ダイクン家の二女はアホの子   作:アキ山

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大変お待たせしました。

プライベートが忙しかったので、更新に手間取ってしまいました。

ジークアクスもクライマックスということで、これからは更新速度を上げていきたいと思います。


マチュと剣の達人

 ジオンによるジャブロー襲撃から3日、将官用の会議室は緊迫した雰囲気に包まれていた。

 

 苦虫を噛み潰した表情を浮かべる者、蒼褪める者、事の原因を恨めしそうに睨みつける者。

 

 苦境に立たされているのは、レビル率いるタカ派に分類される者達だ。

 

 そんな彼等に冷ややかな視線を送っているのは、ゴップを始めとする中道左派。

 

 なにより彼等を怒りを以て睨むのが国防省に属する政府高官達だった。

 

「レビル大将、これはどういう事かね?」

 

 侮蔑が多分に含んだ言葉と共に彼の眼前に放り投げられた紙の束、それはグレイヴが行っていたペイルライダー計画の資料。

 

 その中でもクロエ・クローチェを始めとする戦争孤児達に行った、非人道的な強化手術の報告書だ。

 

「……これは私の部下が軍に秘密で行っていた研究の数々です。知らぬとはいえ部下がこのような犯罪に手を染めていた原因の一端は、私の監督不行き届きにある。謹んでお詫び申し上げる」 

 

 席から立ち上がったレビルは、被っていた官帽を脱ぐと深々と政府高官に頭を下げる。

 

 彼も連邦軍の最高司令官を務める身だ、こうも殊勝な態度で謝罪を行えば法律的に軍の上に位置する政府高官達も追及の矛を収めざるを得ない。

 

 しかし、その謝罪に政府高官が浮かべたのは更なる憤怒であった。

 

「何も知らないだと? なら、これは何なのだ!?」

 

 そうして彼が机に叩きつけるように置いたのは、小型のモニターだった。

 

 電源を入れれば最初はノイズが奔っていたモニターに、連邦軍高官が集まる会議の様子が映し出される。

 

 その様子を見たレビルを始めとするタカ派の高官達は息を呑んだ。

 

 何故なら、画面の中で意見を交わしているのは自分達だったからだ。

 

『そうまでしてマリー・マスを仲間から引き離して、君は何を求める?』

 

『こちらで開発している試作機のテストパイロットをしてもらいたいのですよ。私の手元にあるコマでは、機体性能を限界まで引き出せないようなので』

 

『例の『四騎士計画』か。───報告にあった装置、役に立つのかね?』

 

『ええ、間違いなく。クルスト・モーゼス博士の対ニュータイプシステムを、さらにブラッシュアップした代物です。ジオンが研究しているニュータイプ部隊を圧倒すると自負していますよ』

 

『いいだろう、こちらから話は通しておく。マリー・マスは一度育児センター預かりになるので、機を見て身柄を回収したまえ』

 

『了解しました』

 

 動画から流れる音声にレビルが青ざめる。 

 

「レビル大将、君は今グレイヴの計画を知らぬと言っていたな。───知っていたではないか! この場で偽証を述べるとは、貴様は我々を舐めているのか!!」

 

 政府高官の一人が怒声と共に机を叩く。

 

 それに対してレビルは俯くだけで反論はできない。

 

「レビル大将、君は世論が分かっていないのではないか?」

 

「いえ、そんな事は……」

 

「ならば、なぜこんなことが出来る!? 連邦軍の名誉が失墜した理由は、マリー・マスを戦場に出したからだ! ジオンの少年兵の運用と人体実験による強化手術の事実を公表して多少は世間の目の厳しさを緩和したのに、今度は我々が同じ愚行を行った挙句に失墜の原因となった子供を実験体にするだと!? ふざけるのも大概にしろ!!」

 

 自身の問いかけにレビルが煮え切らない答えを返した事で、さっきとは別の高官が激昂して怒声を上げる。

 

 コメカミに浮かんだ青筋が今にも切れそうなほどの怒りようだが、これも仕方ない事だ。

 

 悪夢のギレンによる暴露演説から、連邦政府は泥にまみれてしまった『悪のジオンと戦う正義の連邦軍』という自軍のイメージを血を吐くような思いで立て直したのだ。

 

 ジオンの少年兵運用の事実を知った時、テンパっていた政府広報の責任者がゴップ大将の写真に熱烈なキスをカマしたという事実は、政府関係者の間では有名な話である。

 

 なのにレビル一派はあの汚名を返上するどころか、特盛りで追加しようとしていたのだ。

 

 広報の責任者がこの件を聞いたら額と腹にダイナマイトを巻き付け、M-60機関銃を片手にジャブロー司令部へ突撃してもおかしくはない。

 

 政府高官からの度重なる叱責によって口を噤むしかないレビル。

 

