ー 名の無い少女の夢の中で ー   作:ライムライト

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はい、こっからがジェイク編開始でございます
前回からおよそ10月ぶりの更新誠に申し訳ありませんでした
次の話もすぐに投稿いたしますので
これからもよろしくお願いします


-第3章- 【 愛から来る衝動 】
「 さよならの始まりを……… 」


ここは、シュテルンビルトの都内にある有名な遊園地

そして葵がヒーローになる きっかけの場所であり

彼女の親である 虎徹と初めて出会った場所でもある

本日、葵がここに訪れた理由は………

 

「お待たせしました」

 

「いえ、ぼ、僕も今 来たところです! 」

 

なんとまぁ、ベタな会話が………

 

そう、先の会話からわかるように 本日 鏑木葵は 同い年で同僚の

折紙サイクロンこと、イワン・カレリンとデートに来ていた

 

もっとも、一切 恋愛に興味の無い葵にしてみれば

たまたま折紙が手に入れたペアチケット

そして自分が暇にしていたから誘われたのだと思い込んでいた

 

その為、葵の格好は、かわりばえのない……

普段通りの格好だった

 

それでも折紙は、葵と遊園地に行く約束を取り付けた日には

嬉し過ぎて 夢では無いかと一晩中 自分の頬をつねったり

落ち着く為にコレクションの手裏剣を無駄に磨いてたらしい

 

「行かないの? 」

 

すでに葵は入場口でチケットを見せようとしていた

 

「あ、待ってください! 今、行きますから」

 

慌ててチケットを見せ中に入って行った

 

 

 

--------------

 

 

-アポロンメディア社-

 

 

アポロンメディアの一室で難しい顔をしている2人がいた

 

「恐ろしいものだな………」

 

「ホワイトが提出した資料……確かにこの様な性能なら研究機関や医療機関など……

他にもたくさんの機関が……まさしく、喉から手が出るくらい欲しいでしょうね」

 

葵の能力についての資料を眺め 思わず溜息を漏らす

決して悪い意味では無いが今迄、自分達に明かさなかった事や葵自身の過去について知ってしまったのだ

 

資料には、能力についての内容 及び虎徹、カリーナ除く他のヒーロー達が知らない内容が書かれていた

 

葵は電気を司るNEXTだ

 

だが、それならドラゴンキッドことパオリンも同じNEXTだ

 

しかし葵はパオリンと比べその力が文字通り桁が違うのだ

 

発電能力は、パオリンがコンビニの電力を賄えるほどであれば

葵は軽く街1つまるごとの発電を賄える

確かにパオリン……ドラゴンキッドの力を葵のソレと比べてしまえば

静電気の様なもの……

あの男が言った言葉はなるほど 的を射っているではないか

いや、おそらくそれ以上だろう

 

何せ、葵の力は能力の応用が幅広く

 

筋肉に電気を流しキ◯アよろしく速く移動でき

さらに、電気の衣と呼ばれるものを纏えば光速で移動ができる(纏わなければ全身が鋭利な刃物で切られた様な傷ができる)

何処ぞのビリビリ中学生の様に超電磁砲を放つ事が可能……それも連続でだ

ビリビリ中学生の様に超電磁砲が撃てるのなら当然、砂鉄を操り剣や人の形にしたりもできる

さらに自身を電子に変え、怪我を無かったかの様に消すことができ また、直接触れていれば他人にも可能

 

そして、極め付けは……

 

「……NEXTを超えた力……限界突破(オーバー・ドライブ)……」

 

ただでさえ桁違いの葵の力をさらに強化した状態

常に帯電し、電磁波を撒き散らす

それでカメラなどが何台か壊れてしまったのだ

 

「……末恐ろしいものだよ………」

 

犯罪者としてこの街に来たならばおそらくヒーロー達はなす術もなく即全滅……考えたく無い結果となるだろう

 

「能力を抜きにしてもあの娘は、完璧超人とも言える存在です」

 

天は彼女に二物以上のものを与えた………全てを引き換えに……

今の彼女にある物は全て彼女自身の手で掴み取った物だ

 

