あのノリノリなシャアが見られるのは少し嬉しい。
もうすぐGジェネエターナルの配信も近いし、今から楽しみです
サイクロプス隊からの報告を聞いたキャリフォルニアベース基地司令は、すぐにジャブローへの侵入口発見の報をソロモン経由で本国へ上げた。
「地上の残存部隊による、起死回生のジャブロー襲撃か」
それはサイド3の総司令を担うギレンと、宇宙要塞ソロモンを守護するドズルの会議を呼ぶ事となった。
『どう思う、兄貴? 俺としては成功の可能性は薄いと思うんだが』
キャリフォルニアベースの指令がサイクロプス隊の報告を基に練り上げた作戦、それはガウ航空空母から多数のMSによる空挺襲撃。
しかし、それは連邦の眼を引き付ける為の囮でしかない。
本命はサイクロプス隊を筆頭とする水陸両用MS部隊が水脈からジャブロー地下施設へと侵入して司令部を制圧、もしくは破壊する事で戦争終結を狙うというモノだ。
「参戦する戦力が少なすぎる。地下施設への侵入ルートを発見したとて、この程度で落とせるほどジャブローは甘くない」
『……だろうな』
資料によれば参戦するガウは10機、そしてMSの数は58機だ。
その内訳は囮となる空挺部隊が40、水陸両用機が18となっている。
北米で始まっている連邦軍の反撃を抑える為に兵力の多くを割いている以上、攻勢に回せるのはこれが精いっぱいなのだろう。
しかし、それはジオンの事情に過ぎない。
本拠地に手を出された連邦軍がそんな事を気にするわけが無く、侵入してきた者達を容赦なく叩くに違いない。
その結果に二人は容易に想像がついた。
『なら、キャリフォルニアベースの司令に伝えて作戦を中止させるか?』
「無理だろうな。こんな作戦を上げてくるくらいだ、彼等も覚悟は決まっているだろう」
このままでは北米を始めとするジオン地上軍は連邦の圧倒的な物量に磨り潰されるだけ。
宇宙に逃げると言っても、地上にいる人員全てを上げる程の機材は無いはずだ。
彼等にとって、この作戦は自分達の生き残りをかけた一か八かの賭けなのだ。
『……そうだな。奴等の覚悟に水を差す訳にはいかんか』
ギレンの言葉から地上で戦う兵達の心意気を酌んだドズルは、作戦の中止という考えを棄てる。
武人として彼等の覚悟に感動している弟をしり目に、ギレンは優れた頭脳を回転させて脳内で様々な処理を行った。
「ドズル、宇宙攻撃軍の方から北米への物資投下は可能か?」
『ああ。近頃はルナツーからのチャチャが鬱陶しいが、北米の頭上はまだ我々のモノだ』
「補給についてはこちらが手配する。ソロモンへ送るので、ジャブロー攻略に参加する勇士たちへ届けてやれ」
ギレンの言葉にドズルは表情を明るくする。
彼とて窮地に立たされている地上の兵士達に何もしてやれない事を悔やんでいたからだ。
『だが、いいのか? 補給を宇宙艦隊に対して優先させると決めたのは兄貴だろうに』
「構わん。彼等の作戦が成功すれば、こちらにも大きな利になる。それに部下が大博打を打つのだ、我々も一口乗ってやっても罰は当たるまい」
そんな兄の答えにドズルは破顔一笑した。
『兄貴がそんな事を言うとは思わなかったぞ! よし、補給に関しては任せてくれ。必ず奴等に届けてみせよう!!』
弟の態度に鼻を鳴らしたギレンは、作戦が記された書類の中にあった一つの嘆願を思い出す。
「あと、ジャブロー攻撃軍の司令官にガルシア・ロメロという男がいただろう」
『……そう言えばいたな。たしかザビ家シンパの資産家の親族だったか』
「奴はクビだ」
なんの容赦もなく言い切るギレンに、ドズルもニヤリと口角を釣りあげる。
このガルシア・ロメロと言う男は、家格だけで将官の地位に就いた無能を体現する男だ。
感情を面に出しやすく異常に僻みっぽい性格で、司令部に女性をはべらせるなど軍を私物化しているという報告もある程である。
実際、ギレンやドズルの方にも有能な兵や指揮官からの苦情や配置換えの嘆願などが幾つか上がってきていた。
それでも今まで置いていたのは内政的判断に加えて、戦況が連邦軍本拠地攻撃に至っていなかった為にジャブロー攻撃軍が事実上の閑職であったからだ。
