ダイクン家の二女はアホの子   作:アキ山

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お待たせしました。

ジークアクスがまさかの展開になっている中、投稿でございます。

うーん、話があんまり進んでねぇ。

けど、一年戦争もこれからが終盤である。

なんとか頑張って行こうじゃないか!


マチュと再びの宇宙

 ジオン地上部隊による起死回生のジャブロー襲撃が失敗してから二週間が経った。

 

 宇宙要塞ソロモンでは、司令官のドズル・ザビが通信回線で二人の人物と会議を行っていた。

 

「それで突撃機動軍とキシリア機関の指揮権をお前に返せと言いたいのだな、キシリア」

 

『ええ。公王の采配により、私は総帥に課せられた謹慎処分を免除されました。ならば、指揮系統も元に戻すべきでしょう』

 

 ため息交じりに問いかけるドズルへ、キシリアはさも当然と言わんばかりに返す。

 

『上が短期間に何度も代わっては部下も混乱する。今は宇宙へ進撃する連邦軍を迎え撃たねばならん時だ、ソロモンでの迎撃が終わるまで待て』

 

 そんなキシリアへ淡々と意見を告げるのはもう一人の参加者であるギレンだ。

 

『それでは遅い! ソロモンでの迎撃戦はジオンの未来を占う物となりましょう! ならばこそ、軍を本来の形に戻して万全の状態で迎えねばならない!』

 

『しかしな、突撃機動軍はソロモンで預かっているのだ。連邦の次なる狙いがここだというのに、わざわざグラナダに返すなど無駄でしかないだろう』

 

 ギレンの言葉に反論するキシリアに、ドズルは半ば呆れながらも意見を述べる。

 

 妹の長兄に対する対抗心は、毎度のことながら厄介だ。

 

『それは……』

 

「ああ、わざわざ突撃機動軍の指揮を執る為にこちらへ来るなどとは言うなよ。防衛戦で指揮系統が分かれていては勝てるものも勝てなくなるからな」

 

 ドズルはキシリアが言うであろう言葉を先回りして釘を刺す。

 

 彼は腹芸のできない直情タイプの男なので政治には不向きだが、決して地頭は悪くない。

 

 瞬発的な頭の回転が速くなければ、軍の指揮官などできないからだ。

 

『だから我々は待てと言っている。物事には順序というモノがあるのだ。非常時の今なら、それは猶更に重要視されねばならん』 

 

 ドズルに加えてギレンからの援護射撃を受け、キシリアはマスクの下で歯噛みする。

  

 この会議で自分の意見が通る気がしなかったからだ。

 

 ギレンとドズルの弁には理があり、現状では自分の意見が誤りである事は彼女自身も理解できる。

 

 それでもキシリアは引くわけにはいかなかった。

 

 現状、自分には使える部下がいない。

 

 キシリア機関と突撃宇宙軍がない自分は、政治的にも軍事的にも両腕を奪われた状態だ。

 

 これでは父デギンを護るなど夢のまた夢だ。

 

 だからこそ、彼女は奪われた両翼を取り戻すのに必死だった。

 

 ガルマの子の件でギレンとドズルの父に対する嫌悪が増大したのは肌で感じていた。

 

 人情家のドズルはともかく、ギレンは政務に復帰して目の上のたん瘤になり始めた父を切り捨てる可能性は十分にある。

 

 そうなった時に動かせる部下がいなければ、自分は敬愛する父が討たれるのを指を咥えて見ているしかない。 

 

 だからこそ、道理を曲げてでも己の拠点であるグラナダに手駒を欲したのだ。

 

 万が一の際には父を匿えるように。

 

『キシリア、お前は謹慎が解けて間もない。今は世俗と離れていた間に起こった世の流れを掴む事を最優先にせよ』 

 

「万が一連邦との交渉などが起きれば、お前の手を借りる事もあるだろう。その時に世の中の事が分からんとなれば問題だからな」

 

 二人の兄は穏やかに声を掛けるが、その言葉の裏には自分の意見を頑として聞き入れないという意思が見えていた。

 

(ダメだ。道理はむこうにある。ここで無理を通そうとすれば、グラナダまで奪われかねん)

 

『承知しました。ですがソロモンの防衛がなれば、その時は必ず私の配下は返してもらいますよ』

 

『分かっている』

 

「ああ、約束しよう」

 

 旗色が悪いと考えたキシリアは、この場は一度矛を収めることを選択せざるを得なかった。

 

