ダイクン家の二女はアホの子   作:アキ山

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本編に詰まって、章管理をしている間に思いついてしまったネタです。

お…俺はどうしてこんな物を書いてしまったんだ。

本編を書かなきゃならんのに……

これもみんな、爆死したGジェネのF91ガチャが悪い!

というわけで、お暇なら見てください。


【一発ネタ】アホの子の話の流れで書くスパロボ30前日譚(New)

【ここが俺達の地獄だ】宇宙世紀を必死に生き抜く転生者達のスレ【人の心とかないんか?】

 

 

154 名無しのガノタ

 

ルナツーに侵入者! 侵入者だ!!

 

 

155 名無しのガノタ

 

今ってホワイトベースが入港している最中(さいちゅう)だよな!?

 

 

156 名無しのガノタ

 

こんなイベントあったっけ?

 

教えて、エロい人!!

 

 

157 名無しのガノタ

 

テレビ版だったらシャアと部下が

 

破壊工作でルナツーに侵入してきた…はず

 

 

158 名無しのガノタ

 

なにぃ!? 

 

勝ち馬に乗れるからって連邦へ亡命したのに

 

そんなイベント聞いてねえよ!!

 

 

159 名無しのガノタ

 

いやだぁっ!

 

死にたくなーい! 死にたくなぁぁぁぁい!!

 

 

159 名無しのガノタ

 

≫154

 

おい、お前はその工作員に遭遇したのか?

 

 

160 名無しのガノタ

 

≫157

 

ち…違う! これ…人間じゃない!

 

い…いぃ…インベーダー……

 

ぎゃああああああああっ!?

 

 

161 名無しのガノタ

 

い…インベーダー?

 

 

162 名無しのガノタ

 

ま…マジだ!

 

ガラス越しだけど俺にも見えた!

 

『チェンゲ』のインベーダーだ!

 

どうしてこいつ等がいるんだよ!?

 

 

163 名無しのガノタ

 

う…ウソだろ!?

 

 

164 名無しのガノタ

 

ここはガンダムじゃなくて

 

ケン・イシカワ世界……だった?

 

 

165 名無しのガノタ

 

ヤバい! ヤバい!! ヤバい!!!

 

こいつ等、人に寄生して増殖したり操ったりするんだぞ!!

 

 

166 名無しのガノタ

 

生身じゃ死体が増えるだけだ! ロボットを持ってこい!!

 

増える前に機動兵器でぶっ殺せ!!

 

 

167 名無しのガノタ

 

今俺らが動かせるのはジオンからパクった旧ザクと61式戦車

 

あとは有線ミサイルランチャー積んだジープだけだぞ!!

 

 

168 名無しのガノタ

 

そんなんでインベーダーに勝てるか!?

 

ゲッターは無いのか!!

 

 

169 名無しのガノタ

 

あるわけねーだろ!!

 

 

170 名無しのガノタ

 

あってもオレ等じゃ乗れない定期

 

 

171 名無しのガノタ

 

馬鹿言ってる場合か!

 

旧ザクに一番近いのは俺だ!

 

こうなったら奴に一発カマして……うおっ!?

 

 

172 名無しのガノタ

 

≫171

 

どうした!?

 

 

173 名無しのガノタ

 

≫171

 

もしかしなくても死んだか!?

 

 

174 名無しのガノタ

 

死んでねーよ!!

 

なんかアルトアイゼンみたいな追加装備付けたガンキャノンが

 

インベーダーに突撃してルナツーから押し出していった!!

 

 

175 名無しのガノタ

 

アルトみたいなガンキャノン?

 

そんなのあったっけ?

 

 

176 名無しのガノタ

 

拙者、皆目聞いた事もありませぬ

 

 

177 名無しのガノタ

 

インベーダーに魔改造ガンキャノン……

 

この世界はいったいどうなってんだ?

 

 

 

 

 どうも、普通に生活をしていたら実の兄貴から軍事的に攻められた薄幸の少女、マチュです。

 

 サイド7からジオン…というかエドマエ兄ちゃんによる追撃を受けて、這う這うの体でルナツーという連邦軍基地へ逃げ込んだあたし達。

 

 これで助かったと思いきや、待っていたのは軍のお偉いさんからの『今のメンツでジャブローへ行けや』という無茶ぶり。

 

 『お前ふざけんな! こっちは素人と子供が船とロボット動かしてんだぞ!!』と抗議の声を上げようと思ったんだけど、あたしのバディであるアムロのアンちゃんの父親ことテム・レイ技術大尉がコッチの倍くらいキレまくってました。

 

 流石にガンダムの開発者を怒らせたら拙いと思ったのだろう。

 

 軍の偉いさんは補充人員は出せないけど、船に乗せていた試作МSガンダムとガンキャノンを強化する資材を提供してくれたんだ。

 

『調整中にすまん! ルナツーに侵入者だ!!』

 

 そんな訳でテムおじさん達の作業も終わり、コックピットで重装突撃型へと進化したガンキャノンを弄っていると、突然ホワイトベースのブライト少尉から通信が飛び込んできたのである。

 

 鼻歌交じりにコンソールを弄ってた事もあって、これには思わずシートから飛び上がりそうになった。

 

「侵入者?、また赤い彗星が仕掛けてきたのですか?」

 

『いいや、相手は人間じゃない』

 

 複座に改良されたコクピットの中、後ろのに座る姉ちゃんの問いかけに返ってきた答えを聞いて、あたしは思わず眉根を寄せる。

 

「人間じゃないって……じゃあ、なんなのさ?」

 

「インベーダーと呼ばれる外宇宙からの侵略的生命体だ」

 

 さしものあたしも、これには流石に唖然となった。

 

 それって宇宙人ってこと?

 

「えっと、ギャグ……じゃないみたいだね」

 

『ああ。お前達が知らないのも無理はない。奴等に関する情報は民間人に伝わらないように政府が規制しているからな。だがインベーダーは実在する。そして月面は奴等によって戦場になり、多くの月面都市に被害が出ているんだ』

 

 まさか月はそんな事になっていたとは……全然知らんかった。

 

「つまり、その毒牙がルナツーにも伸びてきた訳ね」

 

『ええ。奴等は一個体からでも増殖し、さらには人間にも寄生すると言われています。すぐにでも手を打たないとルナツーが壊滅しかねない。そして今動けるのはあなた達とアムロだけだ』

 

 姉ちゃんの確認の言葉に神妙に頷くブライト少尉。

 

 というか、なんでこの人は姉ちゃんに対して態度が丁寧なんだろ?

