ダイクン家の二女はアホの子   作:アキ山

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ベルファストに入ってゴッグ君と戦うはずだったのに、そこまで行かなかった。

うーん、ミステイク。




マチュとシミュレーターと限界反応

 モニター越しに広がるのは黒い宇宙空間。

 

 その黒に目を凝らしながら、あたしは精神を研ぎ澄ます。

 

 今、対峙しているのは並大抵の敵じゃない。

 

 一瞬の油断が即命取りに繋がるからだ。

 

 そんな事を考えている内に、脳裏に警告に似た閃きが奔る。

 

「くっ!」

 

 背部と両足裏のスラスターを全開にして左に機体を投げ出すと、次の瞬間にはあたしのいた場所を紅い閃光が通り抜けていく。

 

 それを放ったのはガンダム。

 

 あたしのとは違う、胴体に濃い青の高機動ユニットを付けたアムロのアンちゃんが駆る機体だ。

 

「そこっ!」

 

 もちろん、あたしだっていい様に攻められてばかりじゃない。

 

 アンちゃんが取るであろう軌道を先読みして、進路に置くようにビームライフルを放つ。

 

 ランク三ケタ台の勘の良いパイロットならこの一射で仕留められるんだけど、そこはアンちゃんである。 

 

『甘いっ!』

 

 あたしの機体よりも出力が上な背部のスラスターと脚部に取り付けられたブースターユニットを使って、あたしの置き射撃を難なく躱してみせた。

 

 けれど、急な軌道変更は付け入る隙を産む。

 

「はぁぁぁっっ!!」

 

 あたしはビームライフルをサーベルに持ち替えて、スラスターを全開にしてアンちゃんへ突撃する。

 

 エグいエイム力を高機動で使ってくるアンちゃん相手に射撃戦は分が悪い。

 

 あたしが得意とするクロスレンジで事を運ばないと!

 

『ちぃっ!』

 

 こちらの接近に気付いたアンちゃんが、ビームライフルを持つ手をこちらへ向ける。

 

 けれど、放ったのはビームではなく前腕の追加装甲から放たれたナニカ。

 

 それはある程度アンちゃんのガンダムから距離を取ると、急速に膨らんで簡易なガンダムに似た形を取る。

 

「ダミーバルーン!?」

 

 相手のロックオンを肩代わりする事や目くらましに使われる風船人形。

 

 意外な装備に度肝を抜かれたけど、あたしはすぐに気を取り直す。

 

 ここで尻込みしてアンちゃんに逃げられたら元の木阿弥だ。

 

 意を決して突撃を掛けたあたしだけど、ダミーが目の前に来た瞬間に背筋に冷たいモノを感じた。

 

「やばっ!?」

 

 直感の赴くままに楯を構えて急停止。

 

 次の瞬間には、3体のダミーが爆炎を巻き上げて弾け飛んだ。

 

「ぐっ!? 機雷が入ってたのか!」

 

 シールドのお陰でダメージは無いけど、大きく後ろに弾かれてしまった。

 

 この隙をアンちゃんが逃すはずがない。

 

 そう考えて気を張っていたあたしは、機雷が巻き上げた爆煙が晴れた先にあるモノを見て自分の失敗を悟った。

 

「あれは……!?」

 

 そう、そこには宙に浮かぶ主のいないハイパーバズーカが黒々とした銃口をこちらへ向けていたのだ。

 

 この状況は拙い!

 

 あたしはすぐさまシールドを放ってバズーカの射線を塞ぐと、周囲に感覚の警戒線を敷く。

 

 どっちだ?

 

 いったいどっちで仕掛けてくる!?

 

 焦りを抑えながら研ぎ澄ませた神経、それは背中に奔ったひり付くような感覚で危機を教えてくれた。

 

「後ろっ!!」

 

 背面ラッチからの抜き打ちで放ったビームライフル、それは背後でライフルを構えていたアンちゃんのガンダムの足を撃ち抜いた。

 

 けれど、こっちも無事に切り抜けたわけじゃない。

 

 相手の足にビームが命中すると同時に、こっちのガンダムも肩口から左腕を吹き飛ばされてしまった。

 

 いや、あの二択から左手一本で抜けられたのなら安いモノだ。

 

 少し前のあたしなら、反応が遅れて後ろからコックピットをやられていた!

