ポケモン二次創作、第二話前編になります!
前回の初投稿では、お気に入り2件、しおり1件付けてくださった方、本当にありがとうございます!
また、0話から読んでくださってる方、感謝です!
今回主人公のポケモンの名や姿が初登場……しません(泣)。
次話である2話後編からでますので!!切らないで!
どうぞ最後まで楽しんでいってください!
ポケットモンスター。縮めてポケモン。
陸を見れば地を駆けるポケモンが。
海を覗けば悠々と泳ぐポケモンが。
空を仰げば果てまで飛ぶポケモンが。
一説によれば女の子のスカートの中にまでポケモンは生息しているらしい。
それを知った16の夏、たまたま近くにいたアイツに本当か見せてもらおうとしたらガバイトをけしかけられた。
元々何かあるとすぐ蹴ったり叩いたりしてきたのが、ポケモンを手に入れてからは自分の手を汚さずポケモンに指示を出して攻撃してくるようになりやがった。
この悪女!って言ったら「アンタのデリカシーの無い物言いが悪いんでしょ!」って返された。正論。
閑話休題。
ポケモンと人間の歴史は、数十年前にさかのぼる。まだまだ浅い歴史だと思われがちだが、あくまで『明確な証拠資料が現存する、現代に突入してからの、人間とポケモン共存の歴史』である。
カントー地方出身の若き研究者が、地球上に無数に存在する生物の一部を「携帯獣」という括りで定義可能であると提唱した。
生物学における新たな発見に世界が注目し、各地で多くの検証や実験を重ねた結果、この説は妥当であると結論付けられ若き提唱者『オーキド・ユキナリ』の名と共に、その存在は広く知られていくこととなった。
当初はオーキド・ユキナリ、もといオーキド博士が観測した、計150匹(一説には151匹とも)を
ポケモンが社会に与えた影響は凄まじく、世界の歴史はポケモンと関わる以前以後に分けられる。
例を挙げれば、これまで『祟り』や『超常現象』とされるような、物理法則や科学的根拠によって説明不可能だった事象が、強いエネルギーを備えたポケモンの力をもってすれば再現可能であるとして、世の神秘が一つ解明された。
また、そういった強い力を持つポケモン達は『伝説』や『幻』、『神』として以前より崇め奉られていた存在と同様のものであると考えられるようになった。
他にも戦国時代の武将達が強力なポケモンを従えていたとする説もある。
合戦の中で、当時の文明レベルでは起こる筈もない甚大な被害や破壊の記録は、ポケモンの力によるものではないのかとも考えられ始めたのだ。
有力な証拠の一つとして頻繁に挙がるのが、かの有名な戦国武将、『オダノブナガ』の肖像画である。背景に描かれていた黒き龍が、現存するその他の動物とはあまりにも様相が異なる為、ポケモンである可能性が高いと言われているのだ。尤もその黒龍に該当しそうなポケモンも未確認であるが。
このように、ポケモンをポケモンとして観測する以前から、彼らとの交流はあったのだ。
彼らは高いエネルギーを有する者が多く、それでいて人間と心を通わせることに長けていた。
そのためポケモンは時として戦力に、労働力に、友に、家族になっていった。
よって、ポケモンの存在は尋常ならざる速度で人々に受け入れられることになり、ポケモン達が人間の『良き隣人』となるのは、しんそくの如き速さであった。
現在の社会的インフラはポケモンなしでは考えられない。
このようにして、人間とポケモンとの共存関係の歴史は、現代においては数十年前のカントー地方から始まっているというのが世界の通説、というか今を生きる人々の概ね共通認識であるのだが、それに待ったをかける声が上がる地域もある。それがここ、シンオウ地方だ。
遥か昔、シンオウ地方の一部地域から、人とポケモンが共存していたことを窺わせる風土物や歴史的資料が発見されているのだ。そこら一帯はかつて『ヒスイ地方』と呼ばれていたことが判明している。
このことから、人間とポケモンの歴史はシンオウ地方から始まっているのでは?という声も上がっているが、現時点では証拠に乏しく断定はできないため、シンオウ考古学のメジャーな研究テーマの一つとなっている。
……と、何故こんな読めば目が疲れ聞けば眠くなるような話を長々と語り始めたかと言えば。
「それでサクさん、続きは!?」
「もったいぶんなよー!早く早く!」
俺の両横にぴったりとついて目をキラキラと輝かせる少年二人にせがまれたからだ。
事態を端的に述べるならば、『ひょんなことから俺と少年二人の旅が始まり、少年たちの質問に逐一答えていたらいつの間にかタマムシ大学の携帯獣科が受ける講義の様な事をしていた』
ということになる。全然端的じゃないな。
もう少し詳細に、何があったのかと聞かれれば、話は数時間程前にさかのぼる。
世界の破壊を阻止したり、平和を守護していくためにも、こういった時には答えを告げてやるのが世の情けになるらしいので、少し話すことにしよう。
今日は朝の目覚めをポケッチのアラームではなく玄関のドアをぶっ叩く音で迎えたところから始まった。
―――
昨夜は朝が早かったことや数年ぶりに活動的になったことから肉体精神共にかなり疲弊しており、帰宅するや否や即座に眠りに落ちた。
相当深く眠っていた分、叩き起こされた時の衝撃もすさまじい。
ドンドンドンドン!!