 その様子を冷たい目で見つめていた防衛大臣が口を開く。

 

「レビル大将、今回の不祥事は政府としても看過できない。マリー・マス以外の少年兵の徴用に非道な人体実験、さらには保護と偽って危険な試験機へ年端もいかない子供を実験台にするなど言語道断だ。よって、君達に厳しい処罰を下す事は避けられない」 

 

 その言葉を前置きにして一息つくと、大臣は歴戦の将軍へ沙汰を下す。

 

「首謀者であるグレイヴと名乗った高官は軍事法廷で裁かれる事になるが、それだけでは終わらない。本件に関わった者はもちろん、知っていながら何もしなかった者も全て二階級降格。そして責任者であるレビル大将は三階級降格とする」

 

「なっ!?」

 

 それはあまりにも重い処置であった。

 

 将官も不祥事などで降格する事があるが、それも通常は一階級でしかない。

 

 二階級もそうだが、三階級など前代未聞と言っていい。

 

「何故だ!? 私はこの戦争で確かな成果を上げてきたではないか! V作戦によるMS量産で地球での戦線を押し返し、オデッサも取り戻した!! それなのに、何故こんな仕打ちを受けねばならない!?」

 

 納得がいかずに声を荒げるレビル。

 

 そんな彼に大臣は冷ややかに告げる。

 

「たしかに君が提唱したV作戦は多大な成果を上げている。しかしオデッサの戦いは、そうとは言い切れまい」

 

「なに?」

 

「マ・クベ司令が核の使用を警告した時、君は意に介せず進軍継続を命令したな。当時、核爆弾発射阻止の為に派遣された特殊部隊は、爆弾に辿り着いていなかった。いったい、どのような対策を行ったのかね」

 

「それは……」

 

 レビルは大臣の問いかけに答えられない。

 

 あの時、彼は勝ちを急いでいた。

 

 撤退する事でジオンのオデッサ防衛部隊が息を吹き返し、今までの成果が無に帰すことを恐れていたのだ。

 

 同時に核使用はレビルにとっても好都合であった。

 

 それで前線が大打撃を受ければ、条約破りのジオン許すまじという機運は仲間を失った軍人や家族を亡くした民間人の間で必ず膨れ上がる。

 

 そうなれば、こちらも大量破壊兵器による報復が可能となってジオンを滅ぼせる算段だったのだ。

 

「ホワイトベースの通信ログを確認したが、バターン号からの指示は一切なかった。彼等が行った核兵器阻止は、全て当人の判断によるものだ。レビル大将、答えてもらおう。君はあの時、何を思って進軍を指示した? もし核が落ちて我が軍に甚大な被害が出たら、どう責任を取るつもりだったのかね?」

 

 レビルは答えることはできない。

 

 むしろそれを望んでいたなど、この場では口が裂けても言えないからだ。

 

「それに君にはコロニー落とし阻止失敗にルウム戦役の大敗という汚点がある事を忘れていないか? V作戦の成果というのなら、あの大敗の責任を問うのも筋だろう」

 

 防衛大臣の言葉にレビルは歯を食いしばる。

 

 彼が上げた二つの大敗はレビルにとって今も癒えない傷だからだ。

 

「加えて、先の会議で君が発した殲滅戦を望むような危険な発言と今回の件だ。不名誉除隊にしないだけ十分温情な措置だと私は思うがね」

 

 俯いたレビルを前に皮肉げな笑みを浮かべると、防衛大臣は両サイドに座る政府高官と共に椅子から腰を上げる。

 

「今回の措置が気に入らんというのなら辞表を出したまえ。何時でも受理してあげよう」

 

 そして、この言葉を最後に会議室から出ていった。

 

「では、我々も解散するとしよう」

 

「ええ」

 

 そんな政府高官達に続くように、ゴップ達将官も次々に会議室を後にする。

 

 明かりを落とした部屋に一人残されたレビルは、言葉を発する事も無く屈辱を噛み締めるだけだった。

 

 一方、ゴップは他の中道・左派の士官達と廊下を移動しながら話をしていた。

 

「ゴップ大将。レビル将軍に降格となると、チェンバロ作戦はどうなるのでしょう?」

 

「ティアンム中将が指揮を執ることになるだろうな。彼は生粋の宇宙船乗りだ、陸軍のレビルより上手くやるだろうさ」

 

 一人目の将官の問いにゴップが答えると、今度は別の者が口を開く。

 

「では、今回投降してきたダイクン派は?」

 

「ルナツーの亡命艦隊と合流させる。そして彼等にはホワイトベースを合わせて、ジオンの眼を引き付ける囮になってもらう」

 

「チェンバロ作戦、そして例の新兵器を察知されない為ですね」

 

「そうだ」 

 

 その言葉にゴップは鷹揚に頷いてみせる。

 

