拙作でもこんなに評価を頂けたのは供給不足が大きな要因だと思っています。
だからみんなも作品書いて?役目でしょ。そして読ませなさい。
そしたら心置きなく筆をおけるので。
あと、コメントのおかげでまたしてもガバが発覚しました。
アビドスの砂漠化…すぅ…自然現象でした。
そこらへんちょっと今回の話から改善します…
やっぱり自分は読む側の人間、ハッキリわかんだね。
…。
ウケトレッ (*゚▽゚)ノノ=≡ 続きを書くバトン
──サッサッサ
朝日が昇り、砂漠が蜂蜜色に輝き始める中、1人の男子生徒が校舎の中を華麗な箒さばきでしなやかに踊っているように掃除する。
アビドス高等学校の朝は最初に校舎の中に入り込んだ砂の掃除から始まる。
掃除をした翌日にはまた元通りになるため無駄のように感じるが、この最低限の掃除がなければ2日目には廊下が砂で埋まってしまうため欠かすことができない。
お気に入りの曲を鼻の先で歌っていると、玄関から足音がバタバタと響き渡る。
数分も経たないうちに、嵐のように呼吸を弾ませながら乱れた髪の毛ごとに伝って落ちるかと思うように、汗が玉をなして垂れた薄い緑髪の少女が現れた。
「ひぃん…。どれだけ頑張って早起きしても廻くんがいるよぉ」
掃除は私の仕事なのに…と、恨みがましい目でこちらを見てくる。
「掃除が好きなんで、気にしないでください。
先輩も無理して起きなくていいんですよ?」
「そういうわけにはいかないよ!
私はホシノちゃんみたいに強くないし、他の生徒会長みたいに頭もよくないからこれくらいは率先して頑張らないと!」
むんっ、と意気込む梔子を見て、廻は我慢できず笑みをこぼした。
「な、なんで笑うの!?」
「そんなこと気にする必要ないと思ったからですよ。
俺は掃除が好きですが、嫌いな相手のためにわざわざ早起きするほどではないです」
「……? つまり廻くんが優しい人ってこと?」
ハテナマークを浮かべている梔子に対し、廻は言葉を続ける。
「貴方の人徳があるから、力になりたいと思ったんです。
強いだけ、賢いだけの人より魅力溢れる人ですよ、梔子先輩は。
…お前もそう思うだろー、聞き耳立ててる小鳥遊ちゃーん?」
ガタッと音がした後、ピンク髪の少女が眠そうな目を擦りながら現れる。
「…聞き耳を立ててたわけじゃない。
廻がユメ先輩を口説いてたから気を遣って隠れてただけだから」
「は? 俺が生徒を口説くわけないだろ発言を撤回しろ解釈違いだわクソが。
…失礼。こんなことを言ってる小鳥遊ですが、こんなに眠そうなのにどこぞの生徒会長が早起きしてるのを知った途端に登校してきたんですよ、愛されてますね」
「は? 別に先輩が早起きしてるから私も来てるとか勘違いやめてくれますか最近たまたま早く目が覚めるから学校にきてるだけなんだけど」
「照れるな照れるな」
「ぶっつぶすぞ」
ピンポン玉をリレーするように言い合う廻と小鳥遊の後ろで、溢れる喜びを押し隠すことができない梔子が体をワナワナと震わせる。
そして、湧き上がる喜びに身を任せたまま言い合いをしてる2人を抱きしめるため、後先考えずに飛び込んでいく。
「2人ともありがとうぉ〜!!!」
「やべ。小鳥遊、壁になれ」
「ふざけるな、誰が──ごふっ」
解釈違いの波動を感じた廻は小鳥遊の腕の下を掴んで梔子からの強烈ハグをガードする。
豊満な肉体に溺れながら、嬉し泣きしてる梔子にほっぺをグリグリ押し付けられている小鳥遊は絶叫する。
「こほっ…、廻お前あとで──ってユメ先輩もいい加減離してください!」
「やだ! あんな嬉しいこと言ってくれた後輩たちへの愛しさが治まりませーん。今日は一日このままでもいい?」
「ダメに決まってるじゃないですか!
