セカイ少女; 荊棘∞瑞希   作:であであ

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第10話 君のためのセカイ

●誰もいないセカイ(同日・25時)

 

瑞希「セカイを呑み込む……?いや、だってミクは、ボクと一緒にアクイを倒してたじゃん……!」

 

幻妖「違うよ。私は倒してたんじゃない、取り込んでいたの。瑞希の倒した、アクイたちの残滓を」

 

奏「取り込む……?」

 

まふゆ「何でそんなこと……?」

 

幻妖「私が、悪意の欠片から生まれた存在だからだよ」

 

瑞希「……っ!」

 

幻妖「誰の悪意か、なんて話しは必要ない。このセカイに生まれたその瞬間から、全てのセカイを呑み込む、これが私にとってのたった一つの想い……」

 

瑞希「そんな……」

 

幻妖「ふふっ、瑞希のおかげで沢山のアクイの残滓を取り込むことができたよ。ありがとう、瑞希……。ううん……、私の、マリオネット」

 

瑞希M「ボクは、ミクの手の上で踊らされて……。セカイを守るどころか、ボクがこのセカイを壊そうと……」

 

絵名「大丈夫」

 

瑞希「え……?」

 

絵名「瑞希は、悪くない」

 

瑞希「絵名……」

 

絵名「……瑞希の弱みに付け込んで利用するなんて、絶対に許せない……!」

 

幻妖「うるさいよ、人間風情が。君に許しを請うつもりなんてない。そんなことをせずとも、私はこれからセカイを呑み込む。そしてこれは、そのための最後の一欠片……」

 

奏「あ、まずい……!」

 

〔SE:欠片を取り込む〕

 

幻妖「うぅ……、あぁ……、ああぁ……!」

 

〔SE:悪意、吹き出し膨大に膨れ上がる〕

 

 

幻妖「うあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

奏「ミク……」

 

まふゆ「違う。あれはもう、ミクじゃない……」

 

〔SE:地面を強く殴打〕

〔SE:酷い地鳴り、轟く〕

 

絵名「きゃっ!」

 

奏「このままじゃ、セカイが……!」

 

優李「そ、それって、朝比奈さんの想い?はどうなるの?」

 

まふゆ「……分からない」

 

瑞希「……戦わなきゃ」

 

優李「暁山さん……?」

 

瑞希「ボクが、守らなきゃ……!」

 

〔SE:セカイ少女に変身〕

 

瑞希「みんな、逃げて……!」

 

絵名「……嫌だ、逃げない!」

 

瑞希「な、何で……!」

 

絵名「瑞希だけじゃない……。私も、沢山逃げて、答えを出すのを先送りにしてた……。だから、もう逃げない。瑞希から逃げない!どんな時も、一緒にいる!」

 

瑞希「絵名……」

 

奏「私も、瑞希と一緒にいるよ」

 

まふゆ「奏がいるなら、私も」

 

優李「俺も、暁山さんが戦うなら、それを見届けたいです!あと、一人だと帰り方が分かりません!」

 

瑞希「……ふふっ、みんな、ありがとう……。……行って来る!」

 

〔SE:ダッと飛び出す〕

〔SE:鋭い斬撃の連撃〕

 

瑞希「ぐっ……!」

 

〔SE:鋭い斬撃〕

 

絵名「瑞希……」

 

??「みんな~!」

 

〔SE:タッタッタと駆け足〕

 

奏「レン……、みんな……!」

 

まふゆ「無事だったんだ」

 

レン「よかった、みんなも無事で—」

 

ルカ「レン、危ないっ!」

 

レン「え?」

 

〔SE:地面を強く抉る〕

 

レン「いたたた……」

 

カイト「一人で走り出すな、死にたいのか……?」

 

レン「カイト……!ごめん……」

 

ミク「あれは、何……?」

 

まふゆ「もう一人のミク……、だったもの」

 

奏「アクイを倒してると見せかけて、その残滓を取り込んで、セカイを呑み込もうとしてるみたい」

 

ミク「そうだったんだ……」

 

リン「あれ、勝てるの?」

 

