次から次へと! 少年魔導士の受難は続く   作:はるゆめ

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第二十一話 女は怖い

「ヒロア、十五歳になったら大人にしてあげるって約束してたよね」

「うん、イズミがいつも言ってた」

 

 これは……イズミの家……二ヶ月前、記憶が戻る前の俺……そうか明晰夢か。

 

「じゃあ目を閉じて」

 

 イズミは俺を優しく抱きしめ、頭に手を乗せてきた。

 

「怒らないでくれると嬉しいな」

「え、何? うっ」

 

 打ち上げ花火が何十発も炸裂したような情報の洪水が、俺の脳内を駆け巡った後、俺は気を失ったんだ。

 

 目を覚ました俺にイズミは全てを話した。

 

 帝国の最強最悪な魔導兵器『異次元転移魔導砲』の直撃を受けて、異なる次元にある地球へと飛ばされたイズミ。

 その影響で姿は少女へと変えられ、魔導が使えなくなっていた彼女は、孤児として扱われ、中本夫妻に里子として引き取られる。その後俺が通ってた小学校へと編入した。

 どういうわけか俺に目をつけたイズミは何かと絡んできていたわけだ。

 

 イズミが初潮を迎えた時、彼女の魔導が復活した。なぜなら代償は卵子。生命の根源を代償とするから、比類なき強力な魔導が使える。

 そしてどうやったかは不明だが俺の精液を手に入れたイズミはこの世界へと帰還した。

 

 ルウカの協力を得て、俺のクローンを作ったものの、それに魂は宿らなかった。

 イズミは諦めず、クローンを保管し、俺が日本で死んだタイミングで魂を召喚し、クローンボディへと定着させることに成功。

 

 こうして俺は日本でヒロアキとしての人生を終えると同時に、この世界で生まれ変わった。

 イズミは俺に教育を施しつつ、命を落としかねない試練(俺を滝壺に突き落とす)で魔導の発現をさせた。

 

 複数の魔導を精密に使えるよう特訓を受けた俺は、十二歳になる頃には大人の魔導士と変わらない威力と精度を使えるようになり、そのまま傭兵団へ預けられる。

 

「命のやり取りが精度を高めるから」

 

 笑顔でイズミは俺に言い聞かせ、最年少の傭兵として戦場デビューしたんだ。初めて敵兵を殺した時は、三日ほど飯が喉を通らなかった。

 殺らなきゃ殺られる日々を過ごしていくうちに、抵抗なく敵を殺せるようになった俺は、傭兵団で一人前の兵士へとなったわけだ。

 

 平民がこの世界で生きていくには農民か商人、そして傭兵しか選択肢はない。転移魔導が使える俺は、それが発覚したら最後、国によって飼い殺しにされる。

 

 イズミは俺が困らないように育ててくれたわけだが、そもそも二度目の人生を与えられたこと自体が俺にとっては罰ゲームもいいとこだ。

 

 ま、腐っていても何も始まらないから記憶が戻った後もヒロアとして生きていくことにしたわけだが、その後にあんなことがあるなんてな……。

 

 ───目覚めると寝る前と打って変わって俺がセルアにしがみつくような体勢になってた。

 

「起きたか。随分とうなされていたぞ」

 

 セルアに頭を撫でられてるのに気がつき、その手を払う。

 

「ろくでもない昔の夢を見てたんだよ」

「前に話してくれた子ども時代の、か?」

「そうそう」

「私には生まれ変わったヒロアの気持ちは理解してやれぬ。しかしこうやって寄り添うことはできる」

「……」

 

 歳下に慰められる恥ずかしさで悶絶しそうだが、今はセルアの胸に顔を埋めることにした。甘い香りに浸るのも悪くない。

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