「料理は三ツ星レベルがスカウトしたがり 掃除も清掃員のバイトで完璧にこなせ 元の運動能力もかなり高い」

 

生きる為に身についた能力……若干極め過ぎではあるが それが葵なのだ……っと言うしかないだろう

 

「おまけに容姿もいいですし プロポーションもモデルクラス……そういう仕事も山ほどきています」

 

「人気もバーナビーよりも高く 数ヶ月で KING OF HERO ならぬ QUEEN OF HERO かね」

 

「人気はダントツ1位、アンチも少ないです」

 

普通であればそれなりにアンチが存在する物だが

この街の人間の多くは英雄を讃えていた

 

「ふむ……まさに期待の新星……と言うやつだね……」

 

「不満があるとすれば……殆んど仕事を受けてくれない事ですね……」

 

今迄きた葵宛のモデルや雑誌の取材……その全てを葵は断り続けているのだ

 

決して選り好みしているわけでも、面倒くさがっているわけでも無い

ただ、向いていないと葵は思っているのだ

 

実際の話、葵はヘラヘラとした喋り方をするが基本無表情だ

そういうのには向いて無いだろう

 

「ですが、ヤマトナデシコとかクールビューティーなどと言われているらしいです」

 

「本人が嫌がっているのを無理にはできないよ」

 

辞められては困るしね……そう付け加える

 

葵の参戦で売り上げがバーナビーの倍近くはいったのと

アレキサンダー・ロイズの個人的なものもあったりするのはここだけの話だ

 

「それと、最近ではSONYより彼女がモデルの商品の開発案や3桁程のスポンサー希望企業が現れてる様です……」

 

その事にロイズは感嘆の溜息を吐いた

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

アポロンメディアのとある一室……

 

大量の本棚と備え付けの机と椅子、本やヒーロー、シュテルンビルトの情報が記載されたコンピューター

男はそこで目当ての本を探しているのか びっしりと並んでいる本を物色していた

小説、歴史書、数学や理系の教材など 図書館と言う程大層なものでは無いが様々な本が取り揃えられてる

だが、男はそれらに一切関心を持たずにいた

側から見れば目当ての本を探しているように見えるが実際はそうではなかった

 

「…………やはり見つからないか………一体何処に隠したのだろうか」

 

彼は探していた……

 

この場所に在るべきではない物(・・・・・・・・・・)……

 

「まぁいい……此処には歴代のヒーロー達が捕まえた犯罪者の情報がある筈だからな」

 

メガネの位置を直し 復讐心に燃える青年……バーナビー・ブルックスjr は一昔前のパソコンの電源を入れる

普段はあまり人が来ないこの部屋は 使用されないが故に半ば物置と化していた

 

そんな場所にバーナビーがわざわざ来た理由……

それは、彼の両親を殺害した人物が属していたであろう組織の手掛かりを探していた

その手掛かりとは、彼女が組織の研究員から手渡された手帳とメモリー

それさえあれば両親の仇の大きな手がかりとなる……筈だった

 

似たような境遇を持つ葵

彼女は渡された手帳とメモリーを何処かへ隠し

何一つとしてそれらに記載された情報を教えてはくれなかった

聞き出そうにも何も答えてはくれない

家には隠さないだろうと踏んで 彼女が入り浸る場所である此処に訪れたのだ

 

仮に無かったとしても此処のパソコンには犯罪者のリストがあり

自分の両親の仇が既に獄中にいる可能性があったからだ

 

「………これも違う……これも……」

 

コンピューターの画面に映し出された犯人達の写真と経歴などを一瞥したら

次へ次へと切り替えて探していく

だが、何時になっても彼の御目当ての画像は見つからない……

半ば諦めかけた…そんな時

 

「⁉︎ こ、これは⁉︎ 」

 

目印のタトゥーは右手に彫られていた

だから写真の右手の甲に集中してみていた

顔なぞは後で見ればよかったのだ

 

「あの、タトゥー……だ、誰だ! こいつは! 」

 