 

『やるっ! さすがマチュだ!』

 

「アンちゃん、戦法が相変わらずエグい!」

 

 互いに二射、三射とビームライフルを放ちながら円を描くように射撃戦に移る。

 

「当たれ!」

 

『このぉっ!!』

 

 狙いを絞らせないようにスラスターの緩急やAMBACで小刻みに軌道を変え、アンちゃんもあたしも相手の動きを先読みしながら置き射撃を使う。

 

 何度もビームの粒子が胴体や頭部を掠めていくけど、双方ともに直撃は一発も無い。

 

 というか、足のスラスターとブースターユニット一つ失ってるのに、こっちに余裕でついてくるとか!

 

 やっぱ、アンちゃんとのドッグファイトはキツい!!

 

 なんとかして自分の土俵に持って行かないと勝てない!

 

「いっくぞぉぉぉぉぉっ!!」

 

 あたしはバルカンとビールライフルで牽制を行いながら、再び間合いを詰めようとする。

 

『させるか!』 

 

 しかし、こっちの牽制射撃を躱しながらアンちゃんが取った手は、なんとシールドを投げつける事だった。

 

 予想外の一手だったけど、こっちだって後ろに下がるわけにはいかない!

 

「おりゃああああああっ!!」

 

 あたしは直進させていたスラスターの向きを少し変えると機体を少し上へ浮かせる。

 

 そして飛んでくる盾に足を掛けると、それを踏み台にしてさらに前に出る!!

 

『迂闊だぞ、マチュ!!』

 

 余計な動きを挟めば、当然アンちゃんは其処を狙ってくる。

 

「いけぇっ!!」

 

 こちらを捉えようとするアンちゃんの銃口、それに対してあたしは手にしていたビームサーベルを投げる。

 

 赤い光の刃を出したまま、ブーメランのように高速回転でアンちゃんの方へ飛んでいくサーベル。

 

『サーベルを!? くっ!』

 

 さすがに盾も無しにこれを受け止める気にならなかったのだろう、アンちゃんは射撃体勢を解いて回避に入ろうとする。

 

 しかし、あたしの奇策はここからが本番だ!

 

 放ったサーベルに向かってライフルを放つと、光刃によってビームが弾かれて散弾のようにアンちゃんへ襲いかかったのだ。

 

『なっ!? うわぁっ!!』

 

 さすがにこれは予想外だったのか、避け切れずにビームのシャワーを浴びるガンダム。

 

「わお……」

 

 それも当然だ。

 

 あたしだって、こんな事になるとは考えもしなかったんだから。

 

 当初の予定ではサーベルを爆発させて、それを眼潰しに接近戦に持ち込む予定だったのだ。

 

 とはいえ、棚ぼたラッキーだ。

 

 ビームの散弾はボディにはダメージを与えなかったものの、頭部の眼やトサカにあるカメラを破壊したのだから。

 

「今が勝機!」

 

『まだだ! たかがメインカメラがやられただけだ!!』

 

 しかし喜び勇んで突っ込んだあたしを待っていたのは、カウンター気味に放たれたビームだった。

 

「うにゃあっ!?」

 

 宙を奔るその光は見事にあたしのガンダムの頭部を吹っ飛ばしてしまった。

 

 こっちも視界を潰されてしまったけど、それでも十分に間合いは詰めた!!

 

「やああああああっ!!」

 

『ライフルが! うわっ!?』

 

 頭部の爆発で崩れた体勢を素早くリカバリーしたあたしは、ライフルを棄ててアンちゃんの懐へ飛び込むと勘を頼りに予備のサーベルを抜き放つ。

 

 振るわれたメガ粒子の刃がアンちゃんの持っていたライフルを切り裂くと、誘爆によって相手のガンダムは右腕を失う。

 

「もらった!」

 

『うおおおおおっ!』

 

 トドメとばかりに切り返して放った胴薙ぎは、アンちゃんが残った手で引き抜いたビームサーベルの刃に受け止められてしまった。

 

『そう簡単にやらせはしない!』

 