「ジオンは彼等を絶対に無視できない。なにせダイクンの遺児が国を(ただ)す為に部隊を率いているのだからな」

 

「そして彼等が倒れても我々は厄介払いが出来ると」

 

「馬鹿を言っちゃいかん。彼等は今やエース部隊だ、終戦まで働いてもらわねば割に合わんさ」

 

 部下の言葉を否定すると、ゴップはニヤリと口角を吊り上げる。

 

「その為にも支援はしっかりと行わねばな。必要なところに必要な投資を行う、これが成功の秘訣だよ」

 

 タヌキ親父の異名に相応しく、その笑みはやはり胡散臭かった。

 

 

 

 

「整備班、そして技術者諸君! 私の呼びかけに応じて集まってくれたことを心から感謝したい!」 

 

 ジャブローの中に数ある格納庫の中で4番目に位置する施設、そこにテム・レイの声が響き渡る。

 

「今回、私がゴップ大将の許可を得て君達に召集を掛けたのは、事前に渡した資料の通りMSの新たなる可能性の扉を開く為だ!」

 

 言葉と共にテムが視線を向けた先、そこには外装を取り払われた一機のMSがある。

 

 その巨人は少し前までペイルライダー・キャバルリーという名を付けられていた。

 

 腐った軍人が自身の手柄の為に創り上げた、乗り手の安全など一切考えない非人道的システムを肚に呑む呪われし機体。

 

 それがここに鎮座する事になった切っ掛けは、ジオン軍によるジャブロー襲撃直後にまで遡る。

 

 あの日、出撃した機体のメンテナンスに追われていたテム達に、マリーは一つの頼みごとを持ってきた。

 

「ゴップのおっちゃんに今回のご褒美で、ペイルライダー・キャバルリーって機体をおねだりするつもりだから、その機体を直してください!」 

 

 そう言ってぴょこんと頭を下げるマリーにテムを始めとする整備班は首を傾げた。

 

「それって、たしかマリーちゃんが違法研究所で乗った機体だよね?」

 

「うん。無茶な動かし方をして壊しちゃった」

 

 アマミヤ少尉の問いかけに、上げた顔にバツが悪そうな表情を浮かべるマリー。

 

 それを見たテムは、目の前の少女がシミュレーターでガンダムの限界反応を超える操作を行ったことを思い出す。

 

「報告書を見たが、その機体には非人道的なシステムが積んであったのだろう。そして君はその実験体として利用されそうになった。そんな機体を何故ほしいと思ったんだね?」

 

 テムの問いかけにマリーは困ったように頭を掻く。

 

「あたしの無茶に付き合わせて壊した罪悪感もそうなんだけど、一回乗った機体だから少し愛着が湧いちゃって。悪い奴等に変なシステム積まれたうえに捨てられるなんて、あの子も素体になったMSを作った人達も可哀そうっていうか……。せっかく生まれたんだし、ちゃんと誰かを護る為に働いて欲しいなって思ったんだ」

 

 言葉を選びながら自分の想いを伝えようとするマリー。

 

 それには整備班の多くが共感を覚えた。

 

 彼等とてMSの開発やメンテナンスに関わる者達だ。

 

 自身が携わった機体が悪用されれば心を痛めるし、真っ当に使ってほしいと願う気持ちは痛いほどわかる。

 

「わかった。私達に任せなさい」

 

「ありがとう、テムのおっちゃん」

 

「資料によるとアレの基になったのはRX-80、いわばガンダムの親戚だ。なら、私が世話を焼くのは当然さ」 

 

 礼を言うマリーにテムが人差し指で眼鏡のブリッジを押し上げながら小さく笑った。

 

 その後、宣言通りにマリーはキャバルリーを手に入れてきた。

 

 しかし点検を行ったところ、彼女が言った通り内部機構はボロボロだった。

 

「こりゃあ酷い、腕と足のフィールドモーターが軒並み逝ってやがる」

 

「OSは曰く付きだから全取り換えだし、基礎を支える部分の装甲も無茶な稼働で歪みが多い。こりゃあ手間が掛かりますね」

 

 整備班たちがあまりの惨状に呆れる中、ここでテムはある事を思い付いた。

 

 自分がガンダム開発の時から今まで温めてきた新理論、それをこの機体で試してみようと。

 

 そうして時は檄を飛ばすテムに戻る。

 

「私のルーツである日本には『(しゅ)()()』という芸道・芸術における師弟関係のあり方の一つであり、それらの修業における過程を示した思想がある!」

 

 そうしてゴップに掛け合ったテムは、ジャブロー襲撃から一週間で必要な資材と人材をかき集めた。

 

 それが可能となったのも、ひとえにV作戦主席技術官として今まで重ねてきた実績ゆえだろう。

 