「やれやれ……奴め、まったく反省しておらんな」

 

 不満ありありと言った感じで通信を切ったキシリアにドズルは思わず額を押さえる。

 

 今の状態で政争など御免だと思っているのに、妹は自らの権勢を取り戻すのに必死だ。

 

 妹が政治的な意味で長兄をライバル視しているのは知っているが、時期を弁えろと強く言いたい。

 

『まったく、父上にも困ったものだ』

 

 頭痛の種は同様だったらしく、ギレンもまたため息を付く。

 

「兄貴、親父を抑えるわけにはいかなかったのか?」

 

『諫言は何度かしたが、相手は聞く耳を持ってくれなかったのだ。実務の大半を私が担っているとはいえ、立場上は公王はこちらより上だ。強く言い過ぎて相手がへそを曲げては、私が謹慎を食らいかねん』

 

「親父め……。今は身内で足を引っ張っている場合ではないというのに」

 

 意図したものではないにせよ、頭の痛い問題を持ち出す父親にドズルは歯噛みする。

 

 そんな彼にギレンは何時になく真剣な様子で語り掛ける。

 

『ドズルよ。ソロモン防衛が困難だと判断したら、お前は即座に脱出しろ。死ぬことは絶対に許さん』

 

「ソロモンを棄てろというのか?」

 

『そうだ。確かにソロモンは我が国の要所ではあるが、最終防衛線ではない。後ろにはア・バオア・クーもある。もしソロモン防衛が不可能となれば、ア・バオア・クーの指揮はお前に取ってもらわねばならん』

 

「何故だ? ア・バオア・クーなら本国に近い。指揮なら兄貴だって取れるだろう」

 

 そう返すとギレンの鉄面皮が苦々しく歪む。

 

『生憎だが私はムンゾから動くことはできん。このところ、父が妙な動きをしているのでな』

 

「妙な動き?」

 

『アクシズを始め、ジオンが地球圏外に持つ資源衛星を調べている。そこの規模や居住環境などもな』

 

「……まさか」

 

 ギレンの言葉にドズルの脳裏に最悪の可能性が浮かぶ。

 

 何故なら彼もまた万が一の対策として、妻子の安全を確保する為に同じことを考えていたからだ。

 

『そのまさか、だ。ガルマの子供の存在を知って、この世に未練が出来たのだろうな』

 

 デギン公王が目論んでいること、それはガルマの子を連れて地球圏外へ落ち伸びることだった。

 

 今回の戦争はジオン側が連邦に与えた損害が大きすぎた。

 

 仮にこのまま劣勢を覆せずにジオン不利のまま戦争が終われば、ザビ家一党は間違いなく戦争犯罪人として責任を問われる。

 

 そうなれば奇跡でも起こらない限り、デギンは死刑を免れる事はできないだろう。

 

 だからこそ彼は考えたのだ。

 

 連邦の影響が届かない地球圏外へ逃亡するという生存の一手を。

 

「冗談じゃないぞ! 国の存亡を掛けた戦いが始まるというのに、王が真っ先に逃げるだと!? そんな事をすれば士気はガタガタだ! 勝てるものも勝てなくなる!!」

 

 激昂して自室のデスクに巌のような拳を叩きつけるドズル。

 

 その様子を見ながらギレンは思う。

 

 かつての辣腕政治家であったデギン・ザビならば、こんな真似はしなかっただろう。

 

 自分の父は自身の権勢を拡大する為に他者を蹴落とす事もあったが、それ故に散り際を弁える覚悟もあった。

 

『己が他者を陥れるのなら、陥れられた時には無様に取り乱す事無く結果を受け入れろ』と、ギレンは見習いとして父に付いていた時に教わった事もある。

 

 そんな男が孫の顔見たさに保身に走るのだ。

 

『ふん。老いたな、父上』

 

 晩節を穢す父は、ギレンが胸中で見限るには十分すぎる醜態だった。

 

 そんな胸中を脇に置いたギレンは、弟の怒りを冷徹に見据えながら言葉を紡ぐ

 

『その通りだ。そんな暴挙を止めるためにも、私が父を監視する必要がある。それにダイクン派の方も動きを強めているしな』

 

「ダイクン派か。例の娘達に掛けた仕掛けは上手く機能しなかったようだな」

 

『ランバ・ラルが死なずに奴等と合流したのが大きい。奴はダイクンの右腕であったジンバの息子で、ムンゾ防衛隊にも所属していた為に軍内やダイクン派にも広く人脈を持っている。そこを上手く使われたのだろう』