 

「わかった。そのインベーダーって奴の出た場所を送って」

 

 割とどうでもいい事はさて置き、インベーダーとやらがヤベェ生物なのは理解した。

 

 なら、さっさとお引き取り願うべきだろう。

 

 そんな訳でマップデータが来たのを確認すると、あたしは外部スピーカーをオンにする。

 

「ごめんなさい! 整備員の人達は離れて! 今からキャノンを出すから!」

 

「出すって、いったいどうしたんだ?」

 

「ここにインベーダーとかいう謎生物が入ってきたらしいの! ソイツを追い出してくれってブライト少尉から頼まれた!」

 

「い…インベーダーだって!?」

 

「大変だ! 全員、速やかにここから退避! いや、寄生された奴がいるかもしれん! 万が一に備えて武装も忘れるな!!」

 

 あたしがインベーダーの事を伝えると整備の人達はハチの巣を(つつ)いたような騒ぎになった。

 

 軍人さんがここまでビビるとは、件のナマモノはそれだけ危険なのだろう。

 

『マチュ! 僕もすぐに出る! だから絶対に無理はしないで!!』

 

「オッケー!」

 

 こちらと同じくガンダム高機動型の調整をしていたアムロのアンちゃんの通信にサムズアップを返すと、あたしは送られてきたマップに従ってスロットルを開く。

 

「おお! いい感じ!!」

 

 突進力強化の為にスラスターとか増やしたけど、挙動が重めだったキャノンがこんなにスムーズにブーストダッシュするなんて!

 

 テムおじさん、流石である。

 

「マチュ! 見えたわ!!」

 

 今までと打って変わった操作感に感心していると、黒い蛇のようなトカゲのような生き物が見えてくる。

 

「デカっ! あれ、マジで生き物なの!?」

 

 人に寄生するとか言ってたから人間サイズだと思ってたのに、МSと大差ないじゃん!!

 

 恐竜かよ!?

 

「どうするの?」

 

「さすがに基地の中で肩のキャノンは使えない! だったら!!」

 

 姉ちゃんの問いかけに答えながら、あたしは左のスティックに備わったトリガーを引く。

 

 それに連動して、左手に新設したガトリングガンが火を噴いた。

 

「ぎしゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 牛の鳴き声のようなモーター音と共に何十発もの鉛弾が撃ち込まれるけど、インベーダーにダメージがあるようには見えない。

 

「ガトリングは効果なし! となれば、これしかないでしょ!!」

 

 キモいし寄生がどうのって言ってたから接近戦は避けたいけど、現状使える一番の飛び道具で倒せないなら仕方ない!

 

 あたしが右のレバーを引くと、それに連動してガンキャノンの右腕に備わった物騒なモノの撃鉄が上がる。

 

 本来なら踏み込みの勢いを活かして体当たり気味に突っ込むんだけど、今回は一手間掛ける!

 

 スロットルをフルに踏み込んだあたしは、相手の懐へ飛び込むと同時にガンキャノンの右手を突き出した。

 

 そこにあったのはブットい杭とリボルバーが合わさったロマン武器。

 

 『とっつき』ことパイルバンカーだ。

 

「吹っ飛べっ!!」

 

 杭が相手に突き刺さるタイミングで右レバーのトリガーを引くと、リボルバーへ撃鉄が落ちて炸薬の力を借りて杭が大きく前に撃ちだされる。

 

 その威力は杭が突き刺さった部分を中心にして、インベーダーの肉が円形に爆ぜるほどだ。

 

「ギャアァァァァァッ!?」

 

 流石の化け物もこれは堪えたらしい。

 

 パイルバンカーの威力に押されるように後ろへ大きくノックバックする。

 

「チャンス! 姉ちゃん、一気に行くよ!!」

 

「分かったわ!!」

 

 もちろん、このチャンスを逃すあたしじゃない。

 

 さらにインベーダーに追いすがると、二撃三撃と杭を叩き込んでいく。

 

『よし! ガンキャノン、そのまま奴を押し出せ!!』

 

 こっちが優勢に進めていると、突然通信モニターに軍のお偉いさんが現れた。

 

「うわっ!?」

 

『驚いている場合じゃない! 今から目の前にある隔壁シャッターを開ける! そのままインベーダーを基地外へ放出するんだ!!』

 

 たしかワッケインとかいう指令の指示と同時に、インベーダーの背後にある隔壁扉が開いていく。

 

 その先にあるのは宇宙!

 

「いっけぇぇぇぇっ!!」

 

 そのままバンカーの弾倉を全てを撃ち尽くすと同時に、インベーダーは宇宙へと吐き出されていく。

 

「マチュ! ダメ押しだ!!」

 

「あいよ!!」

 

 追い付いてきたアンちゃんの声に応じて両肩に備わったキャノンを放つと、同時に右斜め後ろから薄紅色の光弾がインベーダーへ飛ぶ。

 

 それらは宇宙空間で体勢を整えていないインベーダーへ突き刺さると大きな爆炎を上げた。

 

「よしっ!」

 

「ううん、まだ生きてるよ! というか、増えてる!?」

 

 腕とか脚とか千切れてたからダメージあると思っていたのに、どれもがドンドン大きくなって新しいインベーダーに化けてるじゃないか!

 

 増殖するってマジだったの!?

 

『僕達も外へ出よう! あの数がルナツーに入ってきたら、どうしようもなくなる!!』

 

「うん!」

 

 あたしとアンちゃんのガンダム高機動型は、閉じようとしていた隔壁の間を通り抜けて宇宙へ出る。

 

 宇宙へ出ると研ぎ澄まされていく第六感というか、自分の存在が周囲へ広がっていくような感覚。

 

 それがインベーダーを捉えた瞬間、あたしは理屈じゃなく本能で理解できた。

 

「アイツ等はこの宇宙にいちゃいけない生き物だ」

 

 インベーダーは人類は決して相いれない不倶戴天の敵って事が。

 

 増えたインベーダーは5匹。

 

 凶悪な未知の生命体を相手取るには少しばかり不安になる数だ。

 

「でもアンちゃんと一緒だし、負けるわけにはいかないよね」 

 

 ぺろりと舌で唇を湿らせながら、あたしはスピードリローダーを使ってバンカーの炸薬を補充する。

 

 せっかく機体をパワーアップしてもらったんだ。

 

 これで無様を晒したらテムおじさんや整備の人達に合わせる顔が無い。

 

 なんて気合を入れていると、あたしの直感センサーがピンッと反応した。

 

 増設されたバーニアを左に向けて右へ飛べば、インベーダーが全身から放ってきた触手が一瞬前までガンキャノンがいた場所を貫いている。

 

 流石は謎生物、攻撃方法もキモくて意味不明ときた。

 

「だけど、殺気があるなら躱せる! 攻撃を躱せるという事は、すなわち負けないってこと!!」

 

 二匹目、三匹目とこちらへ向けて放ってくる触手を躱しながら、あたしは奴等へ向けてガトリングと肩のキャノンを放つ。

 

 インベーダーは触手を放っている間は動きが止まるらしく、こちらの放った弾は全て命中した。    

 

『今だ! 畳みかける!!』

 

 そして、相手が怯んだところに突き刺さるのがトンデモ軌道を描きながら高速で動くアンちゃんのビームライフルだ。

 

 砲弾で半ば胴体が千切れかけた一匹目、それに続いてガトリングを食らって穴だらけになった二匹目と、薄紅色の光弾は奴等の頭をブチ抜いていく。

 

「ギャアァァァァァッ!?」

 

 この度重なるダメージには耐えられなかったのだろう。

 

 インベーダーは内部から炸裂して、チリも残さずに消えてしまった。

 

 さて、残るは二匹と思った時だった。

 

『トマホゥゥクッ! ブゥゥゥメラン!!』

 

「なにごとっ!?」

 

 突然通信機から物凄く気合の入った叫びが木霊したのだ。

 

 それに続いて目の前を横切ったのは、МSの身の丈に迫るデカさの片手斧!

