前回の初投稿では、お気に入り2件、しおり1件付けてくださった方、本当にありがとうございます!
今回主人公のポケモンの名や姿が初登場……しません(泣)。2話後編からでます!
追記:話の一部を削除、修正しました。読み返したとき(クオリティ面で)かなりひどい事になっていたので……。内容に大きな変化はありません。
ポケットモンスター。縮めてポケモン。
陸を見れば地を駆けるポケモンが。
海を覗けば悠々と泳ぐポケモンが。
空を仰げば果てまで飛ぶポケモンが。
一説によれば女の子のスカートの中にまでポケモンは生息しているらしい。
それを知った時偶々近くにいたアイツに本当か見せてもらおうとしたらガバイトをけしかけられた。
元々何かあるとすぐ蹴ったり叩いたりしてきたのが、ポケモンを手に入れてからは自分の手を汚さずポケモンに指示を出して攻撃してくるようになりやがった。
この悪女!って言ったら「アンタのデリカシーの無い物言いが悪いんでしょ!」って返された。正論。
……あーなんの話してんだ俺は。閑話休題。
ポケモンと人間の歴史は、数十年前に遡る。こう聞けば浅い歴史と感じるが、あくまで『明確な証拠資料が現存する、人間とポケモン共存の歴史』である。
カントー地方出身の若き研究者が、地球上に無数に存在する生物の一部を「携帯獣」という括りで定義可能であると提唱した。
新たな発見に世界が注目し、各地で多くの検証や実験を重ねた結果この説は妥当であると結論付けられ若き俊英『オーキド・ユキナリ』の名と共に、その存在は広く知られていくこととなった。
とはいえ、シンオウ地方の周辺一帯が『ヒスイ地方』と呼ばれていた数百年前にはポケモンとの関わりがあった形跡が残っていたり、歴史の古い街にはポケモンの痕跡が随所に見られるため、単に『ソレ』をポケモンと呼んでいなかっただけ、とも考えられる。
当初はオーキド・ユキナリ、もといオーキド博士が観測した、計150匹(一説には151匹とも)を「ポケモン」と定義していたが、瞬く間にその対象は拡大し、現在では1000匹を超える生き物が携帯獣―即ちポケモンであるとされている。
ポケモンが社会に与えた影響は凄まじく、世界の歴史はポケモンと関わる以前以後に分けられる。
ポケモンは時として武力に、労働力に、友に、家族になっていった。
現在の社会的インフラはポケモンなしでは考えられない。
……と、何故こんな話を始めたかと言えば。
「それでサクさん、続きは!?」
「もったいぶんなよー!早く早く!」
俺の両横にぴったりとついて目をキラキラと輝かせる少年二人にせがまれたからだ。
何があったのかと聞かれれば、話は数時間程前に遡る。
今日は朝の目覚めをポケッチのアラームではなく玄関のドアをぶっ叩く音で迎えたところから始まった。
・・・・・・
昨夜は帰宅するや否や即座に眠りに落ちた。かなり深い睡眠で、気持ちよく寝ていたわけだが平穏は脆くも崩れ去っていった。
ドンドンドンドン!!
ドアが壊れるのではと思うような音と衝撃が家の外から聞こえたことで、ベッドの上で飛び起きた。
何事かと思うより先に、咄嗟に中腰姿勢になって腰元に手を伸ばす。子供の時から何千、何万と繰り返してきた動作だ。頭で考えるよりもはやい速度で体が動いてしまう。が、その手は何も掴むこと無く、空しく下ろされた。
習慣とは厄介なものだと思いながら、完全に開かれていない寝ぼけ眼を指でもみほぐす。
今何時だ。……部屋に備え付けてある時計を見る。朝の8時。人の家を訪ねるには少々早い時間。
ドアをそんなに強く叩くなよ、とやや苛立ちながらリビングを出て玄関口まで向かう。玄関までくるとノブを掴んで乱暴に開けた。訪問者の顔を確かめようとしたその瞬間―。
鳩尾に拳が飛んできた。
「朝っぱらからうるせぇぞロアッッ!?」
内臓を抉られる痛みと衝撃に思わずうずくまる。
「おっ……おおあ……オェ」
ズキズキと痛む腹を押さえる。額から脂汗が滲む。
ほんとに朝から何だってんだ……。畜生無視して二度寝すりゃよかった。そうこうしていると頭の上から声が降ってきた。
「わああ!!サクさん大丈夫ですか!?ごめんなさいごめんなさいっ!
