キエテ、コシ、キレキレテ。
「 ハァッ、ハァッ、ハァッ・・・ 」
深夜、暗がりの街の中を一人の少女がその桃髪を揺らして何かに追われるように息を切らして駆けている。
「 くそっ、くそっ、くそっ・・・!! 」
黒崎コユキは今かつてないほどに焦っていた。彼う女自身追われることには慣れっこだが、今度の追っては少し変わっていた。
『 フォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッ・・・ 』
不気味な声が、闇の中から怪しげに聞こえてくる。今回彼女を追うのは、得体のしれない何者かだ。
いつものセミナーの先輩や、C&Cのメイドたちとはわけが違う、これまで感じたことのない恐怖をコユキは感じていた。
「 なんなんだよコイツ!どうしていっつもこんな目に・・・うわ!? 」
コユキの前方にその黄色い目が光る。
後ろにいたはずのヤツはいつの間にか彼女の前に回り込んでいたのだ。
「 いつの間に・・・あぁ!? 」
それから逃げようとしたコユキであったが、自身が包囲されていることに気づく。
無数のそれが、群れ、彼女を中心とし円を作っていた。
そして、聴きたくなくても聞こえてくる、あの笑い声。
『 フォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッ・・・ 』
「 うわぁぁぁぁぁぁああああああ!! 」
夜の街、ミレニアム自治区の真ん中で、少女の悲鳴が木霊した。
その翌日。早瀬ユウカは、またあの博物館に来ていた。以前、ゴメテウスについて教えてくれたあの男に一度礼をいっておきたいと思ったからだ。
彼は、ほぼ毎日ここに来ているといっていたので、ひょっとしたら、バッタリ会えるかもしれない。
彼とはモモトークも交換せずに別れてしまったので、いつ何時この博物館に来るかは分からないが、まぁ、探してみようとユウカは館内をみて回ることにした。この博物館は、古生物を専門的に扱っているので、そこら中骨格だらけだ。
ティラノサウルスに、トリケラトプス。そして、ゴメテウス。
それを見ながら、ユウカは先日のことを思い返していた。
思えば、怪獣とは危険な生き物である。あれがゴメテウスであってもなくても、生徒に危害を加えようとした以上、調べるにはもう少し慎重になるべきだった。あの白黒の怪獣がでてこなければ、今こうしてこの場に立っていなかったかもしれない。
あとは、あの男のことも気になるところだ。
それにあの晩、彼は収斂進化について触れ、トレーニング部のみたあの怪獣が、ゴメテウスではないのではという可能性を指摘した。実際その通りだったが、彼は何故、ゴメテウスとは違うと思えたのだ?
生物学的観点からみて、火を吹くという点でそう考えたのだろうが、何処か引っかかるところがあった。
「 おや、前に見た顔だね。 」
後ろから声がして、見ると、やはりだ。探していた男である。
「 こんにちは。こないだは、ありがとうございました。 」
ユウカは深々と頭を下げた。
「 何、オレは知ってることをいったまで。で、どうだった?怪獣は? 」
「 はい。それがですね・・・ 」
ユウカは、件の怪獣がゴメテウスではなかったこと、また別の怪獣が、自分たちを助けてくれたことを教えた。
「 そうか。やはりゴメテウスではなかったか。それにその白黒の怪獣も、気になるところだ。 」
「 あの怪獣のこと、なにか知ってませんか? 」
「 さあね。だが、そのゴメテウスもどきは知ってる。 」
「 なんていうんですか? 」
「 アーストロンだ。別名を凶暴怪獣といって、鉄を主食としている。最大の武器は、知っての通り口からの火炎放射だ。ゴメテウスと同じく後頭部に角があるから、そう思い込んだんだろう。 」
「 アーストロン・・・恐竜の生き残りとかじゃ・・・ 」
「 それらしい生物ではある。厳密には恐竜というか、それに近しい生き物を起源とする巨大な爬虫類、てところだ。 」
「 恐竜に近い巨大な爬虫類? 」
「 古代ペルム紀に君臨したとされている・・・ 」
その時、ユウカのスマホからモモトークに着信を知らせる音楽が発せられる。
「 あっ、すみません。私です。 」
そういってユウカは、男に背を向けて、電話にでた。
「 ノア、今度は何? 」
電話越しの親友の声は、多忙な少女にさらなる怪奇事件の発生を告げた。
「 はぁ!?今度は怪人がでたですって!?