写真の右手だけをアップしたものが映し出されていた

その手の甲には蛇が自分の尻尾を噛んでいる様な……タトゥー

 

そう、それこそ彼が探し求めていた相手の目印

 

バーナビーは拡大した画像を縮小しようとマウスに手を伸ばそうとした

 

 

pipipipipp♪

 

 

 

 

----------------

 

 

 

 

 

 

 

 

ブルーローズことカリーナ・ライルは仕事もなく

また、学校も午前中の早い段階で終わってしまったのでアポロンメディアの訓練室に足を運んでいた

 

「………どうしたの? これ………」

 

顔を引きつらせ震える指でとあるモノを(・・・・・・)指し

近くに座っていたファイヤーエンブレムに尋ねた

 

かr……もとい、彼女はカリーナが指差したモノを一瞥すると

口元を若干引きつらせながら近付き

カリーナを部屋の隅に連れて行く

 

「………なんか葵ちゃんが折紙サイクロンと遊園地でデートらしいのよ」ボソ

 

ファイヤーエンブレムは小声であるモノに気を配りながらカリーナに伝える

 

「…………」

 

「…………………」

 

「………マジ? 」

 

「マジもマジよ大マジ……」

 

「………」チラッ

 

入ってきたときに感じたドス黒い何か……

明るいはずの部屋の一角が異様に暗く感じる

 

 

 

「……ブツ………ブツ…」

 

 

 

「うぇ〜………」

 

カリーナは引いていた

だが、それは仕方のないことである

 

考えてみて欲しい……

 

齢14程の少女がドス黒いオーラを放ちながらブツブツと何かを呟く様を…

 

想像して欲しい

 

目が虚ろになり どこを見てるのかもわからない少女の姿を…

 

そんな ドラゴンキッドとして街の平和を守るヒーローの1人である彼女

ファイヤーエンブレムの簡単な説明で考えられる原因は

 

《折紙サイクロンと葵が遊園地でデート》

 

だろう

 

彼女程の年齢であれば思春期に入り 所謂《恋に恋する》といった異性に対し

恋心を抱いたりする事が多くなるのだろう

 

何も知らない人(っというより殆ど人 )がファイヤーエンブレムの説明を聴いたら

彼女が折紙サイクロンという人物に恋愛感情を抱いているが

当の本人は彼女以外の女性に恋愛感情を抱いている

世に言う 三角関係……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

っと……思うであろう

 

その答えはあながち間違ってはいないだろう……

 

が、違うのはパオリンと折紙サイクロンの双方が鏑木 葵の事を愛している

もっとも、『恋愛感情? 何それ 美味しいの? 』なぐらい恋愛に興味の無い葵には

双方とも『仕事仲間』とか、『よく話す人』程度の認識なのだ

 

日頃 葵に抱きつくなどと激しいスキンシップをしているにも関わらず

葵には懐いている程度の認識だった

それ程 鏑木 葵は恋愛などに無関心なのだ

 

 

 

 

 

 

「あああぁぁぁぁぁぁぁあああああ‼︎ なんでライムが折紙さんと遊園地なんだよ!」

 

 

 

 

「……」チラッ

 

「…………」コクッ

 

「……」そ〜……

 

遂にイライラが頂点に達したのか突然大声で叫び出すパオリン

その状況に悪い予感を感じたファイヤーエンブレムとカリーナはお互い目配せをして

彼女にバレないうちにゆっくりと足音を立てずに去ろうとしていた

 

が、

 

「よぉ、何してんだ? 」

 

この男の手によって無に帰される

 

扉のすぐ側に辿り着いた2人の目の前に呑気に挨拶するロックバイソンこと

アントニオ・ロペスが現れたのだ……った…

 

「! 」ギロッ

 

ロックバイソンの登場により邪気を放っているパオリンに気づかれたようだ

そして、当然のことながら………彼らは彼女の標的にされるのであった

 

「……あれ? 俺、なんか悪い事した? 」

 

未だに状況を理解していないバイソン……

こういう奴のことを【空気の読めない人間】と言うのだろうか

邪悪なオーラを放つパオリン+カリーナ、ファイヤーエンブレムが睨んでいるのに

おそらく、今この場にいない虎徹とスカイハイであるキースでさえ感づくだろう

 

「……責任とってあんたがアレなんとかしなさいよ」

 

「え、いや……その……俺が? 」

 

「あんた、自分の犯した過ちを反省し、なんとかしようと思わないわけ?