ちょっ、抱きしめたまま部屋に向かわないでください!」
少し力を込めれば小鳥遊なら簡単に梔子の拘束を破れるにもかかわらず、口だけで抵抗している姿を見て廻は素晴らしい光景だと歓喜する。
お邪魔虫は掃除の続きでもしておこうと箒を握り直して逆方向へと歩いていく。
かすかに届く二人のやり取りを、1日の始まりにはちょうどいい喧騒だなと鼻歌を歌いながら掃除を進める廻であった。
◇◆◇◆◇◆
「見て見て、ホシノちゃん、廻くん!」
アビドスに来てから一か月。
昼は生徒会活動、夜は黒服との対談を繰り返していたある日のことだった。
興奮した様子の梔子先輩が古くなったノートを差し出しながら言葉を続ける。
「昔の生徒会が、アビドスの大オアシスにすっごいものを埋めたらしいの!」
「すごいもの、ですか?」
小鳥遊が反応し、梔子先輩に続きを促す。
作業の手を止めずに二人の話を聞いていると、どうやら過去の生徒会が埋めた希少鉱物が入った花火の話をしているようだった。
「つまり、100グラム100万円以上する鉱物が枯れたオアシスの下に埋まっているかもしれない…?」
「そっ! どう? わくわくしない!?」
ワクワクしている様子が伝わる顔と激しく上下に動かされる手。
しかし、表情が変わらない小鳥遊を見て少しずつ不安になっていく。
「……ユメ先輩は、自分が今何を言っているのか分かっていますか?」
「えっ…、その…」
教室の中に静寂が訪れ、ますます梔子先輩の顔が暗くなっていく中、小鳥遊がカッと目を見開き立ち上がる。
「こうしてる場合じゃないですよ! 今すぐ探しにいきますよ!!」
「…えへへ。そう! 私もそう提案しようと思ってたの! じゃあさっそく!」
「えぇ、さっそく」
「「お宝探し、スタート(です)っ!!」」
楽しそうな声で教室が埋まる。
…うん、この声だけが聞けたなら梔子先輩と小鳥遊の書類も処理する元気が出てくるってもんだ。
そう思い、廻は二人の会話が途切れるタイミングで声をかける。
「じゃあ俺は二人の書類を処理しときますよ。
いい報告、期待してますね」
そういった瞬間、二人の信じられないといった目がこちらに向けられる。
「……え? 廻くんは行かないの……?」
「全員で行ってしまうと雑務が明日以降に持ち越されてしまいますからね。
安心してください、自分だけの仕事を終わらせて帰るなんてことはしませんよ」
山になっている書類を指さす。
砂漠を歩くだけでも疲れるというのに、そこから埋まっている鉱石を探すとなるとかなりの重労働になる。
そういった仕事は本来男である自分がすべきだが、楽しそうな様子の二人を見るに俺が書類を担当したほうがいいだろう。
視線を外し、作業を再開すると左腕が小さな手につかまれる。
伏し目がちで表情が見えない小鳥遊だった。
「女子にだけ外で働かせて、廻はぬくぬくと室内にいるつもり?」
「そんなつもりはないよ。
見て、この書類の山。これを明日に持ち越すの…地獄だぞ?」
「…死ぬ気でやれば何とかなる」
「うん、ならないね?」
「あーもうっ! ウダウダ言わない!