 

「それでどうする? この時期に本国で奴等に囀られては厄介だぞ」

 

『それに付いてはキシリア機関を使って抑えるさ。お前はソロモンの防衛と自分が生き延びることを考えろ』

 

「心配するな、連邦の弱兵など一捻りにしてくれるわ」

 

『これからもジオンを支えるためにはお前の力がいる。間違っても死んでくれるなよ』

 

 そう言い残すとギレンは通信を切った。

  

 ドズルは何も映さない画面をしばし見た後、机に置かれた二つの写真立てに目をやる。

 

 そこにあったのはミネバ誕生の際に写した家族の風景、そしてファルメルの格納庫でシン・マツナガと共に取った写真だった。

 

「もちろんだ。ようやく授かったミネバの為にも死ねるものか。それにシン、お前の無念も晴らさねばならんのだからな」

 

 そう呟くドズルの顔に宿った覚悟、それは生か死のどちらであったかは本人しか知らない。

 

 

 

 

【君は】一年戦争を生き抜く転生者のスレ 14スレ目【生き残ることが出来るか?】 

 

 

 

332 名無しのガノタ

 

祝! ホワイトベースの僚艦配備!!

 

 

333 名無しのガノタ

 

ソーラレイフラグが…レーザーで灰になるフラグが折れた!!

 

 

334 名無しのガノタ

 

さらば、ゲルドルバ!

 

 

335 名無しのガノタ

 

光の渦に消えるのはデギンのハゲとレビルのオッサンだけでOKっす!

 

 

336 名無しのガノタ

 

だが、死亡フラグが完全に折れたわけじゃないんだよなぁ

 

 

337 名無しのガノタ

 

ホワイトベースは最前線配備が基本だからね

 

 

338 名無しのガノタ

 

木馬配属ならともかく僚艦は割と沈んでるからなぁ

 

 

339 名無しのガノタ

 

しかも俺達は亡命艦隊というドデカい死神を背負ったままである

 

 

340 名無しのガノタ

 

いやだぁぁぁぁ!

 

死にたくなーい! 死にたくなーい!! 

 

 

341 名無しのガノタ

 

狼狽えるな! 

 

お前等はそれでも歴戦のガノタか!?

 

 

342 名無しのガノタ

 

そうだ! 

 

俺達には新たなMSがあるだろうが!!

 

 

343 名無しのガノタ

 

ウチ等に配備されたのは、まさかのサンボル版ジムである

 

 

344 名無しのガノタ

 

盾が4枚あるから(攻撃が)多い日も安心! 

 

 

345 名無しのガノタ

 

センキュー!

 

 

346 名無しのガノタ

 

ただしバックパックの出力がイカレてるので

 

操作をミスると本編でデブリに当たった奴よろしく汚い花火になるんですが……

 

 

347 名無しのガノタ

 

ファッキュー!! 

 

 

348 名無しのガノタ

 

とはいえ、鹵獲品のザクとかザニーじゃないだけマシか 

 

 

349 名無しのガノタ

 

投降した敵兵や亡命者の集まりだって考えたら贅沢な装備だよな

 

 

350 名無しのガノタ

 

その辺はアレじゃね?

 

ホワイトベースにいるダイクンの子供達とダイクン派への配慮的な

 

 

351 名無しのガノタ

 

連邦のお偉いさん的にはサイド3の戦後処理はダイクン派にさせて

 

あとのスペースノイドやザビ家からのヘイトをそっちに向けさせたいんだろうな 

 

 

352 名無しのガノタ

 

あくまでジオン公国を倒したのはダイクン派で

 

連邦はその手伝いをしただけってか

 

 

353 名無しのガノタ

 

そして戦後に起こるであろうデラーズのハゲやアクシズなんかのテロの標的を

 

ジオン共和国になったサイド3に向けさせたいと 

 

 

354 名無しのガノタ

 

それって俺等がモロに被害被るってことじゃん!!

 

大人って汚いっ!! 

 

 

355 名無しおっぱい

 

ところで一つ聞きたいんだが

 

今回の配属で私達の死亡フラグが折れたと見ていいのか?

 

 

356 名無しのガノタ

 

お前は! 名無しのおっぱい!

 

ななしのおっぱいじゃないか!! 

 

 

357 名無しのガノタ

 

ブラコン魂を燃焼させて生き残るために

 

オデッサでおっぱい降伏をしたナイスおっぱい!!