「『守』とは修行の第一歩であり、師匠から教わった型を徹底的に「守る」ことを指す。我々地球連邦の技術者たちはジオンのザクという『師』からMS基礎を学び、それを守りながらも自分なりに発展させてきた! そうして師から学んだ基礎を身に着けた今、我々は既存兵器やその他の分野で培ってきた技術と織り交ぜて、自分に合ったより良い型を模索し試すことで既存の型を破る時が来た! これが『守・破・離』の『破』である!」 

 

 テムが紡ぐ情熱的な演説に、その場に集まったダイクン派やホワイトベース隊、G4チームにジャブロー所属の整備士などの多くの技術者達が息をのむ。

 

 当然だ、壇上の男はMSに更なる進化を促すと言ったのだから。

 

「ここで私は従来のMS製造法であるモノコック構造ではなく、人体と同じく骨格を内包するフレーム・イン構造を提唱する! フレーム・イン構造は基本となる骨格自体が自重を支える構造体として機能し、そこに装甲・内装品・武装を付けていく形になっている! これによってモノコック構造の機体よりも高い整備性と拡張性を獲得することができる!また、フレームと装甲が分離していることから、機体そのものの可動域も大幅に向上! 外装部を純粋に装甲として使用できる分、強度の向上や軽量化も期待できるはずだ!!」

 

 テムの提唱する理論に事前に資料で知っていても、多くの技術者が固唾をのんだ。

 

 もし、この技術が実現できるとすれば、MS製造における革命となるだろう。

 

「私が君達に願う事は一つ! この技術の実現に力を貸してほしい!! そして共にMSという兵器の歴史に名を刻もうではないか!!」

 

 言葉と共に右手を突き上げるテムに、集まった技術者達から咆哮があがる。

 

 そして熱狂に導かれるように、彼らはキャバルリーへと走っていくのだった。

 

 

 

 

 ジャブローの襲撃が終わって内心ホッとしているマリーです。

 

 あの日は本当に過密スケジュールだった。

 

 囮捜査をしている最中にジオンが攻めてくるなんて、夢にも思わなかったよ。

 

 ジオン襲撃が終わった後、ゴップのおっちゃんから違法研究に関わった者達や戦争犯罪者は全て逮捕されて、実験に付き合わされていた孤児達も助かったって聞いた。

 

 そして、手を貸してくれたロイザーのおっちゃん率いるネメシス隊も、襲撃が終わると北米へ帰って行った。

 

 ちなみに別れる時にロイザーのおっちゃんは不敵な笑みを浮かべてこう言った。

 

『今日の金言・どんな組織にもいい奴やクソッタレはいる、そいつを見抜くのが漢の審美眼。ホーク・ロイザー』

 

 内容は確かにいい事なんだけど、今日の金言も自分の名前も全部言うものだから、ギャグなのか本気なのか判断に困ってしまった。 

 

 ユージ中尉からは頑張ったご褒美に『マメッコーラ』ってジュースと『まうい棒』という棒状のスナック菓子を貰った。

 

 マメッコーラはカナダの物で、『まうい棒』は日本で売っているお菓子なんだとか。

 

 カナダ出身の日系人である彼にとって、双方ともに自分のルーツに関係したモノなんだって。

 

 もちろん、ありがたく頂戴しておいた。

 

 そういえば、ネメシス隊にいた小柄なお兄さん、ユージさんから『タラ』と呼ばれたメカニックだ。

 

 その人が私のことを複雑そうな目で見ていた。

 

 憎しみとやるせなさ、あとはあたしをそう見てしまう事への少しの申し訳なさ……かな?

 

 正直言うとよく分からない。

 

 もしかしたら、あの人はあたし達じゃなくてジオン・ダイクンに思う物があるのかもしれない。

 

 次にペイルライダーを操縦していたクロエさんについて話そう。

 

 彼女は縁あって、バターンフェイクの艦長だったブレックスのおっちゃんが保護者になったらしい。

 

 ジャブロー襲撃が終わった後、前線から戻ってきた彼が医療施設に運ばれる途中のクロエさんとばったり会ったのが切っ掛けだとか。

 

 それから後に、彼女の境遇を知ったブレックスのおっちゃんはクロエさんの後見人に立候補。

 

 今は強化された身体を基に戻す為の治療を受けているクロエさんの様子を、仕事の合間を縫って見に行っているんだってさ。

 

 さて、ジオン襲撃から2週間が経ったんだけど、あたし達が次に向かうのは宇宙という事に決まった。

 

 いよいよ、ジオンのホームグラウンドに打って出る事になるわけだ。

 

 チェンバロ作戦というジオンが持つ宇宙要塞ソロモンを攻略する為の戦いの為、連邦軍は総力を結集して準備を行っている。

 

 それはホワイトベースも例外じゃない。

 

「右腕、解体完了しました!」

 