今日は宝探しの日なんです! そうですよねっ、ユメ先輩!」
「そうだよ! 廻くんがいてくれたほうが頼りになるし、嬉しいな」
「ほら、先輩もこう言っています!」
グイグイと腕を引っ張ってくる小鳥遊に思わず苦笑いする。
正直、小鳥遊の本心は分かるため梔子先輩には聞こえないように囁く。
「心配しなくていい、小鳥遊。
二人がいない間に俺が校舎で悪さしないか不安なんだよな」
ピクリと小鳥遊の手が反応する。
警戒心の強い彼女のことだ、信頼のおけない人間を一人置いていくくらいなら明日の作業量が倍になっても目の届くところにいてほしいのだろう。
ポケットからリモコンとレーダーを取り出して、小鳥遊の手に握らせる。
「これ、俺のヘイロー破壊装置。レーダーが俺のヘイローと連携してるから位置が分かる。
不審な動きをしてたらそこのボタンを押してくれ。
この部屋とトイレくらいしか行かないようにするから、それ以外の場所にレーダーの反応があったら──」
即座に機器が壁にたたきつけられる。
あまりの一瞬のことに反応はできず、思わず小鳥遊の目を見つめた。
「た、小鳥遊さん…?」
先ほどの楽しそうな表情とは一転して、険しい瞳でこちらを射抜くように見つめていた。
「……今は別に、そこまで──」
ぼそぼそとこちらに届かない声で何か呟く。
聞き返す前に、小鳥遊は梔子先輩の方を向き、声を張り上げる。
「──ユメ先輩! 廻はやっぱり寂しいので一緒についてくるそうです!」
「ほんとっ!? よーし、生徒会全員出動だね!」
「えっ、そんなこと言って──」
言い切る前に、小鳥遊に担ぎあげられる。
振りほどこうと力を籠めると、抵抗できないように関節をきめられる。
「いたぁ!? 対応が本気すぎる!
ちょっ、何でそんな無理やり──」
「うるさい! いいからさっさと準備する!」
激しい剣幕で怒られ、俺を担いだまま小鳥遊は梔子先輩の後を追う。
その後、何故か更衣室に向かったため、絶対に逃げるなと念押しされて俺は次の展開を予測しながら体操服に着替え、二人を待つのだった。
「あー!! 何か
「もしかしたら、もしかしたらですよユメ先輩!
これって」
「例の鉱物、かもな。
二人とも、やったじゃないですか!」
ポスターに紛れ込んでいた地図を頼りに目的地を三人で掘っていると、目的物らしきものが少量だが見つかった。
盛り上がっていると、ふと梔子先輩が動きを止めて俺のほうを見て顔を赤らめる。
「……今思えば、水着を着る必要なかったかも」
「やっぱ何も考えてなかったんですね!?
先輩が考えがあるって言ったから廻がいるのに着たんですよ!?」
ちゃっかりとコイツは体操服だし…と睨まれる。
…こうなるから来たくなかったんだ。
あえてその視線を無視して二人に問いかける。
「そんなことより、この鉱石どうやって運びます?
資金のために売るとなると商品になりますから、雑に運ぶわけにも行けませんよね」
そんなことって…と呟きが上がるが無視である。
反応したら負けだ。
「そうだね……。えっと──」
そうして空気は真剣なものへと変わっていく。
そうそう、水着イベや楽しい感じのイベントは全部先生か自分がいないときに発生するべきだ。
自分がこうして場に立っているときは出来るだけ本編まで残り続けた課題や負担を取り除くだけでいい。
──ふと、過去の白い部屋の思い出が脳裏に浮かぶ。
そうだ。俺は、役に立たなければいけない。
そうじゃないと、またみんなに迷惑を──
「──廻くん?」
声をかけられて、ハッと意識が戻る。
「…大丈夫? もしかして熱中症?! ホシノちゃん水持ってたりする!?」
「…あ、すみません。ボーっとしてただけです。
それで結局どうするんでしたっけ」
あぁ、駄目だ。
気を抜くとあの日々を思い出す。
くだらない感傷だ。
今、俺はここにいて、いずれ来る先生と生徒の幸せな日々を見るために生きる。
それだけだ。考えることは、それだけでいいじゃないか。
