ダイクン家の二女はアホの子   作:アキ山

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マチュと身に覚えのないしがらみ

 中央アジアでホワイトベースに襲撃を掛ける数日前、ランバ・ラルはギャロップと共に補給の為に飛んできたファット・アンクルを受け入れていた。

 

「ザクの整備は完了しました。関節部分は砂や埃が噛んで一度バラさないとダメだったので、新品と交換してます」

 

「グフはどうだ?」

 

「そっちも新品同様にしていますよ。青い巨星と言われた貴方があれだけの損傷を受けるなんて、敵は何者なんでしょうか?」

 

「かなりの手練れであることは間違いない。奴の戦い方を見るに、ガルマ様の仇は機体を乗り換えているのかもしれん」

 

 補給に訪れた技術士官と話をするラル。

 

 砂漠地帯の夜は酷く冷えるので、彼も技術士官も軍服の上に防寒コートを着ている。

 

「国葬であれだけ大々的に映されましたからね、敵だってそのくらいはするでしょう。───ところで例の噂、大尉にも届いてますか?」

 

「……アレか。ワシも小耳に挟んだが事が事だ、大っぴらに口に出すのは褒められんぞ少尉」

 

 技術士官が声を潜めて話を切り替えると、ラルも眉根を寄せて注意を促す。

 

「大丈夫です、ウチの奴等は全部ダイクン派の人間ですから。でないと、連邦の支配領域を跨ぐ補給部隊になんて回されませんよ」 

 

「ワシ等と同じ冷や飯食らいか、まったく因果なモノだ」

 

 不敵に笑う技術士官にラルは小さくため息を吐く。

 

 親の思想や派閥によって、彼のような若く腕の良い士官が命懸けで実入りの少ない部隊に配属される。

 

 これはジオン軍、いや今のジオン公国に潜む歪みと言えた。

 

「それで例の件ですが、本当だと思いますか?」

 

「さて、な」

 

 期待を込めた技術士官の問いかけに、ラルはあいまいに答える。 

 

 彼の言う噂とは『10年前に起こったジオン・ダイクンの死に起因するサイド3の政変から生き延びたダイクンの遺児が、連邦軍へ仕官してザビ家打倒を目論んでいる』という内容だ。

 

 どこから流れてきたかは定かではない。

 

 街の噂、連邦の捕虜からの証言、他にも連邦軍の高官にスパイがいて、そこから漏れたなんて話もある。

 

 ただ地球の最前線に配属され、補給不足や他の隊が撤退する捨て駒など冷遇を受けているダイクン派の兵士達の間では、自分達の現状を変えるかもしれない希望として信じられ始めている。

 

 とはいえ、ラルからしてみれば眉唾物と言わざるを得ない。

 

 長男のキャスバルは反骨精神旺盛で激しい気性の持ち主だったので、あり得ない話ではない。

 

 だが、ラルの記憶にある少年なら連邦へ仕官などせず、ジオンへ潜り込んで内側から食い破るだろう。

 

 一方のアルテイシアは争いごとを嫌う大人しい少女だった。

 

 あのまま育ったなら、戦いに身を投じるとは思えない。

 

 最後のアルマリアは論外だ。

 

 あの政変の中で産まれた彼女は、順調に育てば10歳の子供。

 

 MSの操縦はもちろん、戦争などできる筈がない。 

 

「ソイツは話半分程度に聞いておけ。もしデマと分かった時でも落ち込まなくて済む」

 

「ですが……わかりました」

 

 ラルの信じていないという態度に技術士官は少し肩を落とす。

 

 希望を挫くのは少し可哀そうだが、下手に吹聴してザビ家に目を付けられても厄介だ。

 

 この手の話は不平や不満を少しだけ抑える精神安定剤替わりがちょうどいい。

 

 そうして補給隊のファット・アンクルを見送ると、ラルは内縁の妻が待つギャロップの中へと戻った。

 

「おかえりなさい。そう言えば、マ・クベ大佐から書類が届いてますわ」

 

「書類だと?」

 

 先ほどの輸送隊が持ってきたのかと内心で首を捻りながら、ラルはハモンから封筒を受け取る。

 

 この時代で紙媒体を使うのは、総じて他に見られては拙いモノと相場が決まっている。

 

「なっ!?」

 