「OK! それじゃあ、今度はジャンクの右足いってみよー!」

 

 大きな整備工場では大人数の整備班や技師たちが動き回っている。

 

 左側ではジオン外人部隊からこっちに手伝いに来てくれているメイお姉さんがラル隊やダイクン派の整備班と、あたしが狩ってきたゲルググというジオンの新型を元気にバラしている。

 

「お疲れさま、マリーちゃん」

 

「お疲れさま、シイコお姉さん」

 

 その様子をプロトの足元で見ていると、声を掛けてきたのはジオン襲撃の時に一緒に戦ったシイコ・ハセガワ少尉だ。

 

 実は彼女、補充人員としてホワイトベースへ乗り込む事になったのだ。

 

 これからは激戦が予想されるし、凄腕な彼女が来てくれるのは頼もしい。

 

 ちなみにシイコお姉さんと呼んでいるのは、ハセガワ少尉だと堅苦しいからと本人に勧められたからである。

 

「すごくジト目になってるんだけど、それって不味いの?」

 

「…………もの凄い味」

 

 あたしが今口を付けているのは、ユージ中尉から貰ったマメッコーラとまうい棒だ。

 

 マメッコーラは青臭い匂いにくどい甘さと炭酸もキツくて普通に不味い。

 

 でもって、まうい棒なんだけど……

 

「く…くさや味……。どうしてそんな二ッチな味を」

 

「レア物だからって、満面の笑顔で渡された」

 

 あれって間違いなく善意100パーセントだったよね。

 

 まうい棒の方が口に入れた瞬間にもの凄い匂いがしてきて、味なんて全然分かんないんだけどさ。

 

「えーと、無理に食べる必要は無いのよ。いやだったら捨ててもいいと思うの」

 

 あたしの顔がよっぽどの事になっているのだろう。

 

 困ったような表情でシイコお姉さんは提案してくれる。

 

「最後まで食べる。贈り物を粗末にするのは、あたしの主義じゃないもん」

 

 そう答えながらまうい棒をバリっと齧ったあたしは、口の中で異臭を放つソレをマメッコーラで押し流す。

 

 ……これ絶対に口の中に匂い残ってるよね。

 

 あとで歯を磨きに行こう。

 

 機体の整備や改良が始まって一週間、あたし達は格納庫にほぼ缶詰状態で過ごしている。

 

 あたしとアンちゃんはアレックスの調整。

 

 兄ちゃんやラルのおっちゃん達は、機体の乗り換えや宇宙戦仕様への換装のお手伝い。

 

 クリスお姉さんはアンちゃんから受け継ぐガンダムへの完熟などである。

 

 ちなみにあたしとアンちゃんの調整はほぼ終わっており、アレックス達も細かい改修が施されている。

 

 プロトはこちらの要望で両腕の隠しガトリングをビーム発生装置に入れ替えた。

 

 この発生装置は遠距離だとビームガン、近距離だとメガ粒子の刃を発生させてビームトンファーというべき使い方ができる優れモノだ。

 

 ガトリングは嫌いじゃないんだけど集弾率が悪いし、撃ち尽くすと腕の重量が変わるしと問題があったのであたし的には大満足である。

 

 アンちゃんの方は両手のガトリングをダミー発生装置にしたらしい。

 

 固定武装が好きじゃないアンちゃんらしいと言えばらしいチョイスだ。

 

 その代わりなのか、アレックスの背中を縦に通る形でバズーカが収まるようにラッチが作られる事になった。

 

 このラッチのミソというか凶悪なところは、背中にマウントしたままバズーカが撃てるという点だ。

 

 なのでシミュレーターではこちらに急接近してきたと思ったら、バク転しながらバズーカの弾を二発放って離脱なんて意味不明な奇襲も受けた。

 

 というか、どうしてアンちゃんはバズーカを普通に撃つという事が出来ないのか?

 

「ねえ、マリーちゃん。それ、一口貰っていいかしら?」

 

「まうい棒?」

 

「ううん、ジュースのほう。さすがにくさや味のスナックを食べる勇気は、お姉さん無いなぁ」

 

「こっちもあんまりお勧めしないけど……はい」

 

 苦笑いを浮かべるシイコお姉さんに、あたしは飲みかけのマメッコーラを手渡す。

 

 新しくホワイトベースに来てくれたシイコお姉さんだけど、彼女の機体はキャバルリーを改修した物になる予定だ。

 

 なんでもシイコお姉さんがもってきた機体、ガンダム・ピクシーは地上戦用なので宇宙では戦えないらしい。

 

 あと、かなり無茶な使い方をしていたようで、腕の方が使い物にならなくなっていたんだって。

 

 そこでテムおじさんが掲げた新技術のテストベッドになっていたキャバルリー改修型が与えられることになったそうだ。

 