・・・わかったわ。すぐ行くから。 」
そういって通信を切ると、ユウカは男に向きを変えた。
「 すみません。急に用事が入ってしまって・・・ 」
「 構わないよ。続きはまた後日か? 」
「 はい。よろしければ。あ、モモトーク交換しましょう! 」
「 ん、いいよ。 」
ユウカはそういって、男にスマホの画面のQRコードを読み込ませた。
画面にはアンキロサウルスの画像と、『 相沢 』とでた。
「 相沢・・・さん、ていうんですか? 」
「 そうだ、早瀬ユウカさん。 」
「 ユウカでいいです。 」
「 わかった。では、健闘を祈るよ、ユウカ。 」
「 ありがとう御座います。では、また。 」
ユウカはそういうと、博物館の出口へ駆けていった。相沢は彼女の通話中の一言を気にしながらも、その後ろ姿を見送るのだった。
( 怪人。十中八九人間ではないな。 )
ミレニアム校舎に戻ったユウカは、ノアから事の詳細を聞かされていた。
「 目撃者がいうには、夜間に用事で外出していたときに、なにかに追われたそうよ。かろうじて見えたらしいんだけど、セミの怪人だったんですって。黄色い目が暗闇の中で光ってたらしいわよ。 」
「 なにかの見間違いとかじゃないの?自然保護区から迷い込んだクマとか。 」
「 クマだったら笑い声なんかあげないわ。 」
「 笑い声? 」
「 そう、笑ってたみたいなの。フォッフォッフォッフォッフォッ・・・って。 」
ユウカは想像してみた。突然闇の中からノアのいうような笑い方をしながら、追いかけてくる黄色い目のセミの化け物。確かに怖い。
「 天文学部は宇宙人じゃないかっていってたわ。詳しくはあとで聞いてね。 」
「 怪獣の次は宇宙人ねぇ。C&Cは? 」
「 礼に溺れず別件ですよ。 」
「 はぁ~・・・ 」
ユウカは溜息をついた。ミレニアムの精鋭たちがいないとあっては、やはり自分が出張るほかなくなってしまうからだ。
「 怪人、ですか? 」
「 そうだ。なにか知らないか? 」
一方、相沢はユウカの『 怪人 』という発言が気になり、昼食に寄ったラーメン屋のカウンターに座り、店員に話しを聞いていた。
「 うーん・・・ 」
「 すまないな。変なこと聞いたか? 」
「 いんや、最近夜中にへんな声を聞いたって方が多くてですね・・・ 」
「 へんな声? 」
「 なんでもフォッフォッフォッフォッて笑ってる声だったらしいですよ。気味悪くてみんなそろいも揃って回れ右して逃げだすものだから、誰一人として全貌を知らないそうな。宇宙人じゃないかって噂になってますよ。 」
「 なるほど、それは奇っ怪な。 」
「 お客さん、そういうのお好きで? 」
「 まあね。怖いもの見たさかもな。 」
「 ほどほどにしないと、痛い目見ますよ。はい、塩ラーメン一丁。 」
店主の差し出した丼には、熱い脂の浮いた出汁に漬けられた麺や卵、チャーシューである。
その臭いとボリュームが、食欲を引き立て、相沢は手を合わせた。
「 いただきます! 」
何事も腹が減っては戦はできない。己の好奇心よりも先に、己の腹を満たすことが肝要だった。
フーッと一息を吹きかけて、相沢は麺をすすり始めた。この場合、多くはズルズルと音を立てるが、彼はできる限り、静かに麺を口に入れて、咀嚼している。
「 お客さん、だいぶお行儀がいいようで。 」
「 食の場では、みっともない様を見せるなと教えられた。 」
『 続いてニュースです。先月のシャーレ先生の死亡事故を受け、連邦生徒会は・・・ 』
「 またこの話しか。もう連中がどうしようが変わらんだろうに。 」
備えられたテレビに映る、白い制服のメガネの少女。店主は最早糞の役にも立たぬ連邦生徒会にうんざりしている様子だ。そして、座っているのがカウンターなので、直接画面をみることはできないが、スープを啜る相沢の眼は、僅かながらも殺意を孕んでいた。さながら少女を親の仇のように見ているかのように。
「 ごちそうさまでした。 」
代金を払い、ラーメン屋を後にした相沢はモモトークでユウカと連絡をとる事とした。
『 さっきの話しの続き、といいたいが、一つ気になる事がある。 』
『 なんでしょう? 』
