ダイクン家の二女はアホの子   作:アキ山

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小ネタ・セイラの悪夢

マチュ「姉ちゃん、大丈夫? すごい魘されてたけど」

セイラ「……マチュ」

マチュ「嫌な事があるなら何でも言ってよ。あたしだって聞き役くらいはできるんだから」

セイラ「……夢を見たの」

マチュ「夢?」

セイラ「ええ。あのアホ兄貴が仮面と兜以外は全裸で裸踊りをする夢よ」

マチュ「へ?」

セイラ「その後、謎のインド人女に口の中に銃を突っ込まれてグリグリされていたわ。しかも少し嬉しそうだった」

マチュ「……ええ」

セイラ「マチュ、あの男が変態だったらどうしましょう? やはり夢の中に出てきた盲目のブッディストが言うように、鬼は首をハンマーで砕かないとダメなのかしら」

マチュ「姉ちゃん、あなた疲れているのよ」

 このあと、めっちゃセイラはマチュを抱き枕にした。


マチュとオデッサ作戦前日

 ホワイトベースの艦長代行…と本人は思っているブライト・ノアは、自室で半ば呆然と宙を見つめていた。

 

 近頃は自分に割り当てられた休憩時間は、心が虚無に呑まれる事が多くなった気がする。

 

「……どうしてこうなった?」

 

 口から我知らずに漏れた言葉は、今の彼の境遇を端的に表していると言えよう。

 

 軍人になって7カ月と少し。

 

 本来の予定ならサイド7でホワイトベースを受領した後は、パオロ艦長の下で一士官として下積みを重ねる筈だったのだ。

 

 それがジオン軍の襲撃の為に、負傷したパオロに代わり艦長代行として半民半官の船を指揮する羽目に陥ってしまった。

 

 これはブライトからすれば予想外も予想外。

 

 パオロに指名された時は、緊張感と責任の重さから吐きそうになったくらいだ。

 

 しかし当時は他に選択肢はなかったし、ルナツーへ逃げ込むまでの間だけと思ったからこそ頑張った。

 

 だがルナツーで待っていたのは、補充人員無しという無情な現実だった。

 

 あの時、テム大尉が怒ってなかったらブライトがキレていた。

 

 そして独房入りも覚悟の上で、ワッケイン司令の顔に右拳を叩き込んでいただろう。 

 

 本音を言えば辞表を叩きつけたいくらいだったが、悲しい事に今は戦時中。

 

 出したところで却下されて終わりだろう。

 

 涙を呑んで『ジャブローに降りれば終わり』と自分を奮い立たせていたのだが、その間も何故か執拗にジオン軍はこちらを追ってくる。

 

 大気圏で襲ってきた時には、ぶっちゃけゲロが喉までせり上がった。

 

 それでも戦闘に関しては、民間人にトンデモねえ逸材がいたお陰で何とかなった。

 

 その天才鬼畜天パがMSに数回乗っただけで、民間人のくせに楽々とシャア越えをブチかましてくれたので、ホワイトベースは身を守るだけでいいからだ。

 

 常にレッドゲージだったストレスも、テム大尉が飲み会を開いてくれて酒の席で愚痴をブチまけさせてくれたから爆発は避けられた。

 

 ここまではいい。

 

 問題はMS隊で天パと双璧を成していた、頭がおかしいドラゴン娘だ。

 

 10歳でMSに乗って戦場に出ているだけでも連邦軍の世間体やこちらの良心がヤバいのに、ジオン・ダイクンの娘という特大の爆弾まで内蔵している始末。

 

 この件はドラゴン娘の姉も同様なのだが、下手に口にすると顎を割られかねないので沈黙は金である。

 

 加えて当人はMS操縦の腕は天パに迫る程高く、精神性は下手をするとこの艦の誰よりも戦人として完成されていると来た。

 

 いったいどんな育て方をしたのかと、姉に小一時間問い詰め……いや、止めておこう。

 

 レバーブローでアバラをへし折られては堪らない。

 

 敵を撃墜した時に『南無阿弥陀仏』と念仏を唱えていたと、報告してきた通信担当のフラウ・ボウが浮かべた筆舌し難い表情は今でも忘れられない。

 

