セカイ少女; 荊棘∞瑞希   作:であであ

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第3話 自戒と願い

●誰もいないセカイ(同日・深夜)

 

〔SE:鋭い斬撃〕

 

瑞希「はぁ……、はぁ……、はぁ……」

 

幻妖「これで、この辺りのアクイは、全て浄化できたかな」

 

瑞希「はぁ、疲れた……」

 

瑞希「にしても、本当に今のところ負けなしだね!やっぱり、瑞希と契約してよかったよ!」

 

瑞希「まぁね~、魔法少女モノはボクの専売特許だから!って、自分で言ってて皮肉なものだよね……」

 

幻妖「う~ん、確かに……」

 

瑞希「え?」

 

幻妖「瑞希は魔法じゃなくて、想いの力で戦ってるんだよ。だから、魔法少女じゃなくて、セカイ少女、かな」

 

瑞希「あ~……、うん。拘るね」

 

幻妖「そう言えば、さっきのが瑞希の言ってたお友達?」

 

瑞希「そうだよ。音楽サークルで一緒に活動してる子たちでね。因みに僕は、MV動画の制作担当!」

 

幻妖「へぇ~、すごいね!MVって何か分からないけど」

 

瑞希「今度見せてあげるよ」

 

瑞希M「みんな、変わってなかったな……。って、そりゃそっか。まだここに閉じこもってから、数週間しか経ってないんだから。絵名は、凄く心配してたけど……」

 

幻妖「早く、みんなの元に戻れるといいね」

 

瑞希「……ねぇ、ミク」

 

幻妖「な~に?」

 

瑞希「アクイを倒せば、本当にボクはみんなのところに帰れるんだよね……?」

 

◆誰もいないセカイ(数週間前・夜)《回想》

 

瑞希「……」

 

  〔回想〕

  ・瑞希「ボクはその優しさがみんなの中に生まれちゃうことが――どうしようもなく……、嫌なんだ……っ!!」

  ・瑞希「ずっと話せなくて……、ごめん。向き合えなくて―――、ごめん」

 

瑞希M「もしあの時、先生を探しに行かなかったら……。絵名に、一緒に探してって頼んでたら……。絵名と一緒に屋上に行ってたら、何か変わったのかな……。いや、何も変わらないか。向き合えなくて、隠して、逃げて、逃げ続けたボクの自業自得だ……。もう、みんなと一緒に遊ぶことも、曲を作ることも出来ない……」

 

瑞希「……だったらいっそ、みんな消えていなくなればいいのに」

 

瑞希M「何言ってるんだ、ボク……。みんなはなにも悪くない。ボクが……、ボクが消えればいいんじゃないか……」

 

〔SE:ザッザッザと足音〕

 

瑞希M「湖……、飛び込めば消えられるかな……」

 

瑞希「なんて、そんな勇気もないくせに……」

 

〔SE:何かが水を流れる〕

 

瑞希「今、何か光った……。あぁ、でもここはまふゆしか……」

 

〔SE:水の中から掬い上げる〕

 

瑞希「取れた……。何だろう、これ。キラキラしてて、でもどこか淀んで―」

 

〔SE:禍々しい何かが噴出する〕

 

瑞希「うわぁっ!な、なに、これ……!」

 

〔SE:不気味な笑い声、重なる〕

 

瑞希「な、何……、誰……?」

 

〔SE:不気味な笑い声、迫る〕

 

瑞希「い、嫌だ……、嫌だぁ!」

 

〔SE:ダッと走り出す〕

 

× × × × ×

 

〔SE:ダッダッダと駆け足〕

 

瑞希「はぁ、はぁ、はぁ……!」

 

瑞希M「なに、何なのあれ……!」

 

瑞希「あっ……!」

 

〔SE:ドサッと地面に倒れる〕

 

瑞希「いててて……」

 

〔SE:不気味な笑い声、迫る〕

 

瑞希「あ……、あ……。嫌だ、来ないで……」

 

瑞希M「本当に、そう思ってるの?消えたいんなら、これはボクの望んだ通りじゃない?自分でする勇気がないなら、誰かにって……。ほら、このまま、目を瞑っちゃえば―」

 