 嫌な予感を感じながら封を開けたラルは中の書類に目を見開いた。

 

 中の書類に記されていたのは、自分達の任務であるガルマの弔い合戦、その仇に関する情報。

 

 それもMSではなくパイロットに関してだ。

 

 普段であればラルも『よくもまあ、こんな情報を引き出したものだ』とでも感心しただろう。

 

 しかし、今回ばかりはそうもいかない。

 

 何故ならそこに写真付きで記載されていたのは、十代後半の少女と10歳程度の子供だったからだ。

 

 一人は肩の辺りで切りそろえた金髪が特徴な美少女、もう一人は不機嫌そうにジト目で避難民と書かれた板を持つ茶髪をショートにした子供。

 

 ラルは二人の名前、そして年長の少女の顔に見覚えがあった。

 

「ま…まさか、こんな事が……」 

 

 慄然する夫に書類を覗き込んだハモンもまた、息を呑む事になった。

 

「そんな、アストライアさま!?」

 

 年長の少女はかつてサイド3にあったバー『エデン』でハモンが歌姫の先輩として憧れた年上の友人、そして建国の父の側室でありながら子供と引き離されて非業の死を遂げたアストライア・トア・ダイクンにそっくりだったからだ。

 

「あなた、この子達はまさか……」

 

「間違いない。ジオン・ダイクンの忘れ形見、アルテイシア様とアルマリア様だ。彼女達とキャスバル様は、テアボロ・マスに養子として引き取られたからな」

 

 そう、書類に記載されている少女たちの名はセイラ・マス、そしてマリー・マスだ。

 

 ここでも答え合わせが出来てしまっている。

 

「おそらく、ガルマを討ったのはアルテイシア様だろう。もしくはキャスバル様も一緒にいて、実際は彼が乗っていたのかもな。アルマリア様は、何故記載されているか分からん。もしかしたらガルマ殺害犯の身内なので、纏めて処理せよという意味かもしれん」

 

 最悪の場合、ザビ家が彼女達をジオンの遺児だと気付いている可能性もある。

 

 そう考えれば、子供であるアルマリアが書類に載っているのも納得できる。

 

「どう…されるのですか?」

 

「まずは木馬を攻撃する際に、赤いハンマー持ちと接触してみよう。人違いであればよし、もし本当にあの方々ならば我等で保護せねばならん」

 

「保護ですか?」

 

「アルマリア様の写真を見ろ。彼女達は連邦と接触した時は、何処からかの避難民として登録されていたようだ」

 

「なのにアルテイシア様が戦場へ出ているという事は、アルマリア様が人質に取られていると?」

 

「そこまで連邦が腐っているとは考えたくないが、そのケースも頭の隅に置いておくべきだろうな」

 

 死んだジオン・ダイクンの為にそこまでする必要があるのか? そう問われればラルは言葉を濁すだろう。

 

 父がジオンの腹心であったとはいえ、ラル自身は彼に心酔しておらず尽力する義理も無いからだ。

 

 しかし戦士として一軍人として、子供が意に反して戦場に駆り出されているのを見過ごすわけにはいかない。

 

 それに彼ら夫婦は憶えているのだ。

 

 十年前に自分達が護った小さな命を、そして身を挺して妹を庇おうとしていた幼い少女の事も。

 

 

 

 

 ラル達が意外な真実に戦慄する少し前、資源採掘地帯「オデッサ」の基地司令であるマ・クベは一枚の書類を見ていた。

 

「まさか、ガルマ様を殺めたのがこんな子供だとはな」

 

 それはジオンに寝返った連邦軍の中将エルランから横流しされた機密情報だった。

 

 新造艦ホワイトベースの北米脱出、その際に大きな力となったガンキャノンのパイロットについての情報。

 

 国葬の際にガルマの仇と大々的に知らしめた為に、エルランの方が気を使って定期報告と共に送ってきたのだ。 

 

「どうなさいますか?」

 

「ランバ・ラル大尉に書類のコピーを送ってやれ。子供殺しなどという汚れ仕事、武人気取りの冷や飯食らいにこそ相応しいだろうさ」

 

 腹心のウラガンにそう答えると、マ・クベはテーブルの上に置いた白磁のツボを軽く指ではじく。

 

