IS《インフィニットストラトス》ゴーストバレッド 作:コードα
今、アリーナで注目の一戦が繰り広げられようとしていた。
IS学園の生徒、教員も(一部除く)注目する一戦だ。
「細波君の筆力は先ほどの試合でも証明されているわけでですが、織斑先生?」
モニターの前で山田先生と織斑千冬、そして朝田先生。
「細波君は操縦技術については一級ですけど、織斑君も土壇場で発揮する力は大したものですし」
双方、副担任と担任の解析に千冬はため息をついた。
「お互いに知りすぎている分、細波が経験した暗雲の一年が決定的な差でしょう。が、織斑も意地がある」
千冬がそう言うなり、あわせた様に試合開始のブザーがなる。
白い騎士と銀色の弾丸の戦いは始まった。
「さて一夏、ここは真剣勝負だ。」
「二刀流か。銃は使わないのかよ?」
一夏は雪片を構え、対する俺はBバスター・ソードモードを二本・・・平たく言うと二刀流なのだ。
「お前に合わせる。こっちが射撃ありだとフェアじゃない、何より対等に戦いたい。漸くお前と対等の立場なんだ!」
箒が苛められていた時も、リンがクラスに馴染めなかった時も第一に行動を起したのは一夏で、俺はそのフォロー。
「何だよ!そっちの方が操縦上手いじゃんかっ」
「悪友同士、たまには喧嘩しようぜ!」
「何だよっIS使ってか!?」
オープンチャンネルで、何時ものようなかる口を言い会いながら剣を交える一夏と俺。
左から振りぬかれたBバスター・ソードを一夏は瞬間加速で上空に退避、上空から雪片ニ型を叩きつけようと迫る。が、一夏と違って俺は二刀だ。右のBバスター・ソードで打ち込みに応じる。
「相変わらす強ぇ!」
「てか何時瞬間加速覚えたんだよ!?」
左の一閃を一夏が再び離れて避け、俺が追う形になって空中戦になった。銀と白の機体は時折交錯し、打ち合っては決定打にならない剣の打ち合いを続ける。
その光景にセシリアは少し苛立ちを覚える。
もし、彼と戦う機会があるなら慢心を捨てて始めから警戒して確実に仕留めて行くつもりだ。
彼は遊んでいるのだろうか?
そんな疑問が頭を離れない。
「相変わらずだ、二人共」
箒は思わず口ずさんでしまった。
未だISが誕生する前、剣道場で一度だけ彼と一夏が稽古試合をした事があった。
あの時も面で顔は隠れていたが、互いに負けじと一向に決定打が決まらなかった。
それをISで再現するように、空を舞う二機のISは互いのシールドエネルギーを微量ながら削っていた。
三組の客席でみづきと瑠璃は目を見張る。
「うわっ、織斑くん成長はやっ!」
「瞬間加速をもう物にしてる・・・・流石は織斑先生の弟」
射撃武装を一切使わない一光が蹴りを繰り出すと一夏は一本背負いの要領で受け流しつつ、一光を投げ飛ばした。好機と加速する一夏。
直ぐに制動を掛けながら体勢を建て直し、ビーム刃をクロスさせて一夏の一撃を受け止める一光を見ながら、可奈は寮と同じ微笑を浮かべる。
「何だか、楽しそうだね・・・カズ」
「ハァ?でも手加減してるわよね?」
「してるしてる」
可奈のトンチ発言にみやびと瑠璃はリンやセシリアの戦いを思い出して言う。
それでもクラスメイト達には激闘に見えるだろう、まだISを動かせる程度の技量者にとって凄まじい光景に変わりはない。
その誰もが、遥か上空から接近する『敵』の存在に気がつかなかった。
ズドォォォン!