しかし今回の作戦が実行されるのなら、その限りではない。
大博打に不運を呼び込む間抜けは不要である。
『わかった、こちらも通知を徹底させておく。それでガルシアはどうする?』
「今までの行いが行いだ、不正の証拠なら掃いて捨てる程溜まっている。適当に罪を見繕って現地で処理させるさ」
ガルシア・ロメロが行った不正や軍規違反は、ギレンの下に報告が来ているだけで十回銃殺刑に処されても足りないほどだ。
これ等の証拠があれば、彼をどう処してもロメロ家を黙らせることは容易い。
『そういえば、親父はどうだ?』
「イセリナ・エッシェンバッハを迎えてから浮かれ具合が酷い。侍従の話では、もうベビー用品まで買い漁っているそうだ」
苦い顔のドズルの問いかけにギレンは軽く肩をすくめる。
『ガルマの嫁との謁見の際には、キシリアを呼び出していたんだろう。兄貴が謹慎を言い渡してたのに、こんな事では規律を保てんだろうに』
「父上はキシリアには甘い所があるからな、あの愚妹もそこを利用して何やら動いているようだ。ドズル、突撃宇宙軍の掌握を急げよ」
『親父の口添えで処分を解かせる可能性もあるか。やれやれ、アイツは何のために謹慎処分にしたか分かっとらんのか』
「そこに気付いていれば、父上におねだりなどせんよ」
突撃宇宙軍とキシリア機関をドズルとギレンが手中に収めてしまえば、キシリアは手足をもがれたも同然だ。
出てきたところで、まともに動く事も出来ない。
ジオンが劣勢に立たされ始めた現状、内紛を避けるべきと考える二人にとって、それは急務と言えた。
『とにかく、今は地上軍の支援を優先しよう。兄貴も親父達を抑えておいてくれよ』
そう告げるとドズルからの回線は閉じられた。
「……それが出来れば苦労はせんのだがな」
ブラックアウトしたモニターへ向けて、ギレンは小さくため息を付くのだった。
◆
どうも、突然のクビ勧告にビックリなマチュです。
ブライト中尉からその事を聞いた時、あたしに過ったのは違和感だった。
「ねえ、ロンバートのじっちゃん」
「なにかね?」
「さっき言ってた育児センターって、どんなところなの?」
あたしの問いかけにロンバートのじっちゃんは豊かな顎髭を親指でしごく。
「連邦軍に所属している者の遺族の中で身寄りがない子供や、戦災孤児などの世話をする施設だな」
「それっておかしくない? 私、保護者いるもん」
「そうね。マチュが船を降りるなら私も降りるわ」
あたしがそう指摘すると、姉ちゃんも同意を示す。
「それもあるが、アルテイシアとアルマリアはザビ家の刺客から身を護る為にホワイトベースに乗っていたのではなかったのか?」
「マチュを降ろすつもりだったら、どうしてアレックスをもう一機用意したんですか?」
「たしかに妙だな。最初からジャブローでマリーちゃんを下ろす予定なら、ベルファストの時点で通達が来ている筈だ」
兄ちゃんやアムロのアンちゃん、そしてテムおじさんの指摘を受けてロンバートのじっちゃんは深々とため息を付いた。
「とりあえず、この話はホワイトベースの中で行おう」
「……ここでは誰が聞いているか分からんという事か」
それを受けて、ラルのおっちゃんの眼が鋭さを増す。
おっちゃんがああいう目をするという事は、命令の裏にはキナ臭い話が潜んでいるんだろう。
ホワイトベースはオーバーホール中だけど、各ブロックごとに整備を行っているので使えるスペースはある。
あたし達が場所を移したのは憲兵さんの控室だ。
「最初に言っておくが、この命令に対して私達は承服していない」
扉をロックすると、ロンバートのじっちゃんは最初にこう宣言した。
それはレビル将軍との面接に参加している人達の顔を見ればわかる。
「先ほどのマリー君の疑問に答えよう。将軍達はホワイトベースの民間協力者を徴兵し、そのまま宇宙侵攻へ配置するつもりだ」
「それって兄ちゃんやラルのおっちゃん達も?」
「うむ。だからこそ、保護者不在になる君を育児センターへ送るという事らしい」
なるほど、理屈は通ってる……のかな?