 誤解が無いように言っておくと、彼女自身が何かをやらかしたという訳ではない。

 

 問題は存在自体が厄ネタと言わんばかりに、彼女を起点にしたトラブルが舞い込んでくることだ。

 

 例えば久々の補給で配備された新型MSは産廃だったり、数日前に戦っていた相手のランバ・ラル隊が味方として合流したり。

 

 ザビ家に賞金首に指定されて、避難民とトラブルになった事もあった。

 

 そして挙句の果てには事の元凶であるシャアまで、妹可愛さに合流してくる始末。

 

 この一月半ほどでブライトの胃と精神は限界を超えていた。

 

「……なんで退職代行はあるのに、退役代行はないんだ」

 

 これまでクルーには内緒で転属願いや退役願いを出しているが、それに対する答えは全くない。

 

 むしろ中尉へ昇進するという嫌がらせのような知らせが届いたくらいだ。

 

 これをほざいた補給隊の隊長は美人だったが、あの時だけはマジでぶん殴りたいと思った。

 

「ぼ、僕は…イヤだ…!」

 

 泣いた。

 

 ブライトは泣いた。

 

 自分はただの新米士官、本来ならこんな新型艦を率いる器ではないのだ。

 

 天パ達のように超絶な才能も無ければ、無敵鋼人がカムヒアもしないのである。

 

 そうしてひとしきり泣いたあと、ブライトは休憩に入る前に貰った書類に目を通した。

 

「これは……次の補給品の目録か」

 

 オデッサ作戦に参加させられるのか、例の爆弾娘達をチラつかせて敵の分断を図るのか。

 

 どちらにせよ地獄だと半ば諦めながら読み進めていた彼は、ある項目で白目がないと揶揄されるような細い目を見開いた!

 

「お…おおおおおおっ!」

 

 そこには艦長相談役として、艦隊指揮経験を持つ佐官を派遣すると書いてあったのだ。

 

 ブライトは座っていたベッドから降り、床に膝を付いて両手を高々と天に掲げた。

 

 その姿は旧世紀の名作映画『プラトーン』のジャケットに映った兵士のようだった。

 

 歴戦の佐官ならば、この混沌の坩堝となったホワイトベースを見事に率いてくれるだろう。

 

 自分は一士官として気楽に過ごせばいいのだ。

 

 それから普段の3割増しのウキウキ気分で補給が来るのを指折り待つようになったブライト。

 

 しかし彼は知らない。  

 

 補給当日、救いの主と思っていた佐官から『艦長業務は継続』という非情な命令を受けて、その場で崩れ落ちる事になる未来を。

 

 

 

 

 兄ちゃん合流から数日が経ち、あたし達もオデッサ作戦へ参加するように命令が来た。

 

 ホワイトベースの任務は、連邦の陸上戦艦ビックトレーを護衛して敵の最終防衛線を突破する事らしい。

 

 そういう事もあって、補給を積んだ輸送機が4台くらいきた。

 

 いつもより2台多いのはドムの回収と、サイド7から避難してきた人達を安全な場所へ連れていく為だ。

 

「アンナ、いろいろありがとうね」

 

「マチュ、また会えるよね?」

 

「うん。戦争が終わったら、一緒に遊びに行こ」

 

 サイド7の皆がホワイトベースを降りる時、あたしはアンナと抱き合って再会を誓った。

 

 友達と別れるのは寂しいけど、この船がこれから行く場所を思えば仕方がない事だ。

 

 アンナが安全な場所にいる方が、あたしとしても安心するしね。

 

 こうして避難していた皆は去って行ったんだけど、彼等に入れ替わるようにホワイトベースへやってきた人がいた。

 

 軍の帽子から覗く白髪交じりの灰色の髪に同じ色のヒゲ、眼鏡をかけた少し優しそうなお爺ちゃん。

 

「私はキルスティン・ロンバート中佐だ。この艦には艦長の相談役として赴任する事になる。民間人の方もいらっしゃるだろうが、どうかよろしく頼む」

 

 そう言って敬礼をする彼に軍人さん達は敬礼を返し、あたし達は会釈をする。

 