ジュン!だからそんなに強くドア叩いちゃダメだって言っただろ!!」
「なんでだよー!しょうがないじゃんか!寝てて聞こえないのかも、っていったのコウキだろー!あっ、サクの兄ちゃんごめんな!」
しゃがんだ姿勢のまま見上げれば、クソガキ二人が立っていた。
・・・・・・
目覚まし時計よりも早く起きたのは久しぶりだったかもしれない。
おれ―コウキは昨日の興奮が抜けなかったんだと思う。すぐに目が覚めてしまった。
早く起きられたことだし、朝方にはもう旅に出たい。でもその前にサクさんにお礼言いに行かなきゃ。
体を起こして布団を剥がす。横をみれば、昨日ナナカマド博士からもらったポケモンがフゥフゥと可愛い寝息を立てて眠っていた。
昨日の出来事は夢じゃなかったんだ。
嬉しさのあまり昨日の出来事を思い出して小さくじたばたした。
急いでご飯を食べて、ジュンに会いに行こう。
ポケモンを起こそうか迷ったけど、もう少し寝かせてあげることにした。
静かにベッドを抜け出して、階段を下りる。
1階では母さんがご飯の支度をしていた。
「おはよう」
「おはよう、コウキ。今日は早いのね。ご飯までもう少しかかるから顔を洗って着替えてきなさい」
はーいと返事をして洗面所に向かう。顔を洗って、着替えをしようと自室に戻る。
階段を昇ってる途中でトタトタ部屋から走り回る音が聞こえた。アイツも目を覚ましたみたい。会うのが楽しみで思わず頬が緩む。
ドアを開けたらアイツがおれに気付いて胸元目掛けて飛び込んできた。
上手く腰元をキャッチして抱き上げる。見ればキャッキャと嬉しそうに喜んでいた。
「おはよう!朝から元気いっぱいだね!」
抱きかかえたまま楽しくて部屋の中を駆けまわる。
ポケモンを下ろして箪笥から服を取り出す。おなじみの黒ジャージに青ズボンに着替えた。
「じゃ、行こうか!」
ポケモンと仲良く1階に下りる頃には母さんが料理をテーブルに並べていて、朝食の準備が終わりそうだった。席に着く。
母さんのごはんはしばらくの間これが最後になると思うとちょっと寂しい。
寂しいだけじゃなくてやっぱり不安なことも多い。でも……
ポケモンフーズを母さんからもらって美味しそうに食べてるアイツを見てると勇気が湧いてくる。
これからは、もう一人じゃないんだ。ならきっと冒険の日々も怖くない。
もっと前向きに考えよう。だって。
楽しみは数えきれないんだから!
・・・・・・
最後に荷物の忘れ物がないか確認した。ポケモンはモンスターボールに。
別に出して連れ歩いてもいいんだけど、せっかくならサクさんにサプライズで紹介したい。
ジュンと打ち合わせをしたわけじゃないけど、きっとアイツも旅に行くために、今頃大騒ぎしながら準備しているはず。迎えに行こう。
……いよいよ家を出る時間。母さんに、行ってきますの挨拶をした。
細かいやり取りは昨日家に帰って怒られた後に済ませてある。
知らない人について言っちゃいけないとか、落ちてるもの食べないとか、もっと小さな子供に言うようなことをいろいろ言われた。普段ならうるさいな、って思うんだろうけど、この時は少し嬉しかった。
「じゃ……そろそろ行くね」
「待って、コウキ。これ。履いていきなさい」
「え……?」
母さんが持ってきた大きな箱を受け取って開いたら、カッコいい灰色の靴が入っていた。これ、テレビで紹介されてたやつだ……!
「こ、これ、最新のランニングシューズ!!
……母さん……ありがとう!大切に履く!」
そう言ってランニングシューズぎゅっと抱きしめた。
「帰りたくなったらいつでも帰ってきなさい」
母さんの言葉に涙と、鼻水が出てきた。嬉しくて、寂しくて。
本当は母さんに抱きつきたかったけど、もういつまでも子供じゃないんだ。そう思って母さんに背中を向ける。玄関に行って、ランニングシューズを履く。
ランニングシューズはピカピカで、とても足にフィットした。きっとこの靴で走ったらすごいスピードで走れる!今から外に出るのがワクワクする。
「じゃあ……行ってきます!!」
・・・・・・
まず向かうのはジュンの家だ。早速新しいシューズで軽く走ってみる。
「わわっ……!」
思った以上のスピードが出た!地面につく足が軽くて、とっても走りやすい!
その調子で走っていると、ジュンの家もすぐ見えてきた。
どんどん近くなるジュンの家を観ていると、玄関のドアを開けてジュンが出てくるのが見えた。
「行ってきま―――す!!!……ズビッ」
町の外まで聞こえそうな声でそう言った後、振り返って駆け出してきた。
「おはよ、ジュン」
「おう!コウキ……へへ、お前家出る時泣いたろ。目赤いぞ」
「うるさい!……そっちだってさっき鼻啜ってたくせに」
なんだとー!っていいながら俺の前をうろうろするジュンの足は、昨日まで履いていなかったピカピカの茶色のランニングシューズになっていた。
ジュンもおれの靴にも気づいたみたいだった。
「……大切にしような」「……な」
そう話しながら、二人で走りだした。
どこまで一緒に旅をするか。
これは昨日のうちに二人で話し合った。おれ達は幼馴染で一番の親友だけど、同時に絶対負けたくないライバルだ。
だから、一緒に行動するのはサクさんに挨拶して町を出て、マサゴタウンのナナカマド博士の研究所に顔を出すところまでと決めた。
サクさんの家に向かう。
早くお礼を言いたかったってのもあるけど、おれもジュンも、ランニングシューズの機能を試したくて、全力ダッシュでサクさんの家に向かった。
・・・・・・
サクさんの家は、おれやジュンの家を二周り小さくした感じのこじんまりとした家だ。
引っ越してきてすぐにジュンと二人で窓から中を覗いてみたけど暗くてよく見えなかった。
玄関の前に立つ。扉をノックしようとしたら、「オレがやる!」ってジュンが言いだしたから一歩下がって譲る。
ドンドンッとジュンが扉をノックする。
「……」
「……」
「……返事ないな」
「うん……寝てるかも?」
「そっか!じゃあドアもっと強く叩いて起こさないとな!」
「ちょっ、待って待って!そんなことしたら怒られるよ!」
「へーきへーき!怒られたら謝ればいいんだって!それにいつまでも出てきてくれなきゃ旅に出れないじゃんかよ!」
「……まあそうだけどさ……」
今度はドンドンドンドン!!