 部屋に響く澄んだ音色を楽しんだ後、ふと思い付いた彼はもう一つウラガンへ指示を出す。

 

「そうだ、シャア少佐にもこれを送ってやるがいい。女子供に出し抜かれるようではジオンの佐官は務まらんぞ、とな」

 

「了解しました!」

 

 ウラガンが退出するのを見届けると、マ・クベは得た情報を直属の上官であるキシリアへ報告すべく通信を開くのだった。

 

 

 

 

 ドズル中将から謹慎の命を受けたシャアは、北米のキャリフォルニアベースにいた。

 

 木馬の事は気になるものの、未だに謹慎は解けていない彼に動くことはできない。

 

 そんな彼の生活は、ジオン軍基地に出入りして鈍らないように体を鍛えてシミュレーターや時には実機を使ってMSの訓練をする。

 

 夜になれは酒場に顔を出して一人静かに杯を傾けるといったものだ。

 

 その日も静かなピアノ伴奏が流れるバーへ顔を出したシャア。

 

 カウンターの席に付いた彼の隣にトレンチコートに帽子を深く被った男が座る。

 

「シャア少佐、マ・クベ様からの書類です」

 

 小さく声を掛けてテーブルに出したのは一通の封筒。

 

「キシリア様配下のマ・クベ大佐から? いったい何だ?」

 

「内容は私も知らされていません」

 

 首をかしげるシャアに、男はそう言い残すと足音を立てずに酒場を去って行った。

 

 そうして渡された封筒を開けたシャアは中の書類を見て凍り付いた。

 

「ば…馬鹿な……!?」

 

 あの日、北米でガルマを討った赤い砲撃機。

 

 そのパイロットが自分の妹達だというのだ。

 

 あまりの衝撃に働かない頭の中で、サイド7から今までの出来事が駆け巡る。

 

 まさか、あの子達はサイド7からずっとあの戦艦に乗っていたのか?

 

 だが、どうしてMSに乗り込む事になった?

 

 そういえば先走ったジーンと共にデニムがコロニー内の連邦軍基地へ攻撃をしていた。

 

 それが原因で連邦軍の人員が不足したのか?

 

 それで残った軍人が避難民として身を寄せていたあの子達を無理やりにMSへ乗せた?

 

 つまり、自分と妹達は互いに知らないまま殺し合っていた事になる。

 

 次々と沸き上がる疑問と仮説に、こみ上げる吐き気を抑えながら再び書類に目を向けたシャア。

 

 そこで彼の脳裏には、一月ほど前の己の行いが蘇った。

 

『それに貴様が帰還しなければ、ガルマの仇を知ることはできなかった。あの赤い奴め! ガルマの受けた苦痛を数百倍にして返してやるぞ!!』 

 

 弟の訃報に怒り狂う通信先のドズルを前に、反省した態度を取るシャア。

 

 そんな自分が奴へ提出したモノは何だった!?

 

「わたしが…ザビ家に……アルテイシア達を……売った?」  

 

 その事実に気付いた瞬間、シャアはトイレへと駆け込んだ。

 

 そして酒精を含めて胃の中のモノを全て便器へとぶちまけた。

 

 胃液に焼かれた喉からゼェゼェと情けない呼吸音が耳朶を打つ。

 

 マ・クベからあの書類が送られてきたという事は、アレがキシリアの手に渡ったと見るべきだ。

 

 奴は『キシリア機関』という諜報専門の部隊を持っている。

 

 となれば、アルテイシア達の正体が露見するのも時間の問題だろう。

 

 そしてダイクンの忘れ形見がザビ家の人間を殺したという事が露見すれば、ジオンは形振り構わずあの二人を……!!

 

「ア”ア”ア”ア”ア”ア”ァ”ァ”ァ”-ッ!!」

 

 シャアはトイレの中で喉が破れんばかりに叫んだ。

 

 その声には後悔と悲嘆、そして絶望がこれでもかと詰め込まれていた。

 

 

 

 

 ギシギシと機械の軋みが響く中、あたしと姉ちゃんは思いがけない決断を迫られていた。

 

『答えてください! 貴方達の立場はご自分が思っている以上に危ういのです!!』

 

 通信機からランバ・ラルの訴えるような声が響いている。

 

 賞金首という時点で十分に危ういと思うんだけど、それ以上があるというのだろうか?