「徴兵を断る事は可能なのですか?」
「断った場合は防衛秘密の漏洩防止および、民間人による軍事兵器使用と戦闘行為の罪で投獄すると言われたな」
「そんなっ!?」
「僕達は軍に要請されて、ここまで戦ってきたんですよ! そんなの酷いじゃないですか!!」
姉ちゃんの問いかけの答えを聞いたフラウお姉さんやハヤトさんがブーイングに近い声を上げる。
気持ちは痛いほどわかる。
なにせ、ベルファストで徴兵しないって言われたばかりだもの。
「ハモンのお姉さんはどうするの? お腹に赤ちゃんがいるのに、徴兵なんてしたらシャレにならないでしょ」
「すまないが、そこはまだ分からん。彼女の妊娠については報告していなかったのでな」
そう言葉を濁すじっちゃんに、あたしは考える。
本当に船から降ろされるのなら、ハモンのお姉さんを保護者にして出産までのお世話とお手伝いをしながら過ごすのもアリかな。
「そもそも、どうしてそんな事になっているんですか? ベルファストでのゴップ大将の話と全然違うじゃないですか」
「それについては、少々キナ臭い匂いが付いて回っているようなのだ」
テムおじさんの問いかけにロンバートのじっちゃんは苦いモノを咬んだように表情を歪める。
「指示を出したのはレビル大将だったんだが、その周りにいたのは少し物騒な面々でな」
「物騒ってのはどういうこった?」
「ジーン・コリニー大将にジャミトフ・ハイマン准将、それにバスク・オム大佐。彼等はロンバート中佐が言うには、連邦軍の中でも保守派に属しており、ジャミトフ准将とバスク大佐はその中でも地球至上主義のタカ派で知られているらしい」
ロンバートのじっちゃんの言葉に対してカイさんが問いを投げると、ブライト中尉が難しい顔で答える。
「つまり、この戦争における主戦派がレビル将軍の派閥についているという事か。ならば、アルマリアを下ろせというのは違和感しかないな」
自画自賛になっちゃうけど、これでも結構な戦果をあげている自覚はあるからね。
これからジオンの本拠になる宇宙を攻めるのに加えて、アレックスも来ることを考えたら今降ろすのはどう考えてもおかしいんだ。
「あの…ちょっといいですか?」
そんな中、手を上げたのはテムおじさんが連れてきたアストナージっていう整備の人だった。
アレックスがホワイトベースに配属されるのに合わせて、この人もマグネットコーティング用技師としてこの船に乗り込む予定と言っていた。
だからクリスお姉さんと一緒に、半ばなし崩しな形だけど話し合いに参加しているんだ。
「どうしたのかね、軍曹?」
「モスク博士の下で基地を回ってマグネットコーティングを施していた関係で、自分もいろんな噂を耳にする事があるんですよ。その中には、連邦内の各陣営で実験機を造ってるって話もあります」
「ふむ、それで?」
「実験機の中には意図的に機体のリミッターを外して一時的に性能を上げるシステムを積んだモノもあるらしくて、もしかしたらマリーちゃんをその実験機のテストパイロットにしたいんじゃないでしょうか」
「それって、あたしを育児センターに預けるフリをして別の場所に攫っちゃうってこと?」
「育児センターも軍の施設だからね、上官の命令には逆らえない筈だ。だから俺の予測が当たっていたら、そうなるかもしれない」
アストナージさんの話に、兄ちゃんと姉ちゃんの顔がドンドン険しくなっていく。
「アルマリアが持つニュータイプとしての能力を狙っているのなら、あり得るかもしれん。ジオンでもフラナガン機関というキシリア・ザビが管理するニュータイプ研究機関があると聞く。そこでは人体実験に近い事も行われているらしい」
「そういえば、ジオンから亡命してきた博士はニュータイプを研究していたとか言っていたな。もしそうだとしたら、ふざけているにも程があるぞ!」
いやいや、ちょっと待ってほしい。
なんだかトンデモない話になっているんだけど!
