●奏の部屋(25時)
〔SE:パソコンをカタカタ〕
奏「とりあえず、作詞も作曲も絵も完成したね」
まふゆ「出来ることは全部やった。あとは……」
絵名「……」
奏「えななん、瑞希はセカイにいるの?」
絵名「……多分」
〔回想〕
・瑞希「ずっと話せなくて……、ごめん。向き合えなくて―――、ごめん」
奏「何があったか、聞いてもいい?」
絵名「……ごめん、私からは言えない。私が言ったら、ダメだと思う」
奏「そっか……」
まふゆ「セカイに、探しに行かないの?」
絵名「今の私が行っても、Amiaを説得……、ううん、助けられないと思う。なんて言えばいいのか、わからないから……」
〔回想〕
・瑞希「ボクはその優しさがみんなの中に生まれちゃうことが――どうしようもなく……、嫌なんだ……っ!!」
絵名M「私は、瑞希が男でも女でも、どっちでも受け入れるつもりだ。だけど、瑞希が悩んでるのは……、苦しんでるのは、そこじゃない。私はまだ、それに対しての答えを出せてない……」
まふゆ「Amia、消えちゃうかも」
絵名「え……?」
まふゆ「このままじゃ、セカイに閉じこもったまま、消えちゃうかも。今度こそ、本当に……」
絵名「あ……、それは……」
まふゆ「私はAmiaに、『逃げてもいい』って言ってもらった。そのおかげで、お父さんに本当の気持ちを伝えることができた。だから今度は、私がAmiaを助けたい」
絵名「まふゆ……」
絵名M「……そうだよね。ここでグズグズしてても、何も始まらない。もし本当に瑞希が消えちゃったら、それこそ言いたいこと何も言えなくなっちゃう。だったら―」
絵名「行こう、セカイに。瑞希を、助けに……!」
●誰もいないセカイ(同日・深夜)
〔SE:ギチギチと紐を引っ張る〕
レン「リン~」
リン「ん~、解けない……!」
ミク「どうしよう……」
〔SE:セカイにやってくる〕
ミク「あ、奏」
奏「ミク、どうしたの?」
ミク「レン、あやとりが体に絡まっちゃったみたいで……」
レン「助けて~!」
絵名「どんなやり方してるのよ……」
× × × × ×
リン「よかったね、レン。解けて」
レン「体中が痛い……」
ミク「ありがとう、みんな」
奏「ううん」
ミク「今日はどうしたの?」
奏「あ、えっと、瑞希を探しに来たんだ」
ミク「瑞希……」
絵名「どこにいるか知ってる?」
ミク「ううん。少し前まで、湖のところに一人で座ってたんだけど……」
リン「最近は、全く見ない」
絵名「そんな……」
まふゆ「どこにいったんだろう……」
ミク「何があったのかは話してくれなかったけど……、瑞希、すごく悲しそうだった……」
絵名「……」
まふゆ「探そう、絵名」
絵名「……うん、そうだね」
奏「もしかしたら、少し遠くまで行ってるのかも」
リン「じゃあ、人手が必要だね」
レン「僕たちも手伝うよ!」
絵名「ありがとう」
× × × × ×
〔SE:ザッザッザと足音〕
絵名「……いない。ったく、どこ行っちゃったのよ。何も、ずっとセカイに閉じこもってることないのに……」
絵名M「ちゃんと、ご飯とか食べてるのかな……。ちゃんと、眠れてるのかな……」
絵名「はぁ~、結構遠くまで来ちゃった。そろそろ戻らないと、私が迷子に―」
〔SE:ガリッと何かを踏む〕
絵名「ん、今なにか踏んだ……?なんだろう、このキラキラしたの……」
× × × × ×
まふゆ「瑞希、見つからなかった」
奏「私も……」
ミク「どこに行っちゃったんだろう……」
絵名「……」
まふゆ「そう言えば、探してる途中でこんなの見つけたんだけど」
奏「あ、私も」
絵名「私も見つけた。このキラキラしたの、何なの?」
ミク「それは、想いの欠片だね」
絵名「想いの欠片……?」
ミク「このセカイは、誰かの想いでできている。でも、全ての人の想いがセカイになるわけじゃない。これはそんな、まだセカイになりかけの想いの結晶」
まふゆ「結晶、か……」
〔SE:タッタッタと足音〕
レン「みんな~」
ミク「瑞希、見つけた?」
リン「ううん、見つけられなかった」
レン「ごめん……」
絵名「謝らないで。私たちも同じだから」
リン「でも、何かキラキラしたの持ってきたよ」
奏「リンとレンも?」
絵名「みんな見つけてきたんだね」
まふゆ「こんな偶然、あるんだ」
リン「これ、想いの欠片だよね」
ミク「うん」
レン「……でも、何か黒くない?」
ミク「え?」
リン「確かに、他のより黒く淀んでるような……」
レン「何か、悪い感じがする……」
〔SE:禍々しい何かが噴出する〕
絵名「な、何……!?」
ミク「これは……!」
〔SE:不気味な笑い声が重なる〕
絵名「な、何こいつら……、気味悪い……!」
レン「ち、近づいてくるよ……!」
奏「と、とりあえず―」
リン「逃げろーっ!」
〔SE:ダッダッダと慌てた足音〕
× × × × ×
〔SE:ダッダッダと慌てた足音〕
まふゆ「あっ……!」
〔SE:ドンッと転倒する〕
奏「まふゆ……!」
〔SE:不気味な笑い声、迫る〕
まふゆ「あ……、あ……」
絵名「まふゆ、立ちなさい……!」
まふゆ「た、助け―」
〔SE:鋭い斬撃〕
まふゆ「え……?」
〔SE:スタッと華麗に着地〕
〔SE:細い風が吹き抜ける〕
まふゆ「あ、あなたは……」
瑞希「……『アクイ』は、ボクが倒す」
絵名「瑞希……?」