 

「姉ちゃん、どうする?」

 

 あたし的には無視して戦ってもいいんだけど、ダイクン云々に関してはサッパリ分からない。

 

 ここは姉ちゃんに判断を任せるべきだろう。

 

「……私が通信に出ます。ホワイトベースやアムロ達には聞こえないようにして」

 

「アンちゃん達に隠すの?」

 

「むこうの出方次第よ。それが判断できるまでは、お願い」

 

「マリー機から皆へ! 青いのはあたし達が抑えるから、他の敵をヨロシク!!」

 

 そういう事ならと、あたしは時間稼ぎの指示を出した後で味方機への通信を一時ロックする。

 

「ランバ・ラル、聞こえて? 私はアルテイシア、アルテイシア・ソム・ダイクンです」

 

 そう答える姉ちゃんは普段と少し違った。

 

 兄ちゃんを前にした時の殺意とは違う、威厳みたいなのが言葉や気配の端々から感じさせる。

 

 いったいどうなっているんだろ?

 

『やはり姫様でしたか! しかしどうして姫様が連邦のMSに? 貴方の性格からするに、仕官したという訳ではありますまい』

 

「私達が暮らしていたサイド7で、あの艦とMSの開発と実験が行われていたのです。それを察知したジオンがコロニーを攻撃し、その際に正規の要員の殆どが亡くなりました。結果、避難民として艦に身を寄せていた私達はジオンから身を護るためにMSに乗る事になり、そこからは成り行きですわ」

 

『何という事だ……』

 

 今までの事をざっくりと説明すると、通信越しのラルの声に痛ましさが籠る。

 

「それでランバ・ラル、貴方はどういう用件で私達へ接触を図ったのです? そして私がコレに乗っていると確信したのは何故ですか?」

 

『我々はガルマ・ザビの仇を討てという命を受けて木馬、貴方達の乗る艦を追跡していました。そして数日前にオデッサ鉱山基地の司令官であるマ・クベという男から書類が届いたのです。そこにはマス姓を名乗るアルテイシア様とアルマリア様が、国葬の際に仇とされた赤い機体のパイロットであると記載されており、慌てて確認を取った次第です』

 

 なるほど。

 

 けど、それがどうしてダイクン云々の話になるんだ?

 

「ねえ、おっちゃん。書類にはセイラ・マスとマリー・マスって書いてあったんでしょ? どうしてそれでダイクン云々って分かったのさ?」

 

「マチュ!」

 

「あ、ヤバッ!」

 

『まさか、アルマリア様まで乗っているのか!? アルテイシア様、何故!?』

 

「……この機体を動かしているのはマリー、アルマリアです。私はこの子の精神安定と補助で同乗しているだけ」

 

『そんなバカな。では、大西洋で私を追い詰めたのは……』

 

「この子です。アルマリアはMSの操縦に天賦の才がある。その腕はたった二回乗っただけで赤い彗星のシャアを追い詰める程です」

 

『なんということだ……』

 

 どこか自慢げに話す姉ちゃんの言葉に絶句するラルのおっちゃん。

 

 ちなみに、兄ちゃんを追い詰めたのは姉ちゃんの『正義の怒り』であたしではない。

 

「おっちゃん、長話すると拙いから手早く教えて。あたし達の顔って、見る人が見ればジオン・ダイクンの関係者だってわかるの?」

 

『ええ。アルマリア様はそうでもありませんが、アルテイシア様は御母堂であるアストライア様に瓜二つですから』  

 

 ……アルマリアってのがあたしの名前なのは分かるけど、そう呼ばれるのは慣れないなぁ。

 

 というか待って、それってヤバない?

 

 その指名手配書がジオン軍全体に回ってたら、あたし達がダイクンの身内って気付く奴が出てくるわけで。

 

 そうなれば、ラルのおっちゃんみたいに寄ってくる奴や是が非でもあたし達を殺そうという奴が出てきてもおかしくないんじゃ……。

 

『マ・クベはキシリア直属の人間、例の書類はすでにキシリアへ届いているでしょう。そしてキシリアはアストライア様と面識があった。ダイクンの遺児が表舞台に立った事を知れば、簒奪者である奴等はどんな手を使ってでも貴方がたを討とうとするでしょう』 

 

 予想通りだけど予想の斜め上に厄ネタだったよ、ガッデム!!