それでもヒーロー? あんた、ヒーロー舐めてるの? 」

 

「そ、そこまで言うか⁉︎ 」

 

「「そこまで言う‼︎ 」」

 

彼女達の気迫に気圧されたじろぐバイソン

きっと彼は、(来なきゃよかった)とか

何故、この場に虎徹や葵がいないのか

そのことを恨めしく思っていたに違いない

 

「よ、よぉ、如何したんだよ。そんな怖い顔なんかしてよ」

 

「あなたには関係ないよ」

 

いかにも『私、メチャクチャ機嫌悪いですよ』的な顔をしながら返す

 

「あぁぁぁああぁぁあああああ‼︎ 犯罪でも起きないかなぁ‼︎ そうすればライムも帰ってくるのに」

 

「コラ! そんな事言うもんじゃありません! 」

 

「っても、そうそう事件なんか pipipipi♪ ……」

 

「まさか………」

 

携帯の音ではない……

それは、腕につけたPADからの着信………

 

イヤな予感で顔を引きつらせる3人……

 

対して先程の不機嫌さは何処へやら

目を輝かせ、今にも小躍りしそうな表情をしているパオリンがいた

 

そして……

 

 

『ボンジュール。ヒーロー、ビル街で事件よ

しっかり視聴率 稼いで頂戴ね』

 

 

予測通りPADに映し出たのは【 HERO TV 担当主任プロデューサー】のアニエスだった

彼女は簡潔に言いたいことを伝えるとすぐに通信は切ってしまった

 

「やった! やった! ライムに会える♪ 」

 

「マジで⁉︎ 」

 

驚き惚けてる3人をよそに

幼い少女は最愛の人に会える喜びでスキップしながら部屋から出て行った

 

 

 

------------

 

 

 

「っで、どうしてあのこはああなったの? 」

 

ヒーローそれぞれには専用のトレーラーが用意されている

トレーラーの中でヒーロースーツに着替えたり

遠い現場への移動手段として用いられる

 

もっとも、雷と同じ速度で移動出来る葵には一応あるのだが今の今迄一度も使ったことがなかいのだが

 

『……まぁ、おおよその原因はわかってるわ』

 

赤い文字で〈SOUND ONLY〉と表示された黒い画面

そこからファイヤーエンブレムの声がした

 

原因……というのは先ほどのパオリンのコトであろう

 

「え? 何が原因なの? 」

 

カリーナは水色の口紅を慣れた手つきで塗りながらファイヤーエンブレムに聞き返す

 

『ほら……2ヶ月前のあの事件の時………』

 

「あの時? あの事件がどうしたのよ」

 

『あの時に犯人が『無意識に発している力を吸収している』って』

 

葵の能力とパオリンの能力は同じ《電気》だ

電流がプラスからマイナスに流れるように……

強い葵の電磁波を弱いパオリンが吸収していたのだ

それに伴い、パオリンには癒しと高揚感があった

 

『だからその【癒し】と【高揚感】、それと【優しさ】………母性とでも言うのかしらねぇ………』

 

ファイヤーエンブレムは一旦言葉をきった

 

母というものを知らないで生きてきた葵

それでも葵のパオリンに対するそれは母性といってもいいものだろう

女であるコトの……いわば本能………とでも呼べるものなのだろう

 

そんなことを思いながら話を続けた

 

『それらがドラゴンキッドにとって〈麻薬〉のようなものになっていた………』

 

「麻薬………」

 

麻薬………非合法薬物のことを指し また、薬(drug)はこれら全般を表している

大体は、高揚感、幸福感を感じるなどの作用があるが

その代わりに乱用すると幻覚、幻聴などが起き

判断力の著しい低下 場合によっては死にいたる恐れがある

そして、一番厄介なコトなのが強い依存性を伴うコトである

 