一瞬、衝撃がアリーナを揺らす。
俺と一夏は申し合わせたようにアリーナ中央で土煙に隠れる『敵』へ意識を向けていた。
「一夏、どうも水が入ったらしい」
俺は右手のBバスターをガンモードに切り替え、ハイパーセンサーの簡易分析を待つ。
「そうみたいだな。で、お前は誰だ?」
一夏も雪片を構え、其処に居た敵へ威嚇する。
全身黒い、全身装甲タイプのISですらりと伸びた両手からはBバスターよりも高い熱量を白式とシルバーバレットのハイパーセンサーが捉えている。
『織斑君、細波君!至急ビットに戻ってください、直ぐに先生達がISで鎮圧にッ』
「「まってられませんよ!」」
二人して山田先生に返答、突撃してくる敵の攻撃を避ける。
「先生、俺達で食い止めます」
『だ、駄目ですよ!?生徒さんにもしもの事が・・・』
「なら、一秒でも早く代わりを寄越してください。っていてもアリーナの遮断シールドをクラック出来れば・・・・ねっ!」
一夏の前に出てABCマントを展開。成る程、実戦用の出力設定か。
通信をカット、一夏と肩を並べて俺は排熱する。
さながら、笑うように見えた光景に司令室に居た千冬は意図を汲み取り、頷いた。
「山田先生、朝田先生。本人達がやるというんです。やらせて見ましょう」
「お、織斑先生!?」
「わ、私が今すぐ訓練機で・・・」
ずいっと出されたコーヒーに押し黙る朝田&山田先生。
「まぁコーヒーでも飲め、糖分が足りてないからカッカッするんだ。二人共」
千冬が砂糖を大匙でかっさらうようにコーヒーへ投下、しかしそれは違う。朝田先生はその文字を見て呟いた。
「・・・あの、織斑先生?それ塩です」
ピタリと止まったがとき既に遅し。
「どうぞ」
「「それ、塩入じゃ・・・」」
「一夏、俺が援護する。いけっ!」
「おおっ!」
同時に、世界で二人だけのIS男子操縦者の実戦は幕を開ける。
俺がBバスターを連射する。敵ISは合わせたように正確に俺の退路を予測、その上で正確なビームを放ってきた。
俺は身を捻るようにして回避、直ぐにロックした敵ISへビーム刃を出力したBバスター・ソードを投擲した。
一夏はその場で高速回転を始めた敵ISから一太刀も浴びせずに退避、だが、ソレで良い。
「お前とだとやっぱやりやすいな!」
一夏も分かっていたようで弾かれて明後日に来ていくBバスターを雪片で弾き、俺の放ったシザーアンカーの射線上へ戻す。
一夏はやっぱり強くなっている。
それも、『一回目』で知る情報以上に。
「だろっ?」
アンカーが命中、固定して引き戻す。
獲物を取り戻した俺が弾幕を浴びせるが、どうも敵ISは想像以上に頑丈らしい。
対ビームコーティングでもしてるのか、大したダメージにはなっていない。
「このままじゃジリ貧だな。どうする?」
「零落白夜、お前のワンオフなら行けるだろ?」
「でもっ!?」
一夏が言葉を失う、俺も同時に一瞬呆けた。
ハイパーセンサーが拡大した実況と解説者が居る席、そのガラス越しにぐったりした二名と息を切らした箒の姿があったのだ。
『一夏ぁ!』
ハウリングの聞いた、耳がキィンとなりそうな声がアリーナに響く。
「っんのバカ!」
俺が悪態をつく。
再び、ハウリングの聞いた箒の声が響いた。
『男なら、そんな奴に勝てないで何とする!』
案の定、敵ISの注意は箒に向いた。
不味い。間に合うか分からないし、間に合っても箒が無事で済むか。
「カズッ!」
一夏と視線を交え、やる事を理解する。
ああ、そういう事か。主人公体質の幼馴染を持つと苦労するな!
「間に合えええっ!」
俺の咆哮と共に白式を掴んだシルバーバレットが、音速の扉を叩く。
皆を、千冬姉を、リンを、箒を、俺に関わる全ての人を護る!
一夏が強く念じ、攻撃に専念する為に親友に移動の全てを託す。
親友なら間に合うと確信を持って、後は自分の番だ!
エネルギー還元率九十パーセントオーバー、零落白夜発動!
ハイパーセンサーが知らせた情報を、獲物が変化し、一撃必殺の剣を一夏は振り抜く。
ザンッ!と言う確かな手応えと共に敵ISの右腕は斬りおとされた。
敵ISをすれ違いざまに斬りぬけ、アリーナの壁に思いっきり踏ん張った俺は一夏を減速仕切る前に放り投げ、拳を握る。
ぎぎぎっと軋みながらも生き残った左砲口を箒に向けようとしている。
「いい加減、寝てろぉ!」
ブランドマーカーを展開し、発動。
敵ISの顔面を捉え、潰した。
返り血ならぬ、返りオイルで汚れた髑髏付の俺を一夏は「こえぇよ!」とか抜かしやがった。
甘いんだよ、お前は。
頭部の潰れた敵ISは機能を停止、千冬を始めとした教師陣が回収した。
当然のようにクラス対抗戦は中止、まぁ記憶どおりの流れである。
俺はと言えば、一夏と食堂で茶を啜っていた。
「なぁ、カズ。あのISなんだったんだ?」
「知るか。ソレよかクジャクの製作に協力してくれる所の方が俺的には超重要だ・・・」
だって、Bバスターだけだと絶対戦力不足ですもん。
仮にシルバーバレットが二次移行したとしてもどんな形状・スペックになるか分からんし、武器くらい充実させたいですもん!
「それよか、お前は箒と何にもないのかよ?」
「ソレ言うならお前は篠宮さんとどうなんだよ?」
「可奈と?」
何故か可奈の名前が出てきた。
アレ?おかしいな、一夏ってこんな心に機敏な奴だったっけ?
そうなのだ、織斑一夏。
メガトン級鈍感にして、無駄に他人の心の機微には敏感だ。その精度は1.5キロ先のりんごを射抜くスナイパーの如し!
「カズのほうこそ、篠宮さんと何もないのか?傍から見るとカップルに見えるぞ」
「なん、だと・・・!?」
「何で驚くか!?」
「ふもっふぅ!?」
不意打ち、不意打ちだ。いきなりヘッドロックされて気がついた。
可奈が後ろで不貞腐れているが、如何せん当たっている。
何がとは言えない、言ったら意識してしまうからだ。平常心を保て、俺!
いかん、無人機が非常に弱い描写に・・・・。