 

「ギャアアアアアアっ!?」

 

 虚空を回転しながら掛ける巨大な凶器は、狙いたがわずにインベーダーの側頭部へ突き刺さる!!

 

 そして斧を追いかけるように戦場へ乱入してきたのは、裾がボロボロのマントを羽織った赤鬼というべき巨大なロボットだった。

 

『どこに行くのかと思ったら、こんな所まで来やがって!』

 

『随分と手間を掛けさせてくれたな』

 

『へっ! 俺達から逃げられるわけねえだろ!!』

 

 赤いロボットが斧の柄を掴むと、通信機からは三人の男の人の声が聞こえてくる。

 

「あのロボ、三人乗りなのね」

 

「うん。なんかパイロットがすっごい凶悪そうな顔してる気がする!」

 

『おおりゃああああああああっ!!』

 

 姉ちゃんの声に偏見に満ち満ちた答えを返していると、裂帛の気合と共に赤いロボが突き刺さった斧で、そのままインベーダーを引き裂いた。

 

 うわぁ、殺し方がエグい。

 

『うん? おい、隼人。ありゃあ、どこの国のスーパーロボットだ?』

 

 インベーダーを文字通りバラバラにしたロボがこちらを向くと、さっき気合を放った男の人が誰かに問いを投げる。

 

『あれはスーパーロボットじゃない。連邦軍が開発しているモビルスーツだ』

 

『モビルスーツっていうと、ジオンとかいうコロニー国家が使ってるロボットだよな? 日本にも攻めてきて掃除が大変だったが、連邦もそいつを造ったってことか?』

 

『そうだ、武蔵。ゲッターをはじめとするスーパーロボットは一点物だからな。数がモノを言う国同士の戦争には向かん』

 

『だから別の人型兵器が必要だったってわけか。───おい! 』

 

「なに?」 

 

 ハヤト、ムサシ以外の人がこっちに呼びかけてきたので通信モニターを見ると、そこには野性味が溢れまくったお兄さんの姿があった。

 

『あぁ? なんでガキが乗ってんだよ。いったいどうなってやがる!?』

 

「色々あったんだよ。それで何か用なの?」

 

 ガキなのは否定しないけど、その態度は流石に失礼だろう。

 

 抗議の意味を込めてジトっと半眼をむけると、件のお兄さんは表情を引き締める。

 

『まあいい。あのインベーダーは俺達がぶっ殺す! テメエ等は邪魔だからすっこんでろ!』

 

 ……ふーん、初対面の人にそんなこと言っちゃうんだ。

 

「──アンちゃん」

 

『ああ!』

 

 あたしの呟きに、アンちゃんは二発ビームライフルを放つ。

 

 同時にあたしは全スラスターを吹かして突貫。

 

 この辺は積み重ねたコンビネーションが光る場面だ。

 

『こいつ等、何を……!?』

 

 ハヤトって言われた声が戸惑う間にも、アンちゃんの放った光弾はインベーダーの胴と頭に突き刺さる。

 

 それで化け物がのけ反った隙を突いて懐に入ったあたしは、バンカーを胴体に叩き込んで引き金を引く。

 

「グギャアアアアアアッ!?」 

 

 炸薬が齎す強烈なインパクトは杭を中心にインベーダーの胴を吹き飛ばし、黒い化け物はバラバラに砕け散った。

 

「邪魔だからなんだっけ?」  

 

『このガキ……』

 

 ムッとする野性的なお兄さんにニヤリと笑みを返してやる。

 

 はっはっは! 妙なロボットに乗ってるからって、あたし達が大人しくなると思うなよ!!

 

 これで残るインベーダーは一匹。

 

 ただ煽り合戦のお陰で、自然とどっちが先に倒すかって感じになっちゃった。

 

「! この気配はっ!!」

 

 互いにどう仕掛けようかと警戒していると、ここで思わぬ乱入者が現れた。

 

「うげっ! なんでこのタイミングで来るかな」

 

 姉ちゃんと同時に気づいたあたしは、見知ってしまった気配にげんなりする。

 

 そして予想通り、砲撃機であるガンキャノンが誇る高性能カメラが捉えたのは、部下を引き連れてこちらへ接近する赤いザク姿だ。

 

『竜馬! ジオンのザクが来たぞ!』

 

『しかもあの色! 赤い彗星だぜ!!』

 

『チッ! 面倒臭ぇ時に来やがって!!』

 

 さすがに『赤い彗星』の異名は広く知れ渡っているようで、赤いロボットの方も斧を片手に警戒心をあらわにする。

 

『マチュ。インベーダーとシャアが相手だ、集中しよう』

 

「うん」

 

 アンちゃんの言葉にごもっともと頷いた時だった。

 

「ひぃっ!?」

 

 背後から伸びてきた手が、あたしの肩をガシリッ!と掴んだ。

 

「マチュ、今宵のバンカーは血に飢えているわ!」

 

「姉ちゃんッ!?」

 

 やべえ! また姉ちゃんが殺意の波動に!

 

 というか、どこぞの日本刀じゃないんだから!

 

 あの鉄杭にそんな事が起こるわけ……あれ、本当に飢えているような気がしてきたゾ?

 

 今までロボゲーで散々積み重ねてきた悪行を思い返すと、まったく笑い飛ばせないや!

 

「私の選んだ鉄杭が、あのアホを撃ち貫けと轟き叫んでいるのよ! さあ、やってしまいなさい!!」

 

「姉ちゃん、落ち着いて! 先に人類の敵なインベーダーを倒さないと!!」

 

「あの男こそ人類種の天敵よッッ!! だから今ここで息の根を止めるべきなの!!」

 

「そんなー!?」

 

 兄ちゃん! 上の妹からトンデモねえレッテルが貼られてるよ!!

 

 マジで赤い彗星してる場合じゃないって!

 

 こんな具合にコクピットの中ですったもんだしていると、通信用モニターにまた赤鬼のパイロットが現れた。

 

『見ろよ! あの赤いのやる気満々だぜ!』

 

『ああ、凄い殺気だ!』

 

『どうやら赤い彗星の奴、よほど恨まれているようだな』

 

 コメントの順はリョーマ、ムサシ、ハヤトの順である。

 

 というか恨まれているけど! たしかに恨まれているけど!! そんなんじゃないから!!!

