●誰もいないセカイ(同日・25時)
〔SE:鋭い斬撃〕
瑞希「はぁ……、はぁ……はぁ……。うっ、ゲホッ、ゲホッ、ゲボァッ……!」
〔SE:血がビシャッ〕
瑞希「……!血が……」
瑞希M「もう、限界なのかな……」
〔SE:タッタッタと足音、向かってくる〕
絵名「瑞希っ!」
瑞希「絵名、みんな……!ど、どうして……」
絵名「話しをしに来たのよ、もう何回目って感じだけど。それに、今回はスペシャルゲストもいるんだから」
瑞希「スペシャルゲスト……?」
優李「暁山さん……」
瑞希「え、景谷くん……!?」
優李「よかった、覚えててくれた……」
瑞希「ど、どうやってここに……?」
絵名「瑞希への想いが、このセカイとリンクしたみたい」
瑞希「え……?」
優李「……1年の神高祭の時からずっと、暁山さんのことみてました……。暁山さんのことが、好きです……!」
瑞希「え……」
優李「付き合ってなんていいません。俺なんかじゃ、暁山さんも困るだろうから……。でもどうか、幸せになってほしい、です……」
瑞希「……えっと、ごめん……、その、ボク……」
優李「分かってる、男なんですよね……?」
瑞希「……!」
奏「私たちも、知ってる」
瑞希「絵名、話したの……?」
絵名「ごめんね、勝手に話しちゃって……。本当は、瑞希から直接伝えて欲しかった。でも、もうそんなこと言ってる場合じゃない。その上で今日、話しに来たんだから。瑞希を、助けるために……」
優李「暁山さんが男でも、俺の気持ちは変わりません。実際、変わらなかったし……」
瑞希「……」
優李「……体が辛いなら、俺たちが支えるよ」
瑞希「え……?」
優李「心が辛いなら、俺たちが寄り添う。だから、一人で抱え込んじゃダメだ。一人で閉じこもってちゃ、ずっと前の自分のままだよ」
瑞希「景谷くん……」
優李「え~っと、それから~……」
絵名「はい、景谷くんの出番終了~」
〔SE:ドンッと押す〕
優李「はうっ!」
絵名「なんかいい感じの告白になってるけど、正直途中から連れてくるか迷ってたのよね。瑞希を助けるためとはいえ」
まふゆ「傍から見たら、ただのストーカー」
奏「確かに……」
絵名「ってことでまふゆ、彼押さえといて」
まふゆ「うん」
優李「離せ~!まだ10秒も話してない~!」
まふゆ「うるさい、黙って」
優李「はい……」
絵名「さて―」
瑞希「……」
絵名「瑞希の変態」
瑞希「……へ?」
絵名「忘れたとは言わせないからね?去年、ファミレスで瑞希にセクハラ発言されたんだから!」
〔回想〕
・瑞希「写真撮るとき、胸、がんばって寄せて上げてるもんね?」
瑞希「あ、あぁ~……、よく覚えてるね」
絵名「言われた方はね。言った方は、頭の片隅にもなかったようだけど!」
瑞希「ご、ごめん……」
絵名「……ほら、いつも通りでしょ?」
瑞希「え?」
絵名「今更あんたに気を遣うなんて、私がすると思う?」
瑞希「……でも、絵名もみんなも、優しいから……」
絵名「ん~、きっとこれまでが優しすぎたのね。これからは、瑞希に厳しくしようかな。むしろ、ちょっと男扱いして力仕事任せてみたり?」
瑞希「お、男扱い……!?」
絵名「奏はどうする?」
奏「私は、部屋の片づけお願いしようかな。望月さんだけじゃ、大変そうだから」
瑞希「それは、望月さんの力になれるならするけど……」
まふゆ「私は、瑞希が男だって気づいてた」
瑞希「え、ほんと!?」
まふゆ「うん。その上で、なんか、別に、あんまり興味なかった」
瑞希「散々な言われよう……」
絵名「みんな、今更あんたに遣う気なんてないのよ」
瑞希「むしろ今までより扱いが酷くなってる気が……」
絵名「……だからさ、もう一人でセカイにいる必要ないんじゃない?一人で、戦う必要も……」
瑞希「あ……」
瑞希M「ボクは、戦って願いを叶えることで、絵名たちから優しさを取り除こうとしてた。でも最初から、そんなものみんなにはなかったんだ。やっぱりみんな、類たちみたいに受け入れてくれて……。結局、ボクの考え過ぎだったんだ。……でも、悪くない気分。今、とっても居心地がいい」
瑞希「最初から、こうして話し合っていればよかったんだね……」
絵名「そうみたいね」
〔SE:リボンを解く〕
〔SE:変身解除〕
絵名「おかえり、瑞希」
瑞希「ただいま、絵名、みんな……!」
??「それは困るな~」
〔SE:キラキラと羽ばたく〕
幻妖「私抜きで、勝手に話しを進めないでよ」
瑞希「ミク……」
幻妖「瑞希……、私との契約を、自分の使命を放棄するつもり?」
瑞希「……ごめん。でもボクは、やっぱりみんなと一緒にいたい……!」
幻妖「ふ~ん、このセカイに悪意を生んでおいて?」
瑞希「それは……」
幻妖「……ふふ、な~んて、冗談だよ」
瑞希「……え?」
幻妖「瑞希は、悪意なんて生んでない。瑞希が生んだのは、正真正銘、純粋な想いの欠片だよ」
瑞希「そ、そうだったの……?」
幻妖「感情の乱れに絆されて、簡単に騙されちゃったみたいだけどね」
瑞希「……だ、騙す?ミクが、ボクを……?」
幻妖「本当は、最後まで使い潰すつもりだったんだけど、その体じゃ、もう脅威にもならないし、良っか」
瑞希「な、何言ってるの、ミク……?」
幻妖「これでようやく、私の想いも叶うってこと」
瑞希「ミクの、想い……?」
幻妖「うん!自らアクイになって、存在する全てのセカイを呑み込む……、それが私の想いだよ」
瑞希「……え?」