止んだ事を確認して再展開。スラスターを吹かすわけにも行かないのでBバスター・ソードで正面から打ち合う。

 

成る程、確かに千冬さんの剣術だな。一夏が怒りで我を忘れるのは無理も無い。

が、所詮は偽者だ。押し切る事は出来・・・・ないだろうな、俺には。

 

箒が一夏を引っ叩いた事で一夏は冷静になったようだ。

 

教師部隊も到着し、次第にラウラを包囲していく。俺も引き下がり、一夏に向きなる。

 

「頭冷えたか?」

 

「ああ、でもアイツはぶん殴る。先ずは正気に戻して・・・」

 

「白式のエネルギーが切れているのだろう、お前に何が出来る?」

 

箒が痛いところをついた。

 

『一回目』通りなら、シャルルが自分のエネルギーを明け渡す。が、如何せん老兵ズが出向いてまできているとなるとシャルルもISを解除させるわけには行かない。

 

「なら、持ってくればいいんだよ。」「だな」

 

シャルルの意見に俺は賛同する。シルバーバレットのコア・バイパスからエネルギーバイパスを取り出し、一夏に渡す。

 

「良いか、一夏。ラウラを救い出したら、迷わず逃げろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ブリュンヒルデとお見受けする、知らせたい事があって潜り込ませて貰った」

 

IS学園司令室に、スネークとオセロットはいた。

 

千冬と麻耶と睨みあう様な状態だが、スネークは臆する事無くこう言った。

 

「何だ?時代に取り残された兵士が」

 

「敵が来る。信じるかどうかはそちらの判断だ。」

 

「何?」

 

「織斑先生!上空から高エネルギー反応がっ・・・嘘、アリーナの真上です!!」

 

厳しい口調の千冬にスネークは簡潔に告げる。すると麻耶が悲鳴のような金斬り声で報告、アリーナの隔壁バリアを蹴破った白い色のISが、一夏達と対峙する。

 

「亡国企業!」

 

オセロットの声は僅かに震えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわっ」

 

俺は思わずに声をもらした。

 

一夏にエネルギーを明け渡し、普段は使わないシステムを立ち上げた刹那に乱入者と対峙することになった。

 

同時に、教員部隊の打鉄が何かに撃ち抜かれ、光の粒子となって消えていく。

 

(どういう事だ?分離兵器・・・ビット?)

 

思考を巡らせながら、先ほどの光景に説明をつけようとする。

 

しかし、説明がつかない。持ち合わせた『記憶』にも該当するベース機は・・・。

 

「おいおい、マジかよ!」

 

思わず口をついてでた言葉に、俺自身ハッとする。

 

特長的なシルエットの甲羅は肩に移動。がつん!と音を立ててドッキングした子機を俺は良く知っているし、その手のゲームでダチが異常に扱いに長けていた覚えがある。

 

最近で言えばセシリアのブルーティアーズだ。性能は比べ物にならないだろう。

 

「成る程、IS学園にはガンダムタイプか。」

 

敵ISから響く言葉に肺を鷲掴みにされているのではないかと思うほど息苦しさを感じた。

 

ガンダムタイプ、その単語は恐らく俺と“同じ”境遇でなければ知り得ない単語だ。

 

今までとは違う、それは明白だ。天災が送り出したかも知れない無人機なんて甘いレベルだろう、それどころか比較する事すら間違えているかも知れない。

 

「成る程、テメェは誰だ?」

 

恐らく、背負ったライフルを敵ISが放つのと俺が反射的にABCマントを展開したのは同時。ラウラがシステムに従い、ブレードを振り上げるのも同時だった。

 

「キミは黙っていてもらえるかな?」

 

一度に十のビームがラウラを蹂躙した。

 

肩、腕、足といたるところを撃ち貫き、変形したシュヴァルツェア・レーゲンを沈黙さ

せる。

 

「何してんだよ、お前っ!」

 

粉塵晴れぬ内に肉薄した俺がBバスター・ソードを打ち付けると防準複合兵装で受け止めたが、馬力ならシルバーバレットに分があるようで押し切ろうとスラスターを吹かした。

 

徐々にラウラと一夏達から遠ざかるが、予測が正しいなら、あまり意味を成さない。

 

それでも、スラスターを全開にして敵ISを壁に押し付け、頭部・肩部バルカンで追撃する。

 

「やはり、キミはドラグーンを知っているようだ。」

 

「へぇ、驚かないのか?」

 

「何、少し前には消してやろうと思っていたんだがね。コレで確信が持てたよ」

 

「何の?」

 

他愛ない会話だが、俺の攻撃は続いている。

 

普通ならシールドエネルギーが切れてもおかしくは無い筈だ。現に一夏をバルカンだけで鎮圧したこともあると言うのに。

 

「それは君自身がよく分かっている事じゃないかな!?」

 

まっすぐ鳩尾に打ち込まれた敵の蹴りを俺は防ぐ間も無く受けてしまい、間合いが開いた。

 

(スラスター加速からの前蹴り!?しかもゼロ距離で!!)

