バシトゥンサーマダル王子一行を見送った俺は客室の清掃に取り掛かる。布団を担いでロビーへと降りると、洗濯屋が既に待っていた。
「ヒロア様」
丁寧にお辞儀する二人組。
「おう、早いな」
体格の良い男と華奢な女の二人組。彼等は例の集合型エイリアンだ。
「しばらく客の予定は無いからいつも通りで頼む」
「承りました」
「頼むぞエックス」
彼らに名前を尋ねたところ、固有名詞は無いというので俺はエックスと名付けた。由来はカルト的人気を誇るあの映画。
「ヒロア様、“エックス”とはどういう意味でしょうか」
「よろしければ教えてください」
俺はその映画に登場する怪物のことを話してやる。
「なるほど。生物としての有り様が驚くほど私に似ていますね」
「俺も最初は驚いたさ。ま、お前が凶悪な性格でなくて良かったよ」
「私が取り込めるのは死んだ生き物だけですから」
エックスが言うには『わざわざ殺戮を行なってまで数を増やす必要がない』そうだ。男女を組み合わせて生殖するだけで増えていく。そうやって数を地道に増やしていけばこの
でもこいつはそれをしない。
ついでだ。
エックスの望み、訊いてみよう。
「フウジィに『帝国を退ける力を』って頼んでたよな」
「あの夜のことですね。その通りです」
男も女も全く同じ表情で俺を見る。
「取り返しがつかない事態にならぬよう、私はこの
「魔導を?」
「私はこの
「
「あなたの魂が元いた
「……ないよ」
「魔導に似た力を持つ生物はこの宇宙には無数に存在します。しかしこの
超能力とか、そんなものか?
「この
!
なんとなく感じていた違和感。
それの正体。
ああ、俺もこの
「……確かに少ないな」
「そうでしょう? 生物の多様性と引き換えにこの星の人間は高次元存在の力を引き出して使っています」
女の方が俺の顔を覗き込む。何の感情も見えない瞳で俺を見つめている。
「この星の人間がもう少しだけ世の
「それは……」
「あなたがいた
「っ!」
「魔導ならば重力特異点を作り出すことも容易いことです」
「ブラックホールか!」