スパロボ書いている筈なのに、どうしてこうなった!?
やはり、余韻のままに劇場版ファーストガンダム3部作を全て見たのが悪かったのか!
ええい、こうなれば投稿だ!!
ジオン襲来によるサイド7の動乱は、ザク二機がやっつけられた事で少し収まりを見せ始めた。
あたしが蹴とばしたザクに乗っていたジオンのパイロットも軍人さんに拘束され、生き残った避難民も続々と連邦軍の戦艦『ホワイトベース』に乗り込んでいる。
「あなたはっ! どうして、そう無鉄砲なのッ!!」
「あいったぁぁぁぁぁっっ!?」
そしてあたしはというと、セイラ姉ちゃんから全力全開のゲンコツを馳走になっている。
ガンキャノン(あたしが操縦していた赤いMSの名前)からアムロのお父ちゃんことテムおじさんと一緒に降りているのを、ホワイトベースへ乗ろうと宇宙港に来ていた姉ちゃんに見られたのが運の尽き。
何があったのかを圧マシマシな笑顔で尋問された末に、お仕置きを食らう羽目に相成ったわけでございます。
「お姉さん、この子も皆と逸れて生き残ろうと必死だったのだ。今はお互い無事だったことを喜ぶべきじゃないかね?」
「そ…そうですわね。妹を助けてくださって、ありがとうございます」
テムおじさんにそう言われて、冷静を取り戻したらしい。
姉ちゃんは深々と頭を下げた。
ちなみにあたしがガンキャノンを操縦していた事実はまるっと隠蔽されることになりました。
さすがに軍事機密の塊なMSを小学生が弄ったのは色々と拙いらしく、カバーストーリー的には混乱の最中に軍事基地に迷い込んだあたしをテムおじさんがガンキャノンで保護したという事になっている。
なのでドラゴンキックでザクを倒したのも対外的にはテムおじさんって訳だ。
ちなみにアムロのアンちゃんはその手の誤魔化しができなかった。
テムおじさん的には何とかしたかったみたいだけど、ホワイトベースからの通信にアンちゃんが出ちゃったからなぁ。
そんな訳でアムロのアンちゃんは軍人さんの指示で壊されていないガンダムとかの予備パーツ集め。
あたしは姉ちゃんと一緒に生存者が街に取り残されていないか、探しに行く事になった。
コロニー内での騒乱は収まったとはいえ、宇宙にいるジオンの戦艦がサイド7を攻撃している。
それを思えば時間はあまり無いのだろう。
「姉ちゃん。生きている人を探しながらでいいから、お店とかで使えるモノは持って行った方がいいよ」
「……そうね。避難民を乗せている以上、食料や水が不足する可能性もあるでしょうし」
「うん。赤ちゃんなんかもいたしさ、粉ミルクやおしめもいるでしょ。あとウチから木人君も持って行きたい」
「それはいらないわ」
「ヒドいっす」
こうして私達は生存者を探しながら、必要な物資を出来る限り回収していった。
レトルトやインスタントの保存食に飲み物各種、あとは衛生用品などなど。
防災講習で習った必要なモノは片っ端から放り込んでいく感じだ。
そうしてエレカの荷台がいっぱいになり始めた頃だ。
雑貨店から毛布を運んでいたあたしは、エレカで待っている筈の姉ちゃんの姿がない事に気が付いた。
いったい何処にと辺りを見回した私は、度肝を抜かれる事になった。
なんと壊れたガンキャノンらしき頭の前で、姉ちゃんが銃を手にピンクのパイロットスーツを着た怪しい男と対峙しているじゃないか!
しかも男は遠間から見ても分かるような変な仮面を付けてるし!
間違いない、あれは変態だ!!
「姉ちゃん!」
走り出したあたしはその勢いのまま残骸になっているキャノンの頭へと駆け上った。
「ヘルメットを外して後ろを向いてください! 妙な真似をすれば撃ちます!!」
そして変人がスーツのヘルメットを脱いだのを見計らって頂上からジャンプ!
「アチャアアアアアッ!!」
「ぐおっ!?」
リー師匠から受け継いだ怪鳥のような気合と共に繰り出した跳び蹴りは、ヘルメットから出てきた金髪に覆われた後頭部にクリーンヒット!
「マチュ!?」
「姉ちゃん! 助けに来たぞ!!」
驚く姉ちゃんにそう返しながら、あたしは止めを刺すべく倒れた変態の上に馬乗りになる形で飛び掛かる。
うん、乗った拍子にスカートが捲れてパンツが見えたけど、緊急事態だから気にしない!