ドアが壊れるのではと思うような音と衝撃が家の外から聞こえたことで、ベッドの上で飛び起きた。何事かと思うより先に、咄嗟に中腰姿勢になって腰元に手を伸ばした。子供の時から何千、何万と繰り返してきた動作だ。頭で考えるよりもはやい速度で体が動いてしまう。が、その手は何も掴むこと無く、空しく下ろされた。
習慣とは厄介なものだと思いながら、完全に開かれていない寝ぼけ眼を指でもみほぐす。
今何時だ。……部屋に備え付けてある時計を見る。朝の8時。人の家を訪ねるには少々早い時間。
ドアをそんなに強く叩くなよ、とやや苛立ちながらリビングを出て玄関口まで向かう。玄関までくるとノブを掴んで乱暴に開けた。訪問者の顔を確かめようとしたその瞬間―。
鳩尾に拳が飛んできた。
「朝っぱらからうるせぇぞロアッッ!?」
内臓を抉られる痛みと衝撃に思わずうずくまる。
「おっ……おおあ……オェ」
ズキズキと痛む腹を押さえる。額から脂汗が滲んできたのが分かった。
畜生無視して二度寝すりゃよかった。厄日だ。そんなことを痛みで痛みで回らない頭でぐるぐると考えていると、頭の上から声が降ってきた。
「わああ!!サクさん大丈夫ですか!?ごめんなさいごめんなさいっ!
……ジュン!だからそんなに強くドア叩いちゃダメだって言っただろ!!」
「なんでだよー!しょうがないじゃんか!最初フツーに叩いた時寝てて聞こえないのかも、っていったのコウキだろー!まさかもっかい叩こうとした瞬間にドアが空くなんて思わないじゃんかよー!
あっ、サクの兄ちゃんごめんな!」
玄関でしゃがみこんだまま上を見上げれば、昨日始めてまともに関わったクソガキ二人が立っていた。
・・・・・・
目覚まし時計よりも早く起きたのは久しぶりだったかもしれない。おれ―コウキはやりたいことが沢山あって、いつまでも寝てらんない、そんな風に考えて眠ったら、すぐに目が覚めちゃった。
今日は午前のうちに支度をして、昼にはもう旅に出たい。その前にサクさんにお礼言いに行かなきゃ。
ポケモンをもらってから、いつ旅を出るかは人それぞれだけど、おれもジュンも一秒でも早く冒険したかったから、もらったその日か、次の日にはいこうって決めていた。
体を起こして布団を剥がす。横をみれば、昨日ナナカマド博士からもらったポケモンがフゥフゥと可愛い寝息を立てて眠っていた。
昨日の出来事は夢じゃなかったんだ。
嬉しさのあまり昨日の出来事を思い出して小さくじたばたした。
急いでご飯を食べて、ジュンに会いに行こう。
寝ているポケモンを起こそうか迷ったけど、昨日の夜母さんから、
「初めて仲間になったポケモンは、慣れない環境の変化で疲れやすいの。そっと休ませてあげなさいね」
って言われたんだった。もうちょっと寝かせてあげよう。そう思って静かにベッドを抜け出して、もう一回ポケモンの為に布団をかけ直して、階段を下りていった。
1階では母さんがご飯の支度をしていた。おはよう、と声を掛けたら
「おはよう、コウキ。今日は早いのね。ご飯までもう少しかかるから顔を洗って着替えてきなさい」って言ってきた。
はーいと返事をして洗面所に向かう。顔を洗って、手に水を付けてちょっとだけ跳ねてる髪を押さえて寝ぐせを直した。
次は着替えだ。服は自分の部屋にある。音を立てないようにそっと階段を昇って行ったけど、途中でトタトタ部屋から走り回る音がした。アイツも目を覚ましたみたい。会うのが楽しみで思わず口が緩む。
ドアを開けたらアイツがおれに気付いて胸元目掛けてジャンプして飛び込んできた。
上手く腰元をキャッチして抱き上げる。見ればキャッキャと嬉しそうに喜んでいた。
「おはよう!朝から元気いっぱいだね!」抱きかかえたまま楽しくて部屋の中を2,3周駆けまわった。
そっとポケモンを下ろして箪笥から服を取り出す。おなじみの黒ジャージに青ズボン。
ズボンを履き替えて、ジャージのチャックを首元まで引き上げてから、「じゃ、行こうか!」とおれの着替えを待ってくれていたパートナーに声を掛ける。
喜んで付いてきたのを確認して、仲良く1階に下りた。その頃には母さんが料理をテーブルに並べていて、朝食の準備が終わりそうだった。おれ達を見ると母さんは笑顔で、
