IS《インフィニットストラトス》ゴーストバレッド 作:コードα
IS学園は全寮制だ。
最新の防犯設備を備え、IS学園と言う一つの人工島に大体の設備は整っている。
実習用アリーナだけで四つあり、土日放課後には開放されている。
ISの自主練習も勿論可能だが、専用機もちでもない限り、膨大な書類と申請が待っている上に訓練機には限りがある。
とまぁ、そんな一般生徒諸君が自主的にIS訓練を行うのは容易ではないという事は理解していただきたい。
俺は足早に廊下を駆ける。
新作装備の図面を広げてきてしまったからだ。
唯でさえ、一夏と自分以外が女子という未体験ゾーンでこれ以上のイレギュラーは避けたいのだ。
千冬の言う通り、入ってきて早々にあの図面を理解する奴は居ないだろうが・・・・居ないとも限らないわけで。
自室として宛がわれている部屋の扉を確認する。
鍵は掛っている、つまり未だ付いていない。
乱暴に扉を開けて添えつけの勉強用だろう机に表示しっぱなしのホログラフモニターを片っ端から閉じていく。
内容は保存、USBメモリと言う少しばかり古い記憶媒体を引っこ抜き、シルバーバレットに量子格納する。
「間に合ったぁ~」
我ながら間の抜けた声をもらし、一息ついた時だった。
「何が?」
「うぉわ!?」
誰だって行き成り背後から声を掛けられれば驚くだろう、だってドアの開閉音してないし気配がな
かった。
「細波君、驚きすぎ~!」
ボストンバックを置いてけらけら笑うのは今日見知った顔だ。
「篠宮さんか、脅かすなよ・・・・は?」
考えろ、どうして彼女がボストンバックなんぞ持ってココにいるか。
千冬さんは確か、同居人がどうのとか・・・・まさか?
「まさかと思うが、君が同室なの?」
恐る恐る尋ねると笑顔が輝いている。
この世界において男子と同じ寮室とは其処までのステータスになりえるのだろうか?
「そっ、それと呼び方硬いよ!同じ部屋なんだしもっと気軽に可奈で良いよ♪」
「・・・・・分かった。可奈は警戒しないのか?見ず知らずの男と一緒だぞ」
「私もカズって呼ぶね。そうね?もしもカズくんが私に手を出そうものなら家の技研専属で手を打つわ。責任も取ってね?」
と可愛らしくウインクしてみせる可奈、なんだか無駄に商売魂を燃やしているようだ。
確かに俺は何処にも属していないし、シルバーバレットも“今は”世界に一台しかない第四世代。
篠宮技研にとっては大きなプラスだ。株価も上がるだろうが、それは俺が可奈に手を出したらの話である。
ま、そうでなくとも精神的によろしくない環境だ。
気をつけねば。
「可奈の実家は技研なんだ?」
「そーだよ、だからある程度図面も読めちゃうよ?」
ドキッとした。
あれ、見られてないよね?
「大丈夫、カズ君の閉じた図面は見てないから!」
また笑顔でド級の一言を言い放つ可奈。
詳しくは見てない、程度だ。
「ほっ」
「お?その反応・・・・さては専用機関連!?俄然興味わいた、見せて見せて!」
「ちょっ!迫るなっ、うわっ!」
にじり寄る可奈から後退する俺、でも悲しきかな直ぐにビジネスホテルよりも上質なベッドが退路を塞いでいた。
布団に倒れこむ、当たり前ながらふかふかや。
「見せてよ~!さもないと・・・・えいっ」
「ぶっ!飛び乗るな、恥じらいはないんか!?」
「だって~触ったでしょ?」
「もうヤダこの子!!」
我ながら女々しい絶叫だ。
「おはよう、カズ。ってどうした?」
「何があれば一晩で其処まで憔悴しきる!?」
朝、一年寮の食堂で死んでいると一夏と箒が現れた。
一夏の反応は何とも察していないのか、箒は本気で驚いているようだ。
「一晩中逃げるんだもん」
「逃げるわ!君はもっと自分を大切にしなさいっ」
そう、昨晩は寮内を必死こいてスニーキングしていた。
主に、可奈に見つからないように。
「只のスキンシップじゃん」
「飛び乗るのとかどんなスキンシップ!?」
「そうか、カズ。お前も襲われたのか」
しみじみと一夏がそんな事を言って肩を叩いた。
どうも一夏も箒と『記憶』通りの事態になったらしい、しかも聞けば今朝は床で目を覚ましたらしい。
箒よ、どんな威力で竹刀を振った?
