●宮益坂(同日・夜)
絵名「好きって……、瑞希を……?」
優李「う、うん、実は……。あ、暁山さんには言わないでね……?」
絵名「いや、それは言わないけど……。え、いつから……?」
優李「一年の頃かな……。実は俺、元々は全日制の高校に通ってたんだけど、神山の定時制に編入してきたんだ」
絵名「あ、そうだったんだ……」
優李「俺、見た目通りオタクでさ、ずっと一人で……。ここに来て変わろうって思ったけど、何も成長してなくて……。そんな時に、暁山さんが声をかけてくれたんだ。こんな俺のことも、受け入れてくれて……。それからずっと、暁山さんのこと見てた。さすがに、男の子だったとは思わなかったけどね、あはは」
絵名「……私がこんなこと言うのもどうかと思うけど……。男だよ?瑞希。景谷くん、同性に恋してるんだよ?それでも、いいの……?」
優李「さっきも言ったでしょ?俺は、暁山さんが男でも女でもどっちでもいいと思ってる。暁山さんは、暁山さんだから。あの時、俺に声をかけてくれて、受け入れてくれた暁山さんが、性別の一つや二つでいなくなるわけじゃない……。これってさ、人間は顔じゃなくて中身だよ、の最たるものじゃない?」
絵名M「瑞希が男でも、女でも良い……。それは私も、受け入れてる。その上で、なんだ……。そっか……」
絵名「ありがとう、景谷くん。ちょっと、分かったかもしれない」
優李「そっか。で、暁山さんが大変なことになってるっていうのはなに?」
絵名「うん、景谷くんにも手伝ってほしい」
優李「もちろん、俺に出来ることなら何だってするよ。それで―」
絵名「でもごめん。その前に、話さなきゃいけない人がいるの」
優李「え?」
絵名「景谷くんの前に、話さなきゃ……、伝えなきゃいけない人が二人、いるの……」
●絵名の部屋(翌日・25時)
〔SE:ナイトコード、ログイン〕
絵名「二人とも、いる?」
まふゆ「いるよ」
奏「えななん、大丈夫?」
絵名「……うん、私は平気。やっぱり、ずっとこのまま黙ってるわけにはいかないから」
奏「そうだね。私たちも、えななんが何を知ってるのか、瑞希から何を聞いたのか知りたいよ」
絵名M「これはきっと、瑞希から言わなきゃいけないこと」
〔回想〕
・男子高生A「君も男だったりする感じ?」
絵名M「それに、下手したら私もあいつらみたいになりかねない……。そう思って、言うのを躊躇ってた。でもこれで、瑞希をあのセカイから……、戦いから救うことができるなら―」
絵名「実はね……、瑞希は、男の子なの」
奏「……え?」
まふゆ「……」
絵名「見た目は完全に女の子なんだけど、中身は男の子で、本人もその自覚はあるみたい……」
奏「……そう、だったんだ。私たちが、初めて会った時から、ずっと……」
絵名「うん。瑞希もずっと言おうとしてたけど言えなくて、苦しんで……。それでこの前の文化祭の日、やっと私に話してくれたの。いずれは、二人にも話そうとしてたみたい」
奏「あ……」
〔回想〕
・瑞希「今度また会って話せないかな?……ふたりに、話したいことがあるんだ」
奏「そっか……」
絵名「決して、騙そうとかそういうことじゃないの。だから、瑞希を責めないであげて」
奏「それは、もちろん。少し驚いたけど、でも私にとって瑞希は瑞希だから……。それは、性別で変わったりはしないよ」
絵名「奏……」
まふゆ「……」
奏「まふゆ……?」
まふゆ「……」
絵名「……気持ちは分かるよ。ずっと、女の子だと思って接してたもんね。私だって、今考えたら結構セクハラチックな発言されて―」
まふゆ「知ってた」
絵名「……え?」
まふゆ「知ってた」
奏「まふゆ……」
絵名「え、知ってたって……、えぇ!?い、いつから!?」
まふゆ「私が、初めてセカイに閉じこもった時。瑞希も、人には言えない、何か大きな悩みを抱えてるって思った。それから、いろいろ関わっていく中で、もしかしたらそうなのかもって思うようになった。それで、今のえななんの話しを聞いて、確証に変わった」
絵名「何だ……、そうだったんだ~……。もう、知ってるなら知ってるって先に言いなさいよ」
まふゆ「それはどうなの?」
奏「この中で最後まで知らなかったの、私だけだった……」
まふゆ「それで、どうして急に話そうと思ったの?」
絵名「……実は、瑞希の秘密を知ってて、瑞希を気にかけてくれてる人がいるの」
奏「気にかけてくれてる人?」
絵名「うん、クラスメイトなんだけど。その人を、私たちのところに……、セカイに招待したい」
まふゆ「セカイに……」
絵名「瑞希を救おう……、今度こそ、みんなで……!」