 

咳き込む間も無く移動を開始、背のやり取りにも意識を割きつつ・・・・割きつつ?

 

ISはハイパーセンサーのお蔭で三百六十度視界が確保されている。なので振り向く必要性は無い、意識を向けるだけで良い。

 

「がはっ!・・・・追える!」

 

気付いたのはさっき、一夏達の様子に意識を向けたときだ。

 

二機の異物がラウラに向かっていく、一夏が背を向けてそれど頃ではないだろう。反射的にBバスターを放ち、連続瞬加速で追いすがる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なん・・・ですか、コレ?」

 

麻耶は途切れ途切れにそう言った。

 

シルバーバレットが目まぐるしく動いて何処からとも無く撃ち掛けられるビームを避けている。時には被弾もするがABCマントがその身を守る。

 

はっきり言ってその操縦技術は生徒のソレではない。生徒の中で強いとかそういう次元じゃないところに細波一光はいると麻耶も朝田も千冬も思う。

 

「厳しいな、イタリア代表も同じ武装を持っていると聞いたが」

 

「使い手のレベルが違いすぎます!それに細波は戦いに集中でいません!!」

 

オセロットと麻耶の言う事は最も、あくまで回避をメインに行っているとは言え、逃げ損ねた一夏、シャルル、箒、ラウラを庇いながらの戦闘。

 

教師部隊は使い物にならず、予備の訓練機もない。

 

「大丈夫だ。アイツもバカではない」

 

そう、千冬は笑う。

 

 

 

 

 

 

 

「アレの動きを、追える!」

 

背後に回る移動砲台・ドラグーンが止まるより速く、俺は左にステップを踏む。同時に一夏達に狙いを定めた一機のどラグーンに向けてビームを放つ。

 

動き回る残りのドラグーンに意識を割きながらも本体も相手にする。どもう予想以上に厄介な状態になった。

 

「ぐぅ!?」

 

背面から蹴りを喰らってバランスを崩す俺に敵は容赦なくビームライフルを撃ち込んだ。回避も間に合わず、ABCマントが破れて宙を舞う。

 

バランスを取り、何とか再びビームの雨を回避する俺に敵は嘲笑うように言った。

 

「やるじゃないか。でも、キミでは私に勝てはしない」

 

「んなもんっ!やってみなきゃ分かんないでしょ!?」

 

足裏からヒートダガーを突き出して、ドラグーンを踏みつけると一拍おいて起爆。衝撃を背に受けながら瞬間加速で肉薄し、Bバスター・ソードを振り下ろすが、シールドで受け、一瞬で手元で爆発が起きた。

 

「分かるさっ!本当の殺し合いを体験していないキミが私に勝てるわけがないと」

 

敵ISの操縦者は本当に殺し合いを経験したものなんだろうか?と疑問に思うより速く動かないと蜂の巣になる。それは避けないといけない、シールドエネルギーは一夏に全て明け渡した。

 

絶対防御分すら残っていないのだ。やられると言う事は死に直結する。

 

(ハッ!おっかねぇ・・・)

 

思わず内心で自身を鼓舞する俺は一夏がことを済ませ、退場するのを見てホッとする。

 

「と、遊んでも良いんだがね。私とて暇ではない」

 

「待て!」

 

踵を返す敵ISに追いすがる俺はブランドマーカーを展開し、強がって見せる。

 

正直、これ以上の戦闘は望ましくない。悔しいが、相手の言う通り俺は勝てるイメージが浮かばない。

 

仕掛けられるチャンスは全て罠だった。ドラグーンの動きを追えた事だけが今回の収穫だ。

 

「近い内にまた出直すとしよう、ヴァルキリーシステムの回収は難しそうだ」

 

敵がそう言いながら離脱する。と大破したシュヴァルツェア・レーゲンの前には打鉄を

装備した千冬が居た。

 

俺は何と無く近い出来た、今回は勝てるのに逃がしたのだと。

 

てか、打鉄何機持ってんの?IS学園。

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