 

 いかん、いかんですよ!

 

 このままだと、姉ちゃんがサブシートからキャノンの操縦を奪って兄ちゃんに襲い掛かりかねない!?

 

 ……いやまあ、敵なんだから襲っても問題ないんだけどさ。

 

 末の妹としては、人類が手を取り合って宇宙からの侵略者と戦う流れになってほしいのですよ。

 

 ぶっちゃけ、肉親殺しとか本気で勘弁だし。

 

『シャア少佐、あの化け物はなんでしょうか!?』

 

 どうしたもんかと焦っていると、何故か通信機がジオン側のやり取りを吐き出し始める。

 

「あら、周波数は合っていないはずなのに……」

 

「なんだろ、これ? もしかしてインベーダーを倒した影響かな?」

 

 爆散して粉々になったといっても、極小さな肉片なんかは残っているだろう。

 

 それがМSが通信に使う電波に悪さしたのかも。

 

『少し前にグラナダが陥落したのを憶えているだろう。その原因がアレだ』

 

『じゃあ、数十万の市民も奴が!?』

 

『そうだ。奴等は外宇宙から来た侵略的生命体で、連邦ではインベーダーと呼ばれているらしい』

 

「グラナダが陥落していたなんて……」

 

 兄ちゃんと部下のやり取りに、姉ちゃんが思わず口元を押さえる。

 

 そんなのニュースじゃやってない…って当然か。

 

 ブライト少尉の話が本当なら、政府は市民に対して情報をシャットアウトしていたらしいし。

 

『そんな化け物がここに……。少佐、どうしますか?』

 

『インベーダーは人類共通の敵だ。奴等を前にして戦争などできんよ』

 

『連邦軍と手を結ぶと?』

 

『ああ。幸いにも対インベーダー用の特機もいるのだ。宇宙の彼方から来た迷惑な客には早々に退去願おう』

 

 ふむ、兄ちゃん側は割と理性的な判断を下してくれたらしい。

 

「チッ!」 

 

「姉ちゃん、メっ!」

 

 舌打ちに籠った不満が半端ないっス。

 

 ちなみに一連のやり取りをしながらも、あたしはインベーダーをガトリングで牽制している。

 

 赤鬼もアンちゃんも兄ちゃんの登場で迂闊に動けないみたいだし、ここは砲撃機であるキャノンの『眼』の良さを活かしてチクチク動きを封じるべきだと思ったのだ。

 

 まあ、新設された武器の実戦での使用感を確かめるってのもあるんだけどね。

 

 そんな感じで三点バーストやセミオートと撃ち方を変えながら鉛弾を吐き出していると、不意に国際救助チャンネルでの通信が飛び込んできた。

 

「うわ! よりにもよって、こっちに送ってくるとか」

 

 さっきの会話の流れからして、出所は間違いなく兄ちゃんである。

 

「姉ちゃん、どうしよう?」

 

「ごめんなさい。通信にはマチュが出てくれる?」

 

「なして、あたし?」

 

 アイアムまだ10歳。

 

 身内とはいえ軍人と交渉とか無理ゲーなんですが。

 

「私だと声で誰か分かってしまうかもしれないもの。今、私達がМSに乗っているのがバレるは都合が悪いわ」

 

「それだと、あたしが出ても気づかれるんじゃない?」

 

「大丈夫。あの薄情な鬼子の事ですもの、マチュの声なんて脳内から奇麗さっぱり消去しているに違いないわ。だから、サイド7のやり取りがあっても貴女だとは気づかない筈よ」

 

 兄ちゃん、ボロクソに言われてますがな。

 

「わかった、出るよ」

 

 とりあえずインベーダーが口から吐いてくる見るからにヤバそうな液体をサイドステップで躱すと、寒さ対策で持ち込んでいた黒いパーカーを羽織る。

 

 そしてフードを目深に被ると、あたしは通信機に応答する。

 

「こちら独立傭兵レイヴン」

 

『独立傭兵だと? 連邦は虎の子のМSをそんな人間に預けているのか』

 

 あたしの答えに訝しげな声を返す兄ちゃん。

 

 偽名として昔やったロボゲーの主人公の名前を使ったんだけど、本当にあたしって気づいてねーや。

 

 ちょっと声を低めにしただけなのに、そりゃないよ。

 

「現在、敵生体と交戦中。要件は手短に頼む」

 

『うむ。お互い遺恨はあると思うが、インベーダーは人類にとっての脅威だ。ここは奴を撃退するまで手を結ぶというのはどうだろうか?』

 

「了解した。だが、赤いロボに関しては我々の管轄外だ。そちらが貴軍へ攻撃しても責任は取れない」

 

『心配は不要だ。あれは対インベーダー用の特機、化け物を倒せば月へ帰ることだろう』

 

「わかった……えっ!?」

 

 バレないように無味無乾燥キャラな演技をしていたあたしは次の瞬間、驚きの声を上げてしまった。

 

 何故なら鉛弾に体を削られながらも、インベーダーがジオン側へ触手を伸ばしたからだ。

 

『なにっ!? チィッ!!』

 

 虚を突かれながらも寸でのところで触手を回避する赤いザク。

 

 しかし後ろにいる部下は、そうはいかなかった。

 

『うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?』

 

 触手を胴体に受けたザクの一機はモノアイの光を失い、糸が切れた操り人形のようにダラリと両手足を下げる。

 

 やられたかと思ったのだけど、インベーダーの行動は私達の想像の斜め上を行った。

 

『少佐! 助けてください!! 化け物がコクピットの中に!?』

 

『クラウン!? 機体を破棄して脱出しろ、クラウン!!』

 

『いやだ! 食われ…食われちまうぅ!! おごぇぇぇぇぇっ!?』

 

 兄ちゃんの警告虚しく、通信機からはクラウンという兵士の断末魔が聞こえてきた。

 

『野郎、まさか!?』

 

 リョーマの声をバックに、あたしはモニターに映るザクの変化に思わず息を呑む。

 

 薄紅のモノアイは気持ち悪い黄色い爬虫類の目に代わり、タコ型の排気口からはみ出たのは鋭い乱杭歯。

 

 内側からはち切れそうに膨張した胴は装甲の隙間からインベーダー特有の黒い体が覗き、腕の肘関節からは鎌状の副腕が生えている。

 

『……ザクに寄生しやがった』

 

 ハヤトの言う通り触手を通じてザクの中に潜り込んだインベーダーは、なんとジオンの象徴である緑の巨人を乗っ取ってしまったのだ。

 

『しょ…少佐ぁ!?』 

 

『各員、弾幕を張りつつクラウン機から距離を取れ! もたもたしていると、お前達も食われるぞ!!』

 

 いち早くインベーダーから離脱した赤いザクは、肩のシールドに備わっているユニットからミサイルを放つ。 

 

『う…うわぁぁぁぁぁぁぁっ!?』

 