 

 

358 名無しおっぱい

 

生きて弟と再会する為ならこんなおっぱいいくらでも見せてやるさ!

 

で、質問の答えは?

 

 

359 名無しのガノタ

 

折れた……とは言い難い 

 

 

360 名無しのガノタ

 

ホワイトベースは激戦区に行くからな

 

強敵に出会う可能性も高いんだ

 

 

361 名無しのガノタ

 

だから、こっから生き残るのは腕次第って事だな

 

 

362 名無しおっぱい

 

やれやれ、せっかく私向きの機体が手に入ったのに……

 

マシュマーの元に帰るのは前途多難だな

 

 

363 名無しガノタ

 

そういえば妙に動きのいいジムがいたけど

 

あれっておっぱいの機体だったのか

 

 

364 名無しおっぱい

 

家の関係でツイマッド社に繋がりがあってね

 

シミュレーターだけど、ヅダのテスターをやった経験があるんだ

 

 

365 名無しガノタ

 

その関係で大推力で高機動の機体には慣れてるって事か

 

 

366 名無しおっぱい

 

そういうこと

 

ジムはヅダに比べて動かしやすいけど

 

それだけでどうにかなる話じゃなさそうだね

 

 

367 名無しのガノタ

 

そうだよな 運が悪かったらシャリア・ブルとか

 

エルメスに乗ったララァとも戦う可能性あるもんな

 

 

368 名無しのガノタ

 

い…生き残れる気がしねえ

 

 

369 名無しのガノタ

 

その辺は天パに全部振ろう

 

後ろに目が付いてない俺達には荷が重すぎる。

 

 

370 名無しのガノタ

 

んだんだ モブの俺等はザクの相手が精一杯よ

 

そろそろホワイトベースと合流するんだっけ?

 

 

371 名無しのガノタ

 

ああ ルナツーを出たからもうすこ…し……

 

 

372 名無しのガノタ

 

(;つД⊂)ゴシゴシ (゚Д゚)え?

 

 

373 名無しのガノタ

 

( д) ゚ ゚

 

 

 

374 名無しのガノタ

 

(  Д ) ゚ ゚

 

 

375 名無しのガノタ

 

なんでキャスガンがあるんですかねぇ?

 

しかも後ろにはガンダムとアレックスが2機

 

 

376 名無しのガノタ

 

さらに後ろにはペイルライダーっぽい機体まで!?

 

 

377 名無しのガノタ

 

(この戦争に)勝ったな 

 

 

378 名無しのガノタ

 

……ああ

 

 

379 名無しのガノタ

 

マダオと冬月乙

 

 

380 名無しのガノタ

 

ガンダムチーム結成は9年早ぇよ!!

 

 

 

 

 ジャブロー襲撃から10日、機体の改修や調整を終えたあたし達は宇宙へと旅立った。

 

「フラウ・ボウ、ダグラス大佐のサラミス達はついて来ているか?」

 

「はい。予定通りの進路で上昇中です」

 

 マスドライバーで宇宙へと上昇する中、ブリッジでブライト大尉がフラウお姉さんに進軍の具合を尋ねる。

 

 ダグラスのおっちゃんが率いるダイクン派には、ビンソン計画っていうのでMSが乗せられるようになった戦艦二隻が割り当てられた。

 

 MSも宇宙で戦えるように改造されたり新しい機体を与えられたりと、ジャブローの時の損失をしっかり補填している。

 

 MS隊の隊長は外人部隊のケン少尉らしいし頼りになると思う。

 

「予定では衛星軌道上でルナツーから出るジオン亡命艦隊と合流するのだったな?」

 

「はい。我々はジオンがチェンバロ作戦に気付かぬ為の囮として、サイド6を経由してグラナダ方面へ進路を取り、そこから宇宙要塞ソロモンへ向かう事になります」

 

「たしか亡命艦隊にはオデッサで降伏したジオン兵達も参加しているのだったか」 

 

「ええ。指揮に関してはダグラス大佐が担当するとのことです」

 

 ジオンの亡命艦隊か。

 

 ゴップのおっちゃんが言うには、ザビ家の目を引き付けるためにあたし達が旗頭になるかもって話だけど、本当にそんな事が出来るのだろうか?

