IS《インフィニットストラトス》ゴーストバレッド 作:コードα
IS・インフィニットストラトスは女性にしか扱えない筈のマルチフォームスーツの総称だ。
男性には扱えないが今年は例外が二人居る。
織斑一夏と細波一光だ。
一夏は専用機を未だ持たない、束が手を回して見繕った欠陥第三世代を改良するまでの辛抱だろうが、口にしない。
一光は自身が設計したシルバーバレットがある。髑髏のレリーフが入ったガンドレットがソレ。
IS操縦者育成機関であるIS学園が女子高と言う事実は『一回目』の情報で分かりきっている。
分かりきっているが、実際にその場に入るとなんと言うか、雰囲気に負ける。一光は一人で静かにISの整備マニュアルを読破している最中で、周りがざわついているのを気にしては居られなかった。
何せ、シルバーバレッドは誰かに整備させる訳には行かない機密がたんまり搭載されているからだ。
「お前、カズか!?」
その声は酷く懐かしい、幼馴染のものでマニュアルから目が外れる。
「・・・・よう、久し振りだな一夏。一年ぶりか」
廊下で幼馴染、世間的にはISを操縦できる第一の男子に遭遇する。
「何だ、相変わらず素っ気ねぇな。ソレより、お前もIS動かしたのか!?」
「それ以外ここにいる理由にならないだろ。第一、基本女子高だぜ?」
「ああ、さっきからこの甘ったるい空気がどうもなぁ」
「それは言える。だから俺はせめて空気の出入りがある窓を陣取ってIS基礎マニュアルを読破している」
廊下に世間を賑わせる男子が揃うとなれば自然と同学年女子、否。先輩女子も「誰か話しかけなさいよ!」と言う空気を醸し出す。
しかし、誰か動こう物なら「抜け駆けは許さん!」と言う牽制の視線が歯止めをかける。
「それ、入学前に送られて来た奴か?俺なんか電話帳と間違えて捨てちまったぞ」
「・・・・織斑先生の犠牲者一名キター!」
「それより、何時戻って着てたんだ?」
「少々、俺の場合特殊でね。昨日から寮の一室を陣取らせてもらってる。」
ふっと昨日を思い出す。
朝、束が引き払って一人となった自宅(デコイ)に黒いスーツを着た織斑千冬がに迎えに来て、IS学園の門を潜った。
其処までは良かった。
行き成りアリーナに案内されて、待っていた女性に千冬は言った。
「山田先生、本気で相手をしてあげてください。」
入試で一般生徒がするISの試乗模擬戦を童顔虚乳美女にやれと言うのだ。
「ええぇ!?でも、彼にはISが」
「心配要りません。“既に”専用機はあります」
そうはっきりと束の心血を注いだ一機を乗りこなした人に言い、シルバーバレットを見せる。
オドオドしていた童顔先生の表情は一瞬驚きこそしたものの直ぐに真剣なまなざしに変わり、ISを動かせるかを見る内容から激戦にシフトとしたのだ。
正直、ずっと死の予感に苛まれた。
熟練したIS乗りに自身が培った戦闘技術は一切及ばなかったからだ。
IS性能の差で何とか乗り切ったが、それでも実力差は埋められるものではなかった。
実弾でABCマントが破壊されるとは。
「文句なしの合格だ。大した腕だな」
千冬が賞賛するだけの事をした。
束の試験テストには幾度となく付き合い、対AI戦闘はこなした。
ま、対人戦闘はからっきし。経験不足なんだよなぁ。
「はい、細波君の番ですよ」
そう言ったのは朝田麻耶先生、ご察しの通り一光は一夏と別クラスとなった。
三組だ。束の依頼「一夏を護る」と言うのは記憶上、大抵の事には専用機持ちが一同になって対処しているので問題はないだろう。
「細波一光です。よろしく」
クラスメイトの目は「それだけ?」と語っているがこれ以上、むやみに語るつもりはない。
「しつもーん!」
ビシッ!と手を上げたのは最前列に座るクラスメイト、名前は確か・・・・・。
「篠宮可奈!覚えてね?それで、専用機を持ってるって本当!?」
篠宮可奈の一言でより一層クラスがざわつく、それも属さない専用機持ちだ。
噂の一つにもなるだろう・・・・が、何処から情報が漏れたのか。
この子はそう言えば、朝から絡んできたな。
面倒だから廊下に逃げたってのもあるんだが。
「ああ、持ってる」
はぐらかすのも面倒なのではっきりと答える。
すると、教室をソニックブームが襲った。
思わず耳を押さえるほどの音量、凄まじい破壊力。ガラスにヒビ入ってるよ!?
「どんなデザイン!?」「どこのメーカー?」「見せて」×残りクラスメイト
と言うカオス化、収集がつかないこの事態に思わず朝田先生に視線を投げると頷いた。
何だよ、アンタも見たいのか!
