次から次へと! 少年魔導士の受難は続く   作:はるゆめ

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第二十七話 合流

 見慣れた迷宮都市ディーザの路地裏から、海を一望する丘の上に転移した俺達。結構な規模の港を起点として、大小様々な建物が密集する都市が見える。全て石造りの建物で、外見からして軍の施設であると主張している。

 

 港には一目で軍艦と判別できる巨大な艦船が何隻も並んでいて、見る者を圧倒する。

 

「セルア、あれ軍艦だろ?」

「そうだ。帝国の最新鋭艦だな」

「詳しい皇女さまだよね」

「軍にいたのだ。海軍とも連携したことあるから当然だ」

 

 黒瀬も話に入ってきた。

 

「帆船じゃないんだ」

「俺もてっきりそうだと想像してたよ。あれ、現代のイージス艦に似たシルエットだ」

「イージス艦?」

 

 解説する俺。

 

「へー。その辺詳しくないから」

「砲塔もないし。武装は何なんだよ、セルア」

「自ら敵に向かう飛翔体を甲板から放つ」

「ミサイルかな。しかもホーミング」

「ヒロア、それ知ってる。自動追尾ってんだろ」

「そうそう。えらくハイテクじゃないか」

「それにしてもデカいな。大型フェリーぐらいある」

 

 黒瀬の言う通りだ。

 

「ああ。俺も出張で横浜や呉に行ったことあるけど、あそこで見た軍艦(ふね)と比べても、かなり大きい」

 

 黒瀬と二人で動力についてあれこれ話こんでいると「優子、ニホンの男は皆こうなのか?」セルアが半分呆れ顔で優子に聞いている。セルア、それは違うぞ。

 

「セルアさん、皆がそうじゃないわ。黒瀬君もヒロアさんも時々見かける趣味に夢中になるタイプなの」

「優子、ストレートにオタクって言ってもいいぞ」

「オタク? ヒロア、それ何だ?」

 

 そうだった。黒瀬達がいた頃はオタクという言葉がなかったんだ。

 

「マニアと同じか、それより悪いイメージで使われてる言葉かな」

「マニア……まぁそうだな」

「ふふっ。黒瀬くん、よく揶揄われてたわね」

 

 おお黒瀬、お前もか。俺もだよ。

 

「ふむ。それなら私も心当たりがある。魔導研究者の中には、そんな風に話すのがいたな」

 

雲行きが怪しくなってきたので、俺は仕切り直す。

 

「ごめんごめん。それじゃ今夜の寝床を確保しておこうか」

 

 丘の後ろに広がる森へと入り、都市から完全に死角になる位置へキャンプ地と決める。

 その後は全員で手分けして薪や寝床になる木の枝や枯れ葉を集めていく。

 俺はカマドを拵える。石を多めに積んでおき、焚き火で熱したそれらを土に埋めて床暖房とする。海風もあってここは夜冷えると思ったからだ。

 

「ヒロア、詳しいな」

 

 黒瀬が感心したように言う。

 

「子どもの頃は親父に連れられてよくキャンプしてたんだ。こっちでも傭兵は野営がデフォだし」

「最初は地面の上でまともに寝られなかったよ」

「だろうなぁ。慣れないうちは起きたら体が痛いし」

 

布団生活をしていた日本人が地べたで寝るのはハードルが高い。携行できるマットを売り出せば、軍や帝国以外の国にいる傭兵達、行商人には飛ぶように売れる気がするが、同様のものが普及してないってことはそうなんだろう。俺みたいな凡人が閃いたってことは、先人も同じように思いつく。

 

 簡易的なシェルターを作り上げ、早めに夕食を済ませ俺たちは眠りについた。

 途中、猪に似た獣が近寄ってきたが、優子が瞬殺した。

 

 翌朝、朝食を済ませ、俺と優子は住宅街っぽい場所へ転移した。セルアと黒瀬は留守番だ。こういう場合、人目に触れず影へと潜伏できる優子が活躍する。彼女には軍関係の施設へ、俺は街の外れにある歓楽街へと向かった。

 

 軍がいるところには必ず色街がセットなのは、どこの世界でも同じ。

 

 セルアには睨まれたけど、娼館をハシゴして娼婦達から情報を集めた。浮気じゃないぞ。そしてこの時ばかりは若い肉体に感謝だ。

 

 こうして集めた情報を全員で共有した。

 

「何の変哲もない村人が突然化け物に変身して襲ってくるそうだ」

 

 実際に襲われた海兵が酒に酔った勢いで娼婦に泣きながら話したネタだ。トラウマものだろう。

 

「軍の記録を調べたら、損害は数十名ね。普通に剣や槍で殺せるけど、それが通用しないのも報告されているわ」

 

 優子の情報は不穏だ。

 

「なあ、黒瀬、お前の仲間大丈夫か?」

「遅れをとるようなことはないと思うけど……」

「早めに合流した方がいいだろう」

「それは、まぁ」

 

 フゥジィ、その二人の位置はわかるんだよな?

 

『内陸の森林にいるわ』

 

「よし、全員で迎えに行こう」

 

 景色が大木が並び立つ森の中へと変わる。

 そこにいたのは、トレーナーにジーンズといかにもな昭和ファッションの男子がいた。

 

 彼は「ひっ」と声をあげて尻餅ついた。驚かせたみたいだ。

 

「キリオカ君? どうしたの?」

 

 すると彼の後ろにある、木の枝で作ったシェルターから制服姿の女子高生が出てきた。俺達を見ると急に笑顔になって「黒瀬先輩! 佐藤さん!」と駆け寄ってきた。髪が腰まであるスレンダーな美少女だ。

 

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