●誰もいないセカイ(同日・25時)
瑞希「セカイを呑み込む……?いや、だってミクは、ボクと一緒にアクイを倒してたじゃん……!」
幻妖「違うよ。私は倒してたんじゃない、取り込んでいたの。瑞希の倒した、アクイたちの残滓を」
奏「取り込む……?」
まふゆ「何でそんなこと……?」
幻妖「私が、悪意の欠片から生まれた存在だからだよ」
瑞希「……っ!」
幻妖「誰の悪意か、なんて話しは必要ない。このセカイに生まれたその瞬間から、全てのセカイを呑み込む、これが私にとってのたった一つの想い……」
瑞希「そんな……」
幻妖「ふふっ、瑞希のおかげで沢山のアクイの残滓を取り込むことができたよ。ありがとう、瑞希……。ううん……、私の、マリオネット」
瑞希M「ボクは、ミクの手の上で踊らされて……。セカイを守るどころか、ボクがこのセカイを壊そうと……」
絵名「大丈夫」
瑞希「え……?」
絵名「瑞希は、悪くない」
瑞希「絵名……」
絵名「……瑞希の弱みに付け込んで利用するなんて、絶対に許せない……!」
幻妖「うるさいよ、人間風情が。君に許しを請うつもりなんてない。そんなことをせずとも、私はこれからセカイを呑み込む。そしてこれは、そのための最後の一欠片……」
奏「あ、まずい……!」
〔SE:欠片を取り込む〕
幻妖「うぅ……、あぁ……、ああぁ……!」
〔SE:悪意、吹き出し膨大に膨れ上がる〕
幻妖「うあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
奏「ミク……」
まふゆ「違う。あれはもう、ミクじゃない……」
〔SE:地面を強く殴打〕
〔SE:酷い地鳴り、轟く〕
絵名「きゃっ!」
奏「このままじゃ、セカイが……!」
優李「そ、それって、朝比奈さんの想い?はどうなるの?」
まふゆ「……分からない」
瑞希「……戦わなきゃ」
優李「暁山さん……?」
瑞希「ボクが、守らなきゃ……!」
〔SE:セカイ少女に変身〕
瑞希「みんな、逃げて……!」
絵名「……嫌だ、逃げない!」
瑞希「な、何で……!」
絵名「瑞希だけじゃない……。私も、沢山逃げて、答えを出すのを先送りにしてた……。だから、もう逃げない。瑞希から逃げない!どんな時も、一緒にいる!」
瑞希「絵名……」
奏「私も、瑞希と一緒にいるよ」
まふゆ「奏がいるなら、私も」
優李「俺も、暁山さんが戦うなら、それを見届けたいです!あと、一人だと帰り方が分かりません!」
瑞希「……ふふっ、みんな、ありがとう……。……行って来る!」
〔SE:ダッと飛び出す〕
〔SE:鋭い斬撃の連撃〕
瑞希「ぐっ……!」
〔SE:鋭い斬撃〕
絵名「瑞希……」
??「みんな~!」
〔SE:タッタッタと駆け足〕
奏「レン……、みんな……!」
まふゆ「無事だったんだ」
レン「よかった、みんなも無事で—」
ルカ「レン、危ないっ!」
レン「え?」
〔SE:地面を強く抉る〕
レン「いたたた……」
カイト「一人で走り出すな、死にたいのか……?」
レン「カイト……!ごめん……」
ミク「あれは、何……?」
まふゆ「もう一人のミク……、だったもの」
奏「アクイを倒してると見せかけて、その残滓を取り込んで、セカイを呑み込もうとしてるみたい」
ミク「そうだったんだ……」
リン「あれ、勝てるの?」
まふゆ「分からない……」
メイコ「少し、厳しそうね……」
瑞希「だぁーっ!」
〔SE:鋭い斬撃〕
瑞希「うっ、ごほっ、ごほっ、ごぼぉぇっ!」
〔SE:血がバシャッ〕
〔SE:落とした剣の甲高い金属音〕
絵名「瑞希!」
ミク「……瑞希の体、真っ黒」
瑞希M「……動け、動けよ、ボクの体……。みんなを、守るんだろ……?こんなボクを受け入れてくれたみんなを、ボクが守らないで、誰が守るっていうんだ……」
優李M「このままじゃ、暁山さんが……!何か、何か俺に出来ることはないのか……!?暁山さんを守りたい……!暁山さんを守らなきゃ……!暁山さんを守るために……!……あ、分かった、かも」
絵名「ねぇ、誰か瑞希を―」
〔SE:ダッと飛び出す〕
絵名「え……?」
× × × × ×
〔SE:迫る巨体、空気が揺れる〕
瑞希「……」
瑞希M「動け……、動け……、もう、少しで……」
〔SE:ザッと立ちはだかる〕
瑞希「え……?」
優李「……暁山さんに、近づくな……!」
瑞希「景谷、くん……」
カイト「あいつ……!」
優李「このセカイに来る時……、暁山さんへの想いを確かめる時、ちょっとわかった気がする……。ねぇ、カイト。想いは、強ければ強いほど、成就するの?」
カイト「……絶対ではない」
優李「そっか……。でも、今ならきっと叶うかも」
カイト「何……?」
〔SE:ゆっくりと深呼吸〕
優李「暁山さんを傷つけるな!」
瑞希「……!」
優李「俺が、この一年どんな想いで……、どれだけ暁山さんが好きか、お前には分からないだろ!セカイとか欠片とかよく分からないけど……、もし暁山さんが死んじゃうようなことがあったら、俺も後を追ってやる!」
絵名「景谷くん……」
優李「俺の好きな人は傷つけさせない……、暁山さんは俺が守る……、『暁山さんは、永遠に、俺が守るんだ』!」
〔SE:強烈な光を放つ〕
奏「これは……」
カイト「まさか、本当に叶ったというのか……!?」
ミク「新しいセカイが、生まれる……」
× × × × ×
優李「あはは、本当にできちゃった……」
瑞希「景谷くん……。ごめん、ボク、景谷くんの、気持ちに―」
優李「大丈夫、分かってますから。何も言わないでください……」
瑞希「……」
優李「一年前の神高祭の日、あの空き教室で、暁山さんと出会えて、本当に良かった。暁山さんのあの言葉が、どれほど俺の心を救ってくれたか……。もしあの時、暁山さんが俺の出店に来てくれなかったら、きっとその日の内に屋上から飛び降りてました」
瑞希「……ボクは、何も……」
優李「好きです、暁山さん。ずっと、ずっと……。って、柄にもないこと……、ごめんなさい、気持ち悪くて」
瑞希「そ、そんなこと、ない……!」
優李「……だったらもう、そんな顔しないでください」
〔SE:優しくリボンを解く〕
〔SE:変身解除〕
優李「……やっぱり、可愛いな」
瑞希「……!」
優李「今までも、これからも、ずっと暁山さんが好きです。暁山さんが俺の心を救ってくれたみたいに、今度は俺が、暁山さんを永遠に守ります……。だから……、堂々と生きてください!もう、一人じゃないんだから」
〔SE:静かな足取り、遠ざかっていく〕
瑞希「景谷くん……!」
優李「また、アニメの話ししましょうね……!いつか、どこかで会えたら……!」
瑞希「うん……、うん……!絶対、しようね……!」
〔SE:静かな足取り、遠ざかっていく〕
〔SE:眩い光に包まれる〕