「……まっず。なにこれ? 青汁に砂糖と強炭酸をこれでもかって入れたみたいな味……」

 

 新しい技術という点は少し不安もあるけれど、テムおじさんが手掛けるものだからきっと大丈夫だろう。

 

「マリーちゃん、ちょっと口直ししましょう。これはヒドすぎるわ」

 

 あたしがまうい棒を完食すると、なんとか復活したシイコお姉さんが声を掛けてくる。

 

 一口飲んだだけで蹲るくらい不味かったみたいだし、この提案は当然かな。

 

「わかった。あと歯を磨きたい」

 

 あたしはマメッコーラの残りを一気に飲み干すと、彼女の提案に乗った。

 

 自室から歯ブラシを取ってきて歯を磨いたあと、あたし達は基地内にある自販機でジュースを買った。

 

「本当にすごい味だったわ……」

 

「あれを食べられるユージ中尉は只者じゃないよね」

  

 二人でクピクピ飲んでいると、あたし達の前を屈強な男性の一団が通り過ぎる。

 

 その集団は連邦の軍服を着ているけど、誰も彼もがヤンキーやヤクザっぽい外見をしたイカツい人達。

 

BGST(バーゲスト)……」

 

「知ってるの?」

 

 シイコお姉さんの呟きにあたしは問いかける。

 

「ええ。対テロリスト専門の捜査・摘発・戦闘を任務とする連邦宇宙軍所属の特殊部隊。同時にMP、軍の警察の役目も与えられているエリート集団と言われているわ」

 

「へぇ……」

 

「古き良き時代の侠客を彷彿とさせる任侠道を重んじているから、『任侠部隊』って呼ばれて彼等の地元だと絶大な信用があると聞いたわね」

 

 見た目はヤクザ以外の何物でもないのに、正直意外である。

 

 興味を持って一団を見ていたあたしだけど、ある人を見た瞬間思わず息を呑んだ。

 

 その人は一団の最後尾を歩いていたんだけど、眼鏡にすこしボサボサ気味の黒髪と一人だけ普通のオジサンに見えた。

 

 けど、それは大きな間違いだ。

 

 ───この人が一番ヤバい。

 

「あのっ!」

 

 背筋に奔る冷たい感覚と共にある事を確信したあたしは、気が付くとそのおじさんに声を掛けていた。

 

「子供? どうして基地内に」

 

「例の娘さんだよ。ほら、ホワイトベースで匿っているっていう」

 

「ああ、ジオン・ダイクンの娘でしたっけ」

 

 前を歩いていた眼鏡と口元に髭を生やしたインテリヤクザって感じのオジサンと話していた彼は、あたしに向き直ると笑顔で話しかけてくる。

 

「僕になにか用かな、マリー・マスちゃん」

 

 所属する部隊が軍の警察を行っているだけあって、あたしの事も掴んでいるらしい。

 

「あたしと一手、仕合ってください!」

 

 彼の笑顔にどこか威圧的な物を感じながら、あたしは思いの丈を言い放つ。

 

 その言葉に、シイコお姉さんもBGSTの面々も思わず固まってしまう

 

「何を言っているの、マリーちゃん!」

 

「お嬢ちゃん、冗談が過ぎるぜ!」

 

隊長(オヤジ)は『ミラノの人間核弾頭』って呼ばれている達人だぞ!」

 

 シイコお姉さんや部隊の人達が驚く中、隊長と言われたおじさんだけはあたしの眼をジッと見ている。

 

「いいよ。この先に訓練場がある、そこでやろうか」

 

 眼が全く笑っていない笑顔にあたしは小さくうなずいた。

  

 そうしてあたし達は訓練場に辿り着いた。

 

 BGSTの人達とシイコお姉さんが見守る中、あたしは隊長のおじさんと対峙する。

 

「それじゃあルールを定めよう。勝負は互いに一発当てた時点で終了、大きな怪我を負わせるような技はナシ。だから僕はこのソフビで出来た模擬刀を使う事にする」

 

 そう言って隊長のおじさんが掲げたのは、スポーツチャンバラなどで使うスポンジみたいなもので出来た刀だ。

 

 あれらと違っているのは、刀身が円柱じゃなくて刀の形をしている事か。

 

「わかった」

 

 準備運動と柔軟で体を温めたあたしは、オープンフィンガーグローブと足の甲に付けたレガースに目を落とす。

 

 これも相手に怪我をさせないように固い部分には多めに綿が入ったモノだ。 

 

「よし。それじゃあ副長(カシラ)、合図を」

 

「……マジでやるんですか、隊長(オヤジ)?」

 

「もちろん。あの子がそれを望んでいるからね」

 

 戸惑うインテリヤクザって感じのおっちゃんにおじさんは笑顔で応じる。

 

「お互いに礼!」 

 