そうして人中を穿つべく一本拳にした手を振り上げた、その時だった。
「……え!?」
あたしの頭にピキーンとひらめきが奔ったのだ。
唖然としながら見下ろすと、そこにあるのは私の顔を見て驚愕している金髪イケメンな変態の素顔。
「もしかして、えど…エドマエ兄ちゃん!?」
「エドワウよ、エ・ド・ワ・ウ」
素で間違えたあたしに姉ちゃんの容赦ないツッコミが入る。
「わ…私の事を忘れたのか、アルマリア!?」
あたしの発言にショックを隠し切れない様子のエド…エドワウ兄ちゃん。
いや、アンタが居なくなったのあたしが五歳の時だぞ。
憶えているワケないでしょ。
「っていうか、アルマリアって誰さ? 兄ちゃんだってあたしの事憶えてないじゃん!!」
「なにっ!? アルテイシア! この子に何も伝えていないのか!?」
「当然です。あんな事、今の私達には百害あって一利なし。伝える理由がありません」
「私達の両親の話だぞ!」
「それが災いの元だからそう言っているのです! 知らなければ、面倒事にだって巻き込まれずに済むでしょう!!」
私の言葉にエドワウ兄ちゃんは姉ちゃんを問い詰めるけど、セイラ姉ちゃんはそれをバッサリと切り捨てる。
なんだ?
お父ちゃん以外に偉い人が本当の両親だって話は聞いたような気がするけど、そんなに面倒くさい話なのか?
兄ちゃんと姉ちゃんの話に思わず首をひねるあたし。
けれど、それが拙かった。
「クッ! いい加減退きなさい!!」
「あわっ!?」
なんと兄ちゃんがブリッヂの要領で馬乗り上体のあたしを振り落とそうとしたのだ。
いくらジークンドーで鍛えていると言っても、相手は軍人になったっぽい大人な兄ちゃん。
押さえつけるのは無理があった。
「クッ! このぉっ!!」
けどあたしだって伊達に鍛錬を重ねているわけじゃない!!
立ち上がろうとしていた兄ちゃんの首に両足を絡めて、思い切り首を締め上げる!
「なっ!? むごっ!」
体勢の関係でこっちの股が兄ちゃんの顔にくっ付いてるけど、兄妹ならノーカンだ!
「あたしたちの事を妹だって言うんなら、今までのことを全部説明しろぉ!!」
正論と共にあたしは腹筋で身体を起こして兄ちゃんの顔面に拳を入れようとする。
「くっ! させるかっ!」
「ひゃあっ!?」
けど、兄ちゃんはそれより早く両手で左右からあたしの胸を掴んで体を起こすのを止めやがりました!!
「アルマリア! なんてはしたない事を!! うむぅっ!? あ…足を離せ!!」
「いやだ! 離したら兄ちゃん、逃げるじゃん!!」
こっちをぶら下げたままで兄ちゃんが立ち上がったために、なんともグッチャグチャな状態で意地を張り合うあたし達。
しかしそんな醜い争いも長くは続かなかった。
「フンッ!」
「ぐふぉっ!?」
気合の入った姉ちゃんの声に続いて、聞こえてきたのは兄ちゃんのくぐもった悲鳴。
そして兄ちゃんの体勢が崩れたのか、その反動で首に掛かっていたあたしの足が解けてしまう。
「うげっ!?」
頭から地面に落ちたあたしが顔を上げると───
「私の妹に何をしやがりますか! この破廉恥者!!」
「うごあぁぁぁぁっ!?」
あたしの目に映ったのは姉ちゃん渾身の右フックを顎に受けて吹っ飛ぶ兄ちゃんの姿だった。
すげぇ!
あれってお父ちゃんと観た『ロッキーⅣ』に出てきたドラコ並みの一撃だぞ!!
「私達と共に来てもらいます。そこでジオンと貴方の企みを全て絞り出してやるから覚悟なさい!」
ダウンした兄ちゃんに仁王立ちで宣言する姉ちゃん。
姉ちゃんのゲンコツは痛いから、これは勝負あったかな?
