セカイ少女; 荊棘∞瑞希   作:であであ

5 / 11
第5話 あの日を知る者

●絵名の部屋(同日・深夜)

 

絵名「……」

 

奏「瑞希、体平気なのかな……」

 

まふゆ「さっきは普通に動けてたし、話せてたけど……」

 

奏「妖精のミクも、あまり詳しいことは言ってくれなかったね」

 

まふゆ「それより、分からないことがある」

 

奏「分からないこと?」

 

まふゆ「瑞希が、何を言って、何に悩んでいるのか。どうして、戦っているのか」

 

奏「自分のせいで生まれたアクイを倒すのと、瑞希の想いを叶えるためって……」

 

まふゆ「表面的に受け取るならそう。でも、その考えに至った、もっと根本的な何かがあるはず。それが、私には理解できなかった」

 

奏「それは、確かに……」

 

絵名「……」

 

まふゆ「えななん、何か知ってる?」

 

絵名「え?」

 

まふゆ「あの時、唯一瑞希の言ってること分かってそうだった」

 

絵名「それは……」

 

奏「まだ、言えない?」

 

絵名「……ごめん、やっぱり私の口からは言っちゃダメだと思う。それに、私だって……」

 

奏「大丈夫。無理に聞き出そうとはしないから」

 

絵名「うん……」

 

まふゆ「これで、今の私たちに出来ることは瑞希を待つだけになった。アクイを倒して想いを叶えれば、また私たちと一緒にいられる……、この言葉を信じるしかない」

 

奏「それまでに、瑞希の体がもてばいいけど……」

 

絵名「……ごめん、今日はもう落ちるね」

 

奏「うん。私たちも、そろそろ寝よっか」

 

まふゆ「うん。おやすみ」

 

絵名「おやすみ」

 

〔SE:ナイトコード、ログアウト〕

 

絵名「瑞希……」

 

  〔回想〕

  ・瑞希「……大丈夫、この戦いが終われば、またみんなと一緒にいられるから。全部話せて、優しさもなくなって……、そしたらボクは―」

 

絵名M「あれって、あの時瑞希が言ってた……」

 

  〔回想〕

  ・瑞希「ボクはその優しさがみんなの中に生まれちゃうことが――どうしようもなく……、嫌なんだ……っ!!」

 

絵名M「戦えば、それがなくなる……?想いが叶えば、全て上手くいく……?そんな、そんなの……」

 

絵名「どうしたら、瑞希の心を救えるんだろう……」

 

●神山高校・屋上(数日後・夜)

 

〔SE:扉を開ける〕

〔SE:静かな足取り〕

 

絵名「……」

 

  〔回想〕

  ・男子生徒A「君も男だったりする感じ?」

 

絵名M「ほんと、馬鹿みたい。他人の秘密を勝手に言いふらすなんて。瑞希がどれだけの想いだったか、あの人たちには分かりっこないけど、それでも……」

 

絵名「……はぁ、帰ろ」

 

●神山高校・廊下(同日・夜)

 

〔SE:足音、廊下に響く〕

 

絵名「ちょっと、遅くなっちゃった」

 

〔SE:もう一つ、重なる足音〕

 

絵名M「あれ、もうみんな帰った頃だと思ったけど……」

 

〔SE:足音、徐々に速く近くなる〕

 

絵名M「……なに?」

 

絵名「なんか、気味悪い……」

 

〔SE:ダッと走り出す〕

 

× × × × ×

 

〔SE:タッタッタと足音〕

〔SE:それを追いかけるもう一つの足音〕

 

絵名M「追いかけてくる……、誰……?」

 

× × × × ×

 

〔SE:ダッダッダと足音〕

〔SE:重なるもう一つの足音、もう目前〕

 

絵名M「近い、もう―」

 

〔SE:肩をガッと掴まれる〕

 

絵名「きゃっ、離して!」

 

??「あ、えぁ、ご、ごめん……!」

 

絵名「え……?だ、誰……?」

 

優李「あ、えと、景谷優李だよ。同じクラスの……」

 

絵名「あ、景谷くん……」

 

優李「ちょっと、東雲さんに話したいことがって……」

 

●宮益坂(同日・夜)

 

〔SE:重なる二つの靴音〕

 

絵名「もう、話しがあるなら普通に声かけてくれればいいのに。不審者かと思って逃げちゃったじゃない」

 

優李「ご、ごめん。人と話すの苦手で、どうやって声かければいいか分かんなくて……。それに東雲さん、ちょっと話しかけづらい……」

 

絵名「え、なんでよ?」

 

優李「その、ちょっと気が強―」

 

絵名「え、なに?」

 

優李「い、いえ、何でもないです……」

 

絵名M「変な人」

 

絵名「それで、私に話しって?」

 

優李「あぁ、うん。暁山さんのことなんだけど……」

 

絵名「瑞希の?」

 

優李「うん。最近、学校来てないよね、この前の文化祭の時から。何してるのかなって。東雲さん、暁山さんと仲いいでしょ?だから、何か知ってるかなって思って」

 

絵名「……あ~、えっと、ちょっと今風邪が長引いちゃってるみたいで」

 

優李「あ、そうだったんだね。よかった、俺の杞憂だったみたいで」

 

絵名「杞憂?」

 

優李「あの日の文化祭……、屋上であったことで何か悩んでるのかと思ってたから」

 

絵名「……え?もしかして、見てたの……?」

 

優李「ぬ、盗み見じゃないよ!?あの時、たまたま俺も屋上にいたんだ。そしたら、暁山さんと東雲さんがすごい勢いで出て行ったから……」

 

絵名「……話し、聞いてた?」

 

優李「うん。暁山さんって、男だったんだね……。びっくりしたよ」

 

絵名「……それ、誰にも言いふらしたりしてないでしょうね?」

 

優李「も、もちろんだよ!それに、俺は暁山さんが男でも女でも、どっちでもいいと思ってる」

 

絵名「え?」

 

優李「だって、暁山さんは暁山さんだから。それは、変わらないよ」

 

絵名「……」

 

優李「東雲さん?」

 

絵名「ごめん、ちょっと嘘ついた……」

 

優李「嘘?」

 

絵名「……実は今、それでちょっと大変なことになってて。どうすればいいのか、分からなくなっちゃって」

 

優李「大変なこと?」

 

絵名「友達の心を救うには、どうすればいいんだろうって……」

 

優李「そっか……。俺はあんまり友達いないから、そういう経験ないけど……」

 

絵名「もしかして、頼る相手間違えた……?」

 

優李「いやいや!暁山さんが大変なことになってるなら、俺も協力したい……!」

 

絵名「景谷くん、どうしてそこまで……?」

 

優李「……えっと、東雲さんにこんなこと言うのもあれなんだけど。なんか、外堀から埋めるみたいな感じで……」

 

絵名「え、どういうこと?」

 

優李「……実は俺、好きなんだ、暁山さんのことが」

 

絵名「……え?」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。