『来るな! くるな、化け物ぉぉぉっ!!』

 

 それが突き刺さった爆音で呆然自失から目が覚めたのだろう。

 

 残りのザク達もマシンガンやバズーカなど、手にした武器を乱射しながらインベーダーから離れようとする。

 

「ギシャァァァァァァァッ!!」

 

 けれど、インベーダーはそれを許さなかった。

 

『全身から触手を!?』

 

 アンちゃんのいう通り、奴は両手はもちろん、背中や足からも触手を生やしたのだ。

 

『させるかッ!!』

 

 部下を助けようと、兄ちゃんは舌打ちと共に背負っていた対艦ライフルを構えて連射する。

 

 けれど、インベーダーは胴体に備わったザクの装甲に穴を開けながらも逃げようとするジオン兵達を貫いた。

 

『あ…あぁぁぁぁぁ……』

 

『す…吸われる! 俺の…俺の全部が……吸われていく……』

 

『いやだ!? 母さん…お母さん……』

 

「うぁっ!?」

 

「くぅっ!?」

 

 兄ちゃんに続いて両肩の大砲を撃とうとしたあたしは、突然押し寄せてきた強い思念に頭を抱えた。

 

「く…うぅ……!?」

 

「うぅ……マチュ、しっかり!」

 

 触手が蠢く度に頭の中に響くのは生きたまま食われていくパイロット達の恐怖や悲嘆。

 

 それはまるで全身に蟲が這いまわるみたいな不快感を齎した。

 

「ッ!」

 

 押し寄せる津波のような死者の念と不快感。

 

 それに耐えるべく、あたしは頬の内側を咬み切った。

 

 鋭い痛みと口の中に広がる鉄の味で、ぼんやりし始めていた意識がシャッキリする。

 

 今は敵が目の前にいるんだ。

 

 機体の制御を手放したら、姉ちゃんを巻き込んであたしも奴の餌食になる。

 

大難大変(だいなんたいへん)()うても(すこし)も動転せぬといふは、まだしきことなり。大変大難に逢うては歓喜雀躍(かんきじゃくやく)して勇み進むべきなり。一難関を超えたる所なり」

 

 血に濡れた舌を転がして葉隠の一説を(そら)んじる。

 

 これを現代語に訳すと『大困難や大変事のとき、平静でいられるのは、まだ未熟だ。大変な事態に遭遇したら、喜び勇んで立ち向かって行こう。これが一段突き抜けた境地と言えよう』という意味になる。

 

 そう、この程度の困難に震えて狼狽えるなんて未熟の極み!

 

 本当に強くなりたいなら、喜び勇んで丸ごと平らげるくらいの気持ちでいないと!!

 

 そうして覚悟を決めると、スッと頭が軽くなるような気がした。

 

「ま…マチュ……」

 

「姉ちゃん、大丈夫?」

 

 ひどく疲れた風な声に振り返ると、姉ちゃんがあたしのシートにもたれてぐったりしていた。

 

 どうやら、死者達の念を姉ちゃんも受けてしまったらしい。

 

「酷い…幻覚を見たわ……」

 

「うん、そうだよね。姉ちゃん、あたしがいるから大丈夫だよ」

 

 シートの背もたれに預けた姉ちゃんの頭を、あたしは優しく撫でてあげる。

 

 死者の念を感じる精神的衝撃は言葉で言い表せないほどだ。

 

 特に今回は生きたまま食われるなんて悲惨すぎる状況だもの。

 

 参っちゃうのはしかたないよね。

 

「その幻覚の中で、私はサイド3の国家元首を背負わされていたわ」

 

「……なんて?」

 

 ちょっと待って!

 

 なんかトンデモない事を言いだしたぞ、ウチの姉!!

 

「あんな未来は絶対に嫌よ! ザビ家のクソ共の後釜に座って、私達を追い出した民衆を背負うなんて絶対にいやぁ!!」

 

「姉ちゃん、落ち着いて! そんな事にはならないから! パンピーなあたし達が国を背負うとかナイから!!」

 

 意味不明な幻覚を思い出して取り乱す姉ちゃんを、あたしは抱き着いて必死に宥める。

 

 すまん、アンちゃん!

 

 こっちは今動けないからフォロー頑張って!!

 

「はぁ…はぁ……コンチクショウ」

 

 なんとか姉ちゃんを落ち着かせたあたしは、荒い息のまま再びパイロットシートに座る。

 

 とにかく姉ちゃんが錯乱した原因は、あのグロ生物にある!

 

 一発かましてやろうと思っていたんだけど、眼前の光景に思わず我が目を疑った。

 

「うそぉ……」

 

 百舌の早贄のようになったザク達を取り込んだインベーダーは、赤鬼と同じくらいのデカさになっていたからだ。

 

 これにはあたしはもちろん、他のパイロット達も呆然である。 

 

『……へっ! おもしれえじゃねえか!』

 

 そんな中、誰よりも早く現実に復帰したのは赤鬼のパイロットことリョーマだった。

 

『妙な芸を見せやがって! そんなもんでゲッターに(かな)うと思ってんじゃねえ!!』

 

 威勢のいい声を上げながら、斧を片手に赤鬼はインベーダー・ザクへ突撃していく。

 

『くたばりやがれぇぇっっ!!』 

 

 そうして振るわれる凶悪な片手斧。

 

「キシャァァァァァッ!!」

 

『なんだとっ!?』 

 

 しかし首を狙った横薙ぎは、インベーダー・ザクの持つヒートホークによって防がれてしまった。

 

 というか、なんでザク斧までデカくなってんだ!?

 

 ギシギシという鉄の軋みがここまで届きそうなほどの超巨体同士の鍔迫り合い。

 

「やばっ!」 

 

 そのド迫力の中、背筋を奔る悪寒を感じたあたしは反射的にキャノンのガトリングガンを跳ね上げる。

 

 次の瞬間、あたしの嫌な予感は現実のものとなった。

 

『竜馬!』

 

 ハヤトの声と共に、大きく膨れたザクの腹からインベーダーの触手が飛び出したのだ。

 

 赤鬼の胴へ突き刺さらんとする思いがけない奇襲。

 

 けれど、その毒牙を押しとどめるモノがあった。

 

 それはあたしが放った鉛弾と、アンちゃんのガンダムが撃ったビームライフルだ。

 

 ビームは左わきから生える3本の触手が持つ鋭利に尖った先端を消し飛ばす。

 

「しくったっ!?」

 

 けれど、あたしのガトリング弾は先端で弾かれて触手の進行を少し遅らせるだけだった。

 

『なめるなぁ! オープンゲット!!』

 

 だから躱せないと焦ったんだけど、トンデモなさでは赤鬼もインベーダーに負けていなかった。

 

『分離しただと!?』

 

 そう、兄ちゃんが言った通り、ロボットが三機の戦闘機に分かれたのだ。

 

「なんつー無茶苦茶!!」

 

「このぉ!!」

 