とかなり激しめにドアを叩いた。
「へへーん、これで目覚ましたろ!サクの兄ちゃん出てくるの待とうぜ!」
「う、うーん……いいのかなあ……」
それからちょっと待ったけど、やっぱり出てくる気配がない。ジュンが変な顔をしてこっちを見てくる。
「なあ……兄ちゃん家にいないんじゃないかー?次でダメだったらもう町を出ようぜ!町にいないならマサゴタウンに向かう途中で多分会えるだろ!」
ジュンの言葉に何か嫌な予感がしたけど代案が思いつくわけでもなかったから、一応「ドアが傷つかない程度にね……」とだけ言ってもう一回ジュンがドアを叩こうとするのを見つめていた。とその瞬間。
ドアが開いてしかめっ面したサクさんが顔を出した。あ、ヤバい!!
「ジュン、だめっ……!」
「朝っぱらからうるせぇぞロアッッ!?」
間に合わなかった。フルスイングしたジュンの拳は玄関のドアじゃなくてサクさんのお腹の横辺りに命中する。すごい声を上げたサクさんは、そのまましゃがみこんじゃった。きゅうしょに当たってる……。
それからしばらくの間、ジュンと責任のなすりつけ合いをしてたら、「横になりたい……」って消えそうな声でサクさんが呟いたから、慌てて部屋まで連れて行ってあげた。
・・・・・・
クソガキ共を不本意にも部屋に招いてから十数分。ようやく痛みが治まってきた。
ばかぢからで殴りやがって……。
コウキとジュンは家の中をキョロキョロと物色していた。
別に見られて困るものもないが、室内を鑑賞されるというのはどうにもムズムズする。
さっさと要件を済ませて帰ってもらおう。
「で……何の用だ」
「あっ、サクさん大丈夫ですか!さっきは本当にすいませんでした!ほら、ジュンも謝れよ!」
「サクの兄ちゃんごめんなー!」
「はあ……。もう分かったから。何の、用件で、来たかって聞いてるんだ」
「あっ、そうだった!今日はお礼を言いたくて!サクさん、昨日は本当にありがとうございました!!
草むらに入ろうとしてたこと黙っててくれただけじゃなくて、ナナカマド博士に連絡までしてくれて……本当に助かりました!」
「コウキから聞いたぜ!ほんっとうにありがとうなー!!!ナナカマド博士にも怒られたから、もうあーいう危ないことはしないぜ!」
そうか。何しに来たかと思えば律儀に礼を……。
事情を知れば腹の痛みも怒りも随分和らいだ。
「ああ。何事も無くて良かった。大人の言う事聞けて立派だったな。
……じゃあ来てくれたついでに一つ小言だ。
ポケモンバトルをするなら、もう少し周りを見てやれ。草むらの近くでバトルをすればそれに腹を立てたポケモンに襲われるかもしれないからな。毎回
あ、あとちゃんと門限は守っとけ。親御さん心配するぞ。 ……二つになっちまった」
小うるせえだろうなあ、と思いながらも、言わずにはいられなかったことを一気に話した。
ジュンもコウキも『ぽかーん』って表現がぴったりの顔してこっちを見てる。
「……いや、べらべら説教垂れて悪かったな。もうなんも言わねえから帰「サクさん……」
コウキが俺の言葉を遮って話し出した。
「……ん?」
「何でおれ達がポケモン貰ったって知ってるんですか?それに夜までバトルしてたことも」
「な!ビックリしたぜ!いきなりポケモン見せて兄ちゃん驚かしてやろうと思ったのにー!!」
……あしまった。つい言ってしまった。
本来であれば俺はポケモンをもらったことも、夜になるまでポケモンバトルをしていたことを、知らない立場でいなければならなかった。彼らとは昼間のうちに別れたのだから。
最後まで読んでくださりありがとうございました!
ポケモンの歴史ってどこからがスタートなんですかね?
オーキド博士が151匹見つけたらしいですけどそれより昔からポケモンと共存してるっぽいし……。今回の話の冒頭はそんな疑問を自分なりに解釈して書いてみました。
ヒスイ地方の設定は『Pokemon LEGENDS アルセウス』というゲームから引っ張ってきました。
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