「さすが、あたしのバディだ!」

 

 こちらの攻撃を切り払ったアンちゃんが袈裟斬りを放つけど、今度はあたしが当たれば致命となる刃を捌く。 

 

 そこからは双方片手でのチャンバラだ。

 

 袈裟斬り、逆袈裟、唐竹、逆風、胴薙ぎ。

 

 宇宙を縦横無尽に駆け抜けながら、あたし達は時代劇の殺陣のように光の剣風をまき散らす。

 

 けれど、互いにトドメの一撃は入れることが出来ない。

 

「……あれ?」

 

 そんな中、あたしは自分のガンダムの動きに違和感を感じた。

 

 操作入力から機体の反応が明らかに遅いのだ。

 

「もしかしてラグ!? 冗談じゃない!!」

 

 久しぶりにアンちゃんとガチ対決なのに、ラグ死なんて興ざめにもほどがある!

 

『クソッ! もっと早く反応してくれ!!』

 

 刃を合わせる度に聞こえる接触回線から、アンちゃんの焦った声がする。

 

 どうやら相手の方もラグが起きているらしい。

 

 このまま打ち合っていては、何時ラグで負けるか分かったモノじゃない!

 

 こうなれば必殺の一撃をと思った時だった。

 

「うわわっ!?」

 

 突きを放とうとしたあたしに襲いかかったのは、なんとアンちゃんのガンダムが放つ頭部バルカン砲だった。

 

 そうだ! むこうは一応頭が残っていたんだ!

 

 頑丈な装甲のお陰でダメージは微々たるものだけど、必殺のタイミングは完全に崩された。

 

『もらったっ!!』

 

 そんなあたしを襲うアンちゃんの突き!

 

「こなくそぉっ!!」

 

 それに対して一か八かで、こちらも突きを返す!

 

 一瞬の交差が齎す強烈な衝撃が襲った次の瞬間、コックピットの全ての機器がその光を失った。

 

 

 

 

 

「負けたぁぁぁぁぁっ!!」 

 

 シートベルトを外してハッチを開けると、あたしは敗北宣言と共にシミュレーターの筐体から出る。

 

 今、あたし達はベルファストというヨーロッパの基地へ向けて移動中だ。

 

 目的は戦後処理云々でオデッサだと応急処置しかできなかったホワイトベースの修理をしっかり行う為だ。

 

 その合間に腕が鈍らないようにとMSパイロット達でシミュレーター訓練をしていたんだけど、結果はご覧の通りあたしが敗北を味わう事になってしまった。

 

「あれ、今のマチュが勝ったんじゃないの?」

 

 そう声を掛けてきたのは、向かいの筐体から出てきたアムロのアンちゃん。

 

 むこうも敗北宣言とは、これは一体どういうことか?

 

「いやいや、勝ったのアンちゃんでしょ。あたしの方が突きのタイミング遅かったし」

 

「うーん、最後の一撃もラグが掛かっちゃったしなぁ」

 

「いや、相打ちだったぞ。アムロ君、アルマリア様」

 

 互いに首を傾げるあたし達に声を掛けたのはラルのおっちゃんだった。

 

 促されて対戦の様子を映していたモニターに目を向けると、そこには互いのコックピットを刺し貫いている二機のガンダムの姿があった。

 

「ありゃま」

 

「勝敗が決まった後でも、自分が食らったダメージが通るのがゲームと違ったところだね」

 

「シミュレーターは現実の戦いを模したものだからな。相手を倒しても自分が生き残らねば意味がない」

 

 なるほど、つまり今回の対戦はどっちが先に当てたとしても両者撃墜って結果になったという事か。

 

「勝つだけでなく生き残る事。それが肝要ですぞ、アルマリア様」   

 

「……精進します」

 

 実際に戦場へ出る時は姉ちゃんも乗せるんだから、ラルのおっちゃんが言う事は尤もである。

 

「ところでお嬢、一つ聞いてもいいですかい?」

 

「なに、コズンのおっちゃん」

 

「ダミーに仕込んだ機雷が爆発した時、どうして捨ててあったバズーカを見て動きが止まったんです?」

 

「ああ。あれね、二択なんだよ」

 