「あら、もうとっても仲良しね!まるで昔から一緒に暮らしてきたきょうだいみたい!」
って言ってきた。思わず顔を見合わせる。そんな動きまでシンクロしてるのが、おかしくて一緒に笑った。
そう。ジュンのパートナーもそうだったけど、コイツはすぐおれに懐いてくれた。ポケモンバトル中もおれの指示をよく聞いてくれるし、勝てば一緒に盛り上がって、負けたら悔しがってくれた。
きっと、ナナカマド研究所でちゃんとしつけをされて育てられたポケモン達だからこうなんだ。
研究所でポケモンをもらったトレーナーのエピソードで、上手く関係を築けなかったって話は時々耳にする。
トレーナーの言う事を聞かず、動いてくれない、なんてのはまだ良い方で、そもそもモンスターボールに入ってくれなくて―モンスターボールに入らないこと自体がダメなわけじゃないけど―街中でトレーナーの指示なしに勝手に出てきたポケモンが、技を使って建物を壊したり人にけがをさせてしまったなんて事故もある。
知り合ってまだ丸一日も経過していないのに、こんなに仲良くできるパートナーに出会えて本当に良かった。ナナカマド博士とサクさんに感謝しよう。
席に着く。
朝食のメニューはお握りとおかず、それにスープ。うちの朝ごはんは大体これ。安心する味がする。
母さんのごはんはしばらくの間、これが最後になると思うとちょっと寂しい。
昨日も同じこと考えてたけど、明日以降、一人で生活していくのに、ご飯をちゃんと食べられるのかな。
ご飯の事だけじゃない。やっぱり不安は1つ2つ、3つ……。
でも。お握りを頬張りながら、「あなたはこっちね」ってポケモンフーズを母さんからもらって美味しそうに食べてるアイツを見てると、勇気が湧いてくる。
これからは、もう一人じゃないんだ。アイツとならきっと冒険の日々も怖くない。
もっと前向きに考えよう。だって。
楽しみは数えきれないんだから!
・・・・・・
ご飯を食べた後、旅の荷物の準備をして、忘れ物がないか確認した。ポケモンはモンスターボールに。
別に出して連れ歩いてもいいんだけど、せっかくならサクさんにサプライズで紹介したい。
今日はジュンと会って話したり、あらかじめ今日の予定を相談したりはしていないけど、きっとアイツも旅に行くために、今頃大騒ぎしながら準備しているはず。うちに来ないのがその証拠だ。
いよいよ家を出る時間。母さんに、行ってきますの挨拶をした。
細かいやり取りは昨日家に帰って怒られた後に済ませてある。
知らない人について言っちゃいけないとか、落ちてるもの食べないとか、もっと小さな子供に言うようなことをいろいろ言われた。普段ならうるさいな、って思うんだろうけど、今日は少しうれしかった。
「じゃ……そろそろ行くね」そう告げて、玄関に向かおうとした。
そしたら母さんが「これ、履いていきなさいよ」って大きな箱を持ってきた。
受け取って箱を開いたら、今まで履いてた靴と似たような見た目の、でももっとずっとカッコいい灰色の靴が入っていた。これ、テレビで紹介されてたやつだ……!
「これ、最新のランニングシューズ!母さん……ありがとう!大切に履く!」
そういってランニングシューズぎゅっと抱きしめた。
母さんは「疲れたり、帰りたくなったらいつでも帰ってきなさい」って言ってくれた。
涙と、鼻水が出てきた。嬉しくて、寂しくて……。
本当は母さんに抱き着きたかったけど、もういつまでも子供じゃないんだ。そう思って母さんに背中を向ける。玄関に行って、ランニングシューズを履く。
ランニングシューズはピカピカで、とても足にフィットした。きっとこの靴で走ったらすごいスピードで移動できる!今から外に出るのがワクワクする。
最後にちらっと母さんの方を向いて、「じゃあ……行ってきます!!」
そう元気に言って、振り返らないで家を出た。
・・・・・・
まず向かうのはジュンの家だ。
もう旅支度は終わってるかな。そう思って人にぶつからないくらいのスピードで軽く走ってみる。
「わっ……!」思った以上のスピードが出た!地面につく足が軽くて、とっても走りやすい!
