「あっと、お前達、いやお前か? 言っておくことがあるんだが」
俺とセルアを手厚く世話する十人の男達、いや集合型生命体に話しかける。
「カテレル・コストロは俺の中にいないぞ」
こういうことは正直に言っておくに限る。
「ええ。そのようですね」
「カテレル・コストロは気まぐれな神」
なんてことない風に返される。
「あー、その、いいのか? 俺はもう無関係なんだぞ?」
治療はありがたいが、誤解されたままってのも座りが悪くて落ち着かない。
「いいえ。気まぐれな神のこと、再びということもあるでしょう」
「そもそもドラゴンに依頼されたことです。お気になさらず」
「そうか。なら遠慮なく世話になる」
俺もセルアもまともに歩けそうにないから、彼らの世話はとてもありがたい。
「そう言えばお前ら、帝国民じゃないよな」
服装からして帝国の人間ではない。この大陸では珍しい前合わせの上着を羽織っている。
「はい」
「我々はここよりさらに北の王国から来ました」
帝国だけじゃなく他国にも根を張ってたのか。
「カテレル・コストロから聞いた。他生物のDNAをコピーして成り代わり、そうやって増えていくと」
「その通りですが……DNAをなぜ知っているのです?」
「その概念は未だないはずですが」
そうだったな……。まっいいか。こいつのことをあれこれと訊くんだ。自分のことも言っておこう。
「俺はさ、ここでは違う次元に生きていて死後、魂をこっちのこの体にインストールされた」
男達が一斉に目を見開く。少し不気味だ。
「そのような技術がこの
「ありふれた技術じゃないぞ」
「そうでしょう」
「だから生前の世界の常識としてDNAは知っている」
「文明到達レベルをお聞きしても?」
「えっと……有人探査機を衛星には送ったが、系内惑星はまだ難しい。隣、第四惑星には近い将来なんとかなりそう。ブラックホールは観測している。ヒトゲノムは解析済みだ」
「なるほど」
「カテレル・コストロはお前達に干渉するなと言ったが、俺は違う。せっかくの再会だ。聞きたいこともあるしな」
「ドラゴンの覚えも良いヒロアさんに恩を売る絶好の機会、我々の情報などいくらでも提供しますよ」
エイリアンとはいえ敵意や害意がない相手だ。色々と話をしておこう。
───ヒロア達がいる霊峰より遠く離れた王国。ヒロアの育ての親であり、ヒロアを転生させた“殲滅の魔女”イズミの屋敷、その一室。
「何も見えなくなって、復帰もしない。あの邪神にダメにされたようね」
彼女がヒロアに片時も外さないようにと渡した首飾り。それには映像や音声をモニターできる機能があった。
「どうしたものかしら。私が出向いてドラゴン達を無駄に刺激したくないし」