セカイ少女; 荊棘∞瑞希   作:であであ

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第8話 ありのままで

◆神山高校・空き教室(一年前・神高祭当日・午前)《回想》

 

優李「えっと、は、はい……、全部、俺の、です……」

 

瑞希「へぇ~、すご~い!」

 

〔SE:タタッと駆け寄る〕

 

瑞希「あ、このアニメ面白かったよね!前シーズンでやってたやつ!」

 

優李「え、あ、はい……」

 

瑞希「あ、このアニメって、結構昔のやつじゃない?」

 

優李「そ、そうですね……」

 

瑞希「やっぱり、結構コアな作品も見てる感じ?」

 

優李「ゆ、有名どころから何まで、一応目は、通して、ます……」

 

瑞希「へぇ~。ボクもかなりアニメ好きだけど、ここまではさすがに追えてないな~」

 

〔SE:タタッと駆け寄る〕

 

瑞希「あ、これミラマジの限定グッズじゃん!しかも、ライバルのミアのやつ!これ、めちゃくちゃ欲しかったんだけど手に入んなかったんだよね~!」

 

優李「しゅ、主人公のララも良いですけど、やっぱり、ミアもいい、ですよね……」

 

瑞希「超分かる~!まさか、ミラマジの話しが通じる人がいるなんて~!君は貴重な存在だよ!」

 

優李「あ、ありがとうございます……」

 

瑞希「にしても、本当に凄いグッズの量だね。そりゃ、個人で出店できちゃうわけだ~。っていうか、まだ名前聞いてなかったね」

 

優李「あ、えっと、景原優李、です。定時制に編入してきました」

 

瑞希「あ~、定時制の方か~。じゃあ、絵名って知ってる?」

 

優李「えっと、東雲さん……?」

 

瑞希「そうそう!いや~、凄いアニメグッズ持ってる人に会ったんだよって、あとで絵名に自慢できるな~!」

 

優李「……別に、凄くなんてないですよ」

 

瑞希「またまた、謙遜しちゃって~」

 

優李「ここに来てくれたのも、暁山さんが初めてです。仲いい人たちも、来てくれなくて……」

 

優李M「いや、仲良いって、俺が勝手に思い込んでただけか……」

 

瑞希「え、そうなの?」

 

優李「どれだけグッズを持ってても、どれだけそのアニメが面白くても、それを享受してる俺の中身が、空っぽなんだ……。俺は、これからもずっと、一人……」

 

瑞希「……」

 

優李「……あ、ごめんなさい。こんな暗い話ししちゃって……」

 

瑞希「……分かるよ、ボクも」

 

優李「え?」

 

瑞希「ボクも、ずっと一人だったから……。誰にも受け入れられず、ボクも誰も受け入れず、ずっと一人で過ごしてた……」

 

優李「暁山さん、明るいのに、そうなんですね……」

 

瑞希「あはは。まぁ、色々あるからね」

 

瑞希M「でも、類と出会ってからはそれも変わったんだよね」

 

優李「……」

 

瑞希「受け入れるって言うと大袈裟に聞こえるかもしれないけど……、景谷くんと気の合う人はきっといるよ!」

 

優李「そう、なのかな……」

 

瑞希「だって、こんなにアニメの話が出来るんだもん!少なくともボクは、もう友達だと思ってるよ?」

 

優李「え……、ほんと?」

 

瑞希「うん。だからさ、そんなに自分を卑下しないでよ。景谷くんは、ありのままの自分を受け入れればいい。そしてそんな景谷くんを受け入れてくれる人と、一緒にいれればいいと思うよ」

 

優李M「ありのままの、俺……」

 

優李「……暁山さん」

 

瑞希「ん?」

 

〔SE:グッズを前に差し出す〕

 

優李「ミアのグッズ、あげます……!」

 

瑞希「え?あはは、それはすっごく嬉しいけど、これは景谷くんのなんだから、そんな簡単に手放したらダメだよ?」

 

優李「そう、ですよね……」

 

瑞希「じゃあボク、そろそろ行くね」

 

優李「あ、あの……!」

 

瑞希「ん?」

 

優李「また、ア、アニメの話し、してく……、しようね……!」

 

瑞希「もちろん!また話そうね!」

 

〔SE:タッタッタと駆け足〕

〔SE:ガラガラと扉を閉める〕

 

◆優李の部屋(一年前・同日・夜)《回想》

 

〔SE:時計の秒針がカチカチと鳴る〕

 

優李M「俺を、俺のまま受け入れてくれる人……。俺は、今のままで本当にいいのかな……」

 

優李「……いや、それはダメだ。みんなに嫌だって、変だって思われてるところは、自分で直さなきゃ」

 

優李M「その上で、俺のことを受け入れてくれる人、いるのかな……」

 

  〔回想〕

  ・瑞希「あ、このアニメ面白かったよね!前シーズンでやってたやつ!」

  ・瑞希「あ、このアニメって、結構昔のやつじゃない?」

  ・瑞希「あ、これミラマジの限定グッズじゃん!」

 

優李M「初めて、誰かとあんなにアニメの話ししたな……」

 

優李「楽しかったな……」

 

  〔回想〕

  ・瑞希「少なくともボクは、もう友達だと思ってるよ?」

 

瑞希M「暁山瑞希さん……。嬉しかったな……」

 

優李「かわい、かったな……」

 

◆神山高校・校庭(一年前・数日後・午後)《回想》

 

〔SE:生徒たち、ガヤガヤ〕

 

優李M「……何やってんだろう、俺。こんな時間にいたら、きっと変に思われる」

 

優李「あ……、暁山さん、いた……」

 

〔SE:タッタッタと走る〕

 

瑞希「パスパ~ス!こっちちょうだい!」

 