 

 ぶっちゃけ、自信はありません。

 

「どうしたの、マリー?」

 

 なんて考えていると、ホワイトベースの舵を握っているミライお姉さんから声を掛けられた。

 

「宇宙が近いからかな、なんか勘が冴えるんだよね」

 

 あたしがそう言うと、隣にいたアムロのアンちゃんが頷く。

 

「分かるよ。なんていうか、自分が広がる感覚がする」

 

「ええ。今まで捉えられなかった物が手に取るように分かると言えばいいのかしら?」 

 

「言葉にし辛いけど、自分の手が届く範囲が広がったみたい」

 

「おそらくは重力から解き放たれたからだろうな。だが、この感覚は悪くない」

 

「何言ってんだ……って言いたいところだが、なんとなくわかるぜ。やれやれ、ついに俺もこっち側かよ」

 

 口々にあたしとアンちゃんに同意してくれたのは、姉ちゃんにシイコお姉さん。

 

 兄ちゃんとカイさんだ。

 

「皆も常在戦場の心得が分かってきたみたいだね。あたしも鼻が高いよ」

 

 みんな、地球で激戦を掻い潜ってきたのだ。

 

 戦士としての勘が磨かれるのは当然と言えば当然である。

 

「偉そうに言わないの」

 

「にょぉぉぉぉっ!? ほっへふぁひっぱらなひへー!」

 

 なんて後方師匠面をしていると、姉ちゃんにみょーんと頬っぺた引っ張られた。

 

 ぐぬぬ……この手の感覚はあたしがパイオニアだったのに。

 

 そんなじゃれ合いをしていると、ラルのおっちゃんがハモンのお姉さんたちを連れてブリッジへ入ってきた。

 

「キャスバル様、ドレンという男をご存じですか?」

 

「ああ、私の部下だ。ファルメルを任せられるほど優秀な男だぞ」

 

「そのドレンから例の回線を使って通信が入っていますぞ」

 

「ドレンから?」

 

 驚いた兄ちゃんは、ブライト大尉達に断って通信に出る。

 

『久しぶりですな、シャア少佐! 貴方には驚かされっぱなしですよ!!』

 

「すまんな、ドレン。地上に降りてからはあまりに目まぐるしくて、私も状況を伝える余裕が無かったのだ」

 

 クランプのおっちゃんが持ってきたジオン製の通信機のモニターでは、ヘルメットを被った団子鼻のオジサンが嬉しそうに笑っている。

 

 この人がドレンなのだろう。

 

『その辺に関しては、本国から合流してきた二人に聞いております』

 

『お久しぶりです、少佐!』

 

『水臭いですよ! 言ってくれれば、俺達もお供したのに』

 

「アンディ! リカルド! お前達もいるのか!」

 

 少しおでこの広い茶髪のお兄さんとチョビ髭が特徴的な黒髪のお兄さんが、ドレンさんを押しのけてモニターの向こうで笑っている。

 

 この人達って前に聞いた兄ちゃんの部下だったっけ。

 

『今、我々はキャメルパトロール艦隊として衛星軌道上で網を張っている状況です。地球から上がってくる少佐の木馬も捉えてますよ』

 

「だが、こうして通信を入れてくるという事は我々に協力するという事なのだろう?」

 

 ニヤリと笑うドレンさんに兄ちゃんも不敵な笑みを返す。

 

 この辺は何というか阿吽の呼吸って感じだ。

 

『このファルメルは少佐の艦ですからな。乗組員は全員、貴方に忠誠を誓っています。しかし僚艦のスワメルとトクメルは、そうではありません』

 

「迂闊に合流しようとすれば、そちらが危険か」

 

「ならばドレン艦長には艦隊にファルメルを先頭にした鋒矢陣を組んでもらい、突撃するフリをしてこちらに合流してもらうのはどうだろうか」

 

 ロンバートのじっちゃんの提案に兄ちゃんは頷く。 

 

「ドレン、それでいけるか?」

 

『やってみせますよ。アンディ中尉達には後方の警備を任せる、こちらの意図に気付いたスワメル達にカマを掘られんよう注意してくれよ』

 

『任せてください!』

 

「私もすぐに行く。それまで頼むぞ」

 

『お待ちしてます、少佐』

 

 そう言って三人の敬礼する姿を映すと通信機のモニターが切れた。

 

「艦長、レーダーに感有り! 戦艦3、MSが4です!!」

 

「ドレン艦長が言っていたキャメル艦隊だな。よし、総員第一種戦闘配置! MSパイロットは全員出られるようにしておけ!!」

 