『 最近の怪人騒ぎ、その犯人は宇宙人であるという見方があるらしい。 』
『 丁度その案件の仕事をするとこです。 』
『 そうか。 』
『 ウチの天文学部が先日、隕石を観測したそうなのですが、その落下地点を探しに行ったところ、なにもなかったそうです。 』
『 なにもなかった。大気圏突入時の摩擦熱で燃え尽きたとかか? 』
『 普通ならそう考えられますが、なんでもクレーターが広がってたそうですよ。そこからあった筈の隕石が丸々無くなってたんだとか。件の怪人はその後日から騒がれてるんです。 』
『 なるほど。落ちてきたのが隕石ではなく、エイリアンの宇宙船だといいたいわけだ。 』
『 そうなりますね。でも、宇宙船は? 』
『 何処かに隠してあるとか。 』
『 ありえますかね? 』
『 あり得る。相手が宇宙人なら、別の惑星から来たことになるだろ。宇宙を行き来できる文明レベルなら、現地人にバレないように隠せる工夫が凝らされてても、なんも可笑しくないじゃんか。
ところで・・・ 』
『 ? 』
『 仮に相手が宇宙人だとしてどうする? 』
『 決まってます。コミュニケーションを取るんですよ。宇宙語で。 』
『 宇宙語。アレを当てにするのか? 』
『 キヴォトスらしく乱暴な真似をするよりも、ずっと合理的です。では。 』
『 健闘を祈る。 』
ユウカのトークが途切れたあと、相沢はスマホである人物に連絡を取ることとした。
「 オレだ。久方ぶりだな。キヴォトスの暮らし?まぁ、うまくいっている。それよりも、少し聞きたいことがある・・・ 」
その晩。辺りを漆黒の夜の帳が降りた街の中。
「 この辺りよね。例の怪人が目撃された場所。 」
何処か不気味で心細くなりながらも、ユウカは暗闇の中で、あの笑い声が聞こえてくるのを、じっと待っていた。
そして、そのときは思っていたより早く来た。
『 フォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッ・・・ 』
「 きた! 」
ユウカは身構えながら、こう唱えはじめた。
「 キ、キエテ、コシ、キレキレテ・・・ 」
宇宙語で私、君、友だちという意味である。敵意はないと示すには、これ以上ない言葉だ。自身を囲み始めたその怪人に対して、ユウカはもう一度唱えた。
「 キエテ、コシ、キレキレテ。 」
その宇宙人はなおも、彼女の言葉に反応を示さない。ならば、もう一度。
「 キエテ、コシ、キレキレテ! 」
『 フォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッ・・・ 』
ようやく、ユウカの意思が届いたか。
突如、宇宙人は彼女の前にその姿を顕にした。
セミのような顔。何を考えているかうかがいしれぬ黄色い目。そして、特徴的なカニのようなハサミを片方あげて、下げた。
銃を下ろせ、といいたいらしい。
その意志を汲んだユウカは得物、いつも使っているサブマシンガンを下ろした。
そして、宇宙人の後ろから人影が。
それは彼女にとって、馴染みの顔であった。
「 コユキ! 」
黒崎コユキ。ユウカの後輩だ。その性格のせいでセミナーをクビになってからというもの、行方を晦ましていたが、こうして今、ユウカの前に立っている。しかし、そんな彼女はいつもと様子がおかしい。ユウカにはまるで反応していない。そして、コユキの口から、こう発せられ、ユウカは驚愕した。
「 君の、宇宙語はわかりにくい。 」
「 !?何言って・・・アンタコユキになにしたの!? 」
後輩が、目の前の宇宙人になにかされたことを察したユウカは、声を荒げる。コユキは気にせずこう続けた。
「 君の宇宙語はわかりにくい。ので、この娘の、脳髄を借りて、君たちの言葉で話す。安心したまえ。用が済めば、解放する。 」
こうして、ユウカと宇宙人のコユキを介した対話が成立した。
宇宙人はバルタン星人というらしく、彼らの母星、バルタン星は、ある科学者の実験によって荒廃してしまったらしい。住む場所を失った彼らは新天地を求めていたところ、機械トラブルによってこうして地球に不時着したのだという。
「 住む場所に困ってるなら、火星とかじゃ駄目なの? 」