 

 ザビ家のぼっちゃん倒した時点で覚悟はしてたけど、マジでジオンの敵になっちまった!

 

 一個人対国とか、そんなん勝負にならねえぞ!!

 

 どうしたらよかんべぇ、と頭を抱えていたらビビッと頭によぎる物があった。

 

 それはラルのおっちゃんから漂う悪意というか、おっちゃんのモノじゃないけど他の誰かの残り香がまとわりつくというか、そんな感じだ。

 

 これは何なのかと考えていると、一つ気になる事が浮かび上がってくる。

 

「おっちゃん、その書類って写真付きだったんでしょ? 写真って隠し撮りとか?」

 

「マチュ?」

 

 それを口に出すと、後ろで姉ちゃんが首をかしげたのが分かった。

 

 いきなりこんな関係のない質問したら、訳が分からないのは当然だ。

 

 あたしだって直感が囁かなかったら、こんな事訊かないし。

 

『いえ、隠し撮りではありません。特徴は……そうですな、アルマリア様は避難民のプラカードを手に真正面から写っていました』 

 

 その答えを聞いた時、あたしは思わず天を仰いだ。

 

 あー、悪意ってそういう事だったのか。

 

 あたしの直感、この頃冴えすぎでしょ。

 

「マチュ、いったいどうしたの?」

 

「姉ちゃん、忘れた? 避難民のプラカード持った写真って、ルナツーで書類と一緒に出す為に撮ったモノだよ」

 

 あたしの答えに姉ちゃんは息を呑む。

 

「まさか、ルナツーにジオンのスパイがいるって事!?」

 

「もしかしたら、提出先のお偉いさんかもね」

 

 ここまでの流れで確信した事がある。

 

 この話が内緒に出来るレベルをはるかに超えているって事だ。

 

 けど、相談する前に一つ確認しなきゃならない事がある。 

 

「おっちゃん。おっちゃんはあたし達の敵? それとも味方?」

 

『味方でありたいとは思っております。10年前に命懸けで守り通した幼子を、この手に掛けたくはないですからな』

 

 ……おっちゃんの返答に嘘は感じられない。

 

「それじゃあラルのおっちゃん、一旦退却してくれる? その間に皆へ説明するから、夜になったらここに来て」 

 

『木馬の連中に話すと?』

 

「あたし達だけでどうにかできる話じゃないでしょ。このままだったら、あたし達を狙う奴等にホワイトベースもボコボコにされるし。ここまで一緒に戦った仲間だから、ケジメはつけたいの」

 

『……わかりました。ですが、説得できなかった場合はどうします?』

 

「その時は私達は船を降ります。この辺でどこか落ち合える場所はありますか?」

 

『……ここから少し南へ行ったところにソドンという小さな町があります。そこで夜まで待ちましょう』

 

 話が済むと、青い奴はあたしから離れて指を天に向ける。

 

 するとそこから信号弾が発射され、それを見たラルのおっちゃんの部下達は撤退を始めた。

 

 輸送艦の方は結構ボロボロだし、ザクも一機足りない。

 

 どうやらアンちゃんが倒したらしい。

 

『マチュ、どうしたの? 青いのと組み合ったままになってたけど』

 

「色々説明しないといけない事があるんだ。正直、あたしもキャパオーバーだし、とにかく船に帰ろ」

 

 ロックを解除すると入ってきたアンちゃんからの通信に、あたしはため息交じりに答える。

 

 ラルのおっちゃんにはああ言ったけど……はてさて、どう説明したモノか。

 

 これって10歳に降り掛かるはなしじゃないよね。

 

 助けて、リー師匠!  




エルラン「私はクールなスパイ! マよ! ザビ家の仇の詳細を送るぞ!」

壺おじさん「ガルマのボンボン子供に負けたのか、たまげたなぁ。汚れ仕事はラルへスルーパス! あと赤い彗星にも嫌がらせしとこ(恐怖新聞・発射)」

恐怖新聞を受け取ったラル「は゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」

同じく恐怖新聞にゲロ吐いたシャア「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ!!!!!!」

紫ババァ「ダイクン家のガキが……跪け!!(バラライカ風)」
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