 ブライト艦長の指示を受けて、あたし達はすぐにMSデッキに向かう。

 

 そしてパイロットスーツに着替えると、各々の機体へ乗り込んでいく。

 

「ハセガワ少尉。アリアドネはこれが初の実戦だ、大丈夫だと思うが例の戦法で機体に無理をさせすぎんようにな」

 

「了解です、テム少佐」

 

 プロトのコックピットに入ってモニターを付けると、テムおじさんがシイコお姉さんに事前の注意を行っているのが映る。

 

 大改修を受けたキャバルリーは、『ガンダム・アリアドネ』と名を変えてシイコお姉さんの機体になった。

 

 その最大の特徴は両手に着いた多目的アンカー。

 

 これを敵に撃ち込む事で相手の体勢を崩したり、アリアドネの軌道を変えたりすることが出来る。

 

 さらにこのアンカーは先端にビーム砲も備えている為、死角からの攻撃も可能だったりする。

 

 そこに来てテムおじさん渾身の新技術、インナーフレーム構造の恩恵である高い運動性が付いてくるのだ。

 

 アタシも乗ってみたけど、ぶっちゃけ小回りとか機体の可動域なんかはアレックスを超えているんじゃないかな?

 

 これにシイコお姉さんのアクロバティックな機体操作が噛み合うと、アンちゃんやあたしでも苦戦するレベルの強さになるんだよね。

 

「エドワウ君、君のガンダムはかなりの急ごしらえだ。無茶をするんじゃないぞ」

 

「なに、アルマリア達が乗っていた機体だ。私も使いこなしてみせるさ」

 

 シイコお姉さんが乗り込むと、テムおじさんは次に兄ちゃんへ声を掛けた。

 

 実は兄ちゃんの機体はゲイル・ディアスではなく、あたしのガンダムを改修したものだったりする。

 

 というのも、アリアドネに加えてダイクン派やラルのおっちゃん達の機体を宇宙用に改造した結果、ゲイル・ディアスに回す資材が足りなくなったんだってさ。

 

 アマミヤ少尉がハンカチの端を噛んで悔しがっていたっけ。

 

 そんな訳で兄ちゃんが自分の機体に選んだのが、ちょうど余っていたあたしのガンダム。

 

 速過ぎるという理由でクリスお姉さんの機体から外された高機動ユニットとゲイル・ディアスから取っ払った大型バックパックを移植して、更に胴体だけじゃなくて全身を赤く塗る事で自分色に仕上げてしまったのだ。

 

 そんな兄ちゃん専用ガンダムも今回は初陣である。

 

 テムおじさんも気を揉む事だろう。

 

『カタパルト射線を確認しろ! メカニックマンは退避急げ!』

 

 そんな事を考えているとホワイトベースのハッチが開き、格納庫内にアナウンスが流れる。

 

 出撃の時だ。

 

『出撃順はガンダム5機に続いてガンキャノン! そしてラル隊だ! 射出一分前!』

 

 指示を受けたあたし達は順番にカタパルトの前に並ぶ。

 

『私はファルメル後方に付いている部下と合流する。アムロ君とアルマリアはそれを援護してくれ』 

 

「OK!」

 

『わかりました!』

 

 あたしとアンちゃんに指示を出すと、兄ちゃんがガンダムをカタパルトにセットする。

 

『こちらへ接近中のキャメル艦隊、ファルメルが艦隊から突出! 僚艦から離れていきます!』

 

『打ち合わせ通りだな。シャア・アズナブル、ガンダム出るぞ!!』

 

 ブリッジからの通信を受けた兄ちゃんは、ホワイトベースから出ると大推力で一気にカッ飛んでいく。

 

 そして二番手はあたし達だ。

 

「マチュ、行きましょう」

 

「うん! アレックス・プロト、いくよ!!」

 

 さて、久々の宇宙だ!

 

 しっかりキメようじゃないか!!