「あの…艦長相談役とおっしゃいましたが、中佐が私の代わりに艦長に就任するのではないのですか?」

 

「この船の艦長は君だよ、ブライト中尉。ここまで戦い抜いてきたクルーたちとの連携を壊したくは無いからな。私はこの艦で起こった事の責任を取るのが仕事だよ。何か分からない事や困った事があるのなら、何でも相談しなさい」

 

 重責から逃れられると思っていたブライト中尉が落ち込む中、ロンバート中佐はその肩をポンと叩く。

 

 その後にラルのおっちゃんや兄ちゃんがジオンを抜けてここにいるって聞いた時は、なんか宇宙の真理を知ってしまった猫みたいな顔してたけど。

 

 そんな事があって、ロンバート中佐の第一印象は『あたし達の保護者ポジションになりそう』って感じだった。

 

 あたしの予感は大当たりで、補給から2日が経つ頃にはロンバート中佐は見事に馴染んだ。

 

 身寄りがないという理由で半ば無理やりホワイトベースに残ったカツ・レツ・キッカからはロンバートのじっちゃんと呼ばれ、じっちゃん(あたしも呼び方は便乗した)の方もお菓子をあげたり世話を焼いてくれている。 

 

「本当はこの子達を降ろすべきだとは分かっているんだがね。このご時世だ、養護施設は何処も戦災孤児でパンクしている。まともな扶養を受けられる可能性の方が少ないのだよ」 

 

 私もお菓子をお呼ばれした時には、そんな話を寂しそうな顔でしていた。

 

 軍艦に置くべきでない事は分かっていても、然るべき場所に預けられた先の事を思えば、この船の人達が家族だって言い張るキッカ達を引き離すのに抵抗があるようだ。

 

 そんなロンバートのじっちゃんだから、あたしがMSに乗る事に関して否定的だ。

 

「君のお兄さんやランバ・ラルというエースパイロットがいるのだ。子供の君が戦場に出る必要はないだろう」

 

 じっちゃんの部屋でのお茶会の時に、こんな風に釘を刺してきた事がある。

 

 むこうの言ってることは正論なんだよ。

 

 サイド7から出た時か、ルナツーから追い出された時に今の状態で同じことを言われてたら、あたしもMSを降りていたと思う。

 

「ごめんね、じっちゃん。でもさ、あたしはこの船に厄介ごとを呼び込んじゃってるんだよ。だから、それを片付けるまで頑張らないと」

 

 ダイクン云々については姉ちゃんや兄ちゃんも噛んでるけど、ザビ家の坊ちゃんを倒した件はあたしの責任だ。

 

 ケジメは付けないといけない。

 

「すまない。我々大人がもっとちゃんとしていれば、君にそんな業を背負わせる事は無かった」

 

「違うよ。切っ掛けはどうあれ、これはあたしが選んであたしがやったことの結果だもん。それをじっちゃん達の所為にしたら、こっちの立つ瀬が無くなっちゃうよ」

 

 まさか謝られるとは思わなかったので、あの時はびっくりした。

 

 じっちゃんの泣きそうな顔は、罪悪感が半端なかったし。

 

 こうしてじっちゃんは折れてくれることになり、『絶対に生きて帰ってくること』という条件でMSのパイロットを続ける事になったのだ。

 

 我がままを通すのは難しいモノである。

 

 さて、オデッサ作戦の開始は明日。

 

 あたしはキャットウォークの手すりにもたれながら、赤と青に塗り直されているドムの一号機と二号機を見ている。

 

 テムおじさんがデータを上げてくれていたお陰で、ジャブローに送るドムはコックピットが壊れたジャンクでOKとなり、一号機をこっちで使う許可が下りたのだ。

 

 そのあとMSパイロット同士で話し合って一号機に兄ちゃん、二号機にはラルのおっちゃんが乗る事になった。

 

 ちなみにラルのおっちゃんが乗っていたグフはクランプのおっちゃん。

 

 コズンのおっちゃんはラル隊にあったザクの頭を兄ちゃんの高機動J型に付け替えて使う事になりました。

 

 ……うん、嘘はいけないよね。

 

 ドムの件だけど、正確に言えばドム二号機と一号機だったモノである。

 