「冗談ではないッ!」
けれど、相手はあたし達が思っている以上にしぶとかった。
兄ちゃんはパイロットスーツの腰の部分から何かを取り出すと、地面に叩きつけたのだ。
するともうもうと立ち上がるのは黄色い色が付いた煙幕。
「ッ! 逃げるつもりですか、卑怯者!!」
「アルテイシア! アルマリアと共に安全な場所で暮らせ!!」
「どの口で言ってますか! このクソッタレ!!」
「姉ちゃん、どうどう。口調がエラい事になってるから」
兄ちゃんのあまりに自分勝手な言い草に怒りをあらわにする姉を、あたしは背中をポンポンと叩いて宥める。
ここで静かに暮らしていたのに、それを滅茶苦茶にした張本人があんな事を言ったらキレるのも仕方ない。
なんとか落ち着いた姉ちゃんと一緒に宇宙港へ戻ったあたし達は、テムおじさんに物資を拝借した件を報告した。
「そうだな。避難民を受け入れる以上、ホワイトベースの補給だけでは足りないモノが出てくるか。わかった。その件は私から上に報告しておこう、ありがとう」
そう言って頭を撫でてくれるテムおじちゃん。
うん、なんかお父ちゃんを思い出すぞ。
それから荷物運びを手伝ってくれる軍人さんと物資を保管庫へ入れたあたし達は、そのまま軍艦へと乗り込んだ。
もちろん、割り当てられたのは他の避難民たちがいる大部屋だ。
「マチュ!」
「アンナ! 無事だったんだ、よかった」
あたしの顔を見るなり駆け寄ってきたのは友達のアンナだ。
「お姉さんと一緒だったんだね。ここにいなかったから心配しちゃった」
「ありがと。アンナの家族は大丈夫だった?」
「私の方はね。けど、クラスの子の中には……」
そう言葉を切って表情を曇らせるアンナ。
コロニーの中にあれだけの被害が出たのだから仕方が無いのだろうけど、身内がそれをやらかした立場としては本当にやり切れない。
アンナが自分のお母さんのところに戻ると、あたしは姉ちゃんに声を掛けた。
「姉ちゃん、ジオンのシャアって知ってる?」
「ええ、赤い彗星の異名を持つエースパイロットよ。それが……まさか」
「うん。兄ちゃんの上に乗った時にビビってきた。きっと、そのシャアが兄ちゃんだよ」
あの時、いっぱいの戦艦相手に大暴れしている赤いザクが頭に浮かんだんだよね。
「そのシャアってさ、むこうじゃ偉い人なんでしょ? だったら、ここにあたし達がいるのが分かったんだもん。もう攻撃してこないよね?」
「……そうね。そうだったらいいわね」
いくらあたし達を見捨てて消えた薄情な兄ちゃんでも、さすがにそこまではしないだろう。
───そう思っていた時期があたしにもありました。
『宇宙港のドックに向けて接近するミサイル多数! ジオンの戦艦から放たれたモノです!!』
「……」
「…………あの野郎」
これには流石のあたしも絶句した。
容赦ゼロですよ、あの兄貴。
最後に言い残した『静かに暮らせ』とは、いったい何だったのか?
『ホワイトベースはまだ動けん! ガンダムを迎撃に出せ!』
けど、そんなショックも次の放送で見事に吹っ飛んだ。
ガンダムってたしか、アムロのアンちゃんが乗ってたはずだ。
いや、素人にミサイル迎撃とは無理ゲーでしょ!
心の中でツッコミを入れていると、コックピットの中でガチガチに緊張したアンちゃんの様子が頭に過った。
ダメだ、全然余裕がない!
あれだと出来る事も出来ないよ!
「ああもうっ!」
「ちょっと! マチュ!!」
あたしは避難民用の大部屋を飛び出すと格納庫へ向けて走り出す。
『ガンキャノンは出せんのか!?』
「無理ですよ! パイロットがいません!!」
『パイロット候補生は? リュウ・ホセイ曹長がいるだろう!』
「彼は戦闘機のみでMSの操縦経験はありません! その戦闘機だって実機じゃなくてシミュレーターのみ! ぶっつけ本番で出しても死ぬだけです!!」
辿り着くとテムおじさんが通信機を挟んで言い合いしていた。
「おっちゃん! あたしが赤いので出る!」
そう言うとテムおじさんは唖然とした顔になる。
「ば…バカを言うな! 子供を戦場に出せるわけがないだろう!!」
「だったら、アムロのアンちゃんはいいの!? アンちゃんだって民間人で子供じゃん!」
「ぐっ! それは……」
あたしの言葉に苦虫を噛み潰すテムおじさん。
アムロのアンちゃんはテムオジサンの子供だ。
彼が戦場に出る事をおじさんが平気なはずがない。
「みんな、自分のできる事を精一杯やってるんでしょ? だったら、あたしが赤いのに乗って戦うのも当然だよ!!」
「しかし……」
「それにアムロのアンちゃんはあたしのバディだ! 一人にしたら相棒の名が泣くよ……って、いったぁぁぁっ!?」
おじさんを説得している最中に頭に激痛が来た!
