◆神山高校・空き教室(一年前・神高祭当日・午前)《回想》
優李「えっと、は、はい……、全部、俺の、です……」
瑞希「へぇ~、すご~い!」
〔SE:タタッと駆け寄る〕
瑞希「あ、このアニメ面白かったよね!前シーズンでやってたやつ!」
優李「え、あ、はい……」
瑞希「あ、このアニメって、結構昔のやつじゃない?」
優李「そ、そうですね……」
瑞希「やっぱり、結構コアな作品も見てる感じ?」
優李「ゆ、有名どころから何まで、一応目は、通して、ます……」
瑞希「へぇ~。ボクもかなりアニメ好きだけど、ここまではさすがに追えてないな~」
〔SE:タタッと駆け寄る〕
瑞希「あ、これミラマジの限定グッズじゃん!しかも、ライバルのミアのやつ!これ、めちゃくちゃ欲しかったんだけど手に入んなかったんだよね~!」
優李「しゅ、主人公のララも良いですけど、やっぱり、ミアもいい、ですよね……」
瑞希「超分かる~!まさか、ミラマジの話しが通じる人がいるなんて~!君は貴重な存在だよ!」
優李「あ、ありがとうございます……」
瑞希「にしても、本当に凄いグッズの量だね。そりゃ、個人で出店できちゃうわけだ~。っていうか、まだ名前聞いてなかったね」
優李「あ、えっと、景原優李、です。定時制に編入してきました」
瑞希「あ~、定時制の方か~。じゃあ、絵名って知ってる?」
優李「えっと、東雲さん……?」
瑞希「そうそう!いや~、凄いアニメグッズ持ってる人に会ったんだよって、あとで絵名に自慢できるな~!」
優李「……別に、凄くなんてないですよ」
瑞希「またまた、謙遜しちゃって~」
優李「ここに来てくれたのも、暁山さんが初めてです。仲いい人たちも、来てくれなくて……」
優李M「いや、仲良いって、俺が勝手に思い込んでただけか……」
瑞希「え、そうなの?」
優李「どれだけグッズを持ってても、どれだけそのアニメが面白くても、それを享受してる俺の中身が、空っぽなんだ……。俺は、これからもずっと、一人……」
瑞希「……」
優李「……あ、ごめんなさい。こんな暗い話ししちゃって……」
瑞希「……分かるよ、ボクも」
優李「え?」
瑞希「ボクも、ずっと一人だったから……。誰にも受け入れられず、ボクも誰も受け入れず、ずっと一人で過ごしてた……」
優李「暁山さん、明るいのに、そうなんですね……」
瑞希「あはは。まぁ、色々あるからね」
瑞希M「でも、類と出会ってからはそれも変わったんだよね」
優李「……」
瑞希「受け入れるって言うと大袈裟に聞こえるかもしれないけど……、景谷くんと気の合う人はきっといるよ!」
優李「そう、なのかな……」
瑞希「だって、こんなにアニメの話が出来るんだもん!少なくともボクは、もう友達だと思ってるよ?」
優李「え……、ほんと?」
瑞希「うん。だからさ、そんなに自分を卑下しないでよ。景谷くんは、ありのままの自分を受け入れればいい。そしてそんな景谷くんを受け入れてくれる人と、一緒にいれればいいと思うよ」
優李M「ありのままの、俺……」
優李「……暁山さん」
瑞希「ん?」
〔SE:グッズを前に差し出す〕
優李「ミアのグッズ、あげます……!」
瑞希「え?あはは、それはすっごく嬉しいけど、これは景谷くんのなんだから、そんな簡単に手放したらダメだよ?」
優李「そう、ですよね……」
瑞希「じゃあボク、そろそろ行くね」
優李「あ、あの……!」
瑞希「ん?」
優李「また、ア、アニメの話し、してく……、しようね……!」
瑞希「もちろん!また話そうね!」
〔SE:タッタッタと駆け足〕
〔SE:ガラガラと扉を閉める〕
◆優李の部屋(一年前・同日・夜)《回想》
〔SE:時計の秒針がカチカチと鳴る〕
優李M「俺を、俺のまま受け入れてくれる人……。俺は、今のままで本当にいいのかな……」
優李「……いや、それはダメだ。みんなに嫌だって、変だって思われてるところは、自分で直さなきゃ」
優李M「その上で、俺のことを受け入れてくれる人、いるのかな……」
〔回想〕
・瑞希「あ、このアニメ面白かったよね!前シーズンでやってたやつ!」
・瑞希「あ、このアニメって、結構昔のやつじゃない?」
・瑞希「あ、これミラマジの限定グッズじゃん!」
優李M「初めて、誰かとあんなにアニメの話ししたな……」
優李「楽しかったな……」
〔回想〕
・瑞希「少なくともボクは、もう友達だと思ってるよ?」
瑞希M「暁山瑞希さん……。嬉しかったな……」
優李「かわい、かったな……」
◆神山高校・校庭(一年前・数日後・午後)《回想》
〔SE:生徒たち、ガヤガヤ〕
優李M「……何やってんだろう、俺。こんな時間にいたら、きっと変に思われる」
優李「あ……、暁山さん、いた……」