その調子で走っていると、ジュンの家もすぐ見えてきた。
どんどん近くなるジュンの家を観ていると、玄関のドアを開けてジュンが出てくるのが見えた。
玄関に向かって「行ってきま―――す!!!……ズビッ」町の外まで聞こえそうな声でそういってドアを閉めた後、振り返って駆け出してきた。途中でおれに気付いたジュンと目が合った。
「おはよ、ジュン」
「おう!コウキ……へへ、お前家出る時泣いたろ。目赤いぞ」
「うるさい!……そっちだってさっき鼻啜ってたくせに」
なんだとー!っていいながら俺の前をうろうろするジュンの足は、昨日まで履いていなかったピカピカの茶色のランニングシューズになっていた。
おれの視線に気づいて、それからおれの靴にも気づいたみたいだった。
「……大切にしような」「……な」
そう話しながら、二人で歩きだした。
どこまで一緒に旅をするか。
これは昨日のうちに二人で話し合った。おれ達は幼馴染で、一番の親友だけど、同時に絶対負けたくないライバルだ。だから、一緒に行動するのはサクさんに挨拶して町を出て、マサゴタウンのナナカマド博士の研究所に顔を出すところまで。そこからは、自分と、自分のポケモン達で道を選んで進む。
そう決めた。
だからまずは、サクさんの家に向かう。道路の外に行こうとしたのを見逃してくれたこと、ナナカマド博士に連絡してくれたことにお礼を言って、ポケモンをもらえたことを報告する。
早くサクさんに会ってお礼を言いたかった、てのもあるけど、おれもジュンも、ランニングシューズの機能を試したくて、ダッシュでサクさんの家に向かった。
・・・・・・
サクさんの家は、おれやジュンの家を二周り小さくした感じのこじんまりとした家だ。
サクさんが引っ越してきてすぐにジュンと二人で窓から中を覗いてみたけど暗くてよく見えなかった。
玄関の前に立つ。扉をノックしようとしたら、「オレがやる!」ってジュンが言いだしたから一歩下がって譲る。
ドンドンッと音が鳴るようにジュンが扉をノックする。
「……」「……」
「……」「……」
「……返事ないな」
「うん……寝てる、のかも?」この言葉がまずかった。
ハッ!!って途轍もないことに気付いちゃったような顔をしたジュンは
「そっか!じゃあドアもっと強く叩いて起こさないとな!」
そう言いながら腕を大きく振りかぶった。慌てるおれ。
「ちょっ、待って待って!そんなことしたら怒られるよ!うちに来るときもそうだけど、あんま人の家乱暴にしちゃだめだぞ……」
「へーきへーき!怒られたら謝ればいいんだって!それにいつまでも出てきてくれなきゃ旅に出れないじゃんかよ!」
「……まあそうだけどさ……」
珍しく正論をぶつけてくるジュンに咄嗟に言葉が出てこない。
よーし!って言いながら再度腕を上げたジュンを見守ることにした。
ドンドンドンドン!!