 そこに込められた圧に彼は耐えられなかったらしい。

 

 副長と言われたオジサンの号令に、あたしと隊長さんは一礼をする。

 

「はじめっ!」

 

 そうして開始の合図が掛かった瞬間、あたしを取り巻く場は一変した。

 

 まるで自分に掛かる重力が増したみたいに身体が重く感じたのだ。

 

 その原因は腰を軽く落として抜刀の姿勢を取った隊長さんにあった。

 

 まるで彼の身体が何倍も大きく見える錯覚と圧に、あたしは微動だにもできない。

 

「構えないのかな?」

 

 穏やかに問いかける隊長さんに、あたしは答える事が出来ない。

 

「いや。どう構えたらいいか、分からないといったところか」

 

 隊長さんの言葉は正解だ。

 

 これでも非常時には反射的に構えを取るくらいには鍛錬をしている。

 

 でも、今は身体が構えを取ってくれないのだ。

 

「マリーちゃん、ギブアップしなさい!」

 

「隊長、もうこの辺で……」

 

 あたしがよっぽど景気の悪い顔をしているのだろう、二人の様子を見たシイコお姉さんと副長さんから制止の声が掛かる。

 

 でも、隊長さんは止める様子はない。

 

 それは、あたしにとっても好都合だった。

 

 ここで止められたら、何のために隊長さんに声を掛けたのか分からない!!

 

「ああああああああああああっ!!」

 

 だからこそ、大きく息を吸い込むとあたしは思い切り吼えた。

 

 この圧から逃れる方法なんて分からない。

 

 理屈なんて全くない。

 

 ただ直感のままに動いたのだ。

 

 けれど、それは正解だった。

 

「へぇ、僕の氣殺から逃れたか」 

 

 さっきまで石のようだった身体は解れ、あたしの身体はジークンドーの構えと共にリズムを刻む事が出来たのだから。

 

「なんちゃってジークンドー、マリーマス! 胸を借ります!!」

 

 宣言と共にあたしは薄くスポンジが入った床を蹴って駆け出す。

 

 駆け引きも小細工もやるだけ無駄。

 

 なにせ相手はあたしなんて足元にも及ばない達人なのだ。

 

 だったら、やるべきは全力でぶつかるのみ!!

 

「ツルギ流居合い術、カネサダ・ツルギ。君の(もう)(ひら)こう」

 

 あたしの宣言に応じた隊長さんは、すり足で片足を一歩前に出し、その体を少し前に沈める。

 

 それだけで、あたしは一瞬首が切り飛ばされたかのような錯覚を覚えた。

 

 わかる。

 

 これは隊長さんが出す圧が剣筋になってあたしに降り注いでいる証拠だ。

 

 胴を両断、両足を膝の下から切り飛ばされる、逆袈裟に体を切り開かれる。

 

 彼の間合いに飛び込むまで、あたしは何度殺されただろうか?

 

 襲い来る無数の剣筋の一つすら、こちらは躱す事が出来ない。

 

 けれど、歯を食いしばって刺すような幻痛と恐怖に耐えた甲斐はあった。

 

 ほんの少しでも隊長さんの太刀筋に慣れる事が出来たのだから。

 

「はぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

「むんっ!!」

 

 そうして彼の制空権に踏み込むと、隊長さんは本当に一刀を繰り出した。

 

 文字通り空を切り裂いて襲い来る一撃。

 

 瞬間、あたしの脳裏にあるものが閃く。

 

 ほぼ反射であたしが取ったのは、勢いのままにスライディングすること。

 

 これによって胸辺りを狙っていた横薙ぎの一刀はあたしの髪を数本きり飛ばして空を切る。

 

「おりゃあああああっ!!」

 

 そして床を滑りながら隊長の懐へ潜ると、あたしは思い切り右手を床に着いた。

 

 同時に体を捻り右足を鞭のようにしならせながら跳ね上げる!

 

 狙いは踏み込みで出た隊長さんの足!

 

 剣を振りぬいた今のタイミングなら、絶対に当たる筈!!

 

 そう確信していたあたしの身体は、次の瞬間には何故か宙に浮いていた。

 

「……え?」 

 

 逆さになった視界に映るのは、剣を離して何かを掬うように上を向いた隊長さんの右手。

 

 もしかして、今の蹴りを獲られた?

 

 呆気に取られている内に隊長さんはものすごい勢いでぐるりと回転する。

 

 そして再び居合の構えに戻った時には、その手には手放した筈の刀が握られていた。

 

「あ……」

 

 あたしが息をのむ間に放たれたのは神速の抜刀術。

 

 彼の抜き身の刀のような視線を見た瞬間、心臓がキュッと縮こまるような感覚と共にもの凄い怖さで頭の中が真っ白になる。

 

 そして目にも止まらない筈の剣がまるでスローモーションのように遅く見えた。

 

 あたしは直感的に理解した。

 

 ───これが死ぬって感覚なのだ。

 

 その感覚はどのくらい続いたのだろう?