「それでどうなさるおつもりですの? そちらの考え次第では、私達は身を隠す事にしますが」
「心配しなくてもいい。我々も彼女を差し出す気はない」
姉ちゃんの問いかけにロンバートのじっちゃんは首を横に振る。
「ですが、レビル将軍の指示に背くのはヤバいんじゃないですか?」
「分かっている。だから、ゴップ大将へこの件を報告するのだ。レビル将軍の指示とゴップ大将の言葉は、あまりにも違い過ぎている。どちらが連邦軍としての総意か判断が付かんからな。──アマミヤ少尉、頼めるか?」
「OKです、準備は整えておきましたよ!」
リュウさんの懸念にロンバートのじっちゃんが答えると、アマミヤ少尉が携帯型の通信機を部屋の中央へ置いた。
電源を入れて待つ事しばし、モニターに光が宿ると恰幅のいいタヌキみたいなゴップのおっちゃんが現れる。
『そろそろ連絡が来ると思っていたよ』
そして開口一番にコレである。
うん、相変わらず胡散臭い。
「ということは、ゴップ大将はこちらの状況を把握しておられるのですか?」
『おおよその事はな。レビル将軍からホワイトベースの民間人を徴兵すると言われた事と、子供達のホワイトベースからの下船とマリー嬢の処遇について、相談があるのだろう?』
マジで全部状況掴んでいるよ、このおっちゃん。
「これってゴップのおっちゃんの言ってた事と全然違うんだけど、連邦軍としてはどっちが本当なの?」
『ふむ、どちらも本当と言うべきだな』
あたしの質問によく分からない答えを返すゴップのおっちゃん
「つまり、今の連邦軍は一枚岩ではないという事か。レビル将軍が率いる極右のタカ派、そして貴方をトップにした中道・左派勢力の大きく二つに分かれていると」
『私が纏めているというのは穿ち過ぎだが、連邦軍の意見が割れ始めていることに関しては正解だな』
兄ちゃんの言葉にゴップのおっちゃんは不敵に口元を歪めると、今回の騒動の経緯を話し出した。
この騒動はレビル将軍の派閥が多くの戦果を出したホワイトベース隊を自分達の指揮下に置く為に画策したモノだという。
まず、今までの対応の関係から、連邦内では私達はゴップのおっちゃんに近い立ち位置にあると思われている。
これが普通の戦艦なら配置転換やら何やらで自分達の下に引き寄せられるんだけど、民間の外部協力者がいっぱいいるホワイトベースだとそうはいかない。
かと言って、民間人たちを徴兵しようにもあたしの存在がネックになってしまう。
ギレン・ザビが行った少年兵の暴露は世間的にも未だに波紋を呼んでいるらしく、名目上はザビ家の刺客から保護するという形のあたしを徴兵してしまえば待っているのは世論からの袋叩きだ。
そこでレビル派が考えたのは、あたしを子供という事で船から隔離する事だった。
そうすれば、何の気兼ねも無くホワイトベースの皆を徴兵して自分の指揮下へ置ける。
兄ちゃんやラルのおっちゃん達は文句を言えば、ジオンの投降兵としてルナツーにある亡命部隊へ放り込めばいいと考えていたらしい。
そして、あたしも育児センターから適当な理由で引き上げて、レビル将軍の部下が造っている新型機のテストパイロットにするつもりだったんだとか。
「……みんな、凄いね。だいたい合ってるよ」
レビル派がホワイトベースを欲しがっているのは分からなかったけど、その他は殆ど言い当ててるじゃん。
「ゴップ殿、レビル派の命令を蹴る事はできないのかね?」
ラルのおっちゃんの言葉に、ゴップのおっちゃんは腕を組んで考えるそぶりを見せる。
『今のままだと少し難しいな。子供達を降ろす件に関しては常識的に考えて当たり前の事だ。そしてマリー嬢をテストパイロットに引き上げる件も、ザビ家の刺客から護る為に安全な後方部隊で保護すると言えばおかしな話じゃない。───だが、付け入る隙はある』
「その隙とは?」
『奴等がマリー嬢をテストパイロットに据えようとしている実験機だが、相当に危険な代物らしい』
「危険……ですか?」
穏やかじゃない言葉に姉ちゃんの眉間にしわが寄る。
『うむ。調べによるとパイロットの安全性を度外視して機体性能を限界まで引き出すシステムが積んであるらしくてな、今までに廃人になったり死亡したテストパイロットは多数。今乗っているのも、引き取った戦災孤児を外科手術や薬物で人為的に強化した兵士だという』
もしかして、これってアストナージの兄ちゃんが言ってたことかな?