 これには度胆を抜かれたけど、驚いている場合じゃない。

 

 分かれた戦闘機を捕まえようと、手に持った斧の他にも全身から出した触手を振り回すインベーダー・ザク。

 

 それを潜り抜けて距離を取ろうとする戦闘機を援護する為に、あたしはアンちゃんや兄ちゃんと一緒に弾幕で対抗する。

 

 実弾でも硬化していない先端以外なら効果があるみたいで、こちらの援護射撃はかなりの触手を撃ち落とすことが出来た。

 

『竜馬! 俺に代われ!!』 

 

『なんだと!?』

 

『赤い彗星はもちろんだが、ガキ共も思った以上に使えるようだ! ならゲッター2のスピードで掻き回して、奴の腹をぶった切ってやる!!』

 

『チッ! しくじるんじゃねえぞ、隼人!!』

 

 通信機からこんなやり取りが聞こえてくる中、あたしは目標をこちらへ切り替えたインベーダーの触手を躱す。

 

 たしかにガキはガキなんだけどさ、もう少し言い方あるんじゃない?

 

『チェンジ! ゲッター2!!』

 

 その間にもインベーダー・ザクの背後に回った戦闘機たちは、フォーメーションを変える。

 

 そして白・黄・赤の順で追突事故のように前の機体に突き刺さると、次の瞬間には白を基調にした右手にデカいドリルが付いた機体に変形したじゃないか!

 

『さっきとは違う機体に!?』

 

『まさか合体する順で形態が変わるというのか!』

 

「トンデモ機体過ぎる!!」

 

 というか、一々こっちをびっくりさせないでほしい。

 

 回避運動中なのに集中力が落ちるじゃないか!!

 

 度胆を抜かれまくっているお陰で文句なら山ほどあるけど、今はそんなの言ってる場合じゃない。

 

「マチュ」 

 

「うん。やっぱり、アイツ気づいてる」

 

 何故なら背後から奇襲をかけようとしているゲッター2とやらの動きにインベーダーが感づいているからだ。

 

 このまま行けば、おそらくカウンターを食らって串刺しになるのはゲッター2とやらだ。

 

 何か手は無いかとモニターに視線を奔らせたあたしは活路を開くカギを見つけ出した。

 

「アンちゃん!」

 

『──ああ! いくぞ、マチュ!』

 

 キャノンのカメラ映像を転送すると、アンちゃんはすぐにこちらの意図に気づいてくれた。

 

 この辺は以心伝心である。

 

 同時に跳ね上がったビームライフルとガトリングガン。

 

 その狙いは、主が取り込まれた為に宇宙を漂う事になった2丁のザクバズーカだ。

 

『いけぇ!!』

 

 まったく同じタイミングで銃口から飛び出した鉛弾とビームは、ちょうどインベーダー・ザクの側頭部に来ていた武器達を射抜く。

 

 そして次の瞬間、弾薬へ誘爆したバズーカは化け物の頭を挟むように爆発した。

 

「今だ!」

 

 両のこめかみに衝撃を受けて揺らぐザクの身体。

 

 それと同時にあたしはスロットルを全開にした。

 

「食らえ! ドリルアーム!!」

 

 途端に高速で流れる蒼い宇宙の中、モニターを移動させると背後からザクの胴体をドリルで穿つゲッター2の姿が見える。

 

 あれが普通のロボットなら勝負ありだけど、相手はインベーダーという化け物。

 

 きっと、もう一押しが必要だ。

 

「姉ちゃん、掴まってて!」 

 

「わかったわ!」

 

 フットペダルを思い切り踏み込むと、全てのスラスターが全開になってガンキャノンは一気に加速!

 

 その勢いでザクの頭上を取ったあたしは、急降下で奴に突貫する!

 

「これで──トドメ!!」

 

 体当たりするかのように突っ込んだあたしは、奴の頭頂部に右腕のパイルバンカーを突き刺した。

 

 重装МSが弾丸さながらに突っ込んだ事もあって、鉄杭はザクの装甲を貫いて深々と突き刺さる。

 

「冥途の土産だよ! 全弾もっていけぇ!!」

 

 連続で右レバーに付いたトリガーを引けば、その度に弾倉が回って炸薬の力を借りて杭が叩き込まれる。

 

 モニターではザクの装甲は大きく割れて、中にあるインベーダーの肉もグチャグチャだ。

 

 うわぁ、我ながらグロい。

 

『ふん、やるな。なら、こちらも派手にいくか!』

 

 通信機がハヤトの声を吐き出すと、ザクの胴体を抉っていたゲッター2のドリルが更に回転数を上げる。

 

『このままハラワタをブチ撒けてやるぜ! ドリルストーム!!』

 

 そして回転音が最高潮に達すると、ドリルを中心にして横向きの竜巻が吹き荒れた。

 

「というか、宇宙なのになんで風が発生するのさ!?」

 

「謎すぎるわ」

 

 あたし達姉妹のツッコミを他所に、竜巻はザクの腹の中から割れた装甲やインベーダーの肉と混ざった内部の機械なんかを次々と吹き飛ばした。

 

 そして宇宙に流れ出た部品たちは小さな爆発を伴って消滅していく。 

 

「ギャアァァァァァァ!?」

 

 腹の中の物をすべて出し切ると奴も限界が来たらしい。

 

 インベーダーはブクブクと膨張すると、大爆発を伴って消滅した。

 

 本当だったら一息つきたいところなんだけど、生憎とそうもいかない。

 

 あたしとアンちゃんは警戒心を込めて赤いザクと向き合う。

 

 共通の敵が倒れた以上、協力する理由は無いのだ。

 

「インベーダーの討伐は終わった。──そちらはどうする?」

 

 あたしはさっき通話した際に記録されたアドレスを使って、兄ちゃんへ呼びかける。

 

 ちなみに正体がバレないように無味無乾燥キャラは継続中である。

 

『こちらとしては立場上、お前達を討たねばならん』

 

 通信モニターに映るダサい仮面と兜を付けた兄ちゃん。

 

 その言葉にあたし達は覚悟を決め、姉ちゃんは殺意をギラ付かせる。

 

 これ、正体バレを気にしてなかったら『上等だ! ぶっ殺してやる!!』くらい言ってそうだなぁ。

 

 相手がやる気なら仕方ないと思っていると、兄ちゃんの口元に笑みが浮かんだ。

 

『だが、生憎と今の戦いで弾薬を全て使い切ってしまった。今日のところは仕切り直しと行きたいのだが、どうだ?』

 

 どうやら向こうも戦う気は無いらしい。

 

 だけど、思わせぶりな話し方はやめてほしいなぁ。

 

『……マチュ、どうする?』

 

「アンちゃん、ごめん。姉ちゃんも乗ってるし、あたしも疲れちゃった。これ以上戦うのはノーサンキュー」

 

 ガンキャノン経由で流した兄ちゃんの提案を聞いているアンちゃんに、あたしは首を横に振る。

 