 

 

 

 

おまけ・スパロボ30世界のマチュ(アムロ再会編)

 

 

 あたし達ドライクロイツは旦那様が幽閉されているというシャイアン基地に向かう事になった。

 

 機械獣襲来の報に急いで駆け付けると、そこにいたのは基地を襲うネオジオンの残党。

 

 そして、それを迎え撃つ往年の名機RX-78-2ガンダムの姿だった。

 

 ガンダムに乗り込んでいたのは旦那様な事を、直感で見抜いたあたしは居ても立ってもいられずに艦を飛び出した。

 

 あたしが乗っていたのも1年戦争の時と同じカラーリングにしたガンダム1号機。

 

 当初はお義父さんがアレックスを近代改修した機体を使う予定だったんだけど、νガンダムとかの技術を組み込んでいたら出発に間に合わなかったんだよね。

 

 なので、今の技術でレストアしたガンダムを使う事になったのです。

 

 護君に甲児のアンちゃん、ゲッターチームや新しい力が結集したドライクロイツが、もっさりした兄ちゃんの偽物の部下達に負ける筈がない。

 

 難なくネオジオンの残党を蹴散らし、あたし達は旦那様が乗るガンダムを迎え入れる事に成功したのだ。

 

「はははっ! 懐かしいモノを見させてもらったぞ!!」

 

「うん。赤い胴のガンダムと青いガンダムがコンビネーションで動いているのを見たときは、一年戦争の光景がフラッシュバックしたよ」

 

 機体を降りると護君とネロのじっちゃんがこんな事を話していた。

  

「1年戦争って、ボクが生まれた時に起こった戦争だよね? 護兄ちゃんはその時から戦っていたの?」

 

「戦っていたのはマリーさんだよ。俺や護はホワイトベースからそれを見ているだけだった」

 

 小学生なのにブレイブポリスという超AIロボの警察チームを纏めている友永勇太君の問いかけに、兜シロー君が答える。

 

「あの時は護もシローも悔しい思いをしていたみたいだからね。今日の事でその鬱憤も少しは晴れたんじゃないか?」

 

「まあね。Jと一緒に戦っていた幾巳もそうだけど、マリーさんには憧れと嫉妬があったから」

 

 バディである戒道君に指摘されて、護君は苦笑いを浮かべる。

 

「しかし、マリーもそうだがアムロの奴もあんな骨とう品でよくやるぜ」

 

「言い過ぎだぞ、竜馬。マジンガーもそうだが、ガンダムだって改修に改修を重ねているんだ。今のMSにだって負けてないさ」

 

「そうそう。竜馬のアンちゃんだって、今でも一人乗りのゲッター1使ってるじゃん。あの黒くて人相の悪いゲッター1を初めて見たときは、内心で機械獣復活か!?って思ったもん」

 

「うっせぇ。それよりお前は旦那を迎えに行きやがれ」

 

 グリプス戦役の時に見た黒ゲッターの事を指摘すると、竜馬のアンちゃんは乱暴にあたしの背中を押す。

 

 その勢いによろめきながら前に出ると、その先にはガンダムのコックピットから降りてくる旦那様の姿があった。

 

「……マチュ」

 

 そう呟く旦那様に胸の中を色んな感情が通り過ぎていく。

 

 行方不明と聞いた時の絶望、子供達を一人で育てなくちゃいけないって考えた際に感じた不安、ベッドで一人眠る時の寂しさ。

 

 けれど、そんな物は彼の姿を見た瞬間に全て吹っ飛んだ。

 

 だから、あたしは彼に向って両手を広げてこう言った。

 

「おかえりなさい、旦那様!」

 

 いつもと同じ、家に帰ってきた彼を玄関で迎える時のセリフ。

 

 疲れて帰ってきた愛する人が安心できるように迎えるのが、妻であるあたしの役目だから。

 

 旦那様はこちらへゆっくりと歩いてくると、あたしの身体をギュッと抱きしめって……あれ?

 

 旦那様、どうしてパイロットスーツの前チャックを摘まむんです?

 

「ひゃあっ!?」

 

 意図が分からずに固まる中、彼は一気にファスナーを引き下ろしたと思ったら、あたしのスーツの上半身を大きく開けさせたじゃないか!

 

 いったい何のつもりとあたしもギャラリーも全員が固まる中、旦那様はスポーツブラに覆われたあたしの胸の谷間に顔を埋めてギュッと身体を抱きしめてきた。

 

「……まだ僕には帰れる所があるんだ。こんな嬉しいことはない」

 

 すっごい良い事言ってるんだけど、絵ヅラの所為で色々台無しである。

 

 とはいえ、それをツッコむのは野暮というものだろう。

 

 だって旦那様からはあたしと会えた喜びとか、アクシズを押し戻そうとした時の必死な想いなんかが伝わってくるんだもん。

 

「あたしだけじゃないよ。アルやフミナもお義父さんに姉ちゃんだって、みんな旦那様の帰りを待ってるんだから。連邦の白い流星じゃない、ただのアムロ・レイって人をね」

 