「 火星には、我々の苦手な物質がある。住むにはあまり適していない。 」
「 そうなら、ここで暮らすことを打診してあげる。この街のルールに従うのなら。 」
「 ルール? 」
「 このキヴォトスでは、他人を殺してはいけないのよ。 」
「 何故、他者を殺してはいけないのか。キミが手に持っているのは、人を殺すための道具だろう? 」
ぐうの音もでぬ正論だ。彼女たちキヴォトス人はその並外れた耐久力から銃弾程度では致命傷と成り得ないので忘れがちだが、銃とは、人殺しの道具である。
本来ならば、ユウカぐらいの少女が持つべきものではない。
「 ここでは、みんな極端に死を恐れているのよ。殺人は重罪よ。 」
「 何故死を恐れる。キミたちは他者を傷つけたくて、殺したくてそれを持っているのだろう? 」
「 人は死ねば、永遠に失われるからよ。もう、会えなくなるからよ。生命とはそういうものなの。
だから殺しちゃいけないの。
どんなに偉くったって、強くったって、誰かの明日を奪う権利なんか、誰にもないんだから。 」
いつの間にか感情的になっていたユウカの脳裏に浮かんでいたのは、喪われた恩師の顔だ。
先生はまさしく太陽のような人だった。だが、何処ぞの馬鹿どものせいで、それを二度と見ることはできない。彼が死んだあの日、ユウカは改めて死というものが如何なるものかを知った。
しかし・・・
「 わからない。生命とはなにか。 」
この異邦人は、そう言い放ってみせた。ユウカはその一言に呆然としていた。
「 我々は、意識、記憶を共有する。こうして話している内容も、母船の同胞たちにも知れ渡っているのだ。故に、我々は、死というものに執着しない。一個体が滅んでも、その要因を改善し、バルタンの民はさらに増え続ける。キミたちが生命にそこまで執着する気持ちを、我々は理解できない。 」
「 な、なんですって・・・ 」
「 そして、我々はこの星を気に入った。気候は住むのに最適、自然環境もそこそこ良い。我々はこの星がほしい。故に武力を行使することとし・・・ 」
バルタンがハサミを開いて向け、それに対してユウカが銃を構えたその時、バァーンという銃声とともに、バルタンの頭部を貫通した。
誰かの狙撃だ。
宇宙人はその場に仰向けに倒れる。
誰かが自分を助けてくれたらしい。が、一体誰が撃った弾丸であろうか。このミレニアムで狙撃手といえば、C&Cの角楯カリンであるが、今彼女たちは別件でいないと既にノアから聞いている。
そしてモモトークに新しくメッセージが書き込まれていた。
『 ユウカ! 』
「 あ、相沢さんから!? 」
『 その子を連れて今すぐ逃げろ。 』
「 え!? 」
『 そいつらはもとから侵略目的で地球に来たんだ! 』
ユウカは察した。先ほどの狙撃は、相沢のものだったのだ。しかし、倒れているバルタンはこう告げた。勿論、コユキを介してであるが。
「 無駄だ。私を殺しても、第二第三のバルタンが、我が宇宙船より現れる。この地球は、我々のものだ。 」
『 急いで逃げろ! 』
再び銃声がして、今度こそバルタンは息絶える。コユキもバタリとまるで頭上から垂れたピアノ線が切れたかのように倒れる。彼は今、離れたところからバルタン星人を撃ち、自身を逃がそうとしてくれているのだ。何故そうまでしてくれたかは分からないが、今は彼の言う通り、逃げるしかない。さっきのやりとりでユウカは、目の前のこの宇宙人は自分たちと価値観が合わず、さらに侵略まで企てていることを知った。コユキにもこれ以上危害が加わるまえにこの場から退散すべきかもしれない。
『 早くしろ! 』
『 はい! 』
コユキを抱きかかえて、ユウカはその場から走り出した。
「 あ、あれは!? 」
藍色の空から、なにかが降りてくる。タマネギを薄く潰したような形状でマンガの吹き出しでみるような、ギザギザの模様が描かれている。
明らかに、地球人の作ったものではなかった。
「 嘘でしょ!? 」
それから、なにかが降ってきた。
さっきもみたシルエット。バルタン星人だ。
遠目からでも、段々と大きくなっていってるのがユウカにもわかった。やがてそのサイズは、街の建物を見下ろす程になった。