 あたしも姉ちゃんもこれがデビューから二戦目なうえに、改造したガンキャノンの初運転も兼ねている。

 

 できるなら、この状態で兄ちゃんと闘りあうのは避けたい。

 

 後ろで『かかってこい!』と手招きしている姉ちゃんはまだまだ余裕そうだけど、あたしがギブアップという事で勘弁してください。

 

「こちらも連戦となると弾薬が心許ない。それに我々の受けた任務はインベーダーの排除だ。退くというなら追わない」

 

『ふ…感謝する。だが、次に戦場で見えた時は落とさせてもらうぞ、傭兵』

 

 こちらの答えにこんな捨て台詞を残すと兄ちゃんは撤退していった。

 

「ほら見なさい。最後まで気づかなかったでしょ」

 

「兄ちゃんェ……」

 

 姉ちゃんの呆れた声に思わず天を仰ぐあたし。

 

 身内の事は兎も角として、もう一つ片づけないといけない事があるよね。

 

「えっと、助けてくれてありがとう」

 

 通信機を弄ると次にモニターに映ったのは圧が半端ない顔立ちの三人組。

 

 そう、ゲッターって名前らしい巨大ロボのパイロットである。

 

『お前達こそ、ガキにしてはいい腕だったぞ。その年でそれだけ戦えるって事は、連邦の特殊部隊か何かか?』

 

『違いますよ。僕たちはジオンの攻撃を受けたサイド7コロニーから逃げ出してきた民間人です』

 

『あの腕で全くの素人さんか! トンでもねえ才能だな』

 

 ハヤトの問いかけにアンちゃんが答えると、ムサシが感嘆の声を上げる。

 

「あの、あたしマリー・マスです。それで後ろに乗ってるのが……」

 

「姉のセイラです」

 

『僕はアムロ・レイって言います』

 

 さっきまではゴタゴタ続きで言えなかったので、ここで自己紹介をしておく。

 

 自己紹介は初対面の人間と絆を繋ぐ第一歩だって、父ちゃんも言ってたもんね。

 

『俺は流竜馬だ』

 

『神隼人、ゲッター2のパイロットだ』

 

『オイラは巴武蔵だ。というか、そんなに小さいのに戦場なんかに出るもんじゃないぜ、マリーちゃん』

 

「あはは……ありがと」

 

 前の二人は兎も角、武蔵さんはいい人みたいだ。

 

「それで、これから貴方達はどうされるのかしら?」

 

『月に戻ってインベーダー狩りの続きだ』

 

『俺達はその為に宇宙まで上がってきたからな』

 

 姉ちゃんの質問にさも当然のように答える竜馬さんと武蔵さん。

 

 そんな中、隼人さんのモニターから小さく電子音が響いた。

 

『二人とも、残念ながら狩りは中止だ』

 

『あ、どういう事だ?』

 

『今、早乙女博士から連絡があった。月から複数体のインベーダーが地球へ降り立ったらしい。だから一度日本へ戻ってこいだとさ』

 

『チッ、残してきた連中は何やってんだ!』

 

 武蔵さんの問いかけに肩をすくめる隼人さん、その様子に竜馬さんが苛立ちを隠す事無く舌打ちを漏らす。

 

『それでどうする。このまま地球へ降りるのか?』

 

『地球に降りればインベーダー共と戦いになる。いくらゲッターでも補給や整備も無しにこなすとなると流石にキツい。ルナツーも近い事だし、シャトルでも借りて……』

 

 相談を続けるゲッターチームを見ているとレーダーが反応した。

 

「マチュ、ホワイトベースが出てきたわ」

 

 姉ちゃんの言葉に視線を向けると、ホワイトベースと……あれ?

 

 もう一隻、ホワイトベースみたいな船があるぞ。

 

「そういえばもう出航の時間だっけ」

 

 元々、あたしがガンキャノンに乗ってたのって出発前の最終点検なんだよね。

 

 その最中に侵入騒ぎが起こったんだから、出航時間がくるのも当然か。

 

「ところでさ、あのもう一隻のホワイトベースみたいな船はなんなんだろうね?」

 

「分からないわ」

 

 ルナツーで受けた命令はホワイトベース一隻でジャブローに行けって話だったのに、いったいどうなってるんだ?

 

 そんな感じで首を傾げていると三度(みたび)通信機が鳴った。

 

 繋げてみるとモニターに映ったのはブライト少尉だ。

 

「マリー、アムロ、ご苦労だった。これから地球へ降りるので帰還してくれ」

 

『わかりました』

 

「それはいいんだけどさ。ホワイトベースの隣の船、なんなの?」

 

『ペガサス級強襲揚陸艦試作モデル【ペガサス】。ホワイトベースのプロトタイプというべきものだ。あれには戦争開始時にジオン政府の独裁に耐えられず、連邦へ亡命した反体制派の人間が乗っている」

 

「ジオンからの亡命者……」

 

「姉ちゃん、どうしたの。大丈夫?」

 

 小さな呟きの不穏な物を感じて振り返ると、姉ちゃんの顔色が少し悪く見えた。

 

「なんでもないわ。……少し疲れたみたい」

 

 化け物相手とはいえ、どうやら無茶をさせ過ぎたらしい。

 

「というか、そのジオンの亡命者さんがどうしてあたし達と一緒にいるのさ?」

 

『上から押し付けられたんだ。予定変更で一度日本におりてからジャブローを目指す事になるからな。道中の戦力にしろと言う事らしい』

 

「なにそれ!?」

 

 そんな事できるんなら、テムおじさんがブチ切れた増員要請だって余裕で賄えたじゃん!

 

『今回のインベーダー騒ぎで、ルナツーにいる人間は誰が奴等に寄生されたか分からん状況だ。上の連中はリスクや手間を考えて、亡命者までチェックをするのを嫌がった。だから厄介払いに俺達へ押し付けたんだろうよ』

 

「大人って汚い!!」

 

 本当にインベーダーに取りつかれている人いたら、どうしようもないじゃん!

 

 マジ最悪だ!!

 

『そこの特機、ゲッターロボだったか。上から君達を日本へ降ろすように命令を受けているが、どうする?』

 

 ショックを受けながらもあたしとアンちゃんが着艦すると、ブライト少尉は竜馬さん達へ通信を繋げていた。

 

 そっか、あのトンでも機体はゲッターロボっていうのか。

 

『そういう事ならお言葉に甘えよう。それでいいな、二人とも』

 

『おう』

 

『それじゃあ、日本まで世話になるぜ』

 

 隼人さんが答えを返すと、ゲッターロボはまた戦闘機に分離してМSとは反対のデッキへ着艦した。

 

「ホント、これからどうなるんだろうね」

 

「ええ、心配だわ」

 

 ガンキャノンのコクピットの中で、二人してため息を吐くあたし達。

 

 どうやら平和な暮らしへの道のりは遠そうだ。

 

 

 

 

【ここが俺達の地獄だ】宇宙世紀を必死に生き抜く転生者達のスレ【人の心とかないんか?】

 

 

245 名無しのガノタ

 

急にルナツーを追い出されてホワイトベースに付いていくことになったんだけど

 

これって俺等死ぬんじゃね?