ここでファイヤーエンブレムが言いたいのは

パオリンにとって『鏑木 葵』という存在に麻薬のように強く依存しているというコトである

 

『最初は純粋に懐いてただけ……』

 

『だけど、それがだんだんと【好意】に変わっていた』

 

「ちょっと待って⁉︎ 懐いてたのが何で好意に変わるのよ⁉︎ 男女ならわかるけど………」

 

「2人は、女……なのよ」

 

『そうね……』

 

言葉が切れる…

 

実際はほんの数秒程度だったが

2人には、何分にも何十分にも感じた

 

着替えもメイクもとうに終わらせて通信機の前に立ち尽くしていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『だからどうしたのよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

「え? 」

 

静寂を破る声

 

『女同士だからってどうだって言うのよ! 《愛》がそこにあるのが重要なのよ! 形なんて二の次よ! 』

 

 

「………かっこいいコト言ってるけど………」

 

感情の起伏が乏しい上に恋愛に興味のなさそうな彼女だから

きっと……………

 

 

「………《愛》してるのはドラゴンキッドだけよ? 」

 

『………』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

----------

 

ーシュテルンビルト市ビル街ー

 

『さあ! 本日もやってまいりました HERO TV ‼︎ 』

 

今日も今日とて実況のマイクがヘリから身を乗り出して実況を始める

 

時間は午後の06:23………

暑い夏の頃ゆえ、まだ空に太陽は君臨し

あたりは明るい……

 

『……! おぉぉぉっっっと⁉︎ 空から颯爽と登場! 』

 

『風の魔術師……スカァァァァァアア、イ! ハイ‼︎ 』

 

太陽の光を遮るように現れたのはスカイハイ

他のヒーロー達と違って 空を飛びまわれるスカイハイが1番に到着したようだ

 

葵にKOH……現QOHの座を奪われても尚、その人気は色褪せてはいない

彼の登場に多くの市民は歓声をあげ、犯罪者達は唾棄する

 

『お⁉︎ アレは! 』

 

ヘリからマイクが何かに気付いたらしい

すぐにビルなどのスクリーンにマイクが目撃したものに画面が切り替わる

 

そこには赤と緑の側車付のバイクに乗った

虎徹とバーナビーの姿が映し出されていた

側車側の虎徹はあいも変わらず両腕を頭の後ろにやって

不服そうにしていたが……

 

『 バーナビー・ブルックスjr の登場だ⁉︎ 後、ついでにワイルドタイガーもいるぞ! 』

 

「何で、俺がついでになんだよ‼︎‼︎ 」

 

一応、コンビで売っているワケなのだから虎徹が居ても不思議ではないのだが

〈 ついで 〉と言われるのが気に食わないようだった

 

「ったく! ………おい、どうしたんだよ。随分静かだな」

 

何時もであれば……先のマイクの発言に皮肉の1つ、2つは言うバーナビー

それが、何も喋らない、上の空

虎徹の問い掛けにも全く反応していないようだ

 

「………………」

 

 

右手の甲にある刺青……

《 ジェイク・マルチネス 》…………

 

顔まで見ている暇はなかったが

バーナビーは、ようやく見つけ出した仇の名を

心の中で呟いた

そして、ヒーローとしてのバーナビーのマスクの内では忌々しそうな顔を浮かべていたのだった

 

……に………! …………ば…………い………!