「二択?」

 

 あたしの答えにコズンのおっちゃんが首を傾げる。

 

 あの戦法、初見殺しを抜きにしてもエゲツなさすぎるからネタ晴らししてもいいでしょ。

 

「アンちゃん、話してもいい?」

 

「構わないよ。一回見られちゃってるし」

 

 アンちゃんに許可を取ったあたしはコズンのおっちゃんに解説を始める。

 

「対戦だとバズーカを囮に背後から襲ってきたけど、場合によっては遠隔でバズーカを撃ってくる場合があるんだよ」

 

 なので、バズーカを警戒しているとアンちゃんの不意打ちでやられるし、アンちゃんを警戒しているとバズーカの餌食になってしまう。

 

「しかもアンちゃんが襲ってくるのは背面だけじゃないからね。頭上、足元、その他。着実にこっちの死角から狙撃してくるんだ」

 

 慌ててバズーカの射線から逃げようとすると、そこを狙われて『さようなら』なんてこともあり得る。

 

「てぇことは、つまり……」

 

「機雷の爆発でアンちゃんを見失った時点で、あたしは半分詰んでたんだよ」

 

 置きバズ二択の何よりエグいところは、相手に時間を与えない事だ。

 

 初見だと相手はバズーカに気を取られた瞬間に殺られるから、悲鳴を上げる間もなく撃墜されるなんて事もザラだった。

 

 これから逃れる為には悩んでもダメ、逃げてもダメ、呆然とするなんて論外。

 

 どうにかしてバズーカの射線を塞ぎ、すぐさまアンちゃんの居場所を特定して、撃たれる前に撃つという鬼畜難易度なプレイが必要になる。

 

「そんなに酷いかな? 今回だってマチュは躱してきたじゃないか」  

 

「いや、あれってヤマ勘が当たったからだからね。あれが外れていたら、その時点で撃墜されてるし」

 

 あのカメマンが何もできずにやられたと言えば、どれだけ凶悪かは分かるだろう。

 

 『見えない死神』といい、これといい、どうやったらこんな鬼畜戦法を考え付くのやら。

 

「おーい! アムロ、マリーちゃん! ちょっと来てくれ!!」

 

 アンちゃんに気付かれないように内心で呆れていると、テムおじさんに呼ばれた。

 

「いったいどうしたんだろ?」

 

「とにかく行ってみよう」

 

 そんな訳でシミュレーターのデータ取りをしていた整備班の所へ行こうとした時だった。

 

 あたしはふと一枚のモニターを見てしまった。

 

「うげっ……」

 

 そこにはあたしが使っていたのと同じガンダム1号機が、ハイパーハンマーの鎖を使って背後からゲイル・ディアスの首を絞めている様子がデカデカと映っていたのだ。

 

「姉ちゃん、プロレスのヒールみたいだよ」

 

「マチュ、気にしちゃダメだ」

 

「アルテイシア様、キャスバル様。お労しや……」 

 

 あたし、アンちゃん、ラルのおっちゃんが残念なモノを見る目でモニターを見ている。

 

 その状態でジャイアントスイングみたいに振り回し始めて……あ、ゲイル・ディアスの首がもげた。

 

 

 

 

 あたし達がデータ収集室へ入ると、テムおじさんが難しい顔で迎えてくれた。

 

「どうしたの、父さん」

 

「少し困った事になっていてな、これを見てくれ」

 

 言葉と共にテムおじさんがあたし達に差し出したのは、なにやらデータやグラフがずらりと書かれた長い紙だった。

 

「これは……!」

 

 あたしには何が何だか分からなかったけど、機械弄りが得意なアンちゃんは内容を理解できたらしい。

 

「さっきの対戦、操作入力と機体の反応にズレがあったのではないかね?」

  

「うん。あれってラグか何かなの?」

 

 真剣な顔でデータを見るアンちゃんの横でテムおじさんにそう聞いてみると、彼は困った顔で首を横に振る。

 

「いいや。あれは君やアムロの反応速度にガンダムが付いていけてないんだ」

 

 ……なんですと?