 

 

246 名無しのガノタ

 

言うな、言うなよ……

 

 

247 名無しのガノタ

 

なあ、さっき外にゲッター2がいたような気がするんだけど

 

俺の気のせいだよな?

 

 

248 名無しのガノタ

 

しっかりいました。

 

戦わないと、現実と

 

 

249 名無しのガノタ

 

どちくしょぉぉぉぉぉぉぉっ!!

 

チェンゲ確定じゃねえか!!

 

 

250 名無しのガノタ

 

ただでさえ宇宙世紀っていう修羅の世界なのに

 

そこに石川流ドワォが混じったらマジで地獄でしかねえ!!

 

 

251 名無しのガノタ

 

救いは…救いは無いんですか!?

 

 

252 名無しのガノタ

 

真ドラゴンの腹の中にあるんじゃない?

 

 

253 名無しのガノタ

 

取りに行けるか、ボケ!!

 

 

254 名無しのガノタ

 

た…大変だ! 俺達はトンデモない勘違いをしていた!!

 

 

255 名無しのガノタ

 

いったいどうした?

 

 

256 名無しのガノタ

 

勘違いって何のことだ?

 

 

257 名無しのガノタ

 

年号調べたんだけど新宇宙暦だった!

 

ここはガンダムの世界じゃねえ! スパロボだ!!

 

 

258 名無しのガノタ

 

ダニィッ!?

 

 

259 名無しのガノタ

 

マジか!?

 

 

260 名無しのガノタ

 

なんで今まで気づいてなかったんだ!

 

年号なんてどこでも見られるだろうが!!

 

 

261 名無しのガノタ

 

仕方ねえだろ!

 

宇宙世紀だって思い込んでたんだから!!

 

 

262 名無しのガノタ

 

それにサイド3じゃザビ家のアホ共が

 

年号を『公歴』に変えてたから分からなかったんだよ!!

 

 

263 名無しのガノタ

 

そろいもそろって俺達馬鹿!!

 

 

264 名無しのガノタ

 

過ぎた事はしゃあない!

 

今はこれからの対策を考えよう!

 

 

265 名無しのガノタ

 

そうだ! スパロボだったら何作目なんだ?

 

どんな参戦作品が出る?

 

 

266 名無しのガノタ

 

たしかスパロボ30だったと思う

 

 

267 名無しのガノタ

 

スパロボ30? 

 

そんなのあったか?

 

 

268 名無しのガノタ

 

あった

 

スパロボ生誕30周年記念作品

 

 

269 名無しのガノタ

 

あ、それなら出る前に俺死んでるわ

 

 

270 名無しのガノタ

 

けど一年戦争を舞台にしてるのって珍しいな

 

 

271 名無しのガノタ

 

おお チェンゲとはいえ初代ゲッターがメインとか

 

まさに30周年記念作品って感じだな

 

 

272 名無しのガノタ

 

てことは、他の参戦作品は普通のマジンガーZか

 

 

273 名無しのガノタ

 

……ちがう。

 

これが30だったら一年戦争は前日譚だ

 

 

274 名無しのガノタ

 

え……前日譚ってアレか?

 

最初にスクロールで流れるあらすじ

 

 

275 名無しのガノタ

 

そう だから具体的に何が起こるかさっぱりわからねえ!!

 

 

276 名無しのガノタ

 

そんなバカなッ!?

 

 

277 名無しのガノタ

 

う…嘘って言ってよ、バーニィ!?

 

 

278 名無しのガノタ

 

残念ながら事実です

 

 

279 名無しのガノタ

 

分かってることは!?

 

何かわかっている事は無いのか!!

 

 

280 名無しのガノタ

 

分かっている事はこの一年戦争の間にドクターヘルの反乱と

 

ミケーネ帝国の復活が起こる

 

 

281 名無しのガノタ

 

Zだけじゃなくてグレートも入ってんのかよ!?

 

 

282 名無しのガノタ

 

ザニーでミケーネの戦闘獣と戦えるわけねーだろ!!

 

 

283 名無しのガノタ

 

まだあるぞ。

 

それと同時進行でインベーダーとの月面戦争があるし

 

ゾンダーや機界31原種と戦う事になるからな!!

 

 

284 名無しのガノタ

 

が…ガオガイガーまで……

 

 

285 名無しのガノタ

 

一年戦争やってる場合じゃねえ!!

 

 

286 名無しのガノタ

 

人生\(^o^)/オワタ

 

   




・アホの子の次女 ゲッターのトンデモっぷりとヤバい宇宙生物にビックリ。

ゲッターチームが仲間になったら興味本位でゲットマシンに乗りたいと駄々をこね、武蔵の後ろで気絶する未来が待っている。

この後、機械獣やゾンダー等々厄ネタ満載の一年戦争を、GGGやエルドラチームと手を組んで乗り越えていくことになる。

戦場に出ていることに凱やエルドラの爺様たちにお労しい目で見られたり、ジャブローでの人体実験騒動で武蔵やエルドラチームの怒りでグレイブと戦犯パイロットが粉々にされたりするのは余談である。

・殺意の波動が好調な長女 インベーダー戦の中で鬼子を後ろからバンカーする気満々だった。

しかしインベーダー・ザクが思った以上に脅威だった事や、食われたジオン兵の思念によってグロッキーになったために断念。

実はジオン兵の思念で苦しんでいる間に、ジークアクスの最終回にあったサイド3の頂点に立つ自分を幻視して錯乱した。

ジオンの亡命者が要る所為で、地獄の未来が現実になるかもと気が気じゃない。

せめて妹は巻き込みたくないと思っているが、それは叶わぬ願いである。

とりあえず長男を消せば自分達に降り注ぐ厄介事が消えるのではないかと、殺意が更に増した。

実は将来の夢はお嫁さん。


・妹と話したのに何も気づかないアズナブルさん。

顔の上半分をフードで隠していたからって、独立傭兵を騙る末の妹に正体を見抜けなかった赤い彗星。

まあ、本人は10歳の妹がパイロットしているなんて、夢にも思っていないので仕方ない。

インベーダーに部下を皆殺しにされ、地球人同士で戦っている場合じゃないのではと考えを改め始める。

同時に静かに暮らしている(はず)の妹がいるので、自分の知らないところで化け物の毒牙が妹達に降りかかるのを想像すると気が気じゃない。

また、インベーダー騒動の影響で、原作とは違って木馬が地球に降りたのは分かっても行き先までは掴めなかった。

仕方ないので北米に降りて、ジャブローの前で網を張る作戦に変更。

その際に地球外生命体についてガルマと相談する事に。

これが『ガルマ生存』というミラクルに繋がるかどうかは不明。
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