ジャックのマギアセイヴァー探しを手伝う事にしてから三時間。ネットを調べたり、聞き込みをしたり、図書館に行ったりとしたが、それらしいものは一切見つからない。
「マギアセイヴァー、何処に居るのー」
駅前の広場のベンチに座り、疲れからハァーッと大きく息を吐く。
「むぅ……マギアセイヴァーが見つからないと、トキメキングダムを復活させられないぜ」
周りの人にバレないよう、ぬいぐるみのフリをしていたジャックが私の腕の中でムスッとした様子で愚痴をこぼす。
「まあ、そう簡単に見つかるようなら伝説の戦士なんて呼ばれないよねー」
「……それもそうだな」
私の言葉にガックリと項垂れるジャック。大丈夫かな?
「けど、早いとこ見つけないとこの世界も危ないかもしれないぞ」
「えっ!?なんで!!」
ジャックの言葉に慌てて聞き返すと、呆れた目で見られた。
「コーリナーの奴らは心の情熱を奪おうとする奴らなんだ。いつかはこの世界の人間たちからも情熱を奪おうと侵略してくるに決まってる」
「それやばいじゃんっ!」
アワアワと慌てていると、「少しは落ち着け」とジャックの前足で頬を抑えられた。肉球がぷにぷにしてるぅ……。
「今のところはまだ侵略してくる様子はない。今のうちに探し出せれば問題ないはずだ」
「そ、それもそうだね!よーし、頑張るぞー!」
ジャックの言葉に大きく頷き、ベンチから勢いよく立ち上がる。と、その時。
「グッフッフー!この世界もカッチコチにトン結……じゃなくて、凍結してやるブヒ!」
白いモヤみたいなものが唐突に渦巻き、真っ白な豚さんが現れてそんな事を叫んだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
Side:ネージュ
「な、なにあれー!?」
「アイツはコーリナーだ!やばい、早く逃げるぞ花!」
宇宙船の中からジャックを通じて花ちゃんとの会話を聞いてる中、そろそろ頃合いかと悪の軍団の幹部として作った氷雪人形の内の一体、猪頭の人外お調子者枠のグフットを送り込んでみたら、ジャックの言葉で花ちゃんは慌てていたが、周りの人間は呑気にカメラでグフットを撮っていた。
これは好都合だとグフットを遠隔操作し、考えていたグフットの演技を行う。
「早速暴れてやるブヒ!お前の心、凍りなー!」
「きゃあああっ!!」
近場にいた女性へ向けて例の魔術を使うと、女性は体育座りの様に蹲った体勢で氷漬けになり、それを氷が覆うとパソコンの形をした怪物が誕生した。
「えっ、えっ!?なにあれー!?」
「あれはサメンダー!コーリナー達が生み出す怪物だ!花、早く逃げよう!」
驚く花ちゃんに、怪物についてジャックに説明させる。周りの人々もサメンダーが暴れだすと、慌てて逃げていく。
ジャックに促され、花ちゃんもその場から離脱しようとする。が、
「うぇーん!!」
「えっ!?」
物陰に逃げ遅れた幼女が居るのを偶然にも見つけてしまう。
「サメンダー!」
幼女が隠れている場所へとサメンダーがこっそりと近づいていくのをみてしまった花ちゃんは、
コツンッ
「サメ?」
「こっちだ、化け物!!」
なんと小石を投げて注意を引こうとするのだった。
「ちょっ、花!?」
「ごめんね、ジャック。……ほら、私を狙ってみなさいよ!」
そう言って幼女とは反対方向へと駆け出していく花。
「何だあの女ぁ。トンだ酔狂がいたもんだ!……サメンダー!お望み通り、あの女を狙ってやれ!」
「サメ!」
グフットを操り、サメンダーに花ちゃんを狙うよう仕向けさせると、ドスドスと足音を響かせながらサメンダーは花ちゃんへ向けて進みだした。
その様子を観測していた私は、頃合いを見て物陰に隠れた幼女……を演じさせていた氷雪人形を解除する。すると、
「うぇーん、うぇー……」
ドサッ!
先ほどまで泣いていた幼女の動きが止まり、次第に色が失われて真っ白になると、雪へ変わりバラバラと崩れたのだった。
不定期的に本編に出てきた設定を小出ししようと思うので、その第一弾です。……け、けっしてあとがきに書くネタが尽きたとかじゃ……無いんだからね!
TIPS
ネージュ=フ=ロスト
本作の主人公にして全ての黒幕。妖精の世界?侵略者?嘘ですが何か。伝説の戦士マギアセイヴァーなんて嘘っぱちですよ。
名前の由来というか元ネタは、ネージュはフランス語で雪。ミドルネームとラストネームを合わせて霜、結氷、寒気、寒さ、寒け、凍傷……といった意味を持つフロスト。ラストネームのロストは一度故郷が滅ぶんで失うという意味のロストを使用しています。結構洒落てるでしょ。