優李「暁山さん、運動もできるんだ、すごいな」

 

優李M「……なんだろう、この気持ち。暁山さんのこと見てると、なんか……」

 

〔SE:タッタッタと走る〕

 

瑞希「て~いっ!」

 

〔SE:ボールをゴールにシュート〕

 

瑞希「やった~!ボク、大活躍~!」

 

優李「はは、すごいな……」

 

優李M「なんか、心臓がモヤモヤする……。こんなの、初めて……、だけど―」

 

瑞希「お~い!」

 

優李「え?」

 

瑞希「景谷く~ん!」

 

優李「……っ!」

 

優李M「この、気持ちは……」

 

優李「あは……、あはは……。そっか、俺……、もう、暁山さんの、こと……」

 

◆神山高校・渡り廊下(一年前・数日後・午後)《回想》

 

〔SE:軽やかな足取り〕

 

瑞希「ふんふんふ~ん♪」

 

優李M「暁山さん……」

 

◆宮益坂(半年前・夕方)《回想》

 

瑞希「ちょっと、ショッピングモールでも寄ってこっかな~」

 

〔SE:軽やかな足取り〕

 

優李M「暁山さん……」

 

◆神山高校・廊下(数ヶ月前・昼)《回想》

 

〔SE:生徒たち、ガヤガヤ〕

 

類「やぁ、瑞希。調子はどうだい?」

 

瑞希「ばっちり、絶好調だよ!2年の神高祭も近いしね!」

 

類「今年は瑞希も、クラスの出し物に参加するんだろう?」

 

瑞希「もちろん!」

 

類「ふふっ、楽しみにしているよ」

 

優李M「だ、誰だあのイケメン……!?」

 

◆神山高校・昇降口(数ヶ月前・放課後)《回想》

 

〔SE:タッタッタと駆け足〕

 

瑞希「え~ななんっ」

 

絵名「瑞希」

 

瑞希「今日、いつもより来るの早くない?どうしたの?」

 

絵名「ちょっと職員室に用事があってね。瑞希はもう帰り?」

 

瑞希「うん!」

 

絵名「じゃあまた、ナイトコードで」

 

優李M「暁山さん、東雲さんと仲良いのか……」

 

◆神山高校・教室(数週間前・昼)《回想》

 

〔SE:生徒たち、ガヤガヤ〕

 

瑞希「うまうま~♪」

 

優李M「暁山さん……」

 

◆神山高校・体育館(数週間前・数日後・午後)《回想》

 

〔SE:床がキュッキュと鳴る〕

 

瑞希「へ~い!こっち空いてるよ~!」

 

優李M「暁山さん……」

 

◆神山高校・屋上(数週間前・神高祭当日・夕方)《回想》

 

男子生徒A「君も男だったりする感じ?」

 

絵名「え……?」

 

〔SE:ガチャ、扉が開く〕

 

瑞希「あ……、あ……」

 

〔SE:ダッダッダと駆け足〕

 

絵名「瑞希……!」

 

〔SE:ダッダッダ、重なる足音〕

 

優李M「暁山、さん……?」

 

◆神山高校・教室(数日前・夜)《回想》

 

中村「帰ろうぜ~」

 

佐藤「うぃ~」

 

優李M「暁山さん、最近どこ探しても見かけない……。神高祭の日から、来てないのかな……」

 

  〔回想〕

  ・男子生徒A「君も男だったりする感じ?」

 

優李M「……別に、男だっていいじゃないか。俺を受け入れてくれた、優しい暁山さんは変わらない。それに、アニオタ的には願ってもない属性なんですケド?」

 

◆神山高校・廊下(数日前・同日・夜)《回想》

 

優李M「はぁ~、暁山さんに会いたいな……」

 

〔SE:廊下に響く足音〕

 

絵名「ちょっと遅くなっちゃった」

 

優李M「ん、今の声、東雲さんかな?そう言えば東雲さん、暁山さんと仲良かったよな……。聞いたら、何か分かるかも」

 

  〔回想〕

  ・中村「……東雲、いいやつなんだけどちょっと怖いよな」

  ・佐藤「ふとした時に圧を感じるよね」

  ・中村「景谷も気を付けろよ?」

 

優李M「う……、経験者は語るってやつだ……。って、そんなこと言ってたら見失っちゃう……!とりあえず、追いかけよう……!」

 

〔SE:タッタッタと駆け足〕

 

●優李の部屋(同日・25時)

 

優李「……嘘じゃない。俺の、思い込みなんかじゃないよ」

 

カイト「ほう?」

 

優李「仮にそうだったとしても、暁山さんが困ってたら助けたい……、幸せになって欲しい……。それは、変わらない」

 

カイト「何故だ?」

 

優李「暁山さんが、心の底から好きだから。それ以外に、理由っている?」

 

カイト「……いいだろう」

 

〔SE:セカイへと飛ばされる〕

 

優李「え……、えぇ!?な、なn―」

 

●誰もいないセカイ(同日・25時)

 

優李「……え、ここ、どこ……?」

 

絵名「よかった、みんなで来れた……!」

 

優李「じゃあ、ここがセカイ……?」

 

カイト「お前の強い想いが、このセカイとリンクした。あとは、お前たちの好きにしろ」

 

絵名「カイト」

 

カイト「何だ?」

 

絵名「ありがとう」

 

カイト「……ふんっ」

 

〔SE:足音、去って行く〕

 

まふゆ「カイトも、素直じゃないね」

 

奏「そうだね」

 

絵名「よし……、とりあえず、瑞希を探そう」

 

奏「うん!」

 

まふゆ「どこにいるかな……」

 

優李M「伝えるんだ―」

 

絵名M「伝えなきゃ―」

 

優李M/絵名M「この、想いを……!」

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