「そんな非人道的な事が許されるのですか!?」
『もちろん許すつもりはない』
クリスお姉さんの怒りの声に、画面の向こうにあるゴップのおっちゃんの顔から笑みが消える。
『この開発計画は今まで巧妙に隠蔽されていた。コイツの責任者はレビル派の高官でな。奴はグレイヴというコードネームで自らの正体を隠し、戦争犯罪者を恩赦を餌に私兵として飼いならしながら連邦軍内を暗躍していたのだ。奴は戦場のドサクサで反レビル派の士官や自らの邪魔になる者を殺害した事も判明している』
「それだけ分かってるなら捕まえたらいいじゃん」
あたしの言葉にゴップのおっちゃんは首を振る。
『それでは君をホワイトベースに残すのが困難になる。奴等の人道的な措置に異を唱えるには、裏にある企みを暴かねばならん』
そこまで言うと、ゴップのおっちゃんは私を見つめる。
……なんか嫌な予感がしてきたぞ。
『そこでマリー嬢には我々の囮捜査に協力してほしいのだ』
やっぱり無茶振りキター!!
「待ってください! この子にそんな事をさせるというのですか!?」
「相手は非合法な手段を使う悪徳高官なのだろう! 危険すぎる!!」
「マチュはまだ10歳なんですよ、そんなの無茶だ!」
「ゴップ大将、考え直してくれませんか!」
姉ちゃんに兄ちゃん、そしてアムロのアンちゃんやテムおじさんが抗議の声を上げる。
他のクルーもゴップのおっちゃんの意見には難色を示しているのが分かった。
『ではどうするね? 先ほども言ったが、レビル派が上げた子供達を船から降ろすという案は正当なモノだ。反対などすれば、我々が非人道的とレッテルを張られかねん。そして、彼女を下ろしてしまっては奴等の思うつぼになってしまうぞ』
しかしゴップのおっちゃんの言葉に誰も反論できない。
仕方ない、ここは肚を括るか。
「わかった。それで、あたしは何をすればいいの?」
「マチュッ!?」
「アルマリア!」
「もともと、あたしが戦艦やMSに乗っていることが異常だもん。そこを指摘されたのをひっくり返すのなら、多少の無茶はしないとダメだよ」
あたしは止めようとする姉ちゃん達へこう返す。
ぶっちゃけ、ここで拒否したらゴップのおっちゃんがホワイトベースから手を引きかねない。
この人、自分達への利を上げないとアッサリ切りそうな気がするし。
「だからラルのおっちゃん、手伝って」
「私を護衛に付けるという事ですかな?」
「うん。連邦軍の兵士に変装して一緒に来てほしいんだ。いいよね、ゴップのおっちゃん?」
『うむ。マリー嬢の迎えに関しては途中で私の手勢に入れ替わらせる手はずになっている。そこに加わってもらおう』
「それは手荒な手段を使ってという事かな?」
『そうだ。奴は秘密主義だからな、部外者の同行を認めんだろう。少々危険な橋を渡る事になるが、護衛を付けるにはその手しかない』
「いいだろう。その際に私の部下を連れていくが構わんな?」
『ああ。こちらの手勢に関しては、奴等が動く前にラル大尉のもとへ向かわせる。そこで打ち合わせをしてほしい。そしてエドワウ君とアムロ君は、当日MSでスタンバイしておいてもらいたい』
「ガンダムの中で、という事ですか?」
『そうだ。秘密研究所を押さえれば、グレイヴが悪あがきをする可能性があるからな』
「例の実験機とやらを出すかもしれんという事か。了解した」
その後、ゴップのおっちゃんとラルのおっちゃん達の打ち合わせを最後に、ホワイトベースでの会議は終わった。
◆
「すみません、教育センターの者です。マリー・マスちゃん、キッカ・キタモトちゃん、カツ・ハウィン君、レツ・コ・ファン君を迎えに来ましたわ」
ゴップのおっちゃんとの打ち合わせから二日後、アレックスの調整を終えて宿舎に戻ると、教育センターの係員らしき女性士官が訪ねてきた。
「カツ達は何処かに遊びに行っているみたい。今いるのは、あたしだけだよ」
「貴女がマリーちゃんね。それじゃあ、貴女だけでも先にいきましょうか」
姉ちゃんと一緒に応対すると、あたしの答えを聞いた女性士官はこちらへ手を差し出して来る。
ちなみにカツ達はホワイトベースへ避難させている。
育児センターで、あたしへの人質とか言って連れていかれたら目も当てられないからね。
「わかった。姉ちゃん、行ってくるね」
「妹さんの事は責任をもって預からせていただきます。安心してくださいね」
「マチュ、気を付けて」
心配そうな姉ちゃんに背を向けてあたしは女性士官の後についていく。
さて、悪党退治と行きましょうか!