デレマス 短編集   作:柊真夜

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初投稿です。


一ノ瀬志希
一ノ瀬志希①


 僕は一ノ瀬志希という絵画を見た気がする。いや、むしろ彼女をそうとしか見ていなかったのかもしれない。その点では、僕も彼女の周りにいる、彼女を頭脳や顔だけで見る人たちと同じなのかもしれない。

 彼女はいわゆる天才だった。これこそが彼女を占める属性だと多くの人は思っただろう。しかしまじかで、もっと言うとルーペで見るような感覚だと、彼女はむしろ白痴のようにふるまったり感じたりしている。それを証明するための記録のようなものだと思ってくれていい。

 

 

 

 

 

 

 ある春の日のことだった。今日もけだるく学校に登校して、席について深くうなだれているとクラス内が騒がしいことに気付いた。こうしたことに首を突っ込むのは藪蛇を起こすかもしれないから、あまり関わりたくもないがそうではなかった。

 同級生で何回かしゃべったことのある新山君がこちらに来てしゃべりかけてきた。

 

「今日、転校生が来るみたいだよ。しかもけっこうカワイイみたいだよ。まあ、僕はあまり興味はないけどね」

 

 新山君はとてもじゃないけどスリムではなかった。眼鏡をしていて、よくクラスの中心人物からいじられているのを見ていた。僕は彼らに対して何の感情も抱いておらず、新山君に関しても同情を誘っているようには見えず、心の中で大きいなとしか思ってなかった。そんな新山君のアイデンティティは勉学になるのだろうか。

 

 今日、転校生が来るらしい。この高校は自称ではあるが進学校だ。それに何かの口コミサイトで見たが、県内の私立高校で1番の偏差値をもっているらしい。ここに編入してくると思うとなにを血迷ったことをやっているのかと思ってしまう。一時期偏差値に浮かれていた自分をバカにしてやりたい。それと同じくらいのバカが来るというのだから、盛大に心の中でバカにしてやりたい。

 そうはいっても女子なのだから、自己紹介以外の時に絡むことはないだろう。このクラスは完全に女子と男子が分かれている。というか男子の中でも女子に話しかける人は3人ほどしかおらず、その3人が中心となり、クラスが出来上がっている。そういうものだ。

 

 しばらくすると始業のベルが鳴る。担任の大人が入ってきた。先生とは死んでも言いたくはない。

 

「みんなうわさに聞いていると思うけど、転校生が来ます。では一ノ瀬さん入ってきてください」

 

 そういってその場の全員が教室の前の扉に注目する。

 次の瞬間、大体の男子とすべての女子が息をのんだ。

 勢いよく入ってきた女の子に彼らは言葉を失った。

 

「ハロー!アメリカからやってきた一ノ瀬志希でーす♪趣味は科学実験で好きなものはタバスコをたっぷりかけたピザでーす!みんなよろしくー!」

 

 有り余る大声量で言われた自己紹介は嫌というほど耳に届き、僕は戦々恐々とした。こんな奴が入ってくるなんて聞いてなかった。趣味に科学実験ををするというのは日本ではあまり聞かないなだと思った。彼女の印象はそのくらいだ。早く黙らせてほしいとも思った。

 

 クラスの人物はほぼそわそわしており、新しい人物の登場に誰もなれないように感じた。

 

「仲良くしてあげてね。じゃあ一ノ瀬さんは新山君の隣の隣に座ってね」

「はーい」

 

 新山君が特に面識の浅い僕に教えてくれた理由が分かった気がする。彼の隣が開いていることがわかり、転校生が来ると知ったからだ。彼こそが一番楽しみにしていたはずだ。

 

「よろしく♪新山君!」

 

「よ、よろしく...」

 

 よかったな。今日こそ見返す時だ。そう僕は思って、これ以上彼のほうを見ないようにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 放課後となり、ほとんどが帰っていくか部活動をする時間だ。だが人の塊を生み出している、まさに渦中の人物がいた。

 そう、一ノ瀬志希だ。

 新山君はすでに気まずそうに帰っていった。残念だと思って居よう。クラスの中心的人物や取り巻きなどが放課後の予定を聞いているようだ。すべて断られていた。彼らの狙いなどすぐにばれるだろう。彼女は非常に勉強ができた。特に今日あった化学の小テストをすぐに書き終わり、暇を持て余していた。他の人も感じていたようで、自分の陣営に取り込もうと必死だろう。

 

 僕はすぐに帰ろうと思っていた。実際僕は荷物を持って、校門を出ようとしていた。それなのに

 

 

「君、いい匂いがするね。もっと君とお話ししたいかも、葉山悠馬クン」

 

 嫌な予感しかしなかった。




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