〔SE:タッタッタと走る〕
瑞希「パスパ~ス!こっちちょうだい!」
優李「暁山さん、運動もできるんだ、すごいな」
優李M「……なんだろう、この気持ち。暁山さんのこと見てると、なんか……」
〔SE:タッタッタと走る〕
瑞希「て~いっ!」
〔SE:ボールをゴールにシュート〕
瑞希「やった~!ボク、大活躍~!」
優李「はは、すごいな……」
優李M「なんか、心臓がモヤモヤする……。こんなの、初めて……、だけど―」
瑞希「お~い!」
優李「え?」
瑞希「景谷く~ん!」
優李「……っ!」
優李M「この、気持ちは……」
優李「あは……、あはは……。そっか、俺……、もう、暁山さんの、こと……」
◆神山高校・渡り廊下(一年前・数日後・午後)《回想》
〔SE:軽やかな足取り〕
瑞希「ふんふんふ~ん♪」
優李M「暁山さん……」
◆宮益坂(半年前・夕方)《回想》
瑞希「ちょっと、ショッピングモールでも寄ってこっかな~」
〔SE:軽やかな足取り〕
優李M「暁山さん……」
◆神山高校・廊下(数ヶ月前・昼)《回想》
〔SE:生徒たち、ガヤガヤ〕
類「やぁ、瑞希。調子はどうだい?」
瑞希「ばっちり、絶好調だよ!2年の神高祭も近いしね!」
類「今年は瑞希も、クラスの出し物に参加するんだろう?」
瑞希「もちろん!」
類「ふふっ、楽しみにしているよ」
優李M「だ、誰だあのイケメン……!?」
◆神山高校・昇降口(数ヶ月前・放課後)《回想》
〔SE:タッタッタと駆け足〕
瑞希「え~ななんっ」
絵名「瑞希」
瑞希「今日、いつもより来るの早くない?どうしたの?」
絵名「ちょっと職員室に用事があってね。瑞希はもう帰り?」
瑞希「うん!」
絵名「じゃあまた、ナイトコードで」
優李M「暁山さん、東雲さんと仲良いのか……」
◆神山高校・教室(数週間前・昼)《回想》
〔SE:生徒たち、ガヤガヤ〕
瑞希「うまうま~♪」
優李M「暁山さん……」
◆神山高校・体育館(数週間前・数日後・午後)《回想》
〔SE:床がキュッキュと鳴る〕
瑞希「へ~い!こっち空いてるよ~!」
優李M「暁山さん……」
◆神山高校・屋上(数週間前・神高祭当日・夕方)《回想》
男子生徒A「君も男だったりする感じ?」
絵名「え……?」
〔SE:ガチャ、扉が開く〕
瑞希「あ……、あ……」
〔SE:ダッダッダと駆け足〕
絵名「瑞希……!」
〔SE:ダッダッダ、重なる足音〕
優李M「暁山、さん……?」
◆神山高校・教室(数日前・夜)《回想》
中村「帰ろうぜ~」
佐藤「うぃ~」
優李M「暁山さん、最近どこ探しても見かけない……。神高祭の日から、来てないのかな……」
〔回想〕
・男子生徒A「君も男だったりする感じ?」
優李M「……別に、男だっていいじゃないか。俺を受け入れてくれた、優しい暁山さんは変わらない。それに、アニオタ的には願ってもない属性なんですケド?」
◆神山高校・廊下(数日前・同日・夜)《回想》
優李M「はぁ~、暁山さんに会いたいな……」
〔SE:廊下に響く足音〕
絵名「ちょっと遅くなっちゃった」
優李M「ん、今の声、東雲さんかな?そう言えば東雲さん、暁山さんと仲良かったよな……。聞いたら、何か分かるかも」
〔回想〕
・中村「……東雲、いいやつなんだけどちょっと怖いよな」
・佐藤「ふとした時に圧を感じるよね」
・中村「景谷も気を付けろよ?」
優李M「う……、経験者は語るってやつだ……。って、そんなこと言ってたら見失っちゃう……!とりあえず、追いかけよう……!」
〔SE:タッタッタと駆け足〕
●優李の部屋(同日・25時)
優李「……嘘じゃない。俺の、思い込みなんかじゃないよ」
カイト「ほう?」
優李「仮にそうだったとしても、暁山さんが困ってたら助けたい……、幸せになって欲しい……。それは、変わらない」
カイト「何故だ?」
優李「暁山さんが、心の底から好きだから。それ以外に、理由っている?」
カイト「……いいだろう」
〔SE:セカイへと飛ばされる〕
優李「え……、えぇ!?な、なn―」
●誰もいないセカイ(同日・25時)
優李「……え、ここ、どこ……?」
絵名「よかった、みんなで来れた……!」
優李「じゃあ、ここがセカイ……?」
カイト「お前の強い想いが、このセカイとリンクした。あとは、お前たちの好きにしろ」
絵名「カイト」
カイト「何だ?」
絵名「ありがとう」
カイト「……ふんっ」
〔SE:足音、去って行く〕
まふゆ「カイトも、素直じゃないね」
奏「そうだね」
絵名「よし……、とりあえず、瑞希を探そう」
奏「うん!」
まふゆ「どこにいるかな……」
優李M「伝えるんだ―」
絵名M「伝えなきゃ―」
優李M/絵名M「この、想いを……!」