まふゆ「分からない……」

 

メイコ「少し、厳しそうね……」

 

瑞希「だぁーっ!」

 

〔SE:鋭い斬撃〕

 

瑞希「うっ、ごほっ、ごほっ、ごぼぉぇっ!」

 

〔SE:血がバシャッ〕

〔SE:落とした剣の甲高い金属音〕

 

絵名「瑞希!」

 

ミク「……瑞希の体、真っ黒」

 

瑞希M「……動け、動けよ、ボクの体……。みんなを、守るんだろ……?こんなボクを受け入れてくれたみんなを、ボクが守らないで、誰が守るっていうんだ……」

 

優李M「このままじゃ、暁山さんが……!何か、何か俺に出来ることはないのか……!?暁山さんを守りたい……!暁山さんを守らなきゃ……!暁山さんを守るために……!……あ、分かった、かも」

 

絵名「ねぇ、誰か瑞希を―」

 

〔SE:ダッと飛び出す〕

 

絵名「え……?」

 

× × × × ×

 

〔SE:迫る巨体、空気が揺れる〕

 

瑞希「……」

 

瑞希M「動け……、動け……、もう、少しで……」

 

〔SE:ザッと立ちはだかる〕

 

瑞希「え……?」

 

優李「……暁山さんに、近づくな……!」

 

瑞希「景谷、くん……」

 

カイト「あいつ……!」

 

優李「このセカイに来る時……、暁山さんへの想いを確かめる時、ちょっとわかった気がする……。ねぇ、カイト。想いは、強ければ強いほど、成就するの?」

 

カイト「……絶対ではない」

 

優李「そっか……。でも、今ならきっと叶うかも」

 

カイト「何……?」

 

〔SE:ゆっくりと深呼吸〕

 

優李「暁山さんを傷つけるな!」

 

瑞希「……!」

 

優李「俺が、この一年どんな想いで……、どれだけ暁山さんが好きか、お前には分からないだろ!セカイとか欠片とかよく分からないけど……、もし暁山さんが死んじゃうようなことがあったら、俺も後を追ってやる!」

 

絵名「景谷くん……」

 

優李「俺の好きな人は傷つけさせない……、暁山さんは俺が守る……、『暁山さんは、永遠に、俺が守るんだ』!」

 

〔SE:強烈な光を放つ〕

 

奏「これは……」

 

カイト「まさか、本当に叶ったというのか……!?」

 

ミク「新しいセカイが、生まれる……」

 

× × × × ×

 

優李「あはは、本当にできちゃった……」

 

瑞希「景谷くん……。ごめん、ボク、景谷くんの、気持ちに―」

 

優李「大丈夫、分かってますから。何も言わないでください……」

 

瑞希「……」

 

優李「一年前の神高祭の日、あの空き教室で、暁山さんと出会えて、本当に良かった。暁山さんのあの言葉が、どれほど俺の心を救ってくれたか……。もしあの時、暁山さんが俺の出店に来てくれなかったら、きっとその日の内に屋上から飛び降りてました」

 

瑞希「……ボクは、何も……」

 

優李「好きです、暁山さん。ずっと、ずっと……。って、柄にもないこと……、ごめんなさい、気持ち悪くて」

 

瑞希「そ、そんなこと、ない……!」

 

優李「……だったらもう、そんな顔しないでください」

 

〔SE:優しくリボンを解く〕

〔SE:変身解除〕

 

優李「……やっぱり、可愛いな」

 

瑞希「……!」

 

優李「今までも、これからも、ずっと暁山さんが好きです。暁山さんが俺の心を救ってくれたみたいに、今度は俺が、暁山さんを永遠に守ります……。だから……、堂々と生きてください!もう、一人じゃないんだから」

 

〔SE:静かな足取り、遠ざかっていく〕

 

瑞希「景谷くん……!」

 

優李「また、アニメの話ししましょうね……!いつか、どこかで会えたら……!」

 

瑞希「うん……、うん……!絶対、しようね……!」

 

〔SE:静かな足取り、遠ざかっていく〕

〔SE:眩い光に包まれる〕

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