『 フォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッ・・・ 』
あの暗がりから聞こえた不気味な笑い声が、夜の街に響く。
バルタン星人はそのハサミから光弾を発射して、建物を攻撃し始める。セメントが砕けて、夜景に火の手が上がる。
事態を察知した生徒たちは手持ちの重火器で攻撃するが、あまりにもサイズが違いすぎるのか、まるで効き目がなく、バルタン星人は容易く彼女らを蹴散らすのだった。
「 なんということだ。バルタンめ。 」
相沢は高台にスナイパーライフルを構えて、スコープ越しにその惨状を目撃していた。
彼は連絡をとった仲間からある事を聞かされて、こうしてここでバルタン星人を狙い撃ったのである。
その事実とは、
『 星外にでているバルタン星人は、母星から追い出された過激派であり、住みよい惑星の侵略を企てている。 』
とのことだった。
この宇宙に住む宇宙人は、価値観にズレが生じているのは珍しくもないが、バルタンは他の多くの惑星からも警戒されている、要注意人物なのだという。
この時彼は、ユウカとバルタン星人のやりとりを知る由もないが、確かに住むのならば、彼女の言う通り、火星で妥協する手だってあった筈だ。だがこの宇宙人は自身の話した通り、宇宙の中でそこそこ環境の整った美しい地球に魅了され、それを欲しこうして現地人に攻撃を企てている。
放っておけば、あの危険なエイリアンの地球進出を許すこととなる。
それだけはどうしても避けねばならない。
相沢はアーストロンの時と同じく、懐からあのデバイスを取り出し、叫んだ。
「 行け、エレキング! 」
『 バトルナイザー、モンスロード! 』
バトルナイザーから飛び出した光体が光り、バルタンとはまた別の巨影が姿を現した。
「 キイィィィイン!! 」
エレキングは口から三日月状の光線を放ち、バルタンを転倒させる。そこから立ち上がったバルタンに、尻尾を巻きつけ、電撃攻撃をお見舞いする。
「 やはりな。素早い分、打たれ弱いか。 」
その目から光が失われたのを察し、エレキングが尻尾を解くと、バルタンは力なくその場に倒れ伏す。
すると、宇宙船から、また新たなバルタン星人が姿を現した。
「 なるほど無限湧きか。なんと末恐ろしい。 」
『 フォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッ・・・ 』
バルタンはエレキングを取り囲むように、分身し、ハサミからの光弾による、全包囲攻撃を展開する。
「 キィィイン!? 」
エレキングは弾幕に晒され、痛がる素振りこそ見せるが、それの実体が一つだけだと知っていたか、尾に電気を纏わせ周囲を薙ぎ払う。
バルタンが消え、一体だけふっ飛ばされ、地面に倒れる。
「 エレキング!先ず宇宙船の方を潰せ! 」
相沢の指示を受け、エレキングは口から三日月光線を放つ。
それはバルタンの宇宙船に命中し、炎を上げて墜落、爆破せしめた。
『 ・・・! 』
バルタン星人は呆然とし、エレキングは勝ち誇るかのように、両手を上げて、彼の仕草を真似していた。
「 トドメだ。 」
口から放たれた三日月状の光線四発が、バルタンの身体を爆破した。
「 戻れ、エレキング! 」
エレキングは勝鬨をあげて、光となり、バトルナイザーに戻る。
安堵した相沢は懐からタバコを取り出し、ライターで火を点けて一服し、心を落ち着かせた。
「 もう来るなよ、セミ野郎。 」
一部が壊された街の中、桃髪の少女を介包するユウカをみた後、ライフルを片付けて彼はその場を後にするのだった。
ということで、今回の敵怪獣、というか宇宙人はご存知バルタン星人。
ウルトラマン第二話「 侵略者を撃て 」より初登場し、その後も本編に二度も登場し、その後のシリーズにも度々現れ、メディア露出も多く、いまでは一番有名な宇宙人といっても過言ではないキャラクター。
これから怪獣宇宙人をだしていくに際して、まずメジャーどころをいくつか押さえておきたいと思い、出してみました。
原作のアラシ隊員の役割を、コユキにやらせたのは、アイツならなにやってもいいと考えたからです。
次話も、バルタンほどではないが、有名どころを出しますので、どうかご期待ください。