目の前の梔子先輩と小鳥遊の笑顔と話に耳を傾けながら、俺はそう結論付けた。
◇◆◇◆◇◆
──幸せだなぁ
天を、星が動いてゆく音が耳の奥に聞こえてきそうなくらいに、しんとしている孤独な夜中に梔子ユメは歩いていた、
後輩が二人もできて、まさか今日は宝物も見つかってお金になるという奇跡の連続に、まるで今は幸せな夢を見ているのではないかと不安になるほどだった。
ホシノちゃんは強くて、時々怖いけどそれは優しさの裏返しってことが分かるほどかわいい女の子。
廻くんは積極的に学校での作業をしてくれて、私の作業がなくなっちゃうくらい熱心に働いてくれる男の子。
遊びに誘っても何故かホシノちゃんと二人きりにさせようとするところがちょっと不満だけど…。
本当に、今も忘れものをとりに校舎に戻ってきたドジな私にはもったいない後輩だった。
生徒会室にある自分のロッカーから荷物を取り出し、明日こそは廻君とホシノちゃんよりも先に学校に来るために速足で歩く。
校門に鍵をかけて、よく見える星の光を頼りに帰宅する。
「…今日は、とっても星が綺麗だな」
星空に魅入られていると、コツコツと足音を鳴らしながら誰かが近づいてくる音が耳に入る。
こんな時間に誰だろうと振り向くと、そこには黒い服を着た大人が立っていた。
何故だか、とても嫌な予感のする大人だった。
「えっと…こんばんは」
それでも目が合った以上、挨拶はするべきだと少し後ずさりながら口を開いた。
…こういうところが危機感がないってホシノちゃんに怒られちゃうのかな。
「えぇ、こんばんは。梔子ユメさん」
「わ、私の名前を知っているんですか?」
「…貴方はアビドスの生徒会長ですからね、顔とお名前はよく知っていますよ」
そういいながら、黒い服の大人はこちらに一歩近づく。
「あ、あの…」
「クックック。すみません、私としたことが自己紹介がまだでしたね。
黒服、とでも呼んでください」
そういいながら、黒服さんは右手を差し出す。
握手を求められていると気づいて、手を握ろうとこちらも手を伸ばした。
…悪い人ではないのかな。
目的が分からずオロオロしている私を見て黒服さんは続けて言葉をつづけた。
「夜分に突然すみません。
ですがどうしても貴女に聞きたいことがありまして」
「私に聞きたいこと…ですか?」
「はい。お時間はいただきません。
そうですね…二つほど質問をさせていただきたいのです」
「それくらいならいいですけど…」
何だろう、と首を傾げる。
すると黒服さんは表情を変えずに続けてこう告げた。
「一つ目ですが、本日貴方が売った鉱石はアビドス砂漠で見つけたのでしょうか」
何でそのことを知っているのか、という疑問の前に、黒服さんは補足して間接的に買い取った業者だと説明してくれた。
どうやら研究者の方でもあるらしく、気になっているらしい。
「はい。後輩の子たちと一緒に掘って見つけましたよ?」
黒服さんは顎に手を当てて考え込むような仕草をした。
……なにか、良くないことをしてしまったのかな?
不安になって黒服の顔を覗き込むと、すぐに彼は口を開いた。
「……ありがとうございます。では二つ目の質問ですが──」
そこで一度区切ると、黒服さんは私を見つめてこう告げたのだ。
「過去にアビドスに何らかの脅威があり、生徒がそれから逃れるために退学したということはありますか?」
そう聞かれて私は頭を捻らせる。
脅威。脅威かぁ。
私以外にもまだ生徒がいたときのことを思い出す。
砂漠化で生徒たちは言い争って、ギスギスした空気だったけど──
「砂漠化がどうしようもなくて退学した人はいましたけど…そういうことじゃないですよね」
「そうですね…。
例えば危険な生命体がいて、それから逃れるために退学したような人はいましたか」
「あ、そういった脅威ですか。それなら──」
──私はそんな話、聞いたことないですよ。
──誰もいなくなった砂漠の上で、黒服は一人笑う。
「クックック。やはり、雲隠さん」
貴方はとても、興味深い。