 兄ちゃんに宛がわれる筈だった一号機はアマミヤの兄ちゃんを始めとする手隙な整備班のノリと技術屋の好奇心、そして深夜のテンションで別物に化けてしまった。

 

 こうなった切っ掛けは、あたし達が黒い三連星を倒して帰ってきた時に遡る。

 

 兄ちゃんの無茶でボロボロになった足を見たテムおじさんは、兄ちゃんに滅茶苦茶怒った。

 

「子供を乗せているのにホバーのリミッターを外すとか、アホか!? マリーちゃんの身に何かあったらどうするんだ、このボケカスぅ!!」

 

 一目でホバーのリミッターを切った事に気付く辺り、流石ガンダムの生みの親といったところだ。

 

「も…申し訳ない」

 

 普段の知的なテムおじさんからは想像もつかないような罵詈雑言の嵐には兄ちゃんも平謝り。

 

 姉ちゃんの制裁で顔がパンパンになってなかったら、絶対に殴られていただろう。

 

「敵のエースとやり合ったんなら仕方がない、最初からそう言え。───それで、ホバーのリミッターはどのくらい緩めればいい?」 

 

「なに?」

 

「お前さんのことだから、リミッター解除を織り込んで戦術を組み立てるんだろう。なら、壊れない程度の所にもう一段リミッターを仕込んでやる」

 

 散々怒った後にフォローを入れる辺り、流石はテムおじさんという感じだった。

 

 しかし、ここで兄ちゃんの悪い癖が出てしまった。

 

「もう少し加速性能が欲しいな。それにホバーでは難しいのは百も承知だが、相手や障害物を蹴って方向転換をするのは捨てがたい。あとは取り回しのいい火器と接近武器があれば申し分ない」

 

 とまあ、かなり言いたい放題に注文を付けたのだ。

 

 普通ならそんな無茶なんて出来るかと突っぱねるのだが、ホワイトベースのメカニック達は伊達に物資がない中でMSを万全にしていたわけじゃない。

 

「となると、フレームから手を入れる事になるな。作戦までは三日もあるし物資だって潤沢だ。……やってみるか」

 

 と、テムおじさんは眼鏡のレンズを光らせながら快諾。

 

 これが兄ちゃんのドムが整備班の玩具となった瞬間だった。

 

 アマミヤの兄ちゃん曰く、ホワイトベースのメカニック達は『どうせ二機あるんだから、片方くらいは好きに弄りまわしたい』と常々思っていたんだそうな。

 

 そこに自国の最新鋭機に興味津々な、ラルのおっちゃんが連れてきたジオンのメカニックが合流。

 

 親睦を深める為の飲み会をした際に酒の勢いで図面を書いた結果、ドムは原型を留めないほどの魔改造を受ける事になってしまった。

 

 まず背中に付いているのは、産廃ことヘビーガンダムのモノだったロケットモーター付きのバックパックだ。

 

 そして、蹴りに対応できるように熱核ジェットのノズルを短くして足首ではなくふくらはぎくらいの位置に留める。

 

 地表と離れてホバーの性能が下がる事に関しては、足の裏にこれまたヘビーガンダムの増加装甲の中にあった小型スラスターを移植して補う。

 

 もちろん蹴りの際には、自動で閉まるルナチタニウム製の防護シャッターも完備とのこと。

 

 さらにバックパックに付いているサブアームには補給品の中に入っていた連邦製100mmマシンガンを左右に二丁持たせ、振り返る事無く背面に弾幕を張れるようにしたらしい。

 

 加えてヘビーガンダムから取っ払った装甲材を使って肩や胸の防御力を上げて、防御力をアップ。

 

 あとはドムとわからない偽装とモノアイ保護の為に、顔には十字にスリットが入った面が設置された。

 

 最後に主武装はガンダムの予備パーツであるビームサーベルとビームライフルである。

 

 ビームサーベルはガンダムのコネクタを手に移植しているので使えるんだとか。

 

 ここまで弄るともうドムとは呼べないので、整備班の中で『ゲイル・ディアス』という仮称が付いている。

 

 よくもまあ、三日やそこらでここまで弄り回したモノである。

 