 あたしは旦那様の癖のある髪を優しく撫でる。

 

 旦那様は出張などで長く家を空けると、決まってこんな風にあたしの胸に顔を埋めるのだ。

 

 衆人環視でやられたから焦ったけど、改めて考えたらこれって何時もの事なんだよね。

 

 感動的な再会という事でドライクロイツの皆は生暖かく見守ってくれるんだけど、一つだけ大きな問題がありまして。

 

 ええ、兄ちゃんが『猿渡先生のマンガ』に出てくる悪役みたいな顔でコッチを見ているのですよ。

 

 そんなあたしの懸念は見事に的中してしまった。 

 

「しゃあっ! コブラ・ソード!!」

 

「ぐわぁっ!?」

 

 謎の掛け声と共に兄ちゃんが旦那様を蹴り飛ばしてしまったのだ。

 

「何をするんだ、義兄さん!」

 

「アルマリアとの戯言は許さん! というか、時と場所を選べ!!」

 

 旦那様の上げた抗議の声を、ごもっともとしか言えない正論で叩き潰す兄ちゃん。

 

 そんな旦那様を左右から挟み込むように肩を組むのは、甲児のアンちゃんと竜馬のアンちゃんだ。

 

「エドワウの言う通りだよ、バカ野郎」

 

「妹分と親友のイチャ付きを見せられるコッチの身にもなりやがれ」

 

 二人に文句を言おうとする旦那様だったけど、『もう一回セイラさんにぶっ飛ばされて頭から地面に落ちたいのか?』と返されると黙るしかない。

 

 そんな言葉で思い出されるのは、結婚式でヴァージンロードに立ち塞がった姉ちゃんの黄金聖闘士並みのパンチを食らって赤じゅうたんに車田落ちをする旦那様の姿だ。

 

 あれは嫌な事件だったよ。

 

「さて、嫁に存分に甘えたんだ。今度は俺達に付き合えよ」 

 

「聞きたい事や言いたい事は山ほどあるからな、今夜は寝かさないぜ。エドワウも来るよな?」

 

「もちろんだ。アルマリアを悲しませた事も含めて、まだまだ言い足りん!」

 

 ダイナミック特有の濃い笑顔を浮かべて旦那様を連行していく甲児のアンちゃん達。

 

「ふむ。三バカが揃ったことだし、思い出話に花を咲かせるのも悪くないか」

 

「護もシローも来い。一年戦争の時にお前等が知らなかった事を教えてやるぞ」

 

「凱や甲児達のやらかしなんかもな!」

 

 旦那様を連行する三人にエルドラチームや護君達も合流して、飲み会はどうあっても止められない雰囲気だ。

 

「いいの、マリーさん?」

 

「うん。皆も旦那様の帰れる場所だからね」

 

 アズちゃんの問いかけにあたしは笑顔で返す。

 

 さて、ネロのじっちゃん達が口を滑らせて妙な事を暴露しては堪らない。

 

 監視の目を光らせる為にも、飲み会に参加するとしよう!   




【ガンダム・アリアドネ】

テム・レイ達が創り上げた初のインナーフレーム実装MS。

インナーフレーム構造のお陰で従来のMSを遥かに上回る整備性と、機体そのものの可動域の増加による運動性を誇る。

さらにモノコックのように装甲を自重を支えにせず、純粋に防御機構として使用できる事から従来よりも薄い装甲板にも拘らず、実弾兵器に対する機体防御力はガンダムに匹敵する。

作成段階からパイロットであるシイコ・ハセガワが得意とする『聖痕戦法』を構想に組み込んでいる為、腕部に備わったワイヤーアンカーは内部骨格フレームに繋がっている。

その為にモノコック構造の機体に比べて機体への負荷が大きく減衰し、可動域の強化とも相まって今までのような軌道変化に加えて相手の体勢を崩す事も可能になった。

機体のコンセプトは機動力を生かした一撃必殺の為に大型の武装は装備しておらず、ビームガンとビームダガー。そしてワイヤーアンカーの先端にはビームガン、他にも相手の眼を欺く為のダミーバルーンに煙幕がある。

日系人のハヤトは、この機体を見てまるで忍者のようだと評した。

名前のアリアドネはギリシャ神話でミノタウロス退治の際、テセウスが迷宮で迷わぬように糸による道しるべを与えた王女アリアドネ―からきている。
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