次から次へと! 少年魔導士の受難は続く   作:はるゆめ

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第三十八話 再会

 朝だ。

 

 昨夜、俺達は遅くまで話し込んだ後、入り口を施錠し(これは謎の立方体オブジェを河野さんが調べて操作した)全員で雑魚寝した。

 

 一番に目が覚めた俺は、皆を起こさないように足音を殺して外に出る。

 山の頂より少しだけ顔を覗かせた太陽が、周囲の針葉樹を照らしている。俺が好きな時間だ。

 

「ちょっと肌寒いな……」

 

 冷んやりした空気を目一杯吸って独り言。この辺りは秋も深まった感じか。

 足音に振り向くとセルア。

 

「おはようさん、もう起きたか」

「広い場所だとあまり眠れない……」

 

 そう言いながら体を密着させてくるセルア。

 

「少し寒い。ヒロアは温かいな」

「男だから体温は高いぞ」

 

 頭を俺の肩に預けるセルア。誰も見てないから好きにさせとこう。

 

「もうすぐ黒瀬達ともお別れだ」

「うむ。報酬以上の働きをしてくれた」

 

 帝国の領内に入ってから、特務部隊に狙われることはなかったが、代わりに変なのに絡まれたんだよな。

 

 何故かこの惑星(ほし)に転移させられ、フウジィに魔導を与えられ、己の力を過信して思い上がった少年ヒガキ。

 挙句、帝国が用意したフウジィもどきと戦って命を落とした……。自業自得とは言えまだ子どもなんだから哀れだよ。

 

 そしてフウジィをカテレル・コストロという神と間違えて召喚した集合型生命体。

 俺の予想だが霊峰の古代遺物を使って宇宙船を作りたいと望むエイリアン。ま、生態からして寿命が長そうなんで百年ぐらいはなんてことないんだろう。

 

 そして帝国の戦艦を襲った巨大な海蜘蛛。次元を超えて侵食していく生命体。まいったね。俺は日本で平和に暮らしていたが、あんなのが地球へいたなんて。黒瀬達がいなかったらどうなっていたんだろう。

 

「考え事か?」

「ああ。ここまで色々なことがあったなって」

「そうだな。皇宮で暮らしていたら知り得ぬことばかりだったな」

 

 皇帝はあの海蜘蛛を始めとした奴らのことを把握してるんだろうか。もう他人事でもない。

 迷宮都市でガロウやベレタ、ルサ達と知り合ってしまったんだ。

 

「何とかコネ作って、セルアのこと見逃すようにできないものか……」

「ふふ……。ヒロア、民衆は常に信奉する対象を求める傾向がある」

「あるよなぁ」

 

 地球でも古今東西、人がいる場所には必ず信仰が生まれる。

 

「絶対的な力を持つ存在、それも目にすることができるドラゴンは、皇帝にとって神より厄介だと思っている」

 

 そうだよなぁ。目に見えず声も聞こえない神より、実際に存在するドラゴンの方に縋る心理……わかる。

 

「いくら弾圧しようとそれは止められぬ」

「セルアはここにいるドラゴンよりも脅威ってわけだもんなぁ」

 

 想像してみる。セルアがドラゴンに姿を変えて『我を崇めよ』とか言いながら、人々の頭上を飛び回ったら……。

 そんでもって各地で人助けとかした日には、皇帝の支配体制を脅かすセルアドラゴン信仰が誕生する。

 

 そして反皇帝派閥なんてのがいたら、彼らにとってセルアは最高の神輿になる。

 

 うん。無理だな。

 イズミがセルアを連れて霊峰に行けって言ったのも、これしか選択肢がないからだし。

 

 わかってたよ。何度も考えたし。けど不安材料は少しでも減らしたいんだよ、俺は。

 帝国は航空機を飛ばすことができるし、ミサイルも実用化している。

 ここを襲撃する可能性は決して低くない。

 

 ま、ゆっくり考えるとするか。

 

「とりあえずは、黒瀬達の送還だ」

「そうだな」

 

 すると後ろから声をかけられる。

 

「お元気そうですね、二人とも」

 

 国境近くの村で別れた囚われのドラゴン、ミィタが笑顔でそこに立っていた。

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