 ただ組み上げただけじゃなく、昨日の夜に試運転が終わっているのだから凄い。

 

 朝起きて、その話を聞いた時はびっくりだった。

 

「ここにいたんだ、マチュ」

 

 そんな事を思い返していると、アムロのアンちゃんが声を掛けてきた。

 

「うん。メカニックの皆がMSを整備するの見てるとおもしろくて」

 

 あたしの答えにアンちゃんは塗装途中のドムとゲイル・ディアスに目を向ける。

 

「パーソナルカラーか……」

 

「ロボゲーでも塗ってる人いたよね。やっぱり塗るとモチベーションが上がるのかな?」

 

「マチュはもう塗ってるじゃないか」

 

「え?」

 

「ほら、ガンダムの胴体。僕のと違って赤いだろ」

 

 メンテが終わってハンガーに収められているあたしのガンダム1号機を指さすアんちゃん。

 

 たしかに青の2号機と違って胴体は赤というか朱色だ。

 

「なんか2号機と間違わない為の色分けって感じ」 

 

「だったら肩にシンボルマークでも入れる? 僕達のチームのさ」

 

「いいね!」   

 

 あたし達のエムブレムは二匹のチワワが遠吠えしているという可愛いモノだ。

 

 そんな訳で手隙そうな整備の人に聞いてみた。

 

「いいよ。データさえあれば、ササッとペイントして終わりだし」 

 

「ありがとう! データはコレ!」

 

「あいよ。一時間くらいで終わるから、肩でいいんだよな」

 

「うん!」

 

 ロボゲーのデータ保存に使っている携帯端末を渡すと、メカニックの人はガンダムの方に歩いて行った。

 

「な…なんじゃ、こりゃああああああっ!?」 

 

 それから二時間ほど時間を潰した後、ガンダムを見に行ったあたしは肩に掛かれたエムブレムを見て絶叫する事になった。

 

 何故ならそこにはあたしの思っていた二匹のチワワではなく、鎌を持った死神を乗せた凶悪なイノシシが書かれていたからだ。

 

「そういえばチャンピオンになった時に、記念として試合を見てくれていたファンに新しいエムブレムを募集したんだっけ」

 

「ああ…そうだった……」

 

 そして送られてきたのが、あの死神と魔猪のエムブレムだったのだ。

 

 戦争に巻き込まれてからは忙しくてロボゲーやってなかったから忘れてた!!

 

「どうする、マチュ? 整備の人に消してもらおうか」 

 

 へたり込んだあたしを心配するアンちゃんに首を横に振る。

 

「これ以上手間をかけるのは悪いから。それよりアンちゃんはいいの?」

 

「死神云々はゲームの時にさんざん言われたからね、その辺は今更かな」 

 

 のほほんとした感じのアンちゃんにため息を付くと、あたしは気を取り直すことにした。

 

 こうなったら仕方がない!

 

 このエムブレムと一緒に、チワワーズの名前もオデッサに轟かせてやるんだから!!

 

 




・ゲイル・ディアス

 シャアの要望でドムへ大幅に手を加えた現地改修機。

 熱核ジェットのホバー機構を足首からふくらはぎ辺りへ移設したことで、シャアが得意とする蹴りが使えるようになった。

 そして地表と熱核ジェットが離れた事による表面効果の低下を補う為に足の裏にブースターユニット、背面にヘビーガンダムで使用されていたロケットモーター付き大型バックパックも設置。

 これによって航続時間や距離は減ったものの、単距離であればドムを大きく凌ぐ機動力を手に入れた。

 また背部大型バックパックに設置されたサブアームには連邦製100mmマシンガンを装備されており、ホバー機が不得手とする背後を取られた際の対処を容易にしている。

 このマシンガンはサブアーム操作で正面にも打てるため、火力の強化にもつながっている。

 モノアイ保護と鹵獲品であることを隠す為に顔には西洋騎士のような十字にスリットが入った面を付けており、肩や胸部にも追加装甲が成されている。

 装甲と機動力強化の双方を達成した機体であるが、その分設定がピーキーになっており使いこなすには相応の力量が必要となる。

 この機体が後に傑作機となるリック・ディアスへ繋がるかは神のみぞ知る。

 
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