??「ねぇ、私と契約して?」

 

瑞希「え?」

 

??「私と契約して、セカイ少女になって?」

 

瑞希「セカイ、少女……?」

 

??「そうすれば、君の本当の想いが叶うよ」

 

瑞希「ボクの、本当の想い……」

 

瑞希M「消えたい……。いや、違う。ボクは、もう一度みんなと―」

 

瑞希「……契約、する」

 

??「……ふふっ、ありがとう」

 

〔SE:鋭い斬撃、敵を切り裂く〕

 

瑞希「はぁ、はぁ、はぁ……。これ、は……。って、えぇ、何この格好!?ボク、こんなドレス持ってたっけ!?そ、それに顔にリボン、これじゃ前が見えな……、あれ、見える」

 

??「ふふっ、とっても似合ってるよ、瑞希」

 

〔SE:キラキラと羽ばたく〕

 

瑞希「だ、誰……?」

 

幻妖「私は、ミク」

 

瑞希「ミク……?ボクが知ってるミクと、全然違う……。妖精みたい……」

 

幻妖「私は、想いの欠片から生まれたミクだから。『幻妖のミク』って言えば、差別化できるかな」

 

瑞希「想いの、欠片?」

 

幻妖「うん、さっき湖で拾ったでしょ?あれが、想いの欠片だよ」

 

瑞希「じゃあ、さっきのはなんだったの?急に、その欠片から飛び出してきて……」

 

幻妖「あれは、アクイ。想い主の純粋な願いが込められた欠片が、悪意に染まって具現化したもの」

 

瑞希「悪意に染まって……」

 

幻妖「そう。だから瑞希には、そんなアクイを浄化して、元の純粋な想いに戻してほしいんだ!」

 

瑞希「つまり、戦うってこと?さっきみたいに……」

 

幻妖「うん、そういうこと!」

 

瑞希「いや……、いやいやいや。ボクにはそんなことできないよ。第一、どうしてボクがそんなこと……」

 

幻妖「……悪意はね、一度に存在できる総量が決まってるんだ。それが限界値を超えた時、欠片から飛び出して暴れ出す、さっきみたいにね」

 

瑞希「それって……」

 

幻妖「誰が、その限界値を超えさせたと思う?」

 

瑞希「もしかして、ボク……?」

 

幻妖「うん」

 

瑞希「……いやいや、ボクはそんな、悪意なんて―」

 

  〔回想〕

  ・瑞希「……だったらいっそ、みんな消えていなくなればいいのに」

 

瑞希「……あ」

 

幻妖「瑞希の生み出した悪意の欠片が、最後の一つだったんだよ」

 

瑞希「そんな、ボクのせいで……。ボクのせいで、このセカイが……」

 

幻妖「でもね、悪い話しだけじゃないよ」

 

瑞希「え……?」

 

幻妖「私と契約した瑞希は、その力で悪意の欠片を想いの欠片に浄化することができる。その浄化された想いは、必ず成就するんだ」

 

瑞希「……じゃあ、ボクの悪意の欠片を浄化すれば―」

 

幻妖「そう、君の本当の想いが実現するよ」

 

瑞希「……じゃあ、やらなきゃ。戦わなきゃ」

 

幻妖「……ふふっ」

 

瑞希「悪意を浄化して、またみんなと―」

 

●誰もいないセカイ(同日・深夜)

 

幻妖「もちろん、戻れるよ。あの時の言葉に、嘘はないさ」

 

瑞希「……そっか」

 

瑞希M「戦って、戦ってさえいれば……。ボクはみんなに秘密を話せて、みんなの中の優しさも消えて―」

 

瑞希「……あは、あはは、あははははっ!」

 

幻妖「瑞希……?」

 

瑞希M「全部、全部全部、上手くいく!そのために―」

 

瑞希「ごほっ、ごほっ!」

 

幻妖「瑞希、大丈夫?」

 

瑞希「……うん、大丈夫。ちょっと、疲れちゃったみたい」

 

瑞希M「そのために、全ての悪意を浄化する……。これはボクの、自戒と願いの戦いだ」

 

× × × × ×

 

ミク「瑞希……、あのままじゃ……」

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