これは姉ちゃんのゲンコツだな!?
「いったい何の話をしているの!? 作業員の方たちは忙しいのだから邪魔をしてはいけません!!」
「あの赤いのをうごかしてたの、おっちゃんじゃなくてあたし! でもってアムロのアンちゃんがピンチだから、あたしも出て戦う! 以上!! 時間がないから説明は無し!!」
あたしはズキズキ痛む頭を我慢して、いつの間にか後ろに立っていた姉ちゃんにまくしたてる。
ここで言い合いになったらアンちゃんを助けに行くのが間に合わなくなるから、勢いで押し通さないと!!
「バディと言ったって、それはゲームの話だろう」
「ゲームでもだよ。アンちゃんだって、一人ぼっちより仲間がいた方が全然安心できるでしょ。それが何度も一緒に戦ったあたしなら猶更だ」
そう畳みかけるとテムおじさんは頭を抱えてしまった。
「私は子供が戦場に出る事がない様にガンダムを造ったんだ。なのにアムロだけじゃなく君まで……」
その言葉に、あたしは歴史の授業で習った旧世紀の戦争の事を思い出した。
二度の大戦や各地の紛争なんかだと、アムロのアンちゃんやあたしくらいの年の子供が銃を手に戦っていたらしい。
テムおじさんもその事を知っていて、このまま連邦がジオンに追いつめられると同じようになると考えたから強いMSを開発したんだろう。
「子供が兵隊に取られる前に戦争を終わらせる気だったんだね。じゃあ、アンちゃんのガンダムやこの赤いのって、ザクより強くて頑丈なんでしょ?」
「あ…ああ」
「だったら、おっちゃんの想いはあたし達を護ってくれるよ。それでアムロのアンちゃんと一緒に絶対帰ってくる。だからお願い!」
そう拝むとテムおじさんは深々とため息を吐くと、周りの整備員に声を掛ける。
「ガンキャノンを出すぞ! あと、子供用の宇宙服を持ってこい!!」
「おっちゃん……」
「子供の君に頼るのは情けない事この上ないが、今は他に手がない。ダメだと思ったらすぐに逃げてきなさい、そしてアムロの事を頼む」
「うん!」
そうして整備員の持ってきた宇宙服に着替えたあたしは、すぐにキャノンのコックピットに入る。
その時に他の皆が微妙な顔をしていたのは、あえて無視だ。
手早く起動シーケンスを終えてハッチを締めようとしたら、するりとコックピットに入ってくる影があった。
「姉ちゃん!?」
「私もいっしょに行くわ。ここまで来たら、もう止めても無駄でしょうし」
「いいの?」
「テム大尉には許可は取ってます、無茶をした時には止める為の安全弁としてね。──あなたを喪って一人で生きていける程、私は強くないもの。死ぬなら一緒がいいわ」
「いやいや、縁起でもないこと言わないでよ」
ため息を吐きながらハッチを閉めるとあたしは壁に備え付けられた武器へと手を伸ばす。
キャノンは砲撃戦用だからライフルやバズーカで火力を上げるか、それとも接近戦武装で遠近の隙を無くすか……。
「マチュ、あれにしなさい」
言葉と共に姉ちゃんの指さした先にある物、それは棘だらけのゴツい鉄球に鎖と持ち手が付いた酷く物騒なブツでした。
「……なにこれ?」
「正義の怒りよ。あの愚兄がシャアなら必ず出てくるはず。その時にコレを思う存分ぶつけてやるんです」
「正義の怒りにしては、殺意マシマシだと思うけど……」
とはいえ、あたしも大概無茶を通している身だ。
それを黙認してくれている姉ちゃんの頼みは断れない。
あたしはゴッツな武器、ハイパーハンマーを手にするとカタパルトへガンキャノンを乗せる。
『ガンキャノン、発進! 必ず帰ってくるんだぞ』
『りょーかい! それじゃあ、行ってきます!!』
身体に掛かるGと共に宇宙へ飛び出すガンキャノン。
「うん?」
スラスターを吹かせて前に出た瞬間、頭の中に兄ちゃんの声が響いた。
『見せてもらおうか、連邦軍のモビルスーツの性能とやらを』
大物感を醸し出す不敵なセリフを姉ちゃんも受信していたのか、コメカミに青筋が浮かぶ。
「いいわ、見せてあげる。私達姉妹が織りなす生き地獄を!」
姉ちゃん、やめて!
ハンマーをブンブン振り回さないで! やめろ、やめろぉぉぉおおっ!!