想像の倍の力でジュンがドアを叩いた。
「や、やりすぎだって!」
「へへーん、これで目覚ましたろ!サクの兄ちゃん出てくるの待とうぜ!」
「う、うーん……いいのかなあ……」
そんな風にジュンとおしゃべりをしてちょっと待ったけど、やっぱり出てくる気配がない。ジュンが変な顔をしてこっちを見てくる。
「なあ……兄ちゃん家にいないんじゃないかー?」
その可能性は考えてなかったからちょっと焦る。
「うーん」って2秒くらい考え込んだジュンは、
「じゃあ次もっと強い力で叩いて呼んでみて、ダメだったらもう町を出ようぜ!町にいないならマサゴタウンに向かう途中で多分会えるだろ!」
そういい終えて、ジュンはよーし、って言いながら腕を振り回してた。
何か嫌な予感がしたけど代案が思いつくわけでもなかったから、一応「ドアが傷つかない程度にね……」とだけ言ってもう一回ジュンがドアを叩こうとするのを見つめていた。とその瞬間。
ドアが開いてしかめっ面したサクさんが顔を出した。あ、ヤバい。
「ジュン、ちょっ……」
「朝っぱらからうるせぇぞロアッッ!?」
間に合わなかった。フルスイングしたジュンの拳は玄関のドアじゃなくてサクさんのお腹の横辺りに命中した。すごい声を上げたサクさんは、そのまましゃがみこんじゃった。きゅうしょに当たってる……。
それからしばらくの間、ジュンと責任のなすりつけ合いをしてたら、「横になりたい……」って消えそうな声でサクさんが呟いたから、慌てて部屋まで連れて行ってあげた。
―――
クソガキ共を不本意にも部屋に招いてから十数分。ようやく痛みが治まってきた。
ばかぢからで殴りやがって。ましてやそのパワーで人の家のドア叩くなよ……。
興味深そうにキョロキョロと家の中を見回すコウキとジュンを見遣る。
別に見られて困るものもないが、室内を鑑賞されるというのはどうにも自分のセンスをチェックされているような気がしてムズムズする。
さっさと帰ってもらうためにも、要件を済ませてもらおう。俺は二人に声を掛けた。
「で……何の用だ」
「あっ、サクさん大丈夫ですか!さっきは本当にすいませんでした!ほら、ジュンも謝れよ!」
「分かってるってー!サクの兄ちゃんごめんなー!」
眉間の皴が深くなっているのが分かる。謝罪はもういいから質問に答えてほしい。腹は立つが、怒鳴るのも大人げないし何より話が進まない。大きく息を吸ってから、もう一度訊ねた。
「だから、何の、用件で、来たかって聞いてんだ」
今度はマトモな反応があった。
「あっ、そうだった……。今日はお礼を言いたくて!サクさん、昨日は本当にありがとうございました!
親に草むらに入ろうとしてたこと黙っててくれただけじゃなくて、ナナカマド博士に連絡までしてくれて……本当に助かりました!」
「コウキから聞いたぜ!ほんっっっとうにありがとうなー!!!ナナカマド博士にも怒られたから、もうあーいう危ないことはしないぜ!」
……。
てっきり昨日少しばかり交流が生まれたからと、冷やかしにでも来たのかと思っていた。
単純なもので、振る舞いに問題はあっても律儀な思いから訪ねてきたのだと分かれば、苛立ちも随分収まった。
「……そうか。何事も無くて良かったな。わざわざ報告に来てくれてありがとう。大人の言う事聞けて立派だったな。
……そうだな。まあ、そうやって礼を言いにここまで来てくれたんだ。
うるさいと思うかもしれないがあと2つだけ、昨日の借りを返すつもりで、お前らより少し長く生きたダメな大人の小言を聞いてけ。
一つ。ジュン君。人のものをあんま乱暴に扱うな。家でも、モノでもだ。
二つ。これはコウキ君もだ。ポケモンバトルをするなら、もう少し周りを見てやんなきゃダメだ。戦闘の余波が草むらにまで届いていた。
草むらの近くでバトルをすればそれに腹を立てたポケモンに襲われるかもしれない。そうなったら毎回
あ、あとちゃんと門限は守っとけ。親御さん心配するぞ。 ……三つになっちまった」
我ながら、昨日に続いてよく喋る。
小うるせえだろうなあ、と思いながらも、言わずにはいられなかったことを一気に話した。
ジュンもコウキも「ぽかーん」って表現がぴったりの顔してこっちを見てる。
まあそうだろう。こんなだらしのない20過ぎの男が、上から知ったような口利くんだ。
なおもこっちを黙って見てる二人に、締めの言葉を口にしようとした。
「……べらべら説教垂れて悪かったな。もうなんも言わねえから帰「サクさん……」
コウキが俺の言葉を遮って話し出した。
「……ん?」
「何でおれ達がポケモン貰ったって知ってるんですか?それに夜までバトルしてたことも……」
「な!ビックリしたぜ!いきなりポケモン見せて兄ちゃん驚かしてやろうと思ったのにー!!あ、ドアの事はゴメン、母ちゃんにもよく注意されるんだ!気を付けるぜ!」
……しまった。つい言ってしまった。
本来であれば俺はポケモンをもらったことも、夜になるまでポケモンバトルをしていたことを、知らない立場でいなければならなかった。彼らとは昼間のうちに別れたのだから。
最後までお読みくださりありがとうございました!
私も早くサクのポケモンを書きたいです……。
サクのパーティももう決まっているので……。
次話をお待ちください!
もし面白い、続きが気になると思っていただけた方は、評価、お気に入り、感想ぜひよろしくお願いします!お待ちしています!