「一夏、お前も思ってる襲われ方とは違うぞ。我ながら理性が良く崩壊しなかったと思う」
「騒がしいぞ、貴様ら。食事は効率よく迅速に済ませろ!」
鬼寮長の登場に油を注いだ一幕でもあったわけだ。
ありがたい出席簿クラッシュを貰ってしまった。
酷い、女子連中にはないのか
「見せしめだ」
だそうだ。
「それでは、遅れながらクラス代表を決めたいと思います」
三組以外は入学式当日に決まったそうだ。
まぁ仕方ない。未だ一夏には専用機がないし、倉持技研製と言うのは決定事項。シルバーバレットのように独自設計・開発ではないので興味も注がれる事はない。
その点、三組は担任すらシルバーバレットを一目みたいと流されてしまった。遅れても仕方ない、期限を過ぎなきゃいいんだ。
「朝田先生、細波君を推薦します!」
誰だろうか、半分以上睡魔に汚染された頭ではもはやクラスの誰が俺を推薦したかなんて考える余裕はない。
兎に角意識を保つのに精一杯だ。
「他に居ませんか?自己推薦でも良いですよ~」
間延びした麻耶の声も遠のいてきた、本格的に不味い。
諦めよう、クラスの雰囲気からするに俺がどうこう言った所でこの流れは変えられん。
そこで俺は意識を手放した。
ズガン!と頬杖をした俺が意識を手放して崩れ落ちた瞬間、クラス全体がビクッと肩を震わせた。
麻耶先生ですら聞くに「怒ったと思った」らしいが、単純に寝たところを踏まえて完全にクラス代表を断れなくなってしまった。
因みに起してくれたのは可奈なんだが、
「起きなさい!」
と揺すっただけらしいが、俺は悪夢でチェーンソーを持った怪人にぶった切られる瞬間で目が覚めた。
そのときの会話がコレ。
「ハッ!?」
「ちょっ、篠宮さん!?」
「先生・・・?良かった、夢・・・か?」
背中に重みを感じて振り向くと殆どゼロ距離に可奈の顔。
「起きた?」
「何しんてんじゃキミはぁぁぁ!?」
この後、出席簿クラッシュ・出張版がきたのは言うまでもない。
さてはて、俺には休みというものがないらしい。
「細波君!昨日の夜何があったか詳しく!!」
血相を変えたクラスメイトに囲まれた。
理由は、一晩でどうしてあそこまで篠宮可奈と親密になったか、である。
いや、なった覚えない。ないんだけども、さっきの一件と言いクラスメイト諸君にはどうも信じられないらしい。
「いや、特に何も・・・」
「そんなわけないじゃない!」
ずいっと顔を近づけたのは中津みやび。初日に可奈とつるんでいた仲良し三人組の一角だ。
「そうだよ、白状したほうが身のため」
「怖いわ!」
黒い長髪のこの子は清水瑠璃、見方によっては有名な亡霊にも見える。
「そうだよ、私達“未だ”何もしてないもん」
不満ですと言いたげに可奈が口を挟んだ。
ここでそれは火に油だ、勘違いした二人は顔を紅くしている。
可奈も頬が紅くなっている。
「何!?未だって何!!?」
駄目だ、疲れたよマジで・・・。
きっと今夜はしっかり寝れるだろう。
「んで、水掛け論になった挙句に?」
「決闘?流石織斑君、代表候補生にハンデなしで決闘とはやるねぇ。」
放課後、食堂で一服していると一夏がISについて教えろとなきついてきた。
理由を聞いてみれば自業自得なのだが、『記憶』通りならそろそろ白式が来る筈だ。訓練用の打鉄が動かせるなら、見てやらんでもないが。
「そうはいってもなぁ、流石に基本も押さえないで行き成りはちょっと」
「だったら何で放課後直ぐに来ないんだよ?もうアリーナ使えないだろ」
「最初に箒に頼んだんだけど、IS以前の問題だ!って跳ね除けられて」
「一夏、ファースト幼馴染なんだからどういう性格か察しろよ」
俺ですら後の展開は直ぐに想像がつくぞ、『一回目』がなくとも。
と他愛ない話をしている三人、可奈と俺と一夏である。
可奈はどういう訳か教室からべったりだ、可愛いし嫌いじゃないがどうにも警戒が緩いんだよ、この子。
「ココにいたか、一夏」
鬼コーチの登場である、現在一夏を鍛えているファースト幼馴染で一夏のルームメイトの箒さん。竹刀片手に迫るその背には鬼が見える。
「凄い迫力ね、篠ノ之さん」
「ああ、箒からは昔のイメージが抜けてないんだろ。あと可奈、近い」
耳打ちする可奈を軽く押しておく。
「なぅ!カズ、お前も女に現を抜かすのか!!」
「へ?何でそうなる!!」
どうやら、箒と一夏の幼馴染とやらは思っていた以上に大変らしい。
うぉっ!竹刀が掠った!?
オリキャラ紹介:ヒロイン格
・中津みやび
一組でいうセシリア、二組で言うリンのポジション。
父が篠宮技研で研究員をしている為、可奈と瑠璃とは幼馴染のような関係である。と同時に篠宮技研テストパイロットナンバー2.
外見はガンダム種死のルナマリア・ホーク、髪の色のみブラウンで可奈同様に一光を気にかけているが友達としての好意である。
高い運動神経と高い空間把握能力を持ち合わせ、三組の中ではIS操縦はトップクラスである。