 

「バニー‼︎ 」

 

「ハッ⁉︎ 」

 

「………どうしたんだよ。ぼーっとしてよ。お前らしくもねぇ」

 

「………いえ、別に………大した事じゃないんですよ……」

 

バーナビーは、ただ、そう答えた

 

「………」

 

「………」

 

再び訪れた静寂

 

「なぁ……」

 

「……何ですか? 」

 

「……今日……俺はベンさんに呼ばれてたが………」

 

「………」

 

突然関係ない話をしだす虎徹

だが、マスクをあげて露わになってるその瞳は真剣なものだった

それがわかったからバーナビーはあえて何も言わなかった

 

「なんでもない。ただ、酒飲んで近況を報告しあった」

 

「だから何です……」

 

「そんときさ、Mr,レジェンドの話で盛り上がってよ」

 

Mr,レジェンド……

それは嘗て、シュテルンビルトに於いてその名の通り《伝説の英雄》として存在し

また、虎徹がヒーローを目指した直接の原因である

 

だが、何故……虎徹が今、レジェンドの話を持ち出したのが理解できなかった

ただ単に彼の話であれば聞く必要はない

早いとこ事件を解決して戻りたかった

 

「ベンさんが言ってたんだよ……」

 

「………」

 

すでに彼は意識を現場へと向けていた

 

「 【 右手に 蛇のタトゥー 】の男が居たって……」

 

虎徹は恩人との会話を思い出していた

ふと、今思うと彼は何処かおかしかった気がする………

 

何故自分にそんなコトを話したのだろうか?

あの時はレジェンドの話題だったので気にしていなかったが……

長い付き合いの彼だからこそ言動に疑問を持った

 

僅かな静寂……

そして、ソレを破るようにタイヤを軋ませキューブレーキをかけるバーナビー

虎徹からあまりにも意外な事を聴かされた為に

脳の処理がやっと終わりその意味を理解してらしい

 

「ジェ、ジェイク・マルチネス………⁉︎ 」

 

マスク越しからも彼の表情が分かるほど狼狽えていたが

虎徹にはただ

 

「え…………」

 

っと反応するしかなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー現場ー

 

此処はシュテルンビルト市にあるビル街

そして、今回の事件の現場であった

 

ヒーロー達には詳しいコトは今はわからなかったが

現場は実に静かなものであった

そしてそれが事の異常さを物語っていたのだった

 

「ふ〜む………もう既に避難が完了したのだろうか………」

 

空を巡回しながら犯人、及び一般市民を探していた

 

今の時間であればサラリーマン達が帰宅を開始する頃だ

まして本日は休日ではない

なのにこのビル街には人の気配がまるでなかった(・・・・・・・・・・・・)のだった

 

「ん? 」

 

空中を旋回しながら見回していたら

スカイハイは不思議なモノを見つけた

 

スカイハイは空中に浮かびながらそれを観察する

 

 

 

ビルの隙間を縫うようにソレは飛んでいた

そう、鳥だ……

 

だが、ただの鳥(・・・・)とはとても言い難かった

ただ、見た感じ普段公園などでよく目にするような鳥だ………

違うのは、僅かに青白く発光してることだけだった

誰もいないビル街ではソレはかなり目立っていたのだ

 

スカイハイはその鳥をもう少し観察しようと思ったが

ソレは何の前触れもなく消えてしまった

 

「……アレは一体………………」

 

見えなくなったと言うよりか

ソレはその場から消滅したように感じた

その鳥の気配も何もかもが一瞬で消えてしまたのだ

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピカッ‼︎

 

 

 

 

 

 

ド"ゴォォォ"オオ"ン‼︎‼︎‼︎?

 

 

 

 

 

光の後に遅れて響く轟音

すぐ近くで鳴り響いた様子だが『落ちた』ワケではない

 

何故なら、本日は快晴……雲ひとつない天気で

何より地上から放たれたものだったのだ

 

 

 

ピカッ、

 

 

 

ド"ゴォォォ"オオ"ン‼︎‼︎‼︎?

 

 

 

再び雷が空へと昇っていく

この現象の意味を理解したスカイハイは

直ぐさま発生源へと飛んでいく

 

そう、コレは[ 合図 ]なのだ……

集合の……そして

これから始まるコトの……

 

 

 

 

 

 

彼らにとって忘れるコトのできない出来事の……

また、その先の悲劇への

 

始まりを告げる[ 合図 ]なのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

 




今回は少しフラグを建てておきました
これが後々の話に繋がりますので
楽しみにしていてください

それでは、次回
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