 

「つまり、あたし達が本気で戦ったらガンダムは壊れちゃう?」

 

「シミュレーターは実物のガンダムと同じ性能にセッティングしてある。シミュレーター内では操作と機体の動きのズレだけで済むが、実機だとフィールドモーターのオーバーヒートや制御コンピューターのフリーズなどで機体が擱座する恐れもある」

 

 なるほど、たしかにこれは由々しき事態だ。

 

 命懸けの戦闘では手加減なんて以ての外である。

 

 なのに本気を出したら機体が壊れるのでは、まともに戦うのが難しくなる。

 

「現状、1号機と2号機は限界ギリギリのチューンを施してある。なのでこれ以上となると……」

 

 そう言って右手で頭を掻くテムおじさん。

 

 資料を読み終えたアンちゃんも難しい顔だ。

 

 あたしも何とかアイデアを出してあげたいのだが、生憎と我が身は小学生。

 

 メカやら技術はさっぱり分かりませぬ。

 

「テム大尉、ちょっといいですか?」

 

「なにかね、アマミヤ少尉」

 

 そんなあたし達に声を掛けたのは、PCを操作していたアマミヤ少尉だ。

 

「連邦の技術資料を漁ってたんですけど、ちょっと面白いモノを見つけたんです」 

 

「どれだ? ……マグネットコーティング技術、発案者はモスク・ハン。なるほど、彼か」

 

「知り合いなの、父さん?」

 

「ガンダムを開発する中で少しな。このモスクという男は電磁工学の新鋭なのだ。 ……しかしこれは興味深い」

 

 プリントアウトした資料を凄い勢いで読み込んでいくテムおじさん。

 

 はた目からだとパッパとページをめくっているようにしか見えないんだけど、あれで内容が分かるって凄くない?

 

「実験機の中で幾つかマグネットコーティングが施された機体もあるみたいですね。関節部の運動性向上など、結果もしっかり出ているようですよ」 

  

「そのようだ。ベルファストに着いたらモスク博士に連絡を取ってみるか」

 

「そういえば、向こうでの訓示はゴップ大将がやる事になったみたいですよ」

 

「あれはレビル大将がやるんじゃなかったのか?」

 

「ジャブローでの会議が長引いて予定が合わなくなったらしいです。そこで急遽ゴップ大将が代打をすることになったとか」

 

「強引に予定を捩じ込んでおきながら……まったく、上の連中は身勝手なモノだ」

 

「上なんてそんなもんですよ。ともかく、兵站屋の大将が来るんです。その辺の鬱憤晴らしも兼ねて、盛大におねだりしちゃいましょう」

 

「ふっ、そうだな」

 

 テムおじさんとアマミヤ少尉がそんな会話をしていると、艦内放送からロンバートのじっちゃんの声がした。

 

『艦内各員へ告ぐ。これより我が艦は連邦軍ベルファスト基地へ入港する。入港後に将官からの訓示があるので、軍籍の者は身だしなみを整えよ。民間の方々は部屋着のような物でなければ、見苦しくない格好で結構です』

 

 ふむ、アマミヤ少尉の言うゴップという偉い人は今まで補給云々でお世話になったタヌキさんだったはず。

 

 これはおめかししておいた方がいいか。

 

「やれやれ、ようやく着いたか。できれば人員が補充されればいいのだがな」

 

「……難しいでしょうね。ウチは色々と問題が絡み合った難しい艦ですから」

 

 二人してため息を付くテムおじさんとアマミヤ少尉。

 

 少し重苦しい空気の中、ピーッという音が室内に響く。

 

「おっ、セイラさんとシャアの対戦も終わったな」

 

 そう呟くアマミヤ少尉がキーボードを操作すると、天井付近に吊るされたモニターに決着の様子が映し出された。

 

「Oh……」

 

 そこにあったのは仰向けに倒れたゲイル・ディアスと、その胸にめり込んだハイパーハンマー。

 

 そして鉄球の上に乗って勝利のピースサインを掲げるガンダムの姿だった。

 

 え、決まり手が『鉄球の極み』?

 

 いったい何をしたんだ、姉ちゃん……!

      




Q.置きバズ二択ってなんじゃらホイ?

A.『ギュネイを殺ったの!?』戦法
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