 

 刹那の間か、それとも永劫の長さか。

 

 ただ終わりを告げたのは胴を襲うもの凄い衝撃だった。

 

 ふわりと宙を行く感覚の後、床に落ちたあたしは勢いのままにゴロゴロと転がった。

 

「う…ぐ……」

 

 脇腹に感じる熱さの所為で思わず息が詰まる。

 

「マリーちゃん!」

 

 なんとか立ち上がろうとしたあたしを、シイコお姉さんが抱き上げてくれた。

 

 シイコお姉さんの肩を借りて顔を上げると、カネサダ隊長はすでに剣を収めて不動の姿勢を取っていた。

 

「マリーちゃん、礼だ。武道は礼に始まり、礼に終わるものだよ」

 

 穏やかな笑顔でそう告げる隊長に、あたしはフラつく足で彼の前に立った。

 

「お互いに礼!」

 

「「ありがとうございました!」」 

 

 副長の号令にあたし達は互いに頭を下げる。

 

 そこまでは何とか出来たものの、顔を上げようとしたあたしはその場にへたり込んでしまう。

 

「どうだい、欲しかったものは得られたかな?」

 

 そんなあたしに手を差し伸べたのは隊長さんだった。

 

「はい」

 

 胸の内を見透かされていた気恥ずかしさもあって、あたしはニッと笑いながら彼の手を取った。

 

 握った瞬間に感じたのは、あたしとは全然違うゴツゴツとした巌のような感触だ。

 

 そうして目的を達したあたしは、BGSTの皆に礼を言うと格納庫へ戻る事になった

 

「どうしてあんなことをしたの?」

 

 道中、少し怒った様子でシイコお姉さんが訪ねてくる。

 

「───死ぬって感覚を知りたかったんだ」

 

「え?」 

 

 あたしの答えにシイコお姉さんは思わず目を見開く。

 

「宇宙はジオンの本拠でしょ。そこに攻め込むとなれば、待っているのは今まで以上の激戦。そうなったら、命が危なくなることだって絶対に出てくる」

 

「だから、死を知りたかった?」

 

「うん。初めてだったらテンパって何もできないだろうけど、その感覚を知っていたら何かしら悪あがきが出来るかもしれない。あたしは姉ちゃんと相乗りだから、絶対に死ねない。だから、そうならない為に安全な形で死を知りたかった。カネサダ隊長は一目見て分かるくらいの達人だったから、あの人にお願いしたら体験できるかもって思ったんだ」

 

「……そういう事なら仕方ないのかしら」

 

 そう答えるとシイコお姉さんは深くため息を付いてこういった。

 

 よかった、なんとか納得はしてくれたみたいだ。

 

「でも、トンデモない無茶をした事は変わらないわ。この事はセイラさんに報告しておくわね」

 

「あたしが死んじゃうからやめて!!」

 

 半泣きで止めたものの、シイコお姉さんは姉ちゃんにこの話をしてしまった。

 

 結果、あたしは頭にこぶの五重塔ができるくらい姉ちゃんにゲンコツを食らう羽目になってしまった。

 

 生き残るために頑張ったのに、酷いや!!

 

 

 

 

 マリー達を見送った後、BGSTの面々は何とも言えない表情を浮かべていた。

 

「しかしトンデモないガキだったな」

 

「まさか、隊長に喧嘩を売るなんてなぁ」

 

「あの嬢ちゃん、何であんなマネしたんですかね?」

 

 そう問いかけたのは、マリーから『インテリヤクザ』と思われていたBGST副長フランチェスコ・メンゲルだ。

 

 自身の腹心の問いにカネサダは穏やかな笑顔で応える。

 

「あの子は死の感覚が得たかったのさ。これからの戦いで窮地に陥った際に、死中に活を見出せるようにね」

 

 そう、人間とは慣れる生き物だ。

 

 如何に異常な状況でも、一度体験していれば何らかの対処が可能になる。

 

 彼女はその為に敢えて死を欲したのだ。

 

「随分と腹の座ったお嬢さんだ。あの歳でMSに乗ってドンパチするだけの事はある」

 

「これは悲しむべき事だよ、副長。年端のいかない娘が修羅を心に飼わねば生き残れないのだから」

 

「……そうですね。ガキにそんな無茶をさせなきゃならんのは、大人として情けない限りだ」 

  

 ため息を付いて、他の隊員を纏めるべくカネサダの元を離れるメンゲル。

 

 だから彼は気付かなかった。

 

「そう。だからこそ、今の人類には必要なのだ。『仁の日』という大業が」

 

 自身が尊敬する隊長の容貌に狂気が垣間見えていたことを。

 

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