どっと疲れた。
たったの二時間の授業でココまで疲れるものだろうか、例えるなら朝から一時間目から三時間目まで突貫してランニング。インターバルなしくらいに精神は磨耗している。
「「キツイ」」
一夏とハモる。
どうやら一夏は実の姉にこってり絞られたようだ。
いや、流石主人公。俺が千冬さんに殴られたらそのまま『二回目』といえど人生を手放すね。
「おい、一夏!ってカズか?」
ポニーテールを揺らしながら気の強そうな声をを出す女子に顔だけ向けるとこれまた懐かしい顔ぶれが揃った。
小学校当時に剣道場で一緒だった三人だ。
そして、ISの生みの親で恩人の妹である。
「ほ、箒か?懐かしいな、髪形変えてないのか」
髪型と呼び方から記憶を掘り繰り返して思い出す。いや、箒は剣道で全日本制覇をなした女子だ。
「やはりそうか。その気だるそうな背中は変わらないな」
「うるせえよ!誰のせいだよ、主に一夏だけども」
「俺か!?」
「このやり取りも久しぶりだな」
そう、一夏と箒、一光の三人は長い付き合いだ。
束がISを開発し、VIP保護プログラムで転校していくまで何度もトラブルに飛び込んでいく一夏を一光は身体を張ってとめていたりしていた。
「あん時だってそうだろ!大体、後先考えないで正面から動くんだから」
「お前が間に飛び込んできたからだろ!」
「俺の行動あって最低限の損失だったんだろうがよ!?」
悪友の言い争いを箒は凛とした表情を緩ませながら見ていた。
「あーっ!実は二人共知り合いだったという事実はっかーく!」
急に現れた三組女子。
「それはそうと授業始まるよ?」
「いこいこっ!」
「じゃーねー、織斑君!」
一光を一瞬で取り巻いた数人の三組クラスメイトによってバキューム機に吸われていく毒蜂のように消えていった一光を二人は唖然として見ているしかなかった。
IS学園は入学式から六時間みっちり授業があり、勿論担当教師は違う。
そして、俺こと一光は最も遭遇したくないモンスターと顔を突き合わせているわけで。
「という訳だ、細波。答えろ」
「先に何故マンツーマンかお聞かせ願いたいですはい」
そう、千冬と一光は別教室で二人っきり。変な気でも起そうものなら抹殺されかねない人物と同じ部屋ってかなり緊張する。
「単刀直入に聞く、貴様はご両親亡き後何処に居た?」
それかい。
「束博士と行動を共にしておりました」
「貴様の専用機も束が用意したのか?」
「半分は、基本設計は俺がしました。」
「・・・・ほぅ?」
千冬の目が細く鋭くなっていく、狩人の目だ。
ヤバイ狩られるよ。まだ、両親のほうには行きたくないんだけど。
「束博士の身辺情報でもお望みで?」
「ソレでは質問を変える。何でお前はIS学園に来た?」
「恩人の依頼を完遂する為。」
「それは何だ?」
「一夏の護衛です。」
「それで、対人訓練をしていないとはな」
呆れた千冬だが、目の前に居る生徒の実力は生半可なものではない事は知っている。
普通、入学当初から元代表候補の経歴を持つ教員相手に機体スペックだけでは粘れないし。対等に渡り合うなんて出来ない。
「仕方ないでしょう、シルバーバレットはロールアウト前でした。何より俺は基本テスト以外では他のISに乗っていなかった。訓練も仮想ISを相手にしていたゲームに過ぎません」
「ふ、それにしてはよく動けていたがな。まあ良いだろう、それよりも貴様の部屋に同居人が来る」
なん、だと・・・!?
千冬が疑っていたのは何と無く察しが着いたが、それ以上に同居人が来るという発言が驚いた。
十五歳の男女を同室で生活させるだと?記憶にあるとは言え、なんって所だ!
「丁度、お前と一夏があぶれていてな。急遽部屋割りを調整した結果だ。」
「いやいや、そこは俺と一夏って落ちじゃないんですか!?」
取り合えず声高に聞き返す。
「仕方なかろう、本格的な調整が済むまでの一時的な処置だ。我慢しろ」
しまった、装備設計とか出来ない・・・・アレ?ということは広げてきたお店、見られてね?!
「安心しろ、整備部でもない限り図面など分からん」
心を読んだように呟く千冬、心も読めるとは・・・・ニュータイプか!?
「馬鹿なことを考えている暇があったらさっさと部屋にもどれ。そして片付けろ」
また読まれた。
千冬はきっと木星の二代総統とも渡り合えるだろう。
オリキャキャラ紹介:ヒロイン格
・篠宮可奈
イメージはナルトの日向ハナビ(最新劇場版仕様)。
一組で言う箒の立場を陣取り篠宮技研の所長である父を持つ。
技研のテストパイロットも勤めている程、IS適正数値は高い。
暇さえあれば一光の周りに居る女子で、